翌日の朝、イナズマジャパンの宿舎食堂にて……
「そういや、十六夜は?」
「そう言えば……昨日の朝食以来見ていないな」
十六夜の不在……昨日から帰ってきていないことが知れ渡ったようだ。
「アイツなら用事があるって言って昨日から居ない。一応、明日まで帰ってこないそうだ」
「えぇっ!?そうなのか!?」
「既に久遠監督と響木さんには話を通しているらしい」
「えーっと……アルゼンチン戦には帰ってくるんだな」
「多分な」
「……まぁ、アイツの独断自由行動は今に始まったことじゃないか……なぁ、鬼道?」
「あ、ああ……」
……なんというか……十六夜綾人というチームでも重要な人物が不在なのに、あっさり受け入れられたな……本当にアイツは今まで何をしてきたのやら。……いや、色々とやらかしてるって聞いたな。
「鬼道?考え事か?」
「ちょっとな……」
「…………」
鬼道、そして不動の様子が少しおかしく感じる……十六夜ならその理由も知っているのだろうか?……というか……
「何も言えないけど頼むって……」
帰ってきていないと言ったが、実際は、皆が居ないタイミングを見計らい一度宿舎に帰宅し、そこで監督たちに会っていたそう。そこで、何泊か分の用意を済ませて、出て行ったとか。詳しくは教えてくれなかったが、監督たちが承諾したってことは何かあるのだろう……まったく。
「そういうことは直接言え……って言っても無駄か……」
「十六夜くんのことかい?」
「まぁな……あのバカ、電話で用件だけ伝えて……こっちの話を聞くってことを知らないらしい」
「あはは……でも、円堂くんたちの様子を見ていると、一切心配されていないね。特に前から一緒だと誰も気にしていないというか、こういうことに皆慣れているみたいだね」
「まったく……あのバカはこのイナズマジャパンの副キャプテンだろうが……」
予選の時は監督の指示で別行動だったが、まさか、独断で別行動をするとは思わなかった。……はぁ……何を考えているのやら、よく考えればエイリア学園の時も独断でかき回したとか聞いたか?……それをこんな世界大会の舞台でやるとは頭が痛くなってくる……
「彼女として心配?」
「う、うるさい!」
昨日は久遠監督に話を通し、オルフェウスに混ぜてもらえることになった。そのまま彼らと一緒に泊まったが、特にミスターKからの攻撃はなかった。
「やっぱり7人はキツいだろうね……」
「相手の強さが分からんとどうしようもねぇな……」
一応、鬼瓦刑事にもこの事を伝えたが……流石に日本の一警察であるあの人が関われる規模を超えてしまったようだ。……相手はイタリアで監督に就任している……日本なら手の出しようもあるだろうが、流石に海外の監督相手は厳しいみたいだ。
相手が見える範囲にいるのに、手を打てない……こんなにもどかしいとは思わなかった。だけど今は、イタリア代表の座を守ること……これが、アイツの計画を妨げると信じている……が……
「どうしたんだ?考え事?」
「ああ、パオロ監督……だったよな?その人からは監督交代は何も聞いてなかったんだろ?」
「そうだね。急にミスターKが現れて……」
「やっぱり、何かおかしいんだよな……」
少なくとも影山はこのエイリア学園の事件が解決する頃までは日本に居たはずだ。真・帝国として、おっちゃんたち……エイリア学園とも関わっていた。そんな男に、海外に手を伸ばす理由はあったのだろうか?目的が日本なら、その段階でイタリアに手を出す理由はない……だが、たった何ヶ月で、イタリアのサッカー関連で影響を及ぼせるほどの存在になったのか?……正直、想像も出来ない。
更に前……鬼道が帝国に居たときは、世宇子のこともあったし……そんな前からイタリアには居ないはず……やはりと言うべきか、影山の関係者が潜んでいるのか?でも、ただの関係者がそんな大事な仕事を任せられるのか?
「ピースが足りないな……」
影山以外にも厄介なヤツが居る……そう思うが、証拠はないし、あの男なら1人でやりかねない……それにイタリアに留学していた頃も影山なんて出てこなかったし、そもそもフィディオたちもつい先日初めて会ったんだ……うーん?
「試合はもう明日なんだ。ここまで来たら、7人でやるしかないんじゃないか?」
「そうだよな……」
ただ、明日の試合でもしオレたちが負けるようなことがあれば……それは、きっと影山の策通りに進んでしまう。……でも、これ以上こっちのメンバーを減らす動きが見られないのは不思議だな。初日に仕掛けたから、こっちが警戒していると思っているのか?それにしては動きがないし……怪我の度合いも言っちゃ悪いが軽い。FFでの帝国戦で鉄骨の雨を降らせた男が、数日で完治するような怪我しか与えられていないなんて……何を考えているんだ?まるで掴めない……
「十六夜!?何でお前、こんなところに!?」
と、フィディオと歩いていると円堂、鬼道、佐久間、不動の4人と遭遇する。
「あれ?円堂たちじゃないか、練習は?」
「それはお前に一番言われたくないんだがな……」
話を聞くに、鬼道、佐久間、不動の3人は今日の練習で本調子じゃなさそうでどこか上の空だったよう。そこで久遠監督はその3人を練習から外したのだが、気付いたら3人ともが練習場から失踪。そのことに気付いた円堂が、3人を捜索すると、イタリアエリア行きのバスに乗っているところを見かけ、合流してそのままここに至るそう。
「もしかして……サボりか?」
「……お前ならこの面子が揃っていて、ここに来ている理由が分かるだろう?」
「…………はぁ」
オレは頭を抱えた。この面子が揃ってイタリアエリアに来た……ということは十中八九影山関連だろう。しかも、ピンポイントでここに来たと言うことは何かしらの情報を持っていると見ていい。……巻き込みたくなかったから秘密裏に動いていたのに……
「影山関連だろ?」
「知ってるのか!?」
「……今なら引き返せるぞ?」
「引き返すと思うか?」
「ですよねー……はぁ」
苦笑いをする……いやぁ……
「フィディオ、今のオレたちの状況を話してくれないか?」
「え?いいのかい?」
「なんというか……こいつらはオレ以上に影山と各々因縁があるというか……元々関わっているメンバーだからな。……後、このまま聞かずに引き下がるとも思えねぇし……」
「分かった。キミが言うなら……」
ということで場所を移してフィディオが現状を説明する。そして……
「十六夜!何でこんな大事な事を黙っていたんだ!」
「余計な事に巻き込みたくなかったからだよ。オレたちは世界一になるんだろ?そのために、まずはリーグ戦に全力を注がないといけない。……だから、この問題はお前らには秘密にしようと……」
「へぇ、じゃあお前はいつ知ったんだ?この問題を」
「……この際言っておくと、影山が居ることは、この島に来た日に知った。信頼できる刑事に聞いてな」
「何だと!?そんな時から知ってたのか、十六夜!?」
「言ったろ?巻き込みたくなかったから秘密にしてた。刑事さんも同意見だ。お前たちを……正確にはオレも含めてだが、巻き込みたくなかったんだよ」
両手を挙げて降参のポーズをする。……いやぁ……ねぇ?
「相変わらずお前の行動力は……はぁ」
なんというか……一周まわって呆れられている。あれ?鬼道さん諦めが早すぎですよ?
「で?お前はどうするつもりだ?」
「どうするも何もフィディオが言ったろ?明日はミスターK……影山率いるチームKとオルフェウスがイタリア代表の座を賭けて勝負する。オレはオルフェウスの選手として試合に出る。だから、この問題はオレに任せて、お前らは明後日のアルゼンチン戦に向けて練習でも――」
「お前だけにそんなことさせない!」
「――円堂?」
「影山の問題は俺たちの問題でもある!十六夜やフィディオたちだけの問題じゃないんだ!」
「ああ。それにお前たちより俺たちの方が因縁は深い」
……ここまで来て知って、帰れの一言で帰る連中じゃないことぐらい知ってたが……
「それに、オルフェウスの選手が怪我させられたんだろ?何人残ってるんだよ?」
「6人だね。アヤトが入って7人だけど……」
「なら、ここに居るだろ?なぁ、キャプテン」
不動が挑発するように円堂に聞く。そうなんだよな……こっちは人手が欲しい状況って言うのも事実なんだよな……
「俺、鬼道、佐久間、不動……そっか!俺たち4人が入れば11人になる!」
「え?いいのかい?」
「ああ!影山が相手なら俺たちも力を貸す!だよな、鬼道!」
「……そうだな」
鬼道は不動の方を見ていたが……え?こいつらまた何かやったの?既にやらかしたのはオレだけど……いや、そもそも練習中に3人とも上の空ってことは、既に影山と接触した可能性があるのか……
「俺も乗るぜ、その戦い」
「はっ、影山と戦うメンバーとしちゃ、悪くねぇんじゃねーの?」
佐久間と不動も同意する……これで4人の同意が得られた。
「分かった。俺からもよろしく頼むよ」
「おう!」
「……とりあえず、お前ら4人は久遠監督と響木監督のところに戻って報告しておけ。あと、各自準備しろよ?明日はチームKと試合なんだから」
「あれ?お前はどうするんだ?」
「オレは昨日の段階で報告も準備も済んでるからな……フィディオと一緒にオルフェウスの選手たちにお前らのことを伝えてくる」
「分かった。俺たちは一度日本エリアに戻る。その後は?」
「終わったらメールしてくれ。どうするか電話で相談だな」
そう言って4人は日本エリアへと帰って行く。
「何か……いいチームだね。君たちは」
「ん?」
「キャプテンであるエンドウはキミだけでなく俺たちの心配もしてくれていた。彼と因縁があるからこそ、この戦いが危険だと分かっているのに乗ってくれたんだ」
「まぁ、オレも円堂もFFIでお前らと戦いたいんだよ。それを影山のせいで潰されたくない。それに、アイツは友達を助けるのにそんな危険だとか何だとか関係ないんだよ」
「友達……」
「アイツ基準ならお前は友達認定されてるだろうな。だって、一緒にボール蹴った仲だろ?」
「そうだね……よし、皆のところに報告しに行こう!」
「おう」
この後、無事に監督たちの許可が降りた4人。彼らとは明日の朝に合流することになった。
そして、翌日……チームKとのイタリア代表の座を賭けた試合が幕を開けるのだった。…………裏で問題が起きるとは知らずに……
春アニメが終わり、夏アニメが始まる……今期も見たいアニメが多いですね。ちなみに秋も多そうです……あれ?アニメ尽くし?
次回はその間の裏の話ですね。