超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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最悪の罠

 ピ、ピー!

 

 試合終了のホイッスルが鳴った。結果は最後にフィディオがシュートを決めて、7-2でオルフェウスの大勝。無事、イタリア代表の座を賭けた試合に勝利をおさめることが出来たのだった。……まぁ、無事というか、試合が始まる前には想像もしてなかったくらい丸く収まったな。あと、点差がえげつない。

 デモーニオたちチームKとオルフェウスの選手たちの仲も深まり、鬼道とデモーニオも互いに声をかけあっていた。本当に全てが丸く収まった……そう思っていた。

 

「約束です、ミスターK。イタリア代表の座は俺たちのものです」

「好きにしろ。だが、イタリア代表の監督は私だ。お前たちが私の理想とする完璧な選手にならなければ、お前たちは用済みだ。分かったな?」

 

 なんと言うか……本来であれば影山もここで退いて、前の監督が復帰して万事解決……が最高なんだけど、そこまで上手くは行かないらしい。この試合はあくまで代表のメンバーをどうするか決める試合で、監督に関しては何も言ってなかったからな……

 

「話は変わるがイナズマジャパンの諸君。君たち日本代表の選手がこんなところにいていいのかね?」

「どういう意味だ!」

 

 鬼道さんが初手から怒ってる……のは置いておくとして、どういうことだろうか?

 そう思っていると、さっきまでチームKとオルフェウスの試合の得点を表していた電光掲示板の映像が切り替わる。何処かのグラウンド……そこに集まっている観客たちだろうか?

 

「豪炎寺……?」

「それに……テレスたちアルゼンチン代表?」

 

 映っていたのは豪炎寺たち日本代表イナズマジャパンとテレスたちアルゼンチン代表ジ・エンパイア……え?

 

「何だって!?」

「ヤマネコスタジアムで試合?それって……」

「明日のはずだ……」

「クソッ!どうなってやがる!」

「まさか……!」

 

 と、ここに来て理解してしまった。辿り着いた答えが正しいなら……

 

「試合は15時からだ」

 

 ああ、そういうことか……電光掲示板の映像に映る時計は14:12を表示している。……今から約50分……!もう1時間を切っている……!

 

「まさか影山!お前が試合日程を!」

「フッ」

 

 その質問に答えることなく去って行く影山。

 

「とにかく急ごう!まだ間に合うはずだ!」

「俺も協力する!こうなったのは俺たちが巻き込んだからだ」

「フィディオ……ああ!急ごう!」

 

 走り出そうとしたオレたち……だが。

 

「……っ!誰だ!お前ら!」

 

 よく分からない男たちが、目の前に立ちはだかった。

 

「そこをどけ!」

「「「…………」」」

 

 通そうとしない……ッチ!念には念をってか?

 

「……ヤバいな……!」

 

 話を聞く連中じゃない……こちらを妨害する意志を感じる。かと言って、暴力に任せて通ろうものなら……確実に問題になるだろう。下手しなくても日本が不利になる……最悪なトラップだ。会場の映像が流れたままってことは、試合が終わるまで大人しくここに居ろっていう影山からのメッセージってことか……!

 

「時間がない……!」

「クソが……!」

「力を貸してあげるよ」

 

 と、聞こえてきたのは女の声だった。後ろを振り返ると、フードを被った2人組がそこに居た。

 

「誰だ!?」

「影山の刺客か!?」

「あんなのと一緒にしないでくれよ」

 

 と、男の声……男女のペアか?……すっげぇ怪しさ満点だけど。

 

 ピーー!

 

 すると、指笛を鳴らすフードの人物。そして……

 

「インビジブル・ペンギン」

 

 小さくそう呟いた。声的に女の方が使ったのか?それにインビジブル……invisible?その意味は……

 

「……っ!お前ら突っ切るぞ!」

「で、でもこいつらが!」

「こいつらは動けねぇ!行くぞ!」

「インビジブル……そういうことか!」

 

 オレが先頭で突っ走ると、その後を鬼道、不動、佐久間、円堂、フィディオが走る。妨害しようとした奴らは動けない……やっぱりか。

 

「よく分からんが恩に着る!ありがと!」

「…………」

 

 振り返って礼を言うと、フードの片方が手を振る……というか、一体誰なんだ?アイツら……

 

「十六夜!どうして通れたんだ!?」

「あのフードの奴が、見えない――透明なペンギンたちを、妨害している奴らの周りに呼び出したんだ」

「透明なペンギン!?…………え?そんなの居るの?」

「実際に居たからしょうがねぇだろ!?」

「でも、透明なのによく気付いたな」

「……まぁ、ペンギンだからな……ただ、何者だアイツら?」

 

 ……フードを被っていて怪しいが……アイツ、10匹以上は余裕で呼び出していたな。1人1人の動きを制限するために……何匹ものペンギンを使って拘束していた。ただえさえ、ペンギンの数も相当なのに透明って……ペラー風に言うなら、器がデカいってことだろう。……本当に何者だ?アイツら……

 

「フィディオ、ここからどう行けばいい!?」

「バスを呼んだからそれに乗るんだ!」

 

 アイツらに関して考えている時間はないらしい。今は試合に間に合うことが優先。ということでやって来たバスに乗り込む。そんな中、フィディオは何処かに電話をかけ、話をしていた。

 

「分かった。ありがとう」

 

 どうやら次に出る14時35分の船が試合開始の15時に間に合う最後の船らしく、それを逃せばもう試合が終わるまで、ここから船は出ないそうだ。現在の時刻は14時20分前……バスなら十分間に合うらしい。

 

「助かるよフィディオ。本当にありがとう」

「ありがとうって……俺たちが巻き込まなければ、こんなことには……」

「それは違うぞ。これは最初から仕組まれていたことだ」

 

 ……仕組まれていたこと……何か引っかかるんだよなぁ……

 

「それより、イタリア代表の監督は影山のままだ。気を付けてくれ……また、今回のようなことが起きないとも限らない」

「ありがとう……でも、俺は思うんだ。ミスターKのサッカーに対する深い憎しみの裏には、何か別の感情があるんじゃないかって」

「別の感情?」

「それが何かは分からないけどね。……見せつけてやるんだ。ミスターKに俺たちのサッカーを」

 

 と鬼道とフィディオが話しているのを聞きつつ、引っかかってる点を考えていく……

 

「何難しい顔してるんだよ、十六夜」

「ああ……」

 

 影山がそんな試合を1日繰り上げるとか……そこまでの権限を持っているのか?持っていたとして、運営のお偉いさんは疑問に思っていないのか?……何かが引っかかっている……それにさっきの道を塞いでた方も助けてくれた方も結局何者か分かんないな……知らないところで何かが動いている……

 

「「「……っ!」」」

 

 思考を進めているとバスが急停車する。

 

「何が起きた!?」

 

 バスの運転席から見えるのは……渋滞?いや、その先には……パトカーのサイレンか?パトカー……渋滞……

 

「おいおいまさか……!」

「どうやら事故みたいだ。バスは動けない……」

 

 嘘だろおい……!アイツらを突破すると見越して影山が……?いや、アイツらを突破したところを影山は見てねぇはずだ。しかも、映像を見せた理由が、大人しくしてろってことなら突破できると踏んでないはず。……じゃあ、どうやって?……いや、それを可能な手はある……今は14時30分……オレたちが突破したところを誰かが見ていて、約10分の間にここを封鎖した。……でも、そんなこと……!

 

「走るぞ!」

「マジかよ」

「港は目の前なんだ!」

 

 確かに渋滞の先……この一本道の先には港が見える。……だが、オレたちが走ってつくかはギリギリ……こんなところでそんな賭けはしたくねぇ。

 やりたくねぇが、アレをやるしかねぇようだ。

 

「円堂、鬼道!」

「何だ?十六夜」

「先に行く!」

「どうやって……っ!アレか!」

「イビルズタイム!」

 

 周りの動きが止まり、時間が停止する。……これなら確実に間に合う。オレが間に合えば、説得して少しくらいは船を止めてもらえるだろう。

 

「ッチ……!」

 

 走り始めて体感で3,4分だろうか?流石にイビルズタイムの長時間連続使用は体力を持ってかれる。……その上でダッシュしているためか、いつもより体力の消耗が激しい。……クソッ、こっちは1試合()った後だっての。だが……!

 

「これが最善手なんだ……!たとえ、監視がついていようが時を止めれば関係ねぇ……!」

 

 妨害する側にとっては事故のせいで間に合わないと踏むはず。だけど、間に合う素振りを少しでも見せれば、そこで手を打つはず……この技だったら、相手にとっては瞬間移動してきたのと同じこと。余計な手を打たれずに船に乗り込めるはず……

 

「解除!」

 

 イビルズタイムを解除する。船は港に停泊している。急いで船を運転する船長に声をかけに行くことに。

 

「すみません!後、4人この船に乗らないといけない人たちがいるんです!そいつらを待ってくれませんか!」

「そうしたいんだが……」

 

 帰ってくるのは渋る声……クソッ、やっぱり、こっちの事情を説明しないとダメか……!

 

「……この船は出せなくなったんだよ」

「はぁ!?どういうことですか?この船は14時35分発のヤマネコ島行きじゃ……」

「そうなんだけど、エンジントラブルだよ。原因が分からない……船が出せるようになるまで時間がかかりそうなんだ」

「嘘だろおい……!?」

「すまないね……朝点検したときには何も問題なかったんだが……」

「じゃあ、どうすればヤマネコ島に……っ!こういう時は、代わりの船とかありませんか?」

「それが……こっちですぐに用意できる代わりの船が今日に限ってないんだよ。いつもは不測の事態に備えて残っているはずなのに出払ってしまっていてね。だから、悪いんだけど、次の船まで待ってもらわないと……」

「……っ!」

 

 思わず拳を握り締めてしまう。

 

「……クソがっ!ここまで読んで、手を打っていたのかよ!」

「き、きみ……?」

 

 地面に拳を叩きつけ、悔しさを叫ぶ。そんな中、こちらに向かって走ってくる5つの影が見えた。

 

「よかった!間に合った!」

「すみません!この船に乗せてください!」

「お願いします!」

「き、君たち……それが……」

「エンジントラブルでこの船は動かねぇってよ」

「なっ……!それじゃあ……!」

「アルゼンチン戦に……ヤマネコスタジアムにオレたちが行ける手段はなくなったんだよ」

「「「…………っ!」」」

 

 絶望の知らせ……全て、掌の上で転がされたってことか。

 時刻は14時35分を過ぎる。船は港から動かない。オレたちは港から動けずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「珍しいね、シスターが面倒ごとに手を貸すなんてさ」

「そう?まぁ、確かにそうかもね」

「そうそう、こいつらを押さえたところで、どうせ手は打たれる。意地でもこいつらは、十六夜綾人たちを試合会場に行かせないよ?」

「そうでしょうね」

「……もしかして、()()()のかい?」

「さぁ?とりあえず、私のやりたいことは終わったし……時間ね。帰るわよ、ブラザー」

「相変わらず自由だな……分かったよ、シスター」

「また会いましょう。十六夜綾人」

「ちょっとシスター?オレたちが彼と会う予定はないはずだけど?ちょっ、これ以上何をするつもり?ねぇ、シスター、ちょっ……」

「ブラザー、うるさい」




 誰がゲーム版とアニメ版の妨害を組み合わせた上に更なる妨害をしろと頼んだんだ?きっと、全ては影山のせいです。そうです、影山のせいなんです。前の話までの仕返しをしたんですよきっと。
 というわけで次回はアルゼンチン戦……の予定ですが、どうなることやら。ちなみにフードの2人組はオリキャラです。


オリジナル必殺技紹介
インビジブル・ペンギン
???技・1人技
使用者 ???
透明なペンギンを呼び出すらしいが……?
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