十六夜が今日は寝ると言って引き上げ、他のイナズマジャパンの皆が自主練習をする中、八神はジャパンエリアで散歩をしていた。
「まさか、十六夜のヤツが記憶喪失とは……ペラーは気付いていたのか?」
その腕の中にはペラーが抱えられていた。もはやどちらが主人か分からなくなりそうなくらい、最近は八神と行動することが多くなっていたペラー。そんな彼は文字が書かれていた看板を取り出した。
『もちろん、オレも薄々は気付いていたよ』
「流石にか……」
『うん……本人が話そうとしないから気付かないようにしていたけど……』
「そうか……」
十六夜綾人とペラーは深く繋がっている。もちろん、十六夜綾人の全てを知っているわけではないが、それでも記憶喪失と記憶が戻ってきていること……この2つについてはペラーも気付いていた。
『もちろん、オレも綾人が何で記憶喪失になっていたのか?とか、どういう記憶が蘇っている?とかそういうことは分からない部分が多いよ。……ただ』
「ただ?」
『……今の綾人は例えるなら火薬庫。何か1つでも間違えたらすぐに爆発するような爆弾が詰められた部屋なんだ』
「爆弾が詰められた?」
その言葉に首を傾げる八神。ペラーが次の看板を取り出そうとしたとき……
「おぉ、中々良いたとえだね」
その声は正面から聞こえてきた。
「……あぁ、お前か」
「やぁ、八神玲名。こんばんわ」
その声の正体はL。リフティングしながら笑顔で声をかけてくる。
「あれ?驚かないんだね」
「いい加減慣れた」
八神はLと初めて会った夜から、彼と度々遭遇している。その度に一緒にサッカーをしているが……
「貴様は毎回、私が1人で居るときに会うな。最近は護衛としてペラーを雇うことになってるんだぞ」
『え?オレって護衛だったの?オレって精々、ペンギンたちを喚ぶことしかできないよ?』
「ははっ、強そうな護衛だ。確かに、女性が1人の時にこっそり会いに行く……しかも、こんな時間だ。こちらとしては護衛がつかれても何も言い返せないね」
もちろん、ペラーは彼女の護衛のために居るわけではないが……そんなことは今更だろう。
「それで?今日もサッカーをしに来たのか?」
「うん。お相手願えるかな?」
「お前の強さはかなりのものだ。その強さなら私より十六夜のヤツを誘ったらどうだ?私じゃ実力不足だろう?」
「いいや。こちらとしては君とサッカーがしたいかな」
そう言って八神に向かってパスを出すL。
「そうだね。もしもサッカーの相手をしてくれるのなら、お礼にさっきの爆弾の話を教えられる限りで教えてあげるよ」
「…………ほぅ?何を知っているんだ、貴様」
「色々、かな?少なくとも君やペラーを始め、イナズマジャパンの誰よりも詳しいつもりだよ」
「…………」
明らかに怪しい空気だ。普通ならこんな言葉をくだらないと切り捨てるだろう。だが、八神には1つの確信があった。
(コイツは知っていると確信できる。たいした根拠なんてないはずなのに、だ)
「そうか。それなら、知っていることを洗いざらい全て教えてもらうとしようか」
八神はペラーを手放すとドリブルを仕掛け、Lに真っ向から挑む。
(それに何度も会って、サッカーを通して思うのは……何故かコイツをお父様たちと近いものに感じている。家族……というヤツだろうか。会ってから日も浅い、怪しさ満点のこの男に家族のような感情を抱いている。分からない……一体、なぜなんだ……?)
「いいねいいね。そうこなくっちゃ」
街灯の下でフェイントを仕掛ける八神とLが交差する。
「まず1つ目の爆弾は十六夜綾人の記憶。彼の記憶はまだ完全じゃない」
「そうなのか?」
「うん。でも、こちらも彼の失われた記憶が一体、何なのかは謎。よく分からないんだよね」
「…………意味が分からない。何で謎なのに、完全じゃないと断言できる?」
「シスターがそう言っているから」
ボールを奪ったLが八神にボールを返す。
(そもそもがおかしいんだよね……十六夜綾人という男は余りにも不可解な存在だ。どんな手を使っても、幼少期……中学時代以前の彼に接触できない。もちろん、データとしては生まれたときから雷門中に入学するまで、十六夜綾人という男は確かに存在している。それなのに、接触することは出来ない……居るのに居ないという矛盾した存在。そのせいで、シスターでさえも十六夜綾人の中学入学以前は分かっていない。……ほんと、普通ならこんなことあり得ないのに……)
Lとの話で出てくるシスターに八神は直接会ったことはない。十六夜に聞いても協力者ということとAと名乗っているということくらいしか出て来ず、これ以上は頑なに教えようとしない。きっと、そういう約束でもしているのだろう……そう八神は推測しそれ以上の追求を避けている。だから、もしも問い詰めるとすれば、そのシスターにやるしかないのだろう。
「それで?次は?」
「……あ、ゴメンね。考え事して間が空いちゃった。2つ目の爆弾は十六夜綾人に眠る力。これは大きく2つある。だから3つ目もこれで説明がつきそうだね」
「眠っている力?」
「そうだね。両方とも君たちはその片鱗を目にしたことがあるよ」
「2つの力が……それぞれ爆弾?」
そう言われて過去の記憶を遡る八神。十六夜に関して、自分たちが目にしたことがあるもの……その条件を基に記憶から答えを導こうとする。
「確かに1つは思いつくことがある」
正しいのか間違っているのかはさておき、1つ見つかった。それは八神たちの傍に居たペラーも同じようで……
『エイリア石に抗っていた力』
「ああ。あのエイリア石を無効にしていた力……あれが結局何だったか分からずじまいだった」
「正解……と言いたいけど、ちょっと混ざっているかな?」
「混ざっている?」
「うん。エイリア石に抗っていた力や無効にしていた力は確かに同一のものだ。だけど、君たち
「もう1つ……」
(ただ、普通の化身にはそんなエイリア石を無効にするなんて力はないはず。だから、彼の化身は俺と同じように、ちょっとだけ特別なのかな?いや、正確には俺が特別なのは彼のお陰……そう考えると、原点である彼の方が特別か。そんな特別な化身を宿して、記憶喪失で、何より彼の過去に干渉出来ない……語れば語るほど、十六夜綾人という人間が分からなくなってくるよ)
『弾き飛ばそうとしていた力?』
「そうそう、正解だよペラー。エイリア石に取り込まれようとしていた彼。その彼が発していた君たちを近づけまいとしていた力は、また別のところから来ている」
「つまり、あの黒い影のような力と、あのときの弾き飛ばそうとしていた力は別物で……」
『それぞれが覚醒していない爆弾……』
(正確には弾き飛ばそうとしていた力……念動力は、セカンドステージチルドレンとしても一般的な力の1つ。だから、あの程度では力のすべてどころかほんの一部。彼とシスターが持っている特異な力の方が凄いけど……そんなこと言っても伝わらないからいいや)
『……ちょっと待って』
と、ここでペラーが疑問を口にする。
『何で君はそれを知っているの?確かに、エイリア石を無効化した場は他にもあった。雷門中でのダークエンペラーズとの激闘……アレを知っているのはまだ分かる。でも、弾き飛ばそうとした力の方は別だよ?オレの記憶が正しければあの場にはオレと綾人、姉御の2人と1匹しか居なかったはず。何でそれを知っているの?』
「それは秘密だよ。いつか分かる日が来るといいねって解答でごまかさせて貰うね」
『そう……』
「さて、後教えられそうな爆弾は2つ」
「まだあるのか……」
「うん。だけど、これらは軽くしか教えられない。これ以上は喋りすぎって怒られちゃう」
「こちらとしてはお前が怒られても気にしないんだけどな。結局、さっきまでも全ては教えてくれていないだろうが」
「酷いなぁ……これでも出血大サービスをしているのに。君は……いいや、君たちは彼の傍に居る者として、多少は知っておいてもらった方が都合が良さそうだから話している。正直、シスターの気まぐれを果たしているだけなんだ」
「シスター……やはりソイツに問いただすのが早そうだな」
「そうだね。叶うならそれが早いよ。……それで、話を戻すと1つは
「
「フロー中の十六夜綾人が発動させた眼のことだよ。あれは代償がある眼……ただ、
「それは何とも曖昧で雑なアドバイスだな……今度、本人に聞いてみるしかないか」
「そうして欲しい。そして、最後の爆弾がとびきり厄介……正直、彼の爆弾の中で一番危険なものだ。そんな代物だけど俺の口からは多くを語ることが出来ない」
「またか?」
「そこは許してよ。……簡単に言うと3つめの爆弾……ああ、あの黒い影のような力じゃない方ね。あっちの爆弾に関わることだけど……アレにはとてつもない代償がある」
「……さっきから代償代償って、アイツは何かを犠牲にし過ぎじゃないか?」
「そうだね。彼という人間は何かと引き換えに強さを、力を得ている人間だ。……ただ、彼が持っている力の中には、彼が求めていないのに関わらず、強大な力とその代償を手にしてしまっているものがある」
「…………」
「言っておくと、俺とシスターは彼から3つ目の爆弾を取り除くことを
「力を取り除く……奪うってことか?」
「さぁね。どうやって取り除くつもりなのか……取り除き方は俺には分からない。シスターがなんとかするからさ」
「……お前は何というか……そのシスターとやらを信じすぎていないか?」
「そうかもね。でも、シスターなら大丈夫だよ」
「…………」
(何故だ……コイツと話していると、昔の私を見ているようだ……お父様を妄信し、全てを知らないのに正しいと思っていた自分を……)
「じゃあ、今日はもうそろそろ行くね。今日も楽しかったよ、君とのサッカー」
そう言ってボールを回収して立ち去ろうとするL。
『待って。最後に聞かせて』
「なんだい?ペラー」
ペラーの言葉に立ち止まって振り返る。
『君たちの
「なるほど、流石は
『そう……』
「だけど、一言で表すとするなら……未来のため、かな?」
「未来の?」
「うん。……この先起きる悲劇を回避したい。それだけだよ。じゃあ、今度こそこれで……」
「私からも最後に言わせろ」
「何かな?」
「自分の意志を持て」
「???よく分からないけど、行くね」
そのまま何処かへ飛んでいくL。
『どうしてあんなことを?』
「……Lを見ているとどうにも昔の私を思い出してしまう。つい言ってしまっただけだ」
『そう……』
「帰るか。また明日にでも十六夜と話すとしよう」
『うん……』
「ペラー?」
(綾人の爆弾……2人の目的……未来に起きる悲劇……分からない。分からないのに……何で、彼らはそれを知っている?彼らは綾人のことを知りすぎている……いや、そもそもが不思議なんだ。何であの2人は、ここまで2人と近い空気を感じるんだ?とてもじゃないけどただの他人とは思えない。綾人と姉御の2人と繋がりのある双子……未来からやってきた2人の子孫……とか?……突拍子もないことだけど、そう考えると辻褄は合う。だけど、余りにも現実的ではない。じゃあ、あの2人は一体……?)
八神もペラーを抱えたまま合宿所に戻ることに。Lによってもたらされた情報に困惑しつつも、それぞれ眠ることにしたのだった。
翌朝、十六夜が早く起きてランニングをしていると……
「早いね、十六夜くん」
「吹雪か」
宿舎から出て来た吹雪に声を掛けられる。
「僕も一緒に走っても?」
「ああ」
そう言って2人で走り始める。何分か走ったところで吹雪が話題を振る。
「そう言えばさ。十六夜くんは記憶喪失……失っていた記憶の中に、今の君を縛る蔦があったんだね」
「蔦……ああ、そうか。お前には軽く話していたっけ」
「軽くって言うか……そうだね。ファイアードラゴン戦のハーフタイム中に色々と聞いたよ」
「そうだったな。……今朝もさ。また少しだけ思い出したよ」
「……え?そ、そうなの?」
「ああ。……お前に軽く話したあの試合の後からかな。夢の中で、少しずつ思い出しているんだ」
「だ、大丈夫なの?その……」
「心配しなくても、今はそんなに辛くないからな」
「そう……もし、辛くなったら誰かに言ってよ?僕じゃなくてもいいからさ。君が記憶喪失なことはチーム全員が知っちゃったんだし」
「……そうだな。そうさせてもらうよ」
(本当に辛いとしたら、前世の最後の記憶だろうな。高校3年生にて訪れる終幕……オレは自分の死を思い出したとき……)
「でも、他の人が言うように腑には落ちたよ。プレースタイルや思考がまるで別人のように変わったこと。……それでいて、キャプテンや皆と一線を引いて……それで、何処か苦しんでいたこと。その理由が何となくね」
「そうだな……改めて、ありがとうな。吹雪」
「ん?」
「あのとき、声をかけてくれてありがとう。……もっと早く、オレはお前らと向き合うべきだったんだろうな」
「そうだね……時間が掛かったみたいだけど」
「ああ、そうだと思う」
「それで、君はどうするの?」
「昨日も言ったが、オレはお前らと向き合う努力はする。お前らのことを共に戦う仲間だと認める努力はする」
「そう」
「だから、オレはお前らの光をもっと利用する。ただ、染まるってわけじゃない。オレが勝つためにもっと利用してやるよ」
「つまり、協力するってこと?」
「そう捉えるなら好きにしろ」
「じゃあ、好きにさせてもらうね……ふふっ」
「何かおかしいか?」
「いや?何というか、何処か吹っ切れた顔をしているなって。前は何処か苦しそうだったからさ」
「そうか……何というか、安心したのかもな」
「安心した?」
「お前らなら、オレがこの先、どう変わろうと理解しようとしてくれそうだってな」
「そうだね……キャプテンだけじゃない。僕らも理解するために努力するよ」
「ああ。……きっと、オレから手を伸ばすことを忘れていたんだな。だから、誰も理解できなかったときに、対話することを選べなかった。自分から歩み寄ることを選べなかった。向き合うことを選べなかった」
「僕もある意味で同じだったからね……でも、気づけたんでしょ?」
「そうだな」
(とても単純で、当たり前なこと……誰かを理解するための努力。それをしていないのに、相手が理解できなくて切り捨てる……どこまでも傲慢でバカな話だ)
「だが試合は、勝負は別だ。勝つために利用すると言ったし、仲間と思う努力はするが、利用価値がないなら容赦なく切り捨てる。使えない駒に仲間だからって言う同情で頼ろうとするほど、オレは甘くねぇし優しくもねぇ」
「獰猛な笑顔で厳しいことを言うね……でも、それが正しいと思うよ。馴れ合いとチームワークは違う。このチームには君とのチームワークは必要だけど、生半可な馴れ合いは必要ない」
「そうだな」
「これは僕も切り捨てられないように頑張らなきゃ」
「ああ。お前でも容赦なく切り捨てるから」
「でも、十六夜くんこそダメだなって思ったら容赦なく言うからね。君と僕はあくまで対等なチームメイトなんだから」
「そうしてくれ。一緒に落ちていくよりずっといいし、オレだけが上からお前らを切り捨てるとか何様だよって話だ。遠慮無く言ってくれよ」
「そうするね」
併走しながら会話をする2人。世界一を目指す同志として、彼らのペースで少しずつ理解を深めていく。
「どうする?この辺で終わりにするか?」
「うーん、僕は体力作りのためにもう少し走ろうかな」
「確かにな。お前には最後まで走ってもらわないと困る」
「分かっているよ。これでもデザートライオン戦で痛感しているからね。二度とあんな思いはしたくない」
「じゃあ、このままライオコット島1周するか」
「…………え?」
「よし、行くぞ!着いてこい!」
「あ、朝ご飯は!?練習もあるし、流石にそれは自由すぎるって……!」
「心配するな!1時間もあれば回れるだろ!」
「どんなスピードで走ろうとしているの!?それは人間やめているって!?」
「行ける行ける。お前の方が足が速いんだから」
「足が速くても体力はそんなにないんだけど!?」
「あ、おもりいるか?いるなら貸すけど?」
「いらないかな!?と言うか、おもりつけていたことに驚きだよ……!」
この後、本当にライオコット島を1周した2人は宿舎に帰還。吹雪は宿舎に到着すると同時に「殺されかけた……」と呟きながら食堂でダウン。それを見て「明日はおもりでもつけるか?」と聞いた十六夜は八神に怒られたのだった。なお、チームメイトから悪魔かと総ツッコミを喰らっていた。
だが、彼らは知らない。本物の悪魔たちが襲来してくる日が近いことを……
一方その頃、とある男は困惑していた。
「何故全て上手く行かない……!」
その男……ガルシルド・ベイハンは脱獄すべく策を講じていた。しかし、
「こんなはずではなかったのだが……!」
警察に連れて行かれる過程で鉄骨をパトカーに落とし、警察たちを負傷させその隙に逃げようとした。しかし、何故か鉄骨は狙った場所に落ちず、静かに脇へと置かれた。まるで何かに操られたように本来ではあり得ない挙動をみせたのだ。
そして、他にも彼が脱獄のために警察陣営に潜入していた者たちは悉く捕まり、看守を寝返らせて、脱獄をしようにも寝返らせた看守が次の日には牢屋の中に居る。あらゆる手段が全て通じない。
「その元凶は十六夜綾人……あのクソガキが……!」
捕まった彼らの話では、ガルシルドの脱獄を阻止しているのは十六夜綾人……日本代表に所属する一選手で、自身の企みを暴いた張本人だという。
「円堂大介……それに十六夜綾人……!貴様らだけは生かしておけん……!脱獄したら真っ先に貴様らを……!」
恨みを募らせていくガルシルド。彼の脱獄計画は今日も始動するのだった。
一方その頃、2人の男女は話していた。
「……って言う感じで今日は脱獄しようとするから、よろしくね、ブラザー」
「はいはい。言われた通りに潰しておきますよ。今日も今日とて
それはAと名乗る少女とLと名乗る少年の2人組。
「陰の英雄ね。本人、何も知らないけど」
「これじゃあ都合の良い隠れ蓑だよ……いやぁ、それにしても懲りないね。ここまで来ると可哀想だよ」
「そう?」
「うん。だって、未来が視えるシスターのせいで、彼の脱獄計画は筒抜け。簡単に防げてしまうんだからさ」
「それを言うならブラザーも流石だよ。私じゃ鉄骨をあんな風に操れない。ブラザーの力のお陰で順調に事が進んでいる」
「あはは……流石にシスターの力がなかったらこんなこと無理だよ」
彼ら2人がガルシルドの脱獄を陰で未然に防ぎ、その功績を全て十六夜綾人のお陰にしている。もちろん、ガルシルドは彼らが裏で糸を引いていることなど知りもしない。そして、十六夜綾人も自分が勝手に名前を使われていることを知らない。
「さて、いつになったら脱獄を諦めてもらえるかな?」
「いいえ、時が来たら脱獄してもらうわ。彼の部下たちと一緒にね」
「…………え?脱獄させるの?」
「うん、時が来たらね」
「いやいや、わざわざ外に出さなくても……え?じゃあ、俺たちのやっている意味って……?」
「安心していいよ。まだその時じゃないってだけ。だから、ザ・キングダム戦が終わってから出てもらう」
「いやいやいや!?凶悪犯を外に出すのにどこに安心しろと!?意味が分からないんだけど!?」
「いい?ガルシルド・ベイハンは十六夜綾人の力を開花させる大切なカギなの。言うなれば十六夜綾人にとって最上級の覚醒素材」
「この時代の巨大で最悪な親玉を、開花させるカギと抜かしやがった。え?と言うか、最上級の覚醒素材って……え?もう意味が分からないんだけど……」
「だから、大切なカギは大事に大事に手元に置いておかないとね」
「手元の後に括弧書きで牢屋ってついているヤツだよ……え?何しようとしているの本当に?」
「ちなみにその役目が終わったら、どうなろうと興味ないわ。使い終わった素材に価値なんてない」
「サラッと言っているけど、やっぱりこのシスター頭のネジ飛んでるよ……」
「じゃあ、今日も今日とて脱獄阻止ね。デイリーミッションを熟しましょうか」
「……頼むから、本当に頼むから死人だけは出さないでよ……?今のガルシルド・ベイハンは脱獄したら十六夜綾人を殺しに行きかねないからね……?後、円堂大介も……」
「十六夜綾人の未来は前途多難ね。まさか、世界規模で最悪な大悪党に命を狙われているなんて……彼が一体、何をしたというのかしら?」
「一体、誰のせいだと?」
彼の脱獄計画は今日も2人の手で握りつぶされる。行く末を知っているのはAだけだった。
朗報、ブラジル戦でガルシルドの不参加決定。
悲報、十六夜綾人に死亡フラグが立ちました。
……かつて、ここまで黒幕から殺意を向けられる主人公は居ただろうか?そのせいで、ブラジル戦後にとある試合でガルシルドに殺されて、亡き友の為に決勝戦を戦うイナズマジャパンルートが見えましたね。何で主人公が死ぬルートが自然に用意されているんだ?
次回より新章、30日後に脱獄するガルシルド・ベイハンのスタートです(嘘)。
以下、本編全く関係ありません。
最近学園アイドルマスターをやっていて思うこと。この世界に、世界一のサッカー選手をプロデュースするプロデューサー(もしくは専属トレーナーや専属マネージャーでも良い)が居たら、誰を育て、プロデュースするのが一番大変だろうか。
イナズマイレブン……もとい、イナズマジャパンの面々は簡単そうに見えるメンバーも、割と各々の事情があるから、要所要所で分岐点となるようなイベント挟みそうな気がしますね。後は各選手を育てている間に他の選手とのイベントがいくつか入りそうです。
ちなみに、我らが十六夜はどの時点からプロデュースするかでかなり変わりそうですね(そもそもプロデューサーが十六夜が記憶喪失なんて特大な爆弾含めた、色々な爆弾を抱えているのを知らない時点で詰みそう)。その上で、黒幕と対峙することもあり、問題解決に奔走していて、全体練習に参加しないことも多々あり、イナズマジャパン全体のイベントすらスキップすることもあるため、1人だけ育成からアクションや推理ゲームに変わっていそう(そして、アクションや推理に失敗すると1人だけ育成失敗で済まないようなバッドエンドという……)。きっと、十六夜は他の選手のプロデュースに慣れてきてから実装されるタイプですね。成功すると今までの環境を破壊しかねないようなトップ選手になれるが、失敗するとバッドエンド待ったなしのピーキータイプですね。