超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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マグニード山へ

 バスに揺られ目指すはマグニード山。そんなバスの中のこと……

 

「マグニード山に着く前に2チームに分けておこうと思う」

 

 久遠監督がそう提案をする。

 

「そうですね。十六夜のペンギンの話によれば、春奈とリカ、十六夜が捕らえられているのは別の場所……」

『そうだね。ちなみに、綾人は牢屋みたいなところに捕まっているみたい。リカって人とは別だよ』

「牢屋だと?」

『そうだね。首と両手両足に枷がつけられ、身体には鎖が何重にも巻き付けられている。そして鉄格子と石の壁で囲まれた牢の中に入れられているね。本人は気絶中だけど、起きても自力では身動き取れないと思う』

「……なるほどな」

 

 八神を通してペラーの情報がバスに居るメンバーに伝わっていく。

 

「ひとまず十六夜はなんとかなるだろう。今更、敵陣に捕らえられたくらいでどうにかなるやつじゃない」

「な、何とも雑な信頼だけど……」

「アヤトなら何とかしそうなのは何となく分かるねぇ……」

「となると最優先はやはり、レディーたちの安全確保ですね……」

「要はぶっ飛ばせばいいんだろ?あの変人連中を」

「そうなるのか……」

 

 イナズマジャパン……もとい、十六夜と過ごした時間が長いものたちからの信頼。海外勢もそれには驚くも、十六夜ならなんとかなるというのは彼らにも何となく理解していた。

 

「相手の力や目的は不明。願わくは同時に助ける方が良いだろう。それに彼らはサッカーに造形が深い可能性がある。よって、2チームは相手とサッカーをすることになっても良いように分けようと思う」

 

 十六夜なら何でサッカーをする可能性があるんだと反論しそうだが、生憎この場に居ないため誰からも反論は出なかった。

 

「2チームのキャプテンは円堂と鬼道、この2人に任せる。私と円堂のチームが上へ、響木さんと鬼道のチームが下へ向かう。いいな?」

「はい!」

「分かった」

「では、チーム分けをしていく」

 

 そう言って、即席の2チームが出来上がっていく。

 

「私はエンドウのチームか。よろしく頼む」

「マモル!必ず助けよう!」

「エドガー、フィディオ……ああ!力を貸してくれ!」

 

 円堂のチームは円堂、吹雪、壁山、木暮、土方、風丸、ヒロト、染岡、エドガー、フィディオ。

 

「力貸すぜ、キドウ。頼りにしているぞ」

「そうだね!ミーたちの指揮は任せたよ!」

「指揮って……戦うって決まったわけじゃないんだがな」

「テレス、ディラン、マーク……頼む。助けるために協力してくれ」

 

 鬼道のチームは鬼道、立向居、飛鷹、綱海、佐久間、不動、豪炎寺、虎丸、テレス、ディラン、マーク。

 

「……あれ?そう言えば俺たちのチーム1人足りなくないか?」

「……そうか。十六夜が捕まっていて居ないからイナズマジャパンは16人。そして、フィディオたちは5人で合わせて21人。2チーム作るには1人足りないのか……」

「十六夜を早く救出出来れば、戦いになったときはアイツを加える予定だ。しかし、それが叶わない可能性は十分にある。十六夜代理ではないが、円堂チームの11人目は八神。お前が入れ」

「……私か?」

 

 監督からの言葉に少なからず驚きを見せる八神。

 

「待ってください監督!アタシに戦わせてください!リカが連れて行かれたのに何もしないなんて出来ない……もし、戦うってなったらアタシが入ります!」

「塔子……」

「却下だ」

「何故ですか!?」

「単純な話だ。財前、お前では実力不足だからだ」

「なっ……!」

「戦うとなった場合、相手は未知数の存在。そして、人質を取られている以上、敗北は許されないものになるだろう。残った選択肢の中で、お前より八神の方が優れている。それだけだ」

「……っ!」

 

 現実を叩きつけられる塔子。元々の世界線であれば、財前塔子の力はこの段階のイナズマジャパンのメンバーと大きな差があるわけではない。しかし、十六夜綾人が入った……否、もっと別の影響もあるこの世界線では、財前塔子の力はイナズマジャパンのメンバーと大きな隔たりがある。影響をほとんど受けていない彼女と、影響を大きく受けているものたちの差は元々あった差とは比較にならないほどに広がってしまった。

 現に十六夜は居なくて知らなかったが、応援に来た浦部リカと共に練習に参加したものの、すぐに練習の質を下げると言われ全体練習から降ろされたばかりなのだ。

 

「八神の実力は多くのものが知らないだろうが……間違いなく言えるのは、お前たちについて行ける実力はある。行けるか?八神」

「……ああ。財前、お前が浦部を人質にされて怒っているのと同じくらい、私も頭にきている」

「八神……」

「アイツを捕らえ監禁しているアイツらには、私も怒りが爆発してしまいそうだ」

「……分かった。アンタに任せるよ。戦うってなったらアタシの分までやってきて」

「任せておけ」

 

 かつて敵として戦った者たちが、同じ敵を見据えて手を取り合う。

 

「まぁ、流石に親友を盗られた怒りじゃ、彼氏を盗られた怒りには勝てないか」

「「「…………え?」」」

 

(((彼氏って……え?十六夜(アイツ)と付き合っているの?)))

 

 あまりにも唐突なことで思わず何人かが八神の方を見たが、当の本人は怒りに燃えてか気付かなかった。そして、そんな燃えている様子を見て聞ける感じではないと悟ったものたちは、その疑問をそっと胸の奥にしまった。

 

「でも、アタシも円堂たちの方について行くよ。たとえ試合をするってなったとき、応援しか出来ないとしてもね。それくらいいいですよね?久遠監督」

「構わない。冬花……それにお前たちも。もし来るのだったら、どちらについて行くかは各々に任せる。ただし、単独行動は控えてくれ。いいな?」

「うん、分かった」

「十六夜くんじゃあるまいし、そんな危険な真似はやらないわ」

「流石にここで捕まって、迷惑をかけるわけにはいかないしね……」

「皆さんとはぐれないようにします!」

 

 と、ここでバスがゆっくり停車する。

 

「すまん。ここからは流石に無理そうだ」

「そのようですね……古株さん。ありがとうございます」

「いやいや、気にすることはない。気をつけるんだぞ」

「えぇ。もしかしたら何かを頼むかもしれませんが、そのときは頼みます」

「任せておけ。救出のためとあらば、何でも引き受けるぞ」

「助かります。では、響木さん」

「ああ、行こうか」

 

 バスから降りていくメンバーたち。バスを降りて見えるのは2つに分かれた道とその間に立っている……

 

「アンタたち!ここで何しているんだよ!」

 

 2人の老人だった。

 

「知っているのか?」

「伝承の鍵をアタシたちに押しつけたじいさんたちだ!」

「えぇ!?」

「本当なのか!?」

 

 その言葉にバスから降りた全員が2人の老人の方を見る。

 

「なるほど。あの娘さんたちを助けに来たものたちか」

「あの空を飛んだ小僧以外にも居たわけか」

「そんなことはいい!マグニード山に3人は居るんだろ!」

「天空の使徒住まうはヘブンズガーデン」

「魔界軍団Z蠢くはデモンズゲート」

「恐らく、この分かれ道で上に続いている方がヘブンズガーデン、下に続いている方がデモンズゲートへ行く道なんだろうな」

「ほぅ?なぜ詳しいのか……まぁよい。行け人間たちよ!」

「この祭りを盛大に執り行うのだ!」

 

 そう言って2人の老人は奥へと消えていく。

 

「何なんだあのじいさんたち……」

「気味が悪いな。まるで楽しんでいるようだ」

「予定通り分かれるぞ。響木さん、そちらはお願いします」

「ああ、任された。行くぞ、鬼道」

「はい!」

「鬼道!」

 

 円堂が鬼道の名を呼ぶ。2人はうなずき合うとそのままそれぞれの道へと進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天使と悪魔の宴……ねぇ。それだけだと退屈だわ」

「た、退屈って……さっきまで頭を抱えていたのに」

「うるさいわね。でも、今の天使と悪魔じゃ彼らに敵わないのは事実。たとえ、魔王だとしても彼らの敵ではないわ」

「このまま何もしない……つもりなら、そもそもこうやって見に来ていないよね。で、どうするの?」

「そうだね……魔王様には魔王様らしい力が必要、ってところかな?」

「……その発言だけ聞くと誰が魔王か分からないんだけど……」

「ふふっ、私の掌の上で踊ってくれると嬉しいわ」

「本当に悪役みたいな台詞を……既に主役がその掌の上から飛び出したばかりなのに」

「ブラザー、静かに」

「はい」




 次回、開戦
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