超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

190 / 254
VSユニコーン ~エースストライカー~

 ユニコーンのキックオフで試合再開。ボールは……

 

「じゃあ撃っちゃうよ!」

 

 ディランが持ち、シュート体勢に入る。まだセンターライン付近だと言うのに撃つというのか……!?

 

「撃ってみろよ。隙もコースも与えねぇぞ」

「おぉ?」

 

 それを阻止すべく立ち塞がったのはDFである十六夜……

 

「って十六夜さん!?いつの間にあそこまで移動を!?」

「いや、十六夜のやつ最初から前に居たな。こうなることを見越して……」

 

 キックオフの時には既にセンターサークルに近いところに居た十六夜。これなら、確かにボールを持った瞬間詰められるが……

 

「ヘイアヤト!ユーがここまで来ていいのかい?」

「かまわねぇよディラン。ユニコーン側にお前以外、点を取れるヤツはいねぇからさ」

 

 あっさりとシュートを撃つのをやめて、ボールをキープするディラン。

 一ノ瀬がベンチに下がり、マークには個人でのシュート技がないという分析で、ディランだけを警戒しているということか?

 

「ハハ、ミケーレもマークも居るのに、そんなこと言っていいのかい?」

「ウチのキャプテンが止める。他の奴らが止める。だからオレはお前だけ撃たせねぇようにすればいい。お前のシュートはオレが潰す」

「なるほど、美しい信頼だね!行くぜ!アヤトを超えてミーが決めるよ!」

 

 ディランの足下にあるボールにパワーが集まっていく。

 

「まさか、別の必殺技ですか!?」

「他にも隠していたのか!?」

 

 しかし、それを見ても十六夜に動じた様子がない。それどころか淡々と……

 

「ハッタリだろ、それ」

 

 そう言ってみせた。

 

「ワオ!初見で見抜くとは驚きだね!」

 

 そして、ディランは何食わぬ顔でシュートを撃つ素振りをやめ、十六夜と向き合う。

 

「試合終盤の大事な局面。流石にこの状況で強引に撃つことはしないだろ?だからそれはフェイク。本物だと思って阻止しようとすれば、オレを抜いてさっきのをぶち込むつもりだった」

「エクセレント!パーフェクトだよ!」

「そりゃどうも。駆け引きなら負けねぇよ」

 

 いや待て、十六夜のヤツ……今のは嘘が混ざっている。ディランの動きを注意し、ディランだけを自由にさせないようにしている……つまり、見抜いていたわけではない。さっきの技を撃たせないようにしているだけで、今のが本当にフェイクかどうかなんてあの瞬間には分からなかったはずだ。

 

「って言うのはやっぱり冗談(ジョーク)!行くぜ、ライアーショット!」

 

 しかし、一息ついたのも束の間、ボールにパワーを集めて足を振り抜いた。思わずボールの行方を見る私たち。

 

「……え?」

「シュートじゃ……ない……?」

 

 ボールはふわりと上がり、その軌道は弧を描いているようだった。そして、そのまま地面に向かう……

 

「これで棒立ちになったところを突破するってか?」

「やっぱり、ユーに必殺技は通用しないね……!」

「そりゃどうも!」

「うぐぅ……このパワーならトニーを吹っ飛ばしたのも分かるね……!」

 

 ボールの落下地点では十六夜がディランをおさえて先回りしていた。私たちがボールの行方を見ている間に、既に地上で2人の戦いが起きていたらしい。

 

「でも、ミーの相棒を舐めないでよね!」

「ナイスパスだディラン!」

「ッチ」

 

 ディランが前線に走り出す。ボールを取り合うを諦めて……そして、その直後に十六夜もボールの落下地点からディランを追いかけて走り出す。気付けば、ボールは地面に着地する前にマークが空中で拾っていた。……なるほど、マークに奪われるのが分かったから、ディランに向かって走って行ったと。

 

「やっぱり、ディランを警戒しているか。そして、俺はご自由にって訳か」

「そんなわけないだろう?」

「お前の相手は俺たちだ!」

 

 そんなマークに立ち塞がったのは鬼道と土方の2人。

 

「なるほどな。でも、通させてもらうぞ!」

 

 そう言ってフェイントを仕掛けてくるマーク。最初こそ余裕そうについて行けている2人だったが……

 

「このタイミングだな!」

「うぉ!?すまん鬼道!」

「……っ!いや、大丈夫だ」

 

 マークの仕掛けたフェイントはタイミングが絶妙で、ボールの位置も巧妙だった。そのせいで、鬼道と土方は同時にボールを取ろうとして連携が乱れ、土方と鬼道がぶつかってしまう。体格差もありバランスを崩す鬼道とそれを支えようとする土方。そんな大きな隙を見逃すはずもなくマークは突き進んでいく。

 

「ミケーレ!」

 

 フォローしようと木暮が走るも即座にミケーレにパスが渡る。ディランの方には十六夜がついており、パスコースを塞ぐように吹雪も居る。流石に強引に出すことはしないらしい。

 

「マーク!」

 

 ミケーレはダイレクトでマークに返す。やはり、ディランを防いでいるのが大きいのか、攻撃力が大幅に下がったように感じる。

 

「このままズルズル引き分け……なんて性に合わないな!行くぞ、ミケーレ!」

 

 マークは何かを決めたようでミケーレに声を掛ける。すると、ディランも何かに気付いたようで移動し……

 

「シュート警戒しろ!」

「おう!来い!」

 

 十六夜が声を出しながらディランに着いていく。

 

『真レボリューションV!』

 

 マークとミケーレが必殺技を放つ。……一ノ瀬やディランが居なくても撃てる必殺技を隠していたのか……!

 

「イジゲン・ザ・ハンド改!」

 

 そんな必殺シュートに対して、円堂は必殺技を放つ。ボールは僅かな拮抗の後にゴールの上を飛んでいった。

 

「クッ……アヤトの言う通りということか……!」

「力不足……!」

問題なし(ノープロブレム)!ミーが意地でも決めるからね!」

 

 残り時間はほとんど残っていない。ユニコーン側にとってもこの攻撃で点を取れなかったのは大きいだろう。

 

「よぉし!頼むぞ十六夜!」

「ちょっ、バッ……!」

 

 十六夜が何かを言いかけたが、そんなことお構いなしに円堂から十六夜にボールが渡る。そして、十六夜がボールをトラップした瞬間、ディランとマークのダブルディフェンスが迫る。

 

「取らせてもらうよ!」

「この試合はミーたちが貰うね!」

「ク……ソッ……!」

 

 ディランとマークの連携プレスを前に、十六夜はボールをキープするのに精一杯になった。

 

(雰囲気が戻っているか。この状態の彼なら思考時間を与えたくないな……)

 

「ディラン!」

「テンポアップだね!ガンガン行くよ!」

「……っ!冗談キツいって……!」

 

 しかも、相手のプレスが激しくなる。ここで奪えば、シュートを撃てる。点を取れれば残り時間での逆転は実質不可能になることが分かっているのだろう。

 

(どうする……本当にどうする!?ゴールまでたどり着けるビジョンが全く見えねぇ!パスコースも潰され、ドリブルでの突破は厳しい状況……!残り時間もあとわずか……!ここで決めなきゃ勝利はねぇ……!)

 

「マズいです……!試合終盤で延長戦もない……勝負を仕掛けに来ましたね……!」

「ヤバいな……!アイツら、ここに来てプレーの質が上がっている……!」

「……後数秒。……何も起きなければ、数秒後には……」

「そんな……!」

「だが、十六夜だからその数秒が生まれる」

 

 十六夜単独での勝ち筋が見えない……間違いなくこのままだと奪われる。

 

(クソッ!どんなに思考を張り巡らせてもゴールまで到達出来る道筋(ルート)がねぇ!パスは全部取られて反撃をもらう確率が高い!ドリブルでの突破のビジョンも見えねぇ!状況が好転するまでこのままキープする選択肢は存在してねぇ!……パス、ドリブル、キープ……畜生が……どの選択も詰んでいやがる……!)

 

「十六夜くん!」

 

 そんな中、吹雪が走って行く……それは3人も見えていた。

 

「彼にパスは出させない!」

「ここで奪って逆転だよ!」

 

(勝算が低いとこに賭けるか?いやそれは最終手段……!状況は少しずつ変化しているんだ……その全てを整理して考えろ……ここで最適解を見つけなきゃ勝てねぇんだ……!勝つために……!オレが今取れる選択はなんだ……!クソ、時間がねぇ……!全ての情報を叩き込め思考しろ判断しろ……!ゴールに繋がる道筋(ルート)は何処に…………っ!?)

 

 と、十六夜が何かを思いついたように目を見開き、首を素早く振ってフィールドを見渡す。

 そして、一瞬吹雪の方に目を向けると……

 

「吹雪!オレを殺せ!」

「「「はあああああああああああぁぁっ!??」」」

 

 十六夜がとんでもないことを言い出した。予想外どころか、この場において出てくるとは思えない、予想も出来ない一言が、多くの者を震撼させた。

 

「スノーエンジェル!」

「マっ……!?」

「しまっ……!」

 

 そんな十六夜の言葉を受け、吹雪が必殺技で十六夜を凍りづけにしてボールを奪う。近くに居たディランとマークの2人もこの襲撃は避けきれず、一緒に氷の中に閉じ込められた。

 

「吹雪!」

「豪炎寺くん!」

 

 前線を走る豪炎寺へ吹雪からボールが上がった。

 

「そうか!味方に必殺技をぶつけて、味方からボールを奪うなんて発想は彼らにはありません!パスでもドリブルでもキープでもない選択なら、彼らを出し抜けます!」

「出し抜けるって……そんな打ち合わせいつ……!?」

「あの一言……自分を殺せって言うその一言に含まれた意味に吹雪が答えたのだろう」

 

 たとえ死んでもボールを繋げる。そして、吹雪の必殺技なら自身を巻き込んででも最短で、確実に突破できると判断した。どんなに絶望的な状況でも思考を止めなかった末に見つけ出した解答か……

 

「虎丸くん!行くよ!」

「……え!?あ、はい!」

「お前らも攻め上がれ!最後の攻撃だ!」

 

 当然、そんなプレーには困惑する者も現れる。だが、その数秒が命取り……それを分かってか衝撃を受けなかった者たちが切り替えるように促す。

 

「鬼道!」

「ああ!行くぞ!不動!」

「分かっている!」

『キラーフィールズ!』

 

 ボールは鬼道に渡り、鬼道と不動の必殺技が道を切り開く。そして、再び豪炎寺がボールを持ち、その傍にはヒロトと宇都宮が走っている。

 

『グランド……』

「やらせるか!アクアリングカット!」

「撃たせねぇよ!ボルケイノカットV2!」

 

 シュートを放とうとした瞬間、3人の前には水の壁とマグマの壁が現れた。そのせいでシュートを中断する。

 

「シュートを撃っても減衰され、真正面からドリブルでの突破は不可……さぁ、どうする?」

 

 徐々に自陣ゴールへと戻っていくユニコーン。一度仕切り直そうにも、戻してしまっては折角のリズムが崩れてしまう。それに、時間も残されていない……

 

「ど、どうしましょう!?無理やり撃つしか……!」

「いやダメだ。確実に決めるにはこの壁を越えないと……」

「で、でもどうやって……!?」

「……っ!ヒロト!合わせてくれ!」

 

 ボールをヒロトに預けると、豪炎寺が単独で水の壁に向かって突っ込んでいく。

 

「ご、豪炎寺さん!?何処に行くんですか!?」

「合わせてくれって、一体……っ!」

「ど、どうしましょうヒロトさん……」

「頼んだよ!2人とも!」

「ちょっ、ヒロトさん!?」

 

 いきなりヒロトが空高くボールを蹴り上げた。誰もが理解できない行動……一体、何故そんなことを……?

 

『突然、基山が空高くボールを蹴り上げたぞ!この土壇場で闇雲に蹴ったか!?』

 

「その執念は流石だな!行くぞ!」

「ハッ!ただの死に役で終わるかよ!」

 

 そのボールに向かって、跳び上がっていた陰が2つ。ヒロトからこのパスが通ると分かっていたようで、ボールとほぼ同じスピードで上がっていく。

 

「合わせろ十六夜!」

「合わせてやるよエースストライカー!」

 

 その陰は足に炎を纏い、回転しながら徐々に近付いていく。

 

『いいや違う!そのボールに反応しているのは豪炎寺と十六夜だ!2人がそれぞれ足に炎を纏い、回転しながら上がっていく!』

 

 そして、ボールが最高到達点に達したとき……

 

「「ファイアトルネード!」」

 

 2人のファイアトルネードが同時に放たれた。即興でやったはずなのに、2人のタイミングは完璧に合っている。その証拠に、炎は1人1人が単独で撃つよりも何倍もの勢いになっていて、炎の塊が激しく火を噴きながらゴールへと飛んでいく。

 

「ジャックポットキャッチャー!」

 

 相手キーパーは直感でフラッシュアッパーでは止められないと悟ったのだろう。背後に現れたのはスロットマシン。スロットが勢いよく回転し、左が7、真ん中が7と揃い……

 

『ご、ゴール!逆転ゴールだぁ!十六夜と豪炎寺のダブルシュートがゴールに刺さったぞ!』

 

 ……右が1を指し、7が3つ揃うことはなくメダルは出なかった。そして、スロットマシンは霧散し、ボールはゴールの中へ突き刺さる。

 

「素晴らしい!ファイアトルネードを同時に放つ……2人の息が合わないと出来ない技!その名もファイアトルネードD(ダブル)D(ドライブ)!」

 

 2人は着地し、ハイタッチをかわす。

 

 ピ、ピーー!

 

 そして、試合終了のホイッスルが鳴り響く。

 

『ここで試合終了!6-5!熱い激戦を制したのはイナズマジャパンだぁ!』

『最後の一瞬まで目を離せませんでしたね……!』

 

「ナイスシュート、豪炎寺」

「ああ、いいシュートだった。即興(アドリブ)でやった割にはよく合わせたな」

「まぁな。ハーフタイムで構想は言われていたから合わせた」

「合わせたって簡単に言うな……お前は」

「すっげぇぞ豪炎寺!十六夜!くぅ……最高のシュートだな!」

「息ぴったり。凄い連携シュートだね」

「そうだな。俺も予想以上だ」

「と言うか、その前のはよく反応してくれたな、吹雪」

「うん。アイコンタクトもあってしっかり伝わったよ」

「それにしても、あれは結構な無茶をしていたな」

「でも、十六夜くんならあれぐらい何ともないと思ったからね」

「あんなの、切羽詰まってなければ二度とやらねぇよ」

「……あれ?でも、何でお前だけ追いつけたんだ?」

「それはね、キャプテン。僕が必殺技を発動するときに、十六夜くんは相手ゴールの方を向いて走り出そうとしていたんだ。だから氷が砕けた瞬間に、2人より2、3歩早く走り出せた」

「それだけ貰えれば、追いつかせねぇよ。向かうべきポイントにまっすぐ全力で走ればいいんだからな。それにしても豪炎寺のタイミングも最適だった。早かったら追いつけねぇし、遅かったら邪魔が入ったかも」

「お前が走るのが見えたからな。やるならあのタイミングしかないと思った」

「やっぱりお前らはすっげぇぜ!」

 

 フィールドでは円堂、豪炎寺、吹雪、十六夜の4人が盛り上がっていた。ベンチのメンバーや他のメンバーもこの勝利に喜びを表していて……こうして、ユニコーンとの激闘は幕を閉じるのだった。




 ということで、一ノ瀬、土門強化+強化西垣加入+ディラン、マークなどの強化……とナイツオブクイーン、ジ・エンパイアに比べると破格の強化を受けたユニコーン戦でした。まぁ、一ノ瀬たち十六夜の強さ知っているしね。そのレベル目指していた彼らに影響を受けて全体的にレベルアップしていましたね。

 ちなみに、お気付きかは分かりませんが、このユニコーン戦はこの世界編で十六夜くんが初めてまともに一試合戦った試合です……って言うと誤解されそうなので、今までの試合を振り返ります。

代表選考試合、ビッグウェイブス、デザートライオン→本気出していない。(本気出していたら……ねぇ?)
ネオジャパン→出番なし。(終始ベンチ、それどころか途中から蚊帳の外)
ファイアードラゴン→治療の為、一時的にベンチに下がっている。(そもそも途中までキーパーと諸々の制約を受けている)
ナイツオブクイーン、ジ・エンパイア→後半途中で交代している。(気絶と体力切れ)
チームK→途中から本気を出していない。(チームKの雰囲気を壊さないように)

 と、今までの試合と比べるとようやく最初から最後まで本気で戦っていましたね……いや、世界編始まってから、何でこんなにベンチに下がってばっかりいるんだ?この主人公、公式戦フル出場出来ないどころか、イナズマジャパン入りするオリキャラの中で、ベンチに居る時間一番長い説ある?非公式戦含めると出場していない試合まであるし……

習得必殺技紹介
ファイアトルネードD(ダブル)D(ドライブ)
使用者 豪炎寺
パートナー 十六夜
登場すると予想できていた人が多いと思われる必殺技。無事に習得したもののぶっつけ本番で出来たよう。その理由は一体……?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。