超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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VS御影専農 ~データを超えよう~

 ハーフタイム中。円堂たちが杉森たちと会って何か話していたらしいが、まぁ、前半最後のボールを死守することだけを考えた、あの攻めてこないプレーに関して文句でも言ったのだろう。

 

『間もなく後半開始!なんと雷門中十六夜を下げてきたぞ!代わりに影野が入るがこれはどういう策だ!?』

 

 奇策……そうオレがベンチに入ることだ。

 

 ピー

 

 後半戦開始。御影専農のキックオフで始まるが、全員守備の全員でボールを保持していることを考えたプレー。

 

「でもどういうことですか十六夜さん!いくら十六夜さんが封じられてるからってベンチに行くことは無いですよ!」

「いや、オレがベンチに下がったのは大きく2つ……いや、3つの狙いがある」

「3つの狙い?」

「1つ目。まず、後半も奴らはオレを数人がかりで封じてくる可能性はある。そんなことされたらオレは置物同然。雷門中(オレら)は実質10人で戦ってるようなものだ」

「でも、代わりに十六夜君1人に複数当たる分向こうの戦力も減ってると思いますが?」

「かもな。でも、現状では向こうがオレに4人とか当てても向こうは大した痛手になってない」

 

 それが前半のあの様だ。しかもコロコロ人員をその場で変えている。向こうが攻めてる時は守備陣を、守ってる時は攻撃陣を当てると言った風にだ。それだとオレは全くと言ってもいいほど相手の戦力を削れていない。

 

「2つ目。奴らは今まで……つまり、帝国、尾刈斗、野生中との試合や河川敷での基礎練習のデータを基に戦ってる。ここで、相手のデータを崩す最もな策は、こっちのデータにないことをする」

「データにないことですか?」

「ああ。で、手っ取り早いのは主要メンバーを外すこと。豪炎寺は帝国戦ほとんどいなかったし、染岡は野生中戦いない」

「なるほど。3試合でのキーマン。そのうち、こちらが外したことのない選手を外せば」

「そいつを抜いた状態でどう動くかはデータにないはずだ」

 

 と言っても対応されるのは時間の問題だが……ま、現状大丈夫だな。奴らが攻めてきてないし、こっちも攻めてないから。

 

「キーマンかつ全試合ほぼフル出場なのは十六夜君と円堂君。でも、円堂君を外すわけにはいかないから」

「絶賛置物中のオレを外したわけ」

 

 今のオレは面白いくらいに戦力的にはゼロカウント。まぁ、こっちにまともな監督が居れば、もう少し策は変わったかも知れないが冬海先生(この監督)はどう考えても使えない。

 

「3つ目はなんですか?」

「ああ。今絶賛膠着状態中だろ?このまま続くとマズイから付け入る隙を見出す。もし、残り10分あたりまでこのままだったら……何とか1点捥ぎ取る策を立てる」

「つまり、分析するというわけね」

「まぁ、あのディフェンスされてる時は、視界も悪くなって全然動きが見れてないからな」

 

 ただ、誰かが崩してくれればいいだけの話だが。

 

「でも、十六夜君。その必要はなさそうよ」

「ああ、バカが動いた」

 

 データにないプレー。簡単に言ってるが実際にはかなり難しい。だって、前例を覆す……とまでは行かないが、今までやったことのないことをしなければならないから。

 

「ああ!」

「円堂君!」

 

 こっちが長々と話している間も、御影専農のボール保持のプレーは続いていた。それに我慢の限界が来た円堂(バカ)が、ゴールを放り出して前線へ駆け上がった。

 

『ああ、なんとキーパー円堂がゴールをガラ空きにして、攻撃参加!』

 

 御影専農からボールを奪い、単身ドリブルで突っ込む円堂。

 

『そしてシュートだ!』

 

 データにないプレーをされて驚いたせいか、円堂へのチェックが遅れる。完全フリーでシュートを放った。

 

「くっそおおおお!」

 

 まぁ、止められたが。これでハッキリした。奴らはデータに頼りすぎだ。お陰でキーパーが攻めてくるというある意味諸刃の剣とも言える策に翻弄されたのだから。ま、普通はキーパーがシュートを打たないから無理ないけど。

 

「さてさて、今のプレーに何を感じたかな?杉森は」

 

 勝つために一点取ってから全力の保持。それもアリはアリだろう。だが、その策の決定的な点は、やってる方がつまらないという点。今の円堂の姿に何か御影専農中(サイボーグ)は感じればいいけど。

 

「……よし。攻めてきた」

 

 先ほどまでと違い攻める指示を出した杉森。隣のベンチで相手監督が騒いでいたが、大方指示を無視してるとかそんな感じだろう。やはり、データサッカーは人間じゃできない。どうしても感情が邪魔をするから。

 ボールは壁山が奪いマックスへ。1人抜き去るも下鶴に取られてしまう。

 

「パトリオットシュート!」

 

 ボールを高く蹴り上げた下鶴。蹴り上げられたボールからさながらロケットのエンジンみたく火を後方噴射。ゴールの角を目掛けて自動で……っておい!ついに自動でゴールに狙い始めたのかよ!お前蹴り上げただけだろ!いいのか色々と!

 

「なっ!届けぇっ!」

 

 円堂がジャンプしながらパンチングで弾く。ボールは後方へ飛んでいった。

 続く御影専農のコーナーキック。が、御影専農同士で空中で衝突。連携が乱れた。弾かれたボールに向かって走るのは下鶴。それを見た円堂も走る……ん?円堂?アイツキーパーだろ。何故前に走ってるし?

 

「豪炎寺!こっちだ!」

「円堂!何をするつもりだ!」

「行くぞ!パトリオットシュート!」

 

 さっきの自動ミサイルが飛んでくる。

 

「止まるな!シュートだ!」

「何!?」

「俺を信じろ!」

 

 2人はシュートを前に1回転しつつ場所を入れ替え豪炎寺が左足で、円堂が右足で同時に蹴り込む。そこから黄色い雷が出て、そのまま相手ゴールまで突き進む。…………黄色い…………雷?青の次は黄色ですか?え?ということはイナズマなんちゃらになるの?というか、アレだよアレ。何で雷が平然と出せるんだよ。雷門中だからか?

 シュートを杉森が止めにかかったが、杉森ごとゴールに突き刺さった。うわぁ。威力たかっ。

 

「やったぜ!守備と攻撃が同時なら奴らも対応できないんだ!」

「ああ、あんな技が決められるなんてな」

「何だか身体が軽いとは思ったけど」

 

 まぁ、これで1ー1の同点か。

 

「イナビカリ修練場を提供したのは無駄じゃなかったようね」

「成果が出て良かったじゃないか。雷門お嬢様」

 

 御影専農ボールで試合再開。そしてさっそく少林がボールを奪った。

 皆、レベルは上がってる。ただ、イナビカリ修練場では個々の身体能力のレベルアップのみ。技術そのものをあげるにはやはり普段の練習も不可欠だろう。

 染岡にボールが渡り、

 

『ドラゴントルネード!』

「シュートポケット!」

 

 今度は打ち破り、杉森ごとゴールにぶち込んだ。これで2ー1。逆転だ。

 御影専農からのキックオフ。しかし、目に見えて動きが悪くなった。いや、さっき監督との通信がどうのこうの言ってたが、まさか、アイツら。監督が居なくなって指示が受けられなくて、もう負けたと思ってるのか?そんな棒立ちになる御影専農を前に、

 

「ドラゴンクラッシュ!」

 

 染岡がシュートを放つ。

 

「俺はこの戦い負けたくない!」

 

 諦めムードの中、杉森がシュートポケットで弱め、必死にボールに喰らいついて止める。

 

「皆も同じだろう!最後まで戦うんだぁ!」

 

 一斉に自分たちの頭に付いていた電極を外す御影専農。

 

「最後の1秒まで諦めるなぁっ!」

 

 ボールは前線に渡る。やれやれ、円堂の影響かなぁ。

 そこからは一進一退の攻防。先ほどまでのどこか機械じみたプレーとは違い全員ががむしゃらにボールを追い掛け点を取ろうとする。

 

「決めろ!豪炎寺!」

 

 そんな中、円堂から豪炎寺へパスが行く。

 

「ファイアトルネード!」

 

 豪炎寺がファイアトルネードを撃とうとボールに蹴り込んだ瞬間。同時に反対側から下鶴が同じ体制で蹴り込んでいる。

 2人はそのまま落下し、倒れ込む。砂埃の中、下鶴が最後の力を使って、杉森にパスを出す。

 ボールを受けた杉森は単身特攻。雷門のマークを振り払い、

 

「行くぞ!円堂!」

 

 シュートを打った。

 

「ゴッドハンド!」

 

 それをゴッドハンドで止める円堂。

 

 ピ、ピー

 

 ここで試合終了。2対1で雷門の勝利だ。杉森と円堂が固い握手を交わし、わだかまりも解け、いい感じだ。

 次は準決勝。しかし、オレたちの前には1つ大きな課題があった……。




主人公をベンチに下げた理由、作者視点で言わせてもらうと、主人公がいたらイナズマ一号が完成できなかったからです。その前にシュートを止めかねないですからね。
まぁ、今後、主人公をベンチに下げて必殺技完成っていう流れはないです。
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