超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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VSオルフェウス ~少女の瞳に映るもの~

「点差は2点……!せめて前半中に1点差まで追いつきたいですね……!」

 

 時は流れ前半終了が近づいていく。フィディオ、ラファエレ、アンジェロの連携必殺技での得点から両チーム、果敢に攻めるもあれから得点は動かない。イナズマジャパンはキーパーの円堂を中心にディフェンダー陣が活躍し、ゴールを決めさせない。だが……

 

「フィディオ選手に対し、十六夜先輩がマンマークをしているお陰でオルフェウスの攻撃力は落ちています!」

「うん。今のところ守くんたちだけでも頑張って守れている。だけど……」

「向こうのディフェンスが想像以上に固い……十六夜くんが彼をマンマークしているお陰で、カテチナオカウンターが発動できない。それなのに、ここまでイナズマジャパンの攻撃はキーパーまで到達していません」

「そうだね……あのDFたちのシュートブロックが凄くて、撃ってもキーパーのところまで行かない」

「しかも、向こうのキーパー技は十六夜のオーバーサイクロンPを単独で止めてしまうほどの実力を持っている。あのDFも厄介だが、それを超えても決まるかどうかなんて分からない」

「真正面から突破できるとしたら十六夜先輩ですかね?」

「でも、失敗したらさっきみたいにフィディオくんのカウンターが……」

「何かを起こさないと点を取れないってことだね。十六夜くん以外のメンバーで何か……と言うのは彼らも考えているみたいだし」

 

 イナズマジャパンの攻撃はオルフェウスのキーパーまで届かない。強力な必殺タクティクスを防いだとしても彼らのディフェンスを超えられていない。

 

「どうするよ、鬼道クン。流石に埒が明かねぇぞ」

「ああ……分かっている。分かっているんだが……」

 

 お互いがお互いのチームに居る最強の存在を封じている。10対10で状況は変わらないはず……だが、苦しいのはイナズマジャパンの方。それはフィールドの選手たちも痛感していた。

 

「そろそろアイツの封印を解くしかねぇか?もちろん、ギャンブルにはなるが……」

「いや、今はダメだ。カテチナオカウンター抜きにしても、フィディオがシュートチャンスを潰しに来る状況を作るべきではないだろう」

「……確かにそうか。それにフィディオを封じている……向こうの攻撃力が落ちているから、こちらの攻撃は色々と試すことが出来ている。失点のリスクが下がっている安心感があるから出来ていること」

「メリットもあるがデメリットも当然ある」

「だったら、こういう策はどうだ?」

 

 話に加わるのは豪炎寺。彼が語った策に不動は目を見開く。

 

「……それは何というか……失敗したときのリスクがデカいな」

「前半ラストだ。それならリスクは減らせる」

「……だが、まぁ賭けるしかねぇか……頼むぞ、豪炎寺」

「ああ、任せてくれ」

 

 そう言って3人はそれぞれの場所へと向かう。

 

「何か策があるのかな?」

「さぁ、どうだろうな」

 

(豪炎寺が鬼道と不動のとこに行って声をかけた……恐らく点を取るために何かやるつもりだな。だが、不動の表情的にリスクがデカいことをやるつもり……オレの役目はそのリスクの軽減ってとこか?)

 

 試合が進む中で鬼道と不動が他のメンバーに一言二言告げていく。

 

「なるほど。誰が策に加わるか悟らせないつもりだね」

「そのようだな。そして、オレは放置ってわけね」

「仕方ないよ。俺たちはある意味で、傍観者になっているんだから」

「本当は加わりたいんだが、誰かさんがさせてくれねぇんだわ」

「先に始めたのはアヤトだよ」

 

 そして、時は進み前半終了間際。点数は動かず、2点をイナズマジャパンが追いかける状況。

 

「爆熱スクリュー改!」

 

 センターライン付近でボールを受け取った豪炎寺は、そこからシュートを放った。

 

「おいおい、時間がないからってそれは無茶だぜ?」

 

 キーパーのブラージは一瞬だけ虚を衝かれるもシュートを見据えて構える。既に前にいる2人も必殺技を発動しているがそれでも油断はない。

 

「ヘファイストス・ウェポン!」

「オリオンブロック!」

 

 無数の武器がペナルティーエリア手前に現れ、その後ろには棍棒を持った巨人が待ち受ける。

 

「向こうの体勢は万全か。一体、どう崩すつもりだ?」

 

 十六夜が冷静に分析する中、無数の武器がシュートに向かって飛んでいく。

 

「十六夜!撃ち落とせ!」

「…………え?」

 

 不動が声をかける。あまりにも唐突で予期していなかったため素っ頓狂な声をあげる十六夜。

 

「迎撃してくれ!」

 

 続いて鬼道も声をかける。豪炎寺も十六夜の方を見て任せると表情で訴えかける。

 

「嘘だろお前ら!?とんでもねぇ無茶ぶりをしやがって!」

 

 驚きつつも自身が何故その役目を担うことになったのかを瞬時に理解し、ペンギンを呼び出す。

 

「ミサイルペンギンV3!ペラーも頼む」

『あいあいさー!いざ討伐!』

 

 無数の武器とペンギンたちがぶつかり合う。ペラーは飛んでいる武器をキャッチすると、それを手に後ろの巨人に戦いを挑む。棍棒を振り回すもそれを軽やかに躱し、持っている武器でダメージを与える。

 

「これは想定外……流石にアヤト抜きで来ると思っていたからね……」

「ほんと、想定外だよ……!お前らだけでやるんじゃねぇのか……!」

「敵を騙すにはまず味方からってことだね」

「人のこと言える立場じゃねぇけど、やられる側は心臓に悪いんだよ……」

 

 巨人VSペラーという戦いが勃発し、その手前では他のペンギンたちと武器がぶつかり合う……そんな中もシュートは飛んでいく。だが……

 

「シュートが……逸れていく?」

 

 何故か途中からコースが逸れていく。武器にもペンギンにも当たっていないのに、そのシュートはゴールへ向かうルートから外れていってしまう。この大事な一本をシュートミスした?そんな思考が観客や選手たちによぎったとき、

 

「シュートじゃない!パスだ!」

 

 デモーニオの焦った声が聞こえる。見ると……

 

「頼むぞ!円堂!」

「おう!」

 

 ゴールキーパーの円堂がシュートの先に居た。武器とペンギンのぶつかり合い、その先にいる巨人とペラーの戦い、そしてそこを飛んでいるシュート……全員の注意がそれらに分散され、多くの者が気付けなかったのだ。

 

「メガトン……!」

 

 オーラが巨大な拳を作り、円堂の頭上に現れる。このままダイレクトで押し込み相手の虚を衝く一撃……そうなるはずだったが……

 

「させねぇ!ボーラスマッシュ!」

「「「なっ……!?」」」

 

 相手DFのベントがシュートに必殺技をぶつけ軌道を変える。ボールは円堂の居る場所より遙か前へとコースを変えてしまった。

 

「そんな……!?」

「これじゃ撃てません!」

 

 せっかくのチャンス……しかし、いち早くそのチャンスに気付き、芽を摘んだベントの活躍により、攻撃は失敗した……そう誰もが思っていた。

 

「まだだ……!まだ諦めない!」

 

 円堂が頭上に拳を残したまま走って追いかける。だがとてもじゃないが間に合わない。

 

「跳べ!」

「分かった!」

 

 豪炎寺の声が聞こえると同時に円堂は走った勢いをそのままに、頭を前方に向けて思い切り跳躍した。

 

「いてっ……」

 

 着地に失敗して転んだ体勢みたいになるが、頭上にあった拳は勢いよく前へと射出される。

 

「そうか!正義の鉄拳みたいに拳だけを前へと飛ばせば追いつけます!」

 

 射出された拳はボールにぶつかる。すると、ボールは軌道を変えてゴールへと飛んでいく。

 

「マジか……!?」

 

 流石にこれは想定外。ブラージが手を伸ばして跳び上がるも届かない。ボールはゴールの横側のネットに突き刺さる。

 

『ゴ、ゴール!何と豪炎寺のシュートに走り込んでいた円堂!シュートブロックで軌道を変えられるも、自身の必殺技で出来た拳を前へと飛ばすことで無理やりボールに当てたぞ!』

『失敗したら3点差も覚悟のこの局面で攻め上がる大胆さと、最後まで諦めない粘り強さが生んだゴールですね』

 

 ピ、ピー!

 

『と、ここで前半終了のホイッスル!4-3でオルフェウスが1点リードで前半を終えたぞ!』

『前半終了間際の円堂選手のゴールで首の皮一枚繋がったと言ったところでしょうか。後半も互いのチームの動きから目が離せませんね……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホイッスルが鳴り、それぞれのベンチに戻っていく両チーム。円堂の得点のお陰で前半は何とか1点差に終わった。

 

「マジで先に言えよな……!」

「先に言っていたらバレていただろう?」

「それはそうだが、だからと言ってあんな重要な役どころ任せんなよ。遅れていたら目も当てられなかったわ」

「お前なら遅れないさ。そう信じた結果がさっきのゴールだ」

 

 途中、豪炎寺に声をかけるもそうやって返される。確かに、真正面からぶつからないようにすれば、あのシュートブロックは意味を為さない。それに、ブラージとも正面からぶつかるから厳しい以上、正面から相対しないようにすればいい。理には適った強襲だが……

 

「全く……だが、次は通用しねぇぞ」

「もちろん、分かっている」

「ならいい」

 

 今のは何度も通用するものじゃない。正攻法での攻略が出来ていない現状は何一つ変わらない。

 

「お疲れ、十六夜」

「ああ」

 

 八神からドリンクが渡されたので流し込む。

 

「やはり、フィディオは強いか?」

「……そうだな。完全に止められている」

「でも、お前のお陰でカテチナオカウンターを使わせていないようなものだろ?それに、被シュート数は多くなったものの、フィディオに撃たせない仕事は果たしている」

「そうだな……最低限の仕事は果たせている。だけど、このままじゃジリ貧だ。今のやり方じゃ状況は好転しない。このまま進めても逆転は難しいだろうな」

 

 マンマークにシフトしてから、フィディオとオレは互いを警戒することで動きは多少あるもののボールは飛んでこない。水面下での戦い……お互いに決定的な隙を見せないせいで硬直している。しかも……

 

「マズいのはこっちだろうな。数値的な話をするのなら、言っていたようにイナズマジャパンは被シュート数が増えている。そのせいで円堂含めた守備陣の疲労がかなりのものだ」

「確かに……今までの試合よりかなり消耗しているな」

 

 特に壁山と飛鷹の2人か。この2人が必殺技で何とか相手のシュートの威力を削いでいる。そのおかげで円堂が確実に止めることが出来ている状況。風丸や吹雪もその足で何度も相手のチャンスを潰してくれ、攻撃参加も何回もしてくれている。今までで一番守備陣がハードな試合と言って良いだろう。

 

「対して、シュート数は微増ってところ。だが、増えたシュートもキーパーまで届かない」

「やっていることは壁山や飛鷹みたいなシュートブロック。違いは、キーパーまで到達しているかしていないか……」

「ああ。カテチナオカウンターを使わせないことは成功しているのに、キーパーまで辿り着けていない」

「それはそうだな。ベンチから見ていても相手の守備を攻略できていないのは確かだ」

 

 カテチナオカウンターはあくまでこの試合から使っている戦術……元々の彼らはそれに頼らず戦ってきていた。そして、必殺タクティクスに頼らなくても他のチームの攻撃を凌げる程の守備力はあった。そこにこの試合から見せ始めたシュートブロック専用と言ってもいい必殺技たちに、それを超えた先にあるブラージの圧倒的なキーパー技。お陰で何とか撃っても真正面からじゃゴールのビジョンがまるで見えねぇとか……

 

「最後の得点も相手の守備を突破したんじゃなくて、意表を突いたに過ぎない。二度も通用するほど甘くないか」

「そうだな。アレもベントに反応されていたし、後1秒早く向こうの選手たちが気付いて動いていたら結果は変わっていただろうな」

「だったらどうするんだ?お前がマンマークをやめるのは決定事項だとしても、相手の守備にカテナチオカウンターって選択肢が加わるんだろ?どうやって点を取る?」

「逆なんだよな……」

「逆?」

「ああ。カテチナオカウンターを使ってきて、こっちが攻略できればあのシュートブロックは来ない」

「……そうか。そいつらも必殺タクティクスに加わっているから……」

「そういうこと。加わっていないにせよ、シュートブロックの待機は出来ねぇ。向こうが自陣深くに構えてオフサイドラインが下がれば、こっちは好き勝手出来るからな」

「つまり、カテチナオカウンターを解禁し、突破さえすれば、シュートがキーパーまで到達する可能性が高いわけか」

「まぁ、問題はカテチナオカウンターを安定して攻略できない点。確実に突破できる策がまだないことだ」

「どちらがこちらにとっていいのか……難しいな。どちらも一筋縄ではいかないな」

「そうだな……今のオルフェウスは、元々が強いのに、デモーニオと言う新たな戦力が加わって、その上であの影山が本気で向き合っている。鬼に金棒……強い奴を更に強くしている状態だな」

「本当に状況だけ聞くと最悪だな」

「そうだな。状況は最悪で勝てる未来が見えない……が、それでも向こうは完全無欠ってわけじゃない。何かあるはず……勝つための鍵を試合の中で見つけるしかねぇ」

「そうだな」

 

 どんどん移り変わっていく戦場の中で見つけるしかない。アイツらに勝つための鍵を。攻略の糸口を掴めればいいんだが……クソ、ふがいねぇ。オレにフィディオを超える実力さえあれば……オレがフィディオに勝てれば少なくともここまで苦労はねぇのに……

 

「お前たち、後半の指示を伝える」

 

 と、久遠監督からの指示を聞いていると……

 

『おや?あれは誰でしょうね?』

 

 ハーフタイムだと言うのに観客が少しざわめき出して、解説のマードックさんが話し出す。今までなかったことに、久遠監督も指示を出すのを辞めて周りを見渡す。見ると確かに、オルフェウス側のベンチに向かって誰かが歩いている。

 

「待たせたな、みんな」

 

 と、その謎の人物はオルフェウスベンチに居るメンバーに向かってそう告げた。

 

「「「キャプテン!」」」

「……っ!……おいおいマジかよ……」

 

 思わず声が出る。オルフェウスのメンバー全員が心なしか喜んでいるが……まさか彼が……

 

『なんとイタリア代表オルフェウス!キャプテンのヒデナカタが到着したようです!ヒデは日本人ながらイタリア代表キャプテンになった天才プレーヤー!これは後半も楽しみになってきましたね……!』

 

 17人まで選手登録出来るはずなのに、オルフェウスは今まで16人で戦っていた。この試合からデモーニオが入ったものの、前までベンチだったヤツと入れ替わっている。……そう、今まで他のチームと比べて1人足りなかった。そして、その足りなかった1人というのが、イタリア代表オルフェウスの本当のキャプテン、ヒデナカタ。登録されていたのに姿を現さなかった、オルフェウスの最後にして、唯一面識もデータもない選手。

 

「ナカタ……貴様、今まで何処に行っていた」

 

 その質問に答える代わりにある方を向く。そこには……

 

「「「……っ!」」」

 

 1人の少女が居た。その少女を見て、反応したのはオレを含めて3人だった。

 

「おじさん……?」

「ルシェ!?どうしてここに……!」

「やっぱりおじさんだ!」

 

 ルシェはその目で確かに影山を見ていた。

 

「ルシェ!目が見えるのか!?手術を受けたんだな!」

「その声……フィディオお兄ちゃん?」

「ああ!そうだよ!それにアヤトも居るんだ!」

「アヤトお兄ちゃんも!?何処何処?」

「アヤト!」

 

 ……こういう空気は中々慣れないんだが……

 

「ルシェ、手術は無事に成功したんだな」

「アヤトお兄ちゃん!うん!フィディオお兄ちゃんにアヤトお兄ちゃん、2人が励ましてくれたおかげだよ!」

 

 前に出てルシェの下へと歩いていく。さてと、どうしようか。純粋に嬉しい気持ちはある。あるんだが……

 

「「「…………」」」

 

 ……背後から突き刺さる、どういうことか説明しろという視線が痛い。そのせいで純粋に喜べない。というか、ヒデナカタが名前以外そんなに知らない謎の人物過ぎてそれどころじゃないのとハーフタイムとは言え試合中なのと、やっぱり手術が成功してよかった気持ちと……一体、このぐちゃぐちゃな気持ちはどう整理すればいいんだ?

 

「もちろん、Kのおじさんも!」

「……っ!?ミスターK……どうしてあなたが知っているんですか?」

「…………」

「Kのおじさんも、帰国した後のアヤトお兄ちゃんみたいに手紙で励ましてくれたの!ありがとう、おじさん!」

 

 と、ルシェは影山に近づいていく。……だが、影山は彼女に背を向け、まるで彼女を拒絶するように声をかける。

 

「ルシェ、今すぐ帰れ。私はキミに感謝されるような人間ではない」

「ミスターK。ルシェは観に来たんです。……あなたの最後の試合を」

「え?最後の試合?」

 

 円堂が疑問の声をあげるが……まぁ、そうだろうな。

 

「前半を観させてもらいました。……あなたはもう以前までのミスターKではない。もうあなたは自分から逃げない。自分の犯した罪から……」

「…………」

「十六夜くんも知っているんだろ?ルシェとミスターKを結ぶものが」

 

 と、傍観者に徹しようとしていると、なんか声をかけられた。え?何で知ってるの?

 

「……まぁ」

 

 やめてくれ?イナズマジャパンのメンバーだけじゃなくて、オルフェウスのメンバーからもどういうことだって視線が痛いから。唯一話していたフィディオ以外のメンバーの視線が痛いから。

 

「ミスターKが働いた悪事の数々……ルシェはその巻き添えを喰らう形で足に怪我を負ってしまった。悪事を働いている理由は、サッカーへの復讐なのに、サッカーとは無関係だった彼女を傷つけてしまった」

「そして、あなたはルシェが生まれつき目が見えないことを知った。その手術には大金がかかることも……あなたはルシェに何かしてやることで救われていたのではないですか?あなたの心は闇の世界から抜け出したかったんです」

「……まったく、試合前々日に忠告に来た十六夜綾人といい、こうして現れたヒデナカタといい……お前たちはお人好しなのか?」

「忠告だと?」

 

 グサグサグサ……多分、彼らの視線を具現化したらオレは身体中に穴が空いてるだろう。やめて影山……その忠告に行ったのイナズマジャパンのメンバーには秘密にしているんだから……特に鬼道と不動と監督たちあたりの視線が痛いから……さては分かっていて言ったのか?仕返しのつもりか?

 

「旅の途中で偶然知ってしまっただけですよ。そこまでお人好しではありません」

「オレもたまたま知っただけだ」

 

 いや、ほんとマジで。多分Aと会っていなければ知らなかったし、と言うか本題は別だったし。

 

「あのね、おじさん。私、これから沢山サッカーのこと勉強する!おじさんともっと一杯お話ししたいから!」

「…………!」

 

 その言葉に影山は何処か笑顔を見せる。だが、背を向けていたせいで彼女がその笑顔を見ることはなかった。

 

「ルシェ……その目で見ていきなさい。サッカーの素晴らしさを。私が人生の全てを賭けて憎み……そして、愛したこのサッカーを」

 

 その言葉を受けて、ルシェは笑顔になり、観客席へと帰って行く。同年代の男子が出入り口で彼女を出迎えていたことから、彼は付き人なのだろう。それなら良かった。流石に彼女のような子どもが一人でこの会場で試合を観る状況というのは心配になってしまう。

 一方のナカタはオルフェウスベンチでキャプテンマークをフィディオから受け取っていた。恐らく後半から参戦するのだろう。

 

「謎のキャプテン参戦……これは、後半は更に荒れるな……」

「十六夜……試合終わったら洗いざらい説明しろ。いいな?」

「こりゃ、色々と吐いてもらわねぇとなぁ?」

「ああ、全て説明してもらうからな?」

「…………」

 

 どうやら荒れるのは後半ではなく、イナズマジャパンのベンチだそうです。……誰か助けて。




 この主人公、いつも誰かに助けを求めている気がするな……気のせいかな?そして、(無自覚に)周りの人たちが十六夜のやったことを断片的に説明するせいで、イナズマジャパンのメンバーの中では頭に?が浮かんでいますね。
 ここで絶望的なお知らせ。ヒデナカタの参戦ですね。いやほんとどうなるんだこの試合……?

次回、オルフェウスキャプテン
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