超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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幕引きと始動

「勝利おめでとう、円堂」

「一ノ瀬……」

「……最後までピッチに立っていたかったけど、出来なかった……」

「お前がベンチに下がった後も、ピッチにはお前の気迫が残っていた。だから俺、最後までお前と戦っていた気がする」

「……ベンチに下がって俺、心の底から思ったんだ。サッカーがしたいって。……俺は諦めないよ。もう一度サッカーを取り戻してみせる。……絶対に!」

「一ノ瀬……ああ!俺たちも待っている!また一緒にサッカーやろうぜ!」

「円堂……ああ、またサッカーをやろう。一緒に」

 

 試合終了後、円堂と一ノ瀬が、2人で約束を交わしていた。

 

「全く……カズヤの奴、こんな大事なことを黙っていたなんて……」

「え?お前らにも黙ってたの?オレも知らなかったけど……」

「そうなんだよ!ミーたちは何も聞かされてなかったのさ!」

「これは手術が終わったらお説教だな」

「ほどほどにしてやれよー」

「そういう時のマークは厳しいからねー」

「お前な……それに、アヤト。キミとも戦えてよかったよ」

「そうだよ!まさか、ミーたちのユニコーンブーストとグランフェンリルを止めちゃうなんてアンビリーバボーだよ!」

「それにラストは俺たちのブロックを突破されたんだ。まさか、味方に奪わせるとは思わなかったけど」

「オレの方こそ、お前らの連携にはいいようにやられた。結局正面から勝てなかった……いい勝負だったよ」

「ああ!またサッカーやろうな、アヤト!」

「もちろんだ」

「約束だよ!次はユーに勝つからさ!」

 

 その裏でディランとマークと話をして別れる。

 

「なんかいいな……」

「急にどうした?」

「何かさ、この世界大会でオレは好敵手(とも)が増えた。サッカーを通じて、世界中に競い合う相手(仲間)が出来ている」

「まぁ、お前はどんどん有名になっているからな。知ってるか?イナズマジャパン含め、十六夜個人もテレビでプレーが紹介されているぞ。Aグループのダークホースだって」

「え?そうだったのか?」

「……お前がどっか行っているから知らないんだろうが」

「いやー……それを言われると弱い」

「気付けば私を追い越して、遙か先に居るんだな……」

「八神……」

「今度は私が追い越す番だからな。……だから、さっさとサッカー以外のことを片付けろ。モタモタしていると置いてくぞ」

「あはは……」

 

 これは完全に、オレが裏で色々とやってるのバレてるわ……

 

「でも、そうだよな……」

 

 どの国の選手も純粋に世界一を目指して、サッカーをしているんだ。……それを汚そうというヤツは許せねぇ。

 

「というか、十六夜。1つ聞いていいか?」

「何だ?」

「お前、途中で自分の頬叩いてなかったか?何かあったのか?」

「あー……目を覚ますため、かな?」

「???」

「まぁ、気にしなくて大丈夫だ」

 

 ……思い出せる……って思ったけど靄がかかっているだけだ。忘れるはずのないのに…………オレの元の世界での仲間でありライバル…………居たのに……確かに居たのに分からない……お前は……いや、お前らは誰なんだ?

 そんなモヤモヤを抱えながら控室に戻ると、一通のメールがきていた。差出人は……

 

「……よし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜。オレはセントラルエリアにやってきていた。

 

「待たせたかしら?」

「今来たとこだ……雷門」

 

 雷門夏未……FFIが始まったときに海外留学に行った彼女が現れた。

 

「悪いな、こんな時間に」

「えぇ。でも、こんな時間くらいしか都合の良いときがないから仕方ないでしょうね。それにしてもこのメールアドレス……お父様から聞いたのね」

「まぁな」

「それで?時間も限られているから率直に聞くけど、呼び出して話とは何かしら?」

「円堂大介は生きている。そして、円堂大介はすぐ近くに居る……そうだろ?」

「…………」

「お前が円堂大介について調べるために、海外へ飛んだのは理事長から教えてもらった。これはまだ推測の域を出ないが……コトアールの監督。あの爺さんが円堂大介じゃないのか?」

「……はぁ」

 

 雷門はため息をつくと、辺りを見渡す。

 

「念のため聞くけど、あなた1人よね?」

「そうだな。誰も連れてきていない」

「分かった……それなら認めるわ。その通りよ」

「やっぱり……円堂大介は生きていたんだな。表では死亡扱いされていた……が」

「それはカモフラージュ。円堂大介を生かそうとしてくれた組織のお陰で、円堂大介は海外へ飛んだの」

 

 調べた通りの事を言ってくれたが、円堂大介が何処に居るか所在までは分からなかった。だが、雷門がコトアールのマネージャーになったという情報から、コトアールの関係者だと睨んだが……これで確証が持てた。

 

「相変わらず、あなたはよく知っているわね。……私だけで十分だったのに」

「オレも同感だ。円堂大介の生存及び行方に関しては、雷門1人で事足りるだろうな。それに……」

「それに?何かあるのかしら?」

「お前が行った後に入ったマネージャー……久遠冬花が居るんだが」

「えぇ、名前は知っているわ。確か、久遠監督の娘さんでしょう?」

「……久遠監督は実の父親ではない。冬花の実の父親は小野正隆という男だ」

「???何かしらの事情でもあったのかしら?で、その人がどうしたの?」

「簡単に言うと、影山を裏切って、円堂大介の逃亡に手を貸した1人だ」

「……っ!じゃあ、久遠冬花さんは円堂大介が生きていることを……」

「知らない」

「え?」

「まだ話していないが……久遠冬花はある事故の影響で記憶喪失になっている可能性がある。そうじゃなきゃ、円堂大介の孫である円堂守を知らないって言うのは変だと思う。その上、円堂の方は幼い時に出会ったって言ってるから尚更な」

「……そう……なのね」

「明日、久遠監督に許可取って冬花の面会を頼んである……もっとも、答えられる状態にあるかは分からないが」

「……その、久遠さん?の事故って何なのかしら?」

「交通事故だ。冬花の目の前で本当の両親が死んでいる……これ以上は分からないが、影山を裏切ったことで消された可能性も否定できない」

「…………まだ被害者はいたのね……」

 

 影山の……いや、その上のヤツに被害を受けた人の名簿を作ったらキリがないだろう。日本だけでもそれくらいの悪事を働いている。

 

「……雷門。お前の手に入れた情報を教えてくれ」

「あなたになら構いませんが、何をするつもり?」

「オレは影山の裏に居る本当の黒幕……ソイツを潰しに行く」

「っ!?……あなた、それは本気で言ってるの?」

「本気だ。ヤツは既にこの大会に関わっている……そして、オレたちに妨害をしてきた」

「この前のアルゼンチン戦ね。円堂くんたちが出られなかったのは妨害を受けていたから……」

「ああ。それに、このままだと円堂大介にも被害が行くかもしれないんだろ?さっさと手を打たないと手遅れになるかもしれないし」

「だからって……いくらあなたでも、流石に今回ばかりは相手が強大で凶悪過ぎる。危険だわ」

「そうだな。無策で突っ込めば勝機はない。それに、相手の強大さから通報して終了……なんて甘い展開は期待できない」

「えぇそうよ。そんな小物相手だったら、大介さんが何年も身を潜めることになっていないわ」

「ああ。だから、リスクを負う必要があるだろうな」

「リスク?」

「物証を押さえに行く。相手を潰すための武器を取りに行く」

「……それが出来たら誰も苦労していないのだけど……」

「安心しろ。取りに行く算段はついている」

「……前々から思うけど……あなたって何なの?」

「ただの中学生」

「嘘おっしゃい」

「…………というわけで雷門。万が一失敗したら、その時は円堂たちによろしく言っておいてくれ」

「…………はぁ。1つだけ命令します、必ず無事で帰ってくること。……いいわね?」

「……お前の命令かぁ……それは雷門中学校のサッカー部部員としては聞くしかないな。……お前も危険な綱渡りはするなよ?円堂たちが悲しむ」

「あなたが1番危険なところに居るのに……まぁいいわ。何かあったら教えて頂戴。大介さんに伝えることは出来るから」

「ありがとな」

「やれやれ……あなたは問題に首を突っ込むことが特技かしら?それで?イナズマジャパンの関係者はこのことを知っているのかしら?」

「あはは……」

 

 目を逸らす。いやー……ねぇ?察して下さいってやつだ。

 

「まぁいいわ。私も人のこと言える立場じゃないもの。……またね、十六夜くん。健闘を祈るわ」

「またな、雷門。近日中に良い報告を持って行く」

 

 そのままお互いに別れる。

 

「さて、今日は帰って休むか」

 

 明日に向け、今日は早めに眠るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~おまけ~

 

 それは、ユニコーン戦の帰りの船でのこと。

 

「つぅか、円堂。最後のパスはどういうことだよ。あそこで取られていたら終わりだったぞマジで」

「どういうことって、いつも通りフリーだったお前に渡しただけなんだけど……?」

「フリーって思い切りディランとマークの2人が近くに居たっての。思い切り2人が警戒していた……フリーに見せかけていた罠だったんだよ」

「えぇ!?そうだったのか!?」

「そうだわこのアホ。だから、ボール来た瞬間に詰められたんだよ。……たく、あと少しで戦犯ものだったろうが」

「そ、そうだったのか……でも、やっぱりお前に渡して正解だった!」

「いや、それは結果論だろうが……」

「違う違う。だってお前、ボールくれって訴えかけていたぞ?」

「マジ?そんな空気出した記憶ねぇんだけど?」

「出してたって!何というか……こう、このまま終われねぇ!やり返さないと気が済まねぇ!って感じの空気を感じたというか……」

「もし、本当にそうなら無意識だな……って、まさかそれに応えたって言うのか?」

「おう!もちろんだ!」

「もちろんって……お前なぁ。だとしても、あそこでオレに渡すのは1番勝率が低い、愚策中の愚策だろうが……」

「でも勝っただろ?」

「結果はな。でも、合理的に考えればあそこは……」

「えぇーあの場面は、お前しかいないと思ったんだけどな……」

 

 と、円堂と珍しく起きている十六夜が、帰りの船の中で意見をぶつける。監督も他のメンバーも試合の反省会ということで止めることはしない。

 

「本当にあの2人は真逆だな」

「だね。感情を切り捨て、合理性で考える十六夜くんと、合理性関係なしに感情を優先するキャプテン。個人的にはどっちも間違ってはいないと思うけど、考え方が対極だから……」

「とか言いつつ十六夜も、ディラン以外は撃たれても円堂なら止められるって、根拠のない、合理性のないこと言っていたけどな」

「そうだね。まぁ、本人からすれば分析した結果導き出したものなんだろうけど……ある意味、キャプテンなら何とかしかしてくれるって感情から来ていたかもね」

「まぁ、違う視点からキャプテンと副キャプテンがチームを見られるのはいいことか」

「同じ目線じゃなくて、違う目線だからこそ生まれるものがあるってことだね」

 

 今も尚、あくまで合理性、戦術面で話す十六夜と感情や直感で話す円堂。どこまでも平行線で議論の決着がつきそうにないが……

 

「何というか、楽しそうだね」

「ああ。十六夜も円堂が合理性をそこまで考えないのは知っているし、円堂も最近の十六夜が感情をあまり考えないのも知っている。お互いが逆なのを何となく分かっているからな」

「言い争いって感じよりは、本当に簡単な反省会なんだろうね。じゃあ、僕も混ぜてもらおうかな?何というか……この試合は十六夜くんに走らされてばっかりだった気がするし」

「フッ、それなら俺も言いたいことはあるな。主にグランフェンリルの無茶ぶりについて。久々に昔の十六夜みたいな、ある種のバカなプレーがあったからな」

 

 この後、宿舎につくまで他のメンバーを巻き込んだ大反省会があったとかなかったとか。




 いやー十六夜くんが何かしでかすようですね。そして、アメリカ戦前日の夜に送ったメールの相手は雷門夏未でしたね。
 と言うかこの日は日中にユニコーン戦で、夜は密会……しかも、ライオコット島に戻ったのは昨日で……なんてハードスケジュールなんだ……
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