超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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 ライアー・ライアーの最新刊面白かった……!いやぁ……アニメを見ながら9月の短編集まで待ちですね。
 そして、作者夏休み突入……ただし、研究に休みという概念はないため……はい。とりあえず、溜めてたゲームしたいんですが……お盆前まで夏期講習ですので……忙しい今日この頃です。
 そんなこんなで今回です。どうぞ。


VSチームK ~模倣と代償~

 後半はオルフェウスのキックオフで試合が開始される。

 

「アヤト!」

「ああ、行くぞ」

 

 ボールが十六夜に渡る。ハーフタイム中、後半の最初の攻撃は任せて欲しいと十六夜が頼んだので、その通りに動いてもらっているのだ。

 

「鬼道、頼むわ」

「任せろ」

 

 そして、鬼道にボールを渡して、十六夜は前線へと走る。鬼道と不動が、中盤を支配をコントロールしてゴール前へと走っている十六夜へと返してくれる手筈になっているのだ。

 

『キラーフィールズ!』

 

 鬼道と不動の必殺技がボールを奪いに来た相手を吹き飛ばす。そのまま、ボールは十六夜の元へと返ってきた。

 

「先に謝っとくわ。ごめんな」

「「「は?」」」

 

 ピーー!

 

 ボールを受け取った十六夜は5匹のペンギンを呼び出した。ペンギンは宙を舞い、ボールの周りを飛ぶ。ボールには赤黒い力が込められていき、十六夜の右足へと食いついた。

 

「「「なっ……!」」」

 

 その動きにはチームKとオルフェウスの面々に衝撃が走る。そして……

 

「皇帝ペンギンX!」

 

 十六夜はシュートを放った。

 

「お前のシュート、(もら)ったから」

 

 試合の最初にデモーニオが円堂からゴールを奪ったシュートが真っ直ぐ相手ゴールへと迫っていく。

 

「ふ、フルパワーシールドV3!」

 

 キーパーのインディゴは動揺しつつも必殺技を放つ。だが、ペンギンたちがシールドを突き破り、シュートはゴールに刺さった。

 

「な、何故ヤツがあの技を使える……!?」

 

 威力はデモーニオの放った皇帝ペンギンXと同等……十六夜の放った皇帝ペンギンXにはミスターKも驚きを隠せなかった。

 

「アレがお前の策か?不動」

「まぁな。十六夜と付き合いの長い鬼道クンなら、アイツの強みが分かるだろ?」

「……必殺技や必殺タクティクスを分析し、攻略法を見出すこと……違うか?」

「その通りだ。アイツは確かにドリブルの技術は俺たちより飛び抜けてるし、DFとしての能力もたけぇ……だが、一番恐るべきは分析力だ」

「未来を作るなんて恐ろしいことが出来るほどだからな……お前はその力に新たな可能性を見つけたってわけか」

「いいや。自覚してないだけで、それもアイツの力ってだけだろーな」

 

 頭を軽く掻きつつ、十六夜の方を見る不動。

 

「必殺技を分析しているアイツなら、攻略するだけじゃなく模倣も可能だと考えただけだ」

「高い分析能力で、相手の必殺技をコピーするということだな?ファイアードラゴン戦で、十六夜は豪炎寺のファイアトルネードを見せた……やろうと思えば他の技もコピー出来る可能性はあるだろう」

「所詮はコピー……普通ならオリジナルは超えられねぇ。だが、ペンギンが関われば別だろーな。アイツは皇帝ペンギン1号をノーリスクで打てるバケモノ……そんな男だったら、デモーニオの皇帝ペンギンXも模倣出来るって思った。まぁ結果は見ての通り……想像以上だ」

「あれはただの模倣じゃない。あの一発でアイツは皇帝ペンギンXを習得した……相手の必殺技をコピーじゃなく、奪って自分のものにしたんだ。……十六夜という男の進化の可能性ってところだろうな」

 

 高い分析能力で相手の必殺技を分析し、相手の必殺技を破るのではなく自分のものにする……やっていることはネオジャパンに通ずるものがあるが、見ただけで自分のものに出来るという能力。この世界に来たばかりの十六夜では絶対に不可能な成長で、新たな選手としての進化の可能性…………なのだが、

 

「いやー度肝を抜くっていいな。最高に気分がいい」

「すっげぇな十六夜!やっぱり、お前はすげぇよ!」

「「…………」」

 

 本人がまったく関係ない感想を抱いていて、頭を抱える鬼道と不動だった。

 

「……そういや、あのアホ。この策聞いて、面白そうとか抜かしてたな」

「……あの意味不明なところが、十六夜綾人って男なんだろ」

「やれやれ、まさか敵の技を奪うとは、流石に予想外だ……尚更負けていられないな。俺たちも完成させるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後半開始早々、4-1で点差を広げたオレたち。オレが放った必殺技は敵(と味方の大半)に大きな衝撃をもたらした。

 

「お、俺の究極のシュートが……!」

 

 特に自分の必殺技に自信を持っていたデモーニオには衝撃が大きかったようで、膝をついて空を見ている。

 

「さてさて、自称究極くんはどうするのやら」

 

 このまま絶望するか、あるいは……

 

「まだだ……!」

 

 そう言って立ち上がるデモーニオ。

 

「ボールを寄越せ!俺こそが究極なんだ!」

 

 叫ぶデモーニオ。チームKのキックオフで試合再開され、ボールはデモーニオに渡った……だが。

 

「…………?」

 

 デモーニオにパスが通る……強すぎず弱すぎない、あくまで普通のパスだ。そのパスをあろうことかデモーニオは取れなかった。いや、それだけじゃない眼をゴーグル越しに押さえて……何かを探している?

 

「ボール……ボールは何処だ!」

 

 ……何を言っているんだアイツは……ボールは外に出てすぐそこに転がっているというのに……一体何が……

 

「お前……まさか目が……!」

「……っ!見えていないのか?」

「拒絶反応が出たか」

 

 オレたちがデモーニオに起きていることを知ると同時に、ベンチから影山が声を出す。

 

「お前には鬼道を超える力を持つようにプログラムを与えた。だがお前には過ぎた力のようだったな」

「影山……!」

「そこまでするかよ……」

「一体、人を何だと思っていやがる……!」

「大丈夫です……まだやれます!」

「もうやめろ!アイツはお前を利用しようとしているんだぞ!」

「構わないさ!総帥のためだったら、この程度……!」

「この程度って、何がそこまで……」

「お前たち持っている側の人間には分からないのさ。俺たち持たざる者の気持ちはさ!」

 

 持たざる者……代表の選考に選ばれず、それどころか、サッカーをまともにできる環境がなかったデモーニオたち。そこに影山が手を差し伸べ、力を与えたと言う。

 

「……やっぱり、影山の野望を打ち砕くには……決めるしかないな」

「だな。与えられた力に溺れ、身体が壊れることも厭わない姿は……これ以上見てられない」

「見せつけてやろうぜ。人に与えられた力じゃ強くはなれねぇってことをさ」

 

 そんなデモーニオの話を聞いて思いを固める鬼道たち。確かに同情はする……だが、

 

「円堂……勝つぞ」

「ああ……この試合、負けたらアイツらは影山の力なしでは生きていけなくなる。必ず勝とう、十六夜!」

「もちろんだ」

 

 これ以上失点させずに……とか何とか考えていたがやめだ。アイツらの目を覚まさせねぇと……正しい敗北を与えないと力に溺れたままだ。

 中断していた試合は、こちらのスローインで再開する。

 

「マルコ!フィディオだ!」

「分かった!」

 

 ボールはフィディオに渡った。

 

「俺は究極なんだ!究極の存在なんだ!」

 

 立ちはだかるのはデモーニオ。……さっきの話を聞いてからは、可哀想な被害者にも思えてしまう。そして今の姿は、失望した影山にもう一度信じて欲しいと思っている……そんな姿だ。捨てられた主人に振り向いて欲しい……だが、捨てた主人が主人である以上、そんな血迷った考えは捨てさせなければならない。

 

「究極なものなんて存在しない!」

「なに!?」

「皆、究極のプレーを目指して努力する!努力するからこそ進化するんだ!自分を究極だと思ったら……進化はそこで終わるぞ」

「黙れぇっ!」

 

 デモーニオが咆哮をあげながら突進していく。だが、フィディオはそれを簡単に躱した。

 

「……いいこと言うな、フィディオの奴。お前が気に入るのも分かるよ、十六夜」

「だろ?だから、アイツとのサッカーは楽しいんだ。それに、お前も気に入ってるだろ?」

「もちろん!」

 

 どれだけ周りから凄いと評価されていても、アイツはその評価に甘んじることなく、ひたむきに努力を続ける。だから、アイツとサッカーを続けたし、このFFIでアイツと試合をしたい。世界一を目指す好敵手(ライバル)として、アイツと向き合ってみたいんだ。

 

「フィディオ!鬼道たちにまわしてくれ!」

「分かった!頼むよ、キドウ!」

 

 ボールは鬼道に渡った。

 

「行くぞ!これが俺たちの必殺技……」

 

 鬼道はボールを軽く上にあげると、自身も跳躍する。続いて、不動、佐久間も跳び上がった。

 

 ピーー!

 

 上空でペンギンを呼び出す鬼道。出て来たペンギンは1号の赤と2号の青を混ぜたような紫色のペンギン。そんなペンギンが5匹現れる。

 ボールを中心に鬼道、不動、佐久間の3人がまわり、その外側を5匹のペンギンが飛んでいる。

 

『皇帝ペンギン3号!』

 

 そして、3人が同時に踵落としをボールに喰らわせる。紫色のオーラをまとった強烈なシュートはゴールへと飛んでいく。

 

「皇帝ペンギンX!」

 

 シュートコースに現れたのはデモーニオ。皇帝ペンギンXで皇帝ペンギン3号を打ち返そうとする……が、

 

「な、何ぃ!?」

 

 シュートの威力には勝てず、デモーニオは吹き飛ばされる。その勢いで、キーパーも一緒にゴールへと押し込んだ。

 

「なんてシュートだ……」

「すっげぇ!やったぜアイツら!」

「鳥肌立ったわ……!」

 

 皇帝ペンギン3号によって5点目を決めたオレたち。……ほんと、なんてシュートを撃つんだよ……

 

「十六夜の発言のおかげだな」

「オレか?……あの単純な発想のヤツ?」

「ああ、3人で同時に打てばいいってな。でも3人で打つ上で、ペンギンも加えようとすると、地上で打つんじゃ無理があった」

「そこでオーバーヘッドペンギンが鍵になった。空中で打つ……皇帝ペンギン2号が2次元の技なら、そこに高さを加えて3次元の技にすればいいってな」

「あはは……でも、それを完成させたのはお前らだろ。凄いな、マジで」

 

 そして、チームKのボールで試合再開。ボールはデモーニオに……だが、

 

「今度はなんだ……?」

 

 デモーニオの足にボールが当たる……が、反応しない。そして、そのまま膝をついてしまった……

 

「力を与えられた者の末路か……」

「……あーそういう」

 

 鬼道たちの皇帝ペンギン3号は皇帝ペンギンX……彼が影山に与えられた究極のシュートを超えていた。……自分が究極になれなかったことを、あのシュートを受けて身に染みて分かったわけか。

 

「戻ろう、デモーニオ」

 

 そんなデモーニオに声をかけたのはフォワードのビオレテだった。

 

「力なんてなかったけど、俺たちのサッカーが出来ていたあの頃に!」

 

 その言葉に思うところがあったのか、デモーニオはチームKの面々を見渡して、マントを脱ぎ捨てた。

 

「……デモーニオ・ストラーダの本来のプレーってとこか?」

「そうだな!フィディオ!鬼道!ディフェンスラインを固めろ!」

 

 ゴーグルを外し、髪を束ねていたヘアゴムを外したデモーニオ。

 後半残り半分……5-1でリードしているが、面白くなるのはここからのようだ。




習得必殺技

皇帝ペンギンX
シュート技
デモーニオの必殺技。不動の策により、十六夜が見て盗んだ必殺技。なお、デモーニオと同等以上の威力で撃てる。これには影山も驚くしかない。

多分、十六夜くんが影山の手駒だったら最強だったんだろうな……だって、禁断の技である皇帝ペンギン1号を何発でも打てるバケモノだし(なお、本職はDFだが)
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