超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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VSオルフェウス ~矛~

 十六夜の得点で1点差に詰め寄ったイナズマジャパン。

 

「それにしても十六夜くんのあの必殺技は相変わらず凄いですね……いや、その前に空を飛んでいたのも驚きですが……」

「あはは……本当に十六夜先輩には驚かされてばかりです」

 

 カテチナオカウンターに対して、空を飛んで解決し、単独の必殺技で相手ゴールキーパーから点を奪った。……いや、ペラーに乗って空を飛ぶこと自体はよくやるけど、まさか空を走れるようになっているとは思わなかった。……もう本当に十六夜のヤツは頭を抱えさせられるな……

 オルフェウスのキックオフで試合再開。ボールはフィディオが持って切り込んでいく。

 

「ライン下げろ!守備固めろ!」

 

 不動からの指示がとぶ。先ほどまでの味方との連携ではなく……

 

『イタリアの白い流星フィディオ・アルデナが単身でイナズマジャパン陣内に切り込んでいく!』

 

 たった1人でイナズマジャパンのメンバーを抜き去っていく。圧倒的なテクニックとスピード、そして視野の広さに判断力……

 

「やはり、フィディオは強いな……」

 

 初めて十六夜と共に彼と出会ったときのことを思い出す。あの頃から私も強くなったし、イナズマジャパンのメンバーもあの頃の私たちよりは強い。だが、それでもまるで相手になっていない。

 

「今度こそ行かせねぇよ、フィディオ」

「今度は()()プレーで突破するよ、アヤト」

 

 と、そんなフィディオの足が止まる。立ちはだかったのは十六夜だった。

 

「俺のプレーは分析済みみたいだね」

「まぁな。お前と出会ってから地味に長いし。関わった時間もそこそこ長いしな」

「そう言えばそうだね……うん。やっぱり、君は強いよ」

「よく言うな……未だ奪わせてくれないくせに」

 

 恐らく、海外へ修行していた時も何度もマッチアップしているのだろう。今までの世界トップクラスの選手に比べて、明らかに対応出来ている。だが……

 

(……やっぱ、強くなっているな……クソっ。影山東吾のプレーを織り交ぜなくても、フィディオの純粋なプレーだけで先読みが大変すぎる……!ここに影山東吾のプレーなんて要素があったら……今のオレじゃ勝てねぇ……!クソ、この差がずっと埋まらねぇ……!)

(……思った通り……いや、思った以上だ。アヤトの成長が凄まじい……ここまで抜けないとは正直思わなかった。……でも、これは試合。悪いけど、今の君には()()()対応できないプレーを見せてあげる)

 

 だが、対応出来ているだけで、十六夜が奪えていない。ここまでの戦いを経て、ライオコット島に来てから更にレベルアップしている十六夜を相手に、ボールを奪われていないフィディオのレベルの高さ……本当に上を見たら切りがない。上には上が居ると思い知らされる。

 

「ギア上げるよ」

「こっちも上げさせてもらう」

 

 フィディオのフェイントのキレとスピードが1段階速くなる。だが、十六夜もしっかり対応出来ている……はずだった。

 

「…………そこ」

「はぁ……?」

 

 十六夜が疑問の声をあげ、一瞬棒立ちになる。その隣を突破するフィディオ……だが、

 

「誰も居ないところにパス……?」

 

 十六夜は吹雪や風丸みたいな足の速い選手には、一見すると無茶ぶりレベルで彼らの先にパスを出すこともある。だが、フィディオのパスはそうじゃない。周囲には誰も味方はいなくて、先にそのボールを取れそうなのはイナズマジャパン側の選手だ。現にこちらの味方はボールを取りに行こうと走り、他の選手はカウンターに備えて動こうとする。

 

(どういうことだ?何が狙いだ?フィディオからのパスルートも走行ルートも見えていた。だが、何故あそこにボールを蹴った?フィディオが取りに行くフェイント?いや、それにしても意味が分からない。全く、見えていないルートをフィディオがとった……オレが未来を視ていたから強引に?それにしたって、勝算の低い、分の悪い賭け(ギャンブル)……っ!?)

 

 数秒後にはイナズマジャパンのボールになり、攻守が入れ替わる……そう思う者が多い中、十六夜が何かに気付いた様子でボールを改めて見る。そして、確信に変わったのかフィディオを追いかけようと動き始める。

 

「ワナだ!ボールじゃねぇフィディオを止めろ!」

 

 既にフィディオと十六夜との間には距離が生まれていた。だが、十六夜の指示の意図が分からない……そう思ったとき、ボールが地面に着くと……

 

「なっ……!?」

 

 ボールは激しく回転し、フィディオの走る先に向かって飛んでいった。

 

「ひとりワンツー……アヤトに見せたことがない必殺技だよ」

「壁山!遅らせろ!円堂!構えろ!」

「は、ハイッス!」

「おう!来い!フィディオ!」

 

 本来は2人で行うワンツー……それをひとりで行った必殺技。種が分かってしまえば、単純なもので派手な要素はない地味な必殺技……

 

(ひとりでワンツーするだと!?そんなプレーオレの計算に入ってねぇっての……!)

 

 そんな必殺技……だからこそ、十六夜には刺さる。必殺技に見えなかったことと、必殺技じゃなければあり得ないプレーだったからこそ、十六夜の計算にそんなプレーは入っていない。

 

「ザ・マウンテンV2!」

 

 ボールを受け取ったフィディオの前に、必殺技を発動した壁山が立ちはだかる。

 

「そんな……!」

 

 しかし、ボールを山なりに蹴って超えさせて、自分も山の起伏を足場にして跳び上がって超えていく。

 

「行くよ、マモル。オーディンソード改!」

 

 そして、山を超えたと同時にシュートを放った。

 

「イジゲン・ザ・ハンド改!」

 

 円堂が生み出した半球……だが、

 

「くっ……!」

 

 徐々に亀裂が入っていき、そのまま砕け散ってしまう。

 

『ゴール!何とフィディオが単独でイナズマジャパンゴールをこじ開けた!再び2点差だ!』

『お返しですかね。十六夜選手が1人でゴールまでの道を開けて決めたように、フィディオ選手もそれをやり返したと。いやぁ、流石はイタリアの白い流星。素晴らしいテクニックですね』

 

 1-3で再び2点差に戻されてしまう。圧倒的な個人技を持っている選手が居るのはイナズマジャパンだけじゃない。

 

「すっげぇシュートだ……!流石だな、フィディオ!」

「マモルこそ、一緒に戦ったときより進化しているみたいだね」

「おう!次は止めてやるさ!」

「うん、次も決めるよ」

 

 そう言ってフィディオは自陣に戻っていく。

 

(クソ……キックオフからたった1人でゴールまでこじ開けやがった。しかも、殆ど本来の動きのみ……今の失点はオレの責任だな。まだアイツの強さを正しく理解出来ていなかった。測り間違え、対策を怠ったオレのミス。だから、まずは認めろ。オレはフィディオと同じステージに立てていない。オレたちの間には明確に差がある。……その差を分かった上でどうやって勝つか……どうしたら勝てるかを考えろ……)

 

 イナズマジャパンのキックオフで試合再開。ボールは鬼道が持った。

 

「カテナチオカウンター!」

 

 そこに必殺タクティクスが発動する。十六夜が破ったもの……だが、十六夜以外は破れていない。だからこそ使ってきたということだろうか?

 

「何か策があるから来たかな?キドウ」

「さぁ、どうだろうな」

 

 鬼道とフィディオの1対1がオルフェウスの選手に囲まれた中で勃発する。

 

(やはりだ……!やはり、このカテナチオカウンターに必要なのはフィディオ・アルデナのプレーじゃなくて影山東吾のプレー!本来のフィディオ相手に1対1では勝てる見込みはないが、このプレーしかしないと分かっているのなら……!)

 

「くっ……!」

「そこだ!」

 

 鬼道がフィディオを突破する……が、

 

「まだ俺が居る!取らせてもらうよ!」

 

 デモーニオがフィディオの陰から現れて、ボールを奪い去ろうとする。

 

「フッ……」

「なっ……!?」

 

 しかし、鬼道はボールを横に流す。彼もまた誰も居ないところにパスを出したのだ。

 

「そのパターンならアホペンギンので見てるからな!」

 

 そこに走り込んで居たのは不動。鬼道の陰から現れて、ボールへと走り込み……

 

「ほら!決めろよ!」

 

 大きく蹴り上げた。そこに跳んで合わせるのは鬼道。

 

 ピー!

 

「オーバーヘッドペンギンV2!」

 

 そして、鬼道の必殺技が空中からダイレクトで放たれる。

 

「ゴールは破らせねぇ!コロッセオガード改!」

 

 しかし、そんなシュートにも素早い反応を見せるキーパー。巨大なコロッセオがゴールを守るべく、ペンギンとボールの前に立ちはだかる。

 

「クッ……!」

「そんな簡単に破らせないぜ?」

 

 明らかに威力が不足していた。それは誰から見ても分かること。もうすぐボールは弾かれ、キーパーの手に収まるだろう。

 

「爆熱スクリュー改!」

 

 それでもペンギンたちが破ろうと稼いだ時間は無駄ではない。豪炎寺が炎を纏い、ゼロ距離から必殺技を放った。

 

「何っ!?」

 

 流石にコレには相手も驚きを隠せない。緩みかけた気持ちを引き締め直そうとする。

 

「俺は十六夜みたいにお前から単独でゴールを奪えないだろう……だが、それでも……!」

 

 徐々に亀裂が入っていく。ペンギンたちは炎を纏い、目の前の壁を燃やし尽くそうとする。

 

「協力すれば突き破れる!」

「うわぁああああああ!」

 

 そして、壁が崩れボールはゴールに刺さった。

 

『ゴール!鬼道と不動の2人がカテナチオカウンターを攻略し!鬼道と豪炎寺がゴールをこじ開けた!1点差!再び1点差に戻したぞイナズマジャパン!』

『十六夜選手だけではない。協力して相手の堅牢な守備を破る司令塔と、どんな形であれシュートを決めるストライカー……彼らの意地を見せましたね』

 

 豪炎寺がゆっくり降り立ち、鬼道とハイタッチをかわす。

 

「よく意図に気付いたな、豪炎寺」

「ああ。お前なら、お前単独の必殺技で点を奪える……なんて、思っていないだろうし、俺や染岡が動けたのにそれを待たずに撃った。何かある……鬼道有人が無策でシュートするわけがないと思ってな」

「フッ……流石だな」

 

 と、そこに十六夜と不動が寄って行っていた。

 

「いい熱さじゃねぇか、エースストライカー」

「単独での決定力で負けていても、得点力は負けないぞ。十六夜」

「それぐらいの意気込みがなきゃ困る」

「とにかくナイスゴールだ。これで向こうの必殺タクティクスは鬼道クンにも破られたし、より一層守備を考えてくるだろうな」

「ああ……流石にカテナチオカウンターしかないわけではないだろうな」

 

 早速2-3と1点差に戻していく。だが、まだこの試合中に勝ち越しは愚か追いつけていない。前半中に追いつけるといいのだが……




登場必殺技紹介

ひとりワンツー
使用者 フィディオ
多分、アニメを通して未登場?ある意味で地味な必殺技だからこそ、高度なフェイント技術と織り交ぜることによって、十六夜くんには効くようです。

次回、お前だけじゃない
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