超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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VS天使と悪魔 ~お茶目な過ち~

 時は試合開始より少し前まで遡る。

 

「あぁ……?」

 

 ジャラジャラ……

 

「手枷……?ここは……っ!」

 

 目を覚ますと目の前に見えたのは鉄格子。両手を下ろそうとすると手枷が嵌められ鎖が壁に繋がっていた。

 

「足枷もって……ぐぇっ。首輪まで……おいおい、囚人でももっとマシな待遇だろうが……」

 

 両手両足を鎖で繋がれ、首輪のせいで引っ張られて見渡すことすら満足に出来ない。そんな中で、何とか見てみると身体も鎖が何重にも巻かれて壁から動けないように固定されている。どうりで身体が重く感じて自由が効かないわけだ……というか、人間に対してやるレベルじゃねぇだろ。どう考えてもバケモノとか怪物を封印するような……

 

『まぁ、綾人はある意味でバケモノだからね~』

「ペラーか……いやいや、だからってこんな仕打ちねぇだろ。こっちは純度100%の人間様だぜ?」

『まぁ、向こうからすれば、空を翔けて追いかけてきたヤバいヤツだからね。生半可じゃダメだって判断したんでしょ』

「空を……ああ」

 

 そっか、あのコスプレ集団を追いかけて捕まったんだっけ?

 

『コスプレ集団って……多分、本物だと思うけど……』

「本物?本物の…………変態?」

『本物の天使と悪魔!』

 

 ああ、そっちか。あんな服装がコスプレじゃなくて正装だなんて変態以外の何者でもないと思ってしまった。……でもまぁ、そんなのが居ても今更か。こんな世界だ、そういう人外が居てもおかしくはない。

 

「よし、脱獄するぞ。脱獄してアイツらをぶちのめす」

『え?囚われた2人の救出じゃなくて?』

「こんなことしてくれたんだ。まずはやり返さなきゃ気が済まねぇ」

『あはは……でも、姉御はじめ、皆がこっちに向かってきているから、もう少し我慢だね』

「八神たちが?……なら、捕まっている奴らはアイツらが助けるだろ。オレは遠慮無くアイツらにお返しできる。そうと決まれば脱獄あるのみだ」

『信頼……なのかな?でもどうするのさ。どうやって脱獄するの?』

「……ペラ-さん。この枷のカギ盗ってきてくれない?」

『何処にあるか分からないし、得策じゃないよー』

「じゃあ、これ壊して?」

『壊せたら苦労しないよー』

 

 ペチペチとペラーは鎖を叩く。予想通りと言うべきか、見かけ倒しではないようで、壊れる気配を感じない。

 

『ちょっと向こうの様子見てくるから、待っててー』

「分かった」

 

 そう言って消えるペラー。……とはいえ、脱出マジックみたいに脱出できるわけもないし、上手く外す……なんて出来ない。まさか、天使に捕まる日が来るとは……思うんだが、こういうイベントって記憶が正しければヒロインが捕まる側だよな?なんでオレが捕まっているんだ?もしかして……オレはヒロインだったのか?(錯乱)

 

『た、大変だよ綾人!』

 

 そんな錯乱状態に陥っていたが、ペラーの慌てる声のお陰で正気に戻った。

 

「どーしたー皆捕まったのかー?」

『姉御たちと天使たちが、人質たちを賭けてサッカーで勝負することになっちゃった!』

「…………はぁ?」

 

 え?この世界ってアホなの?なんで天使とサッカーで勝負することになってるの?なんでサッカーで全て決めようとしているの?ねぇアホなの?勝手に人の生殺与奪の権利をサッカーで賭けないでくれる?つぅか、そんな勝負を勝手にやるんじゃねぇよオレも関わっているんだからオレも混ぜろよさっさとここから出しやがれクソが。

 

『どうする?』

「決まってるだろ?……脱獄一択だ。大人しく賭けの景品のままで居る気はねぇよ」

『えぇーでも、どうやって?』

「それが分かれば既に脱獄している」

『ですよねー』

「現状、どうやっても両足の枷を壊すことしか出来ないんだよな……上半身が身動き取れないと意味ねぇし」

『そうそう両足だけしか自力で壊すことが……え?出来るの?』

 

 と、ペラーさんが聞き返してくる。どうしたのだろうか?

 

「出来てもこの方法じゃ両手と首は無理だ。別の方法を考えないと……」

『それでも、両足が自由になったら多少は変わるんじゃない?』

「……確かに。じゃあ、やりますか」

 

 ボッ!

 

 両足から炎が出て来る。

 

『あ、ファイアトルネードの炎だ。そっか、この技があったね』

「ああ。まずは、この技で足枷を燃やす」

『燃やして溶かすの?でも……』

「そこまでは無理だ。だからある程度燃やして熱くしたところで……」

 

 パキッ!

 

 炎が消えたかと思うと両足から氷が出て来る。

 

『スノーエンジェルの氷だね。綾人さん、いつの間に氷を出せるようになったの?』

「何か出るようになったな。炎に当てられ熱くなったところを氷で一気に冷やす」

『金属を急冷させる……最後はそこに衝撃を与えて……』

 

 ドンッ!バキッ!バキッ!

 

 両足を振り上げられる限界まで上げて、勢いよく振り下ろす。すると、床には亀裂が走りその中心で足枷が割れて両足が解放される。 

 

「ほらな?両足だけなら自力で脱出できる。だけど、この方法では両手も首も無理だ」

『そうだね。じゃあ、解放された足をうまく使って……』

「そんなに身体柔らかくねぇよ。というか、巻き付いている鎖が邪魔でそこまで動かせないし」

『そっかぁ。つまり、手詰まりってヤツだね。向こうが一枚上手だったと』

「一枚どころの話じゃねぇだろ。何で手枷で満足せず、こんなに厳重なんだよ。もっと優しくしてくれてりゃ脱獄出来たのに……」

『いやそれが原因でしょ。生半可だと綾人さんが自力で脱出できちゃうからだよ』

「クソ……オレはなんて弱いんだ……!こんな拘束すら自力で壊せないなんて……オレは無力だ……!」

『その拘束を自力で壊せる存在のことを人間とは思えないけどなぁ……既に拘束の一部は自力で壊しているし』

「この状態で出来ることと言うと……ボスを呼んで鎖を無理やり引きちぎらせるか?あの体格ならそれくらいのパワーあるんじゃないか?」

『いやいや、ボスにはそんなパワーないよ。あるとすれば姉さんくらいだけど……』

「姉さん?……ああ、メハトのところの……え?そんなこと出来るの?」

『出来るんじゃない?知らんけど』

「よし、呼んできてくれ」

『えぇーやだよ~こんなことで呼ぼうものなら、何を要求されるか……』

「ペラーのことは好きにして良い。だから、オレを助けて欲しい」

『最低だ!?自分が助かるためにオレを犠牲にするなんて……』

『そんな要求しないわよ』

『ねねねね姉さん!?な、なんでここに!?』

『あなたがさっきから私たちの世界とこっちを慌ただしく行き来してたからね。何かあったのかと心配になっただけよ』

『な、何もないから大丈夫だよ!うん!本当に何もないから!』

『……いや、私の可愛い弟候補にして、あなたのご主人様が鎖に繋がれて牢屋の中で身動きとれなくなっているけど?しかも、砕けた鎖と床の亀裂を見るに脱獄しようとしているんじゃない?そんな状態の何処が何もないって?』

『うぐっ……な、なんて鋭い……!』

『むしろ、どんなバカだったらこの状況で何でもないって信じられるの?』

『姉さんは弟の言うことを信じていないの!?』

『今回ばかりは信じられなかったわね。残念』

『そ、そんなぁ……!』

「姉弟のじゃれ合いは済んだか?」

『えぇ。満足したわ』

「来てくれたなら話が早い。アリア、この鎖ぶっ壊してくれ」

『いやいや、流石の姉さんでもコレばかりは……』

 

 ドゴォ!

 

「『…………え?』」

『壊れたわよ?』

 

 半分冗談、半分期待していない感じで頼んだが、アリアのパンチで右手に繋がれていた鎖が砕け散った。

 

 バキッ!

 

『これで右手が自由になったわね』

「『…………』」

 

 そして、手枷を両手で無理やり開いて破壊する。右手は自由になった……なったけど……

 

 ドゴォ!バキッ!ドゴォ!バキッ!

 

 そのまま勢いで左手と首も自由になっていく。そして……

 

 バキッ!グシャッ!ボキッボキッボキッ!

 

 最後に胴体に巻き付いていた鎖が無理やり引きちぎられる。本来、鎖から鳴っちゃいけない音が響き渡る。

 

『これでどう?』

「……ありがとうございます」

 

 オレ決めたわ。このペンギンとは敵対したくねぇ。骨も残らなさそうだ。

 

「お礼にコイツを自由にしていいです」

『ちょ、ちょっと綾人!?オレは嫌だよ!?』

『ありがとう。今度予定がない日を教えてちょうだい?』

『ごめんね姉さん……綾人って忙しいから、オレが居ないと何もできな――』

「この事件が解決したら3日くらいペラーに休暇を与える予定だ」

『――綾人さん!?ねぇお願いだから予定を作ってよ……』

 

 ペラーがオレの頭に乗って左右に揺すってくる。やめてペラー酔っちゃう……

 

「家族水入らずもいいじゃないか。……家族は大切にしろよ、ペラー」

『中々優しい主人ね。まぁ、私の弟になる人だから当然よ!』

「……そういや、まだその設定続いていたんだな。……取り敢えず、出るぞ」

『今度はその牢を壊せばいいのね?』

「いや、アリアの力を借りるまでもねぇよ」

『そう?』

「この程度、オレの力で十分だ」

 

 ゴンッ!

 

 オレの蹴りは道を切り開いた。鉄格子は衝撃を受けて曲がり、そのまま外へとはじき出される。目の前の壁に激突して壁に亀裂が入ったが興味がない。

 

『でも、こんなに音を立てても誰も来ないのは不思議ね』

「そういやそうだな。見張りもいねぇし、出払っている感じか?」

『いやぁ、見張りが居なくて良かったぁ……この人たちに見つかったら骨も残らなさそうだから』

「『どういう意味よ/だ?』」

 

 酷いなぁペラーさんは。仮に見張りが居たら、ちゃんと優しく丁重にぶちのめして、従わせるって言うのに。

 

『全く……骨はちゃんと残してあげるわよ』

『…………』

 

 何故かペラーが頭を抱えている。姉に振り回される弟ってこんな感じなのかな?

 

『原因の半分は綾人だからね?』

「可哀想に……疲れ過ぎて正常な判断が出来なくなっているのか……?」

『全くよ……ほら、綾人のことはお姉ちゃんに任せてあなたは休んでいなさい?』

『任せたら何が起きるか分からなくて怖いんだけど……』

「それなら、ペラーは頭の上で休んでいてくれ。じゃあ、アリア。探索するぞ」

『え?脱出するんじゃないの?』

「もちろん、最終的には脱出して他のメンバーと合流する。ただ、オレをこんな風に拘束したアイツらのことをオレたちは何も知らないのが現状。天使だの悪魔だの、よく分からねぇけど幸いここはヤツらの根城。ここならヤツらのことを知ることが出来る……情報を集めておいて損はないはずだ」

『こ、ここまでと同じ人間とは思えないくらい冷静で理知的だ……!』

「何を言うか。オレはいつでも冷静で合理的な頭脳派だろうが」

『何処が?』

 

 本当は今すぐ試合に乱入したいんだが、相手が本当に人外なら警戒しておいた方が良いはずだ。もしかしたら、悪魔側も似たような展開になっているかもしれないし、万が一のときに、相手のことを知らないのでは策が練られない。

 

『でも、どうするの?探索すると言っても、この建物の構造は把握出来ていない。もの凄い複雑だったり、そもそも出口が存在していなかったりしたら、そもそも脱出だけで時間がかかってしまうんじゃないの?』

「アリア、迷路を100%攻略できる方法を知ってるか?」

『え?そんなのあるの?』

『……どうしよう。普段は知能指数高いけど、こういうときってバカなこと言うんだよなぁ……』

「壁を破壊していけば外に出られる。目の前の障害は全てぶち壊して進めばいい。道がないなら道を作ればいい」

『なるほど!勉強になるわね!』

『しなくていいよ!?綾人、悪ノリで変なことを姉さんに吹き込むのはやめて欲しいんだけど……』

「悪ノリ?オレは本気だが?」

『たちが悪過ぎる!?』

「いいか?ここが地下なら上を、地上なら前を破壊し続ければいつか出られる」

『ふむふむ』

『そうだけどそうじゃないんだよ!』

「万が一、破壊できない壁にぶち当たったら、破壊する方向を変えればいい」

『よし分かったわ!行くわよ!』

「そうだな!」

 

 ドゴォ!

 

 そう言って放たれたアリアのパンチとオレの蹴りは、近くの壁を破壊して大きな穴を開けた。

 

「よし、探索開始だな」

『分かったわ!破壊は任せてちょうだい!』

「いいや、お前1匹に破壊を任せるわけにはいかない」

『なら一緒に壊しましょう!』

「おう。頼んだぜ、アリア」

『今ならお姉ちゃんって呼んでもいいのよ?』

 

 そして、何処か上機嫌なアリアを肩に載せてオレは歩いて行く。

 

『あああああああ!?最悪で凶暴なコンビの誕生だぁ……!絶対に手を組んではいけないバケモノとペンギンが手を組んじゃったぁ……!』

 

 ペラーが頭の上で項垂れているが、何を言っているのか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドゴォ!ドンッ!ボゴォ!グシャッ!ズンッ!ゴンッ!ボンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなわけで、探索(サーチ)&(アンド)破壊(デストロイ)を繰り返した十六夜は、イナズマジャパンのメンバーと合流することに成功したのだった。

 

「なるほどなぁ……」

 

 捕まってからここに至るまでの説明を受けた十六夜は、ストレッチをしながら理解を示した。

 

「つまり、あの天使どもを喰らい殺して堕天させればいいってことだろ?」

「「「…………」」」

 

(((何をどうしたらそんな物騒過ぎる答えになるんだ?)))

 

「とりあえずフィディオ、エドガー。2人ともちょっといいか?」

 

 そう言って十六夜はフィディオとエドガーの2人を呼んで話をする。その話が終わると……

 

「監督、選手交代いいですよね?」

「お前が動けるならな」

「最低限のウォーミングアップは終わっているので」

「そうか。それなら構わない」

「このメンバーなら私だろうな。じゃ、十六夜。後任せるぞ」

 

 そう言って八神がベンチに座ろうとすると……

 

「勝手に降りるなよ、八神」

「は?」

「だろ?エドガー」

「えぇ。私が代わりますので、すみませんが、そのまま出てもらえると助かります」

「「「エドガー!?」」」

 

 十六夜が引き止め、代わりにエドガーが交代すると宣言する。

 

「あ、すみません。俺も彼女と交代して大丈夫ですか?」

「「「って、フィディオも!?」」」

「……ってえぇ!?アタシ!?」

「…………」

 

 そして、フィディオも財前の方に手を向けながら、交代することを提案する。2人の言葉に少なからず驚きを見せる久遠監督。少し考える素振りを見せると……

 

「……いいだろう。財前、お前も準備しろ」

「え?い、いいんですか?」

「ああ。相手は思ったより強くない。それにお前自身、見ているだけで何もしないのは不満があるだろう」

「で、でも……」

「ちょ、ちょっと待ってください。相手の必殺タクティクスが破れていないのにこの交代は危険では?」

「心配するなお嬢様。お前らから聞いた感じだと、あの必殺タクティクスはほとんど脅威じゃねぇ」

「えぇ!?そうなのか十六夜!?」

「ああ。実際に見て、ちょっと検証も必要だろうが……多分行けるわ」

「分かった。任せたぞ、十六夜」

「もちろんです。つぅわけで、円堂とヒロト。ちょい手を貸してくれ」

「お、おう?」

「うん、いいけど……」

 

 今度は円堂とヒロトを呼んで話をする。

 VS天空の使徒戦は、必殺タクティクスに苦しめられるものの、十六夜参戦によりどうなるのか……

 

 

 

 

 

 一方のVS魔界軍団Z側も前半を終えていた。

 

「前半終了して2-2の同点か……」

「中々、ラフプレーが激しいチームだな」

「ああ、そのせいで割と削られているが……一番の問題はそこじゃないだろ?キドウ」

「必殺タクティクス、ブラックサンダー……アレをどうにかしないといけないな」

 

 あの後、相手からのラフプレーに苦しめられるところがあったものの、隙を突いた不動が鬼道、佐久間と共に攻め上がり、皇帝ペンギン3号で相手キーパーの必殺技ジ・エンドを破り2点目を挙げる。

 

「すみません……俺が止めていれば……!」

「いや、お前は十分やってるだろ、タチムカイ」

「そうだぜ!相手キャプテンの必殺技を止めたじゃないか!」

 

 前半中にデスタの必殺技ダークマターが放たれるもの、魔王・ザ・ハンドで完封。完璧に防ぎ切ってみせたが、最初の失点と同様にブラックサンダーで止められている間に得点を許してしまったのだ。

 

「あの強力な必殺タクティクスがあっても、ミーたちが点を決めれば問題ないね!」

「そうですね!俺もしっかりゴールを決めてやりますよ!」

「ただ、点の取り合いに持ち込むにせよ、あの必殺タクティクスはどうにかしたい」

「そこだな……」

 

 こちらも強力な必殺タクティクスに苦しめられていたのだった。

 

「……でも、何というか……次は止められそうな気がするんです」

「そうなのか?」

「はい!あ、でも自信はそこまでなんですが……」

「ハハッ!いいじゃねぇか!やってみろよ立向居!」

「失敗しても俺たちがフォローする」

「綱海さん……飛鷹さん……お願いします!俺にやらせて下さい!」

「ま、いいんじゃねぇの?」

「分かった……いいですよね?監督」

「ああ。思い切りやってこい」

「「「はい!」」」

 

 VS魔界軍団Z戦も後半に向けて調整が行われるのであった。




 次回、バケモノの実験
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