超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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Kとの接触

 イタリア代表、オルフェウスとの戦いがいよいよ明後日に迫る中……

 

「何故、貴様がここに居る?十六夜綾人」

「お久し振りと言うべきでしょうか、影山……いえ、今はミスターKと呼ぶべきでしょうか?」

 

 イタリア代表宿舎にある監督の部屋にて、オレは影山と接触をしていた。

 

「次の試合は汚い手を使うな……とでも釘を刺しに来たか?」

「そんなことを言いに来る為だけに人目を忍んで来ないし、そもそも言いに来る必要もない……だろ?」

「どうだろうな。昔みたいに何か仕掛けているかもしれないぞ」

 

 影山が横を通り椅子に座った。オレは部屋の壁から背中を離し、ゆっくりと彼の正面まで歩き、面と向かって話をする。

 

「本題に入る。アンタが金を送っている相手が分かった」

「金を送っている相手だと?いきなり何の話だ?」

「とぼけても無駄だ。イタリア人の少女であるルシェ……彼女に金を振り込んでいたんだろ?」

「生憎と貴様が何を言ってるのか、さっぱり分からないな」

「白を切るのも無駄だ。……まぁ、どうにも警察は、お前が金を送り続けているRという人物が怪しいって睨んでいるようだけどな」

「仮に貴様の言う妄想が事実だとしよう。だが、何故私が金を送らなければならない?」

「お前が仕組んだ事故に巻き込んでしまったんだろ?それで足を怪我してしまったんだってな」

「哀れだな。運が悪かったとしか言い様がない」

「……そいつは生まれつき目が見えなかった。お前はルシェの境遇を知り、巻き込んでしまったお詫びに目の手術費を送っていた。莫大な金が動いていた理由はそれだろ?」

「フン。それが本当だとして何だ?生憎、お金が余っていてね。ただの暇つぶしに過ぎない」

「……いい加減素直になれよ。アイツは手術を受けるんだろ?」

「興味ないな。私が送った金をどう使おうがソイツの勝手だ。私の知るところではない」

「はぁ……まぁ、これ以上の問答は無駄か」

「そうだな。これ以上貴様の妄想に付き合う暇はない」

「だが今のやり取りで確信した。この事はお前でも知らないらしい」

「今度はどんな妄想を垂れ流すつもりだ?」

「オレとフィディオは、ルシェと少し交流があるんだよ」

「…………っ!」

 

 サングラス越しで分かりにくいが、ここに来てようやく動揺が見られた。流石に予想外だろうな。フィディオやオルフェウスメンバーなら同じイタリアに住んでいるからまだ可能性はあっただろう。だが、日本在住のオレまで交流があったとは思うまい。

 

「ルシェの手術の問題は、莫大な金がかかること……普通はそう考えるだろうな。だが、直接会ったから、話したから知っている。金銭面の問題より、ルシェ自身に手術が失敗してしまう恐怖があるから、アイツは手術を受けたくないって思っていた。いくら金があっても、アイツには手術に対する恐怖があるから、手術が受けられない」

「…………」

「でも、そんなルシェが手術を受けると決意したんだよ。確かにオレが会ったのはFFIの前で結構時間が経ってるが、フィディオはライオコット島での本戦が始まる前に会っていたそうだ。……その時もやっぱり、手術は怖がっていたそうだぞ」

「…………」

「さて、ここで疑問が生まれる。ずっと怖がっていた手術……それをここに来て受けると決めた。そこには何かきっかけがあると考えるのが自然。だから調べたんだが……お前はある人物によく手紙を出していたんだってな?金だけじゃなくて手紙も送り続ける……暇潰しだけで出来る事じゃねぇだろ」

「…………くだらない話は済んだか?貴様が何を調べ、何を考え、想像を膨らませることは自由だ。だが、私は忙しいのでね。これ以上、戯れに付き合う時間はない。今すぐ出て行かないのならこちらも相応の対応をさせてもらう」

 

 そう言って手を伸ばす先は電話。これ以上は無理だな。

 

「……そうかよ。じゃあ、妄言ついでに宣言しておくぞ。お前は数日後、()()()()()を見ることになる。この島を……いいや、全世界を揺るがすようなとんでもないモノを見せてやる。だから、今すぐ黒幕から手を引け……それだけだ」

「フン」

 

 そう言い残して、部屋を出て行く。

 

「影山……もし、歯車が少し噛み合えば、いい指導者になっただろうに……」

 

 ルシェの件を調べていて分かった。今までは多くの人間を不幸にしてきた大罪人で、それを何とも思っていないような黒い一面しか見えなかった。だが、それはあくまで一面であって、そんな男にも良心が存在したことを知った。それにオルフェウスの試合を分析していても思う。影山は優秀な指導者……その指揮能力で、オルフェウスが他のチームに大きな苦も無く勝てたと言ってもいい。もちろん、オルフェウスの能力も高いがそれを更に引き出しているのがアイツだ。

 もしも、次の試合。影山と選手たちが本当の意味で手を取り合ったとき……そのときはきっと……

 

「ハッ、考えたくもねぇな」

「話は済んだ?」

「ああ。後は影山次第だ」

「そう」

 

 Aと合流し、イタリアエリアから移動していく。

 

「あっちも準備がかなり進んでいるそうよ」

「ありがとな」

「……怒ってる?」

「まぁな。もしアイツが……ガルシルドが、影山に関わっていなければ。違っていたかもなって」

「悪人に同情するのね」

「悪人……そうだな。どんな理由があれ、やってしまった過去は変わらないし、許されるわけでもない。罪を背負い、世間からの見る目も冷たいものになる。それだけのことを犯したのだから、そんな罰に同情する気はない。……ただ、それでも悪人だって、なりたくてなったわけじゃないヤツが居るのは事実。時には環境がそうさせてしまうこともある……それはよく知っているからな」

「吉良星二郎のことね。まぁ、あなたが彼の所に潜入していたから色々と考えさせられたんでしょうね」

 

 ……もう何もツッコむ気はないが……何でそんなことまで知ってるのだろうか?

 

「フィディオ・アルデナと共に手紙を出していたみたいだしね。彼女の手術、上手く行くといいね」

「……もう色々スルーしたいけど……そっちは用事済んだのか?」

「まぁね」

「イタリアエリアに用事って……何かあったのか?」

「イタリア代表を強くするお手伝い」

「…………は?」

「それの主導はブラザーに託しているんだけどね」

 

 いや、イタリア代表を強くするお手伝いって……何をしてるんだコイツは?何をやっているんだコイツらは?現段階で何もしなくても強いアイツらをこれ以上に?ちょっ……は?

 

「十六夜綾人。あなたに面白い技を教えてあげる」

「え?は?面白い技?」

「身に着ければあなたのプレーの幅が広がる」

「はぁ……」

 

 Aがサッカーが上手いことは知ってるが……面白い技?必殺技となると……

 

「インビジブル・ペンギンか?」

「それを教える気はない。私が教えるのは――」

 

 そう言って、その必殺技とその構想を聞く。とりあえず思ったことは……

 

「無理だろ」

「即答ね。諦めるのが早くない?」

「いや……どう考えても無理な気がするんだけど」

「分かった分かった。じゃあ、こっちを身に着けてもらうわ」

 

 そう言って、別の必殺技とその構想を聞く。とりあえず思ったことは……

 

「無理だろ」

「何で同じ返答なのよ」

「いや、こっちも無理だからだよ」

「つべこべ言わない。後者は試合までに完成させるよ」

「後者は?最初に言った方は?」

「もちろん、身に着けてもらう」

「拒否権は?」

「ない」

「何故に?」

「私がやる気を出したから」

「…………」

 

 最近思うこと。オレの特訓相手の9割って無茶ぶりを要求してこないか?というか、理由が酷くないか?そう思いながら、オレは必殺技を完成させるために奮闘するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、オルフェウスとの試合当日……

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

「ようやく完成したのね」

「う、うるせぇ……!」

 

 砂浜に寝転がるオレを見下ろす影があった。昨日の明け方に1回宿舎に帰って睡眠を取り、午後からこうして特訓を重ね、朝日が昇りかけた頃、ついに完成させたのだ。……と言うか日を跨いだんだが?今日の試合何時からだっけ?

 

「まぁ、合格とするわ。ここから先、この技を進化させるのはあなた1人で頑張ってね」

「へいへい……」

「でも、不可能じゃなかったでしょう?だから、もう1つも身につけてもらうから」

「分かったよ……ただ、聞かせろ。何でテメェがそんなことをするんだよ」

「言ったでしょう?身に着ければプレーの幅が広がるって」

「それ、理由になってるか?」

「なってないわ」

「おい」

 

 そう言うと、海岸線を眺めるA。

 

「私の理由も目的もどうでもいいでしょう?私はあなたを自分の目的のために利用しているだけ……それだけなんだから。これ以上は答えてあげない」

「はっ……お前の目的のため……か。前に言ってた未来がどうのこうのに関係しているのか?」

「答えてあげないって言った」

「そうかよ」

 

 答えない……が、前聞いた話が嘘だとは思っていない。ただ、それだけが全てとも思っていない。それ以外に目的があるだろうが……聞いたところで答えてはくれないだろう。

 

「……怒らないんだ」

「別に。捉えようによっては、オレもお前を自分の目的のために利用しているんだ。お互い様だろ?」

「…………やっぱり、そう返すんだ」

「ああ?」

「でも、そろそろ終わり。この歪な協力関係ももうすぐ終わり」

「だな」

「じゃ、また明日ね」

 

 そう言ってそのまま去って行くA……

 

「とりあえず、宿舎に戻るか……」

 

 オレは立ち上がって、宿舎へと戻る。新しい必殺技……プレーの幅が広がる……か。

 

「確かに。出来ることが増えたのは事実だな」

 

 コレを使えば何ができるのだろうか……思考を張り巡らせながらオレは宿舎に帰り、その扉を開ける。

 

 スパーンッ!!

 

「いってぇ!?」

 

 扉を開けた瞬間、フルスイングで振り下ろされたハリセンが脳天を直撃しました。痛いです。そう思いながら、襲撃してきた張本人の顔を見ようとすると……

 

「試合前日に帰らないバカがどこに居る!」

「すみませんでした!」

 

 見ようとする前にそのまま頭を下げて謝ることにした。ここで言い訳の一つでもしようものならもう一発来るだろう。しかも今回のことは全面的にオレが悪い以上、これ以上罪を重ねるわけには行かない。…………ところでどこからそのハリセン持ってきた?

 

「……このまま長々と説教でもしてやりたいが、今日は試合だ。この一撃で勘弁してやる」

「は、はい……ありがとうございます……」

「さっさと綺麗にして食堂に来い」

「分かりました……」

 

 そして、そのまま食堂へと戻っていく八神。

 

『はい。氷』

「おぉ……さんきゅ、ペラー」

 

 用意周到と言うべきか、どこからか取り出した氷袋を頭に乗っけてくる。

 

『綾人、姉御も心配していたんだからね?ここ最近は夜遅くまでどっか行っていたし、昼も動いていたしで……』

「あはは……やっぱりバレてた?」

『そりゃね。流石に何かしていることはバレてたよ』

 

 流石に深夜に留まらず、昼間も動けばバレるに決まっているか。

 

『で?終わったんでしょ?』

「まぁな。……もうオレが手を打つ必要はなくなった」

『それならよかった』

「だから全てが終わったら、全部説明して説教でも何でも受けてくるよ」

『うんうん、それがいいよ』

「じゃ、シャワー浴びてくるか。行くぞ、ペラー」

 

 そう言って、ペラーを肩に乗っけて、シャワーを浴びに行く。……いよいよ決戦。さぁ、やろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、何で昨日帰ってないことがバレたんだ?」

『オレが朝に教えたからだよ』

「オイコラ」




というわけで、次回よりオルフェウス戦……の前に過去編を2話ほど挟みます。
次回はもう少し早く投稿出来るといいですね……
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