「あーあ、大虐殺だねー」
「でしょうね。天使側の唯一の勝ち筋であるセイントフラッシュが完全に対策されてしまったもの。勝ち筋なんて存在していないわ」
「そうだね。でも、不思議なんだよね」
「何が?」
「十六夜綾人の思惑だよ。何でフィディオ・アルデナとエドガー・バルチナスを下げたのかなって。だって、十六夜綾人は前半の様子を知らないはず……伝聞での情報で、前半は1点差で勝っているけど向こうにはやばい必殺タクティクスがあることを知っているだけだった」
「そうね」
「だから、後半が始まって対策が出来てから下げるならまだしも、ハーフタイムで交代したのは中々の博打だなって。あの2人が居なかったら取り返しのつかない状況になるかもしれないのに……」
「じゃあ、ブラザーは何でだと思う?」
「そうだね……普段の十六夜綾人はそこまで非合理的なことはしない。だから何か理由がある。そして、思い付く理由は彼らの体力を温存すること。この後、連戦になることを知っていて、彼らを休ませるために交代した。どう?正解かな?」
「どうして私に聞くのよ」
「この仮説が正しい場合、シスターがそれとなく情報を渡したのかなってね。そうじゃないと、十六夜綾人が連戦になることを知っていることの理由付けが出来ないから」
「そうだね。半分正解かな」
「半分?」
「私はあくまでヒントとなる文献を広間に置いてきただけ。十六夜綾人の脱獄には一切関与していないし、彼が建物内を散策するように仕向けてもいない」
「なるほど。彼が知っているのはあくまで、彼が敵の情報を得ようとしたからってわけだね」
「そういうこと」
「でも、シスターならその行動をすると分かっていたんじゃない?捕まったあとでちゃんと視て……ね」
「さぁ?どうでしょうね」
「さぁって……」
「じゃあ、行きましょうか」
「はいはい。そろそろ試合も終わるみたいだしね」
「じゃ、ラスト1点取りに行こうかー」
軽い調子で声をかける。砂時計を見る限りこの攻撃で試合終了という感じだろう。長く感じた試合ももうすぐ終わりを迎える。
あの後はイナズマジャパン側の優勢で試合は進んでいった。セイントフラッシュはもう通用しないと分かったのか、それとも悲惨な結界になると知ったのか一度も使われることがなく、天使陣営のシュートは壁山、財前、円堂を中心としてブロック。攻撃面ではあれから染岡、吹雪、ヒロトが1点ずつ決めて、現在のスコアは8-2。6点差でもう逆転は不可能で勝利は決まったようなもの。
さて、それではこの試合最後の一撃は誰に決めてもらおうかね?
「誰にしよーかなー」
「何故奪えない……!?」
「どうして……!?」
相手が突撃してくるのを軽く躱す。流石にそんな安直な突進じゃ奪われない。もう少しちゃんと奪いに来て欲しいな……そう思いながら辺りを見渡す。最後のパスは、一番ボールが欲しそうなヤツにしよう。
「十六夜!」
「はいよー、キャプテン」
円堂が声を出しながら走る姿が見えた。よし、決めた。それでは最後は我らがキャプテンに飾ってもらうことにしようか。
「スーパーメガトンヘッド!」
ボールは彼の足下へ。すると、彼はボールを前へと蹴り出し、メガトンヘッドのように頭の上に拳を出現させ、回転しながら前方に向かって跳ぶ。すると、拳だけ回転しながら飛んでいき、ボールとぶつかる。そのまま押し込むようにして、相手ゴールへと向かって飛んでいく。
「…………あ」
ここまでの度重なる失点で心が折れたのだろう。相手キーパーは反応すら出来ずに、ボールは彼の横を通過する。
ピ、ピー
「我々が……負けたと言うのか」
「こ、こんな大差で……人間に」
「これは悪い夢に違いない……」
「夢なら早く醒めてくれ……」
そして、試合終了のホイッスルが鳴り響く。9-2……7点差と圧倒的な差でこの試合は幕を閉じたのだった。
「…………現実逃避か」
格下だと思っていた相手にここまで大差をつけられ、それを悪夢と言うか。現実を受け止める力がない……か。
「お前……かなり手を抜いていただろ……最後も遊んでいたし……」
そう思うと自然と足はフィールドの外へと向かう。そこに着いてきた、八神さんからそんなことを言われる。
「んー手は抜いていないかな。温存していただけ」
「温存って……何を言っているんだか」
探索中に見つけた資料……オレの推測が正しければ、この後もう1試合あるだろう。連戦になる可能性が高い以上、ここで体力を使いすぎるのは悪手だし、何より……
「そもそも、オレが居なくてもお前らだけで勝てた。違う?」
「それはそうだな」
天空の使徒が強くない。そのせいか、心の中が冷め切っていた……相手に興味を持つことがなければ、試合にも心が入りきらない。戦えば戦うほどどんどん冷たくなる感覚……自分の中の炎が小さくなり消えて行く、何もなくなっていく感覚。最後の1点なんて本当に誰が決めてもよかったし、最悪決まらなくても何も思わなかった。
「…………はぁ。大問題……やっぱり、直さないといけない課題だな……」
格下相手だとモチベーションの維持が難しい。相手によってパフォーマンスにムラが出来てしまうのは、今後を見据えたときに直した方が良い欠点だろう。
フローに入る条件も、オレより格上の相手が居るのが前提になっている。だから、居ないときには深い集中に入ることが絶対に出来ない。もちろん、相手に強者が居ても入れるとは限らないのが難しいところだが……とにかく、相手にも味方にも依存しないような、自分が没頭できる目標を設定すること。フロー関係なく、どんな相手にも力を出し切るための精神……
「やっぱり、心が課題って自覚すると一変して見えるものだな……」
相手が弱くても本気を出せるような精神……格下が相手でもパフォーマンスをちゃんと発揮できるようにする……今回の試合はあまりにも酷すぎた。これがプロの試合とかなら、観客からブーイング待ったなしなくらいやる気の欠片も消え失せていた。……世界大会は本戦の相手が格上ばかりだったこともあり、あまり意識していなかったが……
「喰らいがいのある相手が居なくても、最後まで本気を出す……か。まさか、こんなに難しいことだとは……」
常に強者が居るとは限らない。格上が居るとは限らない。倒しがいのある相手が居るとは限らない。そんな状態で熱くなる……本気になる……本当に難しい話だ。一体、どうしたものか……
「そんな反省会もいいが、向こうは和解しているぞ」
「え?」
自分の中で反省会をしていて気付かなかったが、円堂たちとセインたちが何やら話していた。どうやらセイン側と和解したようで円堂とセインが手を取り合っている。そして、セインたちは熱い魂でぶつかって、魔王を封印しに行くと宣言して何処かに消えていった。
「もしかして、波に乗り損ねた?」
「いつものことだろ」
「はぁ……それにしても、天使の心までも動かすとか……」
ほんと、円堂の影響力の大きさは凄まじいな。
「……ただ、動かしてしまったのは悪手な気がするけど」
「はぁ?」
「いや、何でも無い」
心をへし折って、彼らをここに留めておけば魔王は復活しないかもしれない。彼らを拘束監禁し、悪魔と出会わせなければ魔王は復活出来ないかもしれない。
しかし、それを理解しても尚、今から追いかける気はないし、そもそも魔王の復活を止める気もない。魔王ならもう少し歯応えがあるかもしれない、もう少し喰らいがいがあるかもしれない……もう少しオレの心を燃やしてくれるかもしれない。こんな不完全燃焼な状態で終わってしまった前哨戦を、ちゃんと本戦で燃やし切ってくれるかもしれない。そんな自己中心的で他力本願な思いを優先してしまったのだから。
と言うか、円堂も他の面々も凄いと思うわ。こんな試合で最後の最後まで本気で戦っていたんだもん。どうして、そのやる気が維持できるんだろうか?なんでその炎は消えなかったのだろうか?不思議で仕方が無い。
「よし!鬼道たちと合流するぞ!」
「「「おう!」」」
気付けば浦部も解放されていたし、こちらは無事に済んだってところか。ここに居ないメンバーが向こうの悪魔と戦っているだろうが……あのメンバーが負けるわけ無いか。
「山下りるの大変だろ?乗れよ」
そう言ってオレはボスたちを召喚する。
『うむ。我らの背に乗ると良い』
ペラーが看板でボスの言葉を伝える。選手陣はともかく、マネージャー陣や久遠監督もいるんだ。少しでも早く合流したいなら、走るよりは断然こっちの方が良いだろう。
「あ、相変わらず規格外だな……お前は」
「ははっ、誰かの規格に収まるつもりはねぇよ」
「あ、あの十六夜さん……俺も乗れるッスか?落ちたりしないッスか?」
「安心しろ壁山。お前だけペンギン多めにしておく」
「信じてるッスよ!?本当に頼むッスよ!?」
「最悪オレも何とかするから……」
壁山がオレの両肩を持って前後に揺らす。そういやコイツは高所恐怖症だったか。いや、だいぶ慣れてきただろうが、流石にここまでの高さは慣れていないってことだろう。……後、単純に自分のデカさと重さを自覚しているということか。それはいいけどそろそろ揺するのやめて欲しいこのままだと酔う……
「よし、全員乗ったなー忘れ物はないなー」
取りあえずあれから荷物を纏めて各自ペンギンの上に乗り込む。
「え?お前は?」
「空くらい普通に歩ける」
「そう言えばそうだったな……」
「じゃあ、行くか」
そう言ってオレたちがフィールドから飛び立とうとした瞬間。
ガシャアアアアアアアアアアアン!ドン!バタバタ!ドドン!
「「「…………え?」」」
背後で建物が倒壊していた。神殿のような美しい造りの建物が、無残にも瓦礫の山と化していた。
「「「…………」」」
全員が何処か青ざめた顔をしながら、建物倒壊を引き起こしたであろう元凶を見る。
「…………さらば」
「「「いや逃げんなよ!?」」」
そんな視線を受け、オレはヘブンズガーデンの端までダッシュし、そのまま飛び降りた。決して、もしかしなくてもオレが原因じゃね?とか思ったわけではない。ただ、スカイダイビングをしたい気分になったのだ。
「い、いや、そもそもさ?そもそも、無実で非力でか弱い人間のオレを檻に閉じ込めた上で鎖で拘束して監禁していた方が悪くね?」
「「「お前が悪いわ!」」」
ペンギンに乗って飛んでいる皆から総ツッコミを受けた。いやー……請求書とか来たらどうしよ。神様が支払ってくれないかな?いやー……ごめんなさい。悪気はなかったんです。歩くのに邪魔だった壁という壁を全て破壊しただけなんです。はい。ちょっと壊しすぎたのが倒壊を招いたと反省はしています。反省文に反省していますって書けるくらいには反省しています。でも、後悔しているかと言われるとそんなにないような……きっと、心の広い天使様なら笑って許してくれるさ。うん、そうだ間違いない。人間のお茶目な過ちの1つ、天使様たちの寛大なお慈悲を持って受け止めてくれるだろう。……あれ?でも、受け止めてくれる天使様が魔王になるのマズくね?魔王になったら絶対に許されないじゃん。
「…………よし、バレる前に殺すか」
どうやら、魔王を討伐する理由が出来てしまったようだ。覚悟しろ邪知暴虐なる魔王よ。世界の平和のため、そして、オレの平穏のために必ず打ち倒してみせよう。
「長年、憎しみあっていた心が蓄積され、ここで花開く。そして、その力が……魔を増長し天を飲み込み魔王が姿を現す」
「誰だ!」
デモンズゲート最深部……魔王復活の場に現れたのはAとLの2人だった。
「魔王の正体は君たちの憎しみあい蓄積され続けたその魂。でも、そうだね……それじゃ美味しくない」
「何者だと聞いている!」
「君たちはそれぞれ、魔界と天界の力を受け継いでいるんだよね?……うんうん。対価としては申し分ないよ」
「人間……貴様らがどうしてここに……!」
「まず、諦めると良い。今の君たちじゃ十六夜綾人たちに勝てない。たとえ、あの中で最弱の11人を選出したとしても……そうだね。君たちの勝率は1割あればいいほうだ」
「ハッ!舐めたことを抜かすんじゃねぇぞ!」
デスタがボールをAに向かって蹴る……
「弱い。弱すぎる」
「なっ……!」
が、介入したLによって蹴り返されたそれはデスタを吹き飛ばし、そのまま壁にぶつけた。
「やっぱり、この程度か。こんなレベルじゃ冒険を始めたばかりの勇者に負けちゃうよ。魔王と勘違いしたモブ敵様?」
「貴様ぁっ!」
「図が高いぞ虫けらども。シスターは寛大だからね……君たちゴミどもが彼らに勝てる力を授けようと言っているんだよ」
「ハッ!舐めたことを……」
「おいおいそんな口をきいて……」
「もういいよ。飽きちゃった」
「……え?シスター?」
「拒否権なんて与えない」
Aから放たれる黒い光が魔王たちを包み込む。
「「「ぐああああああああああっ!!」」」
「ゴーストミキシマックス。これで少しはマシになる」
「えぇ……もうちょっと悪役っぽいムーブをしたかったんだけど……」
「それはごめんね。ただ、時間を使い過ぎると向こうが帰っちゃう」
「それもそうだね。……と言うか本当に、魔王を支配下に置いちゃったよ、このシスター」
「これくらい出来て当然。じゃ、行ってきて」
「「「…………ハッ」」」
そのまま魔王となった者たちはAの命令によって、円堂たちの下へ向かうことに。
「…………あのさ。自我は残っているよね?」
「当然。ちゃんと本来の性格に拍車をかけた形になっているから、操り人形にはなっていないわ」
「拍車をかけた……?まぁ、いいか。ところで今更気になったんだけど、強化しすぎたとかないよね?」
「そんなことないわよ。精々、体力回復と体力の無限供給、全体的な能力の底上げに必殺技方面の強化。向こうの現時点で扱える必殺技のデータをインプットぐらいしかやっていないわよ」
「やり過ぎでしょ!?」
「そう?個人的には足りないくらいだけど?」
「いやいやシスター!?今回は流石にマズいからね!?これで十六夜綾人たちが負けたら世界滅亡だからね!?そこは分かっている!?」
「前も言わなかった?そうなったらそうなった時よ。この世界線は魔王の侵略によって滅んで終了お疲れ様でした。また次の世界線でお会いしましょう」
「シスタァアアアアッ!??だから、それは本当にシャレにならないからね!?その救い方は本当にマズいからね!?」
「破壊こそが救済。この程度で壊れる世界なら壊してしまえば良い」
「最悪の理論持ち出した!?これじゃあ、誰が魔王か分からないよ!?」
「さぁ、人類はどこまで抗えるかしら?」
「鬼道!皆!」
「円堂!そっちも無事だったか!」
「おう!」
「……って、何でペンギンに皆乗っているんだ?」
「十六夜が運んでくれた!」
「そ、そうか……」
デモンズゲートにて、鬼道たちと無事に再会したオレたち。
「無事救出してもらえたみたいだな、アホペンギン」
「え?自力で脱獄したけど?」
「は?」
「ん?」
ニヤニヤしながら話しかけてきたアッキーだったが、あまりの返答に一瞬固まる。マジかコイツって感じでヘブンズガーデンに来ていた面子を見たが、彼らの反応で察したようだ。
「そっちも試合したんだろ?どうだったんだ?」
「あ、ああ。アレみりゃ分かる」
と、スコアボード……というにはちょっと壮大だけど、それを見ると8-2と表示されていた。
「ミーがハットトリックをしたからね!ミー1人でも勝てたってことだね!」
「そんなことないですよ!俺と豪炎寺さんも2点ずつ決めましたよ!」
「で、残る1点は俺たちが決めたわけだ」
「なるほど……」
こちらも圧勝って感じだな。…………天使も悪魔もちょっと弱すぎ?前座とは言え、歯応えなさ過ぎだったかな?
「無事に双方救出できたようだな」
「えぇ。全員、宿舎に帰るぞ」
「「「はい!」」」
久遠監督の声かけで全員が帰ろうとしたそのときだった。
「待ってもらおうか!」
声が掛かり、シュートが行く手を遮るように放たれた。
「1000年の封印が解け」
「破壊の時が始まる……」
「その声は……まさか!」
円堂を始め、ヘブンズガーデンに行っていた面々に驚きが走る。
「強き魂を喰らい魔王は復活した!」
「我らはダークエンジェル!」
「セイン……!」
ああ、良かった。あと少しで帰ってしまうところだった。このまま帰っていたら、アレがバレるかもしれないし本当に良かった。
それにしても、ちょっと見ない間にユニフォーム……服装が変わっただけでなく、何処か濃い緑のオーラを纏っているし、何処か日焼けした感じも……まさか、あれが魔王の風格というヤツか?それとも、魔王の力が可視化されている?いや、この際どちらでもかまわない。今のアイツらは天使や悪魔だったころよりも強者としての雰囲気を感じる。ずっと、ずっと強くなって……
「貴様らには感謝しよう。貴様らとの戦いが我らの……っ!」
突如、セインたちの下へボールが飛んでいった。
「誰だ!今話している最中だろうが!」
まぁ、飛んでいったって言うと他人事のように聞こえるが、実際蹴ったのはオレである。
「御託はいいんだよ」
「貴様……!また無礼を働くつもりか!」
「どうせ、自分たちが復活したのはオレたちのお陰だとか、ここから地上を根絶やしに行くとかそんなんだろ?」
「ほう、よく分かったな」
「そんなテンプレ付き合う気ねぇよ。で?どうすんの?
そう聞いた瞬間、辺りが一気に暗くなり、代わりに天井から差す11本の光がオレたちの周りを周り始めた。
「そうやって強がれるのも今のうちだ!」
「貴様らの魂を喰らい!更なる力を頂こう!」
「要するに生贄ってことね」
パチン
指ぱっちんをする魔王様。すると11の光が11人の選手を照らす。
「今、光に包まれた者が選ばれた11人だ」
「選ばれた?」
「この11人と儀式を行う。交代はなしだ!」
「昇天するがいい!お前たちが愛するサッカーでな!」
要はこの11人でサッカーをしろと。照らされているのは、円堂、豪炎寺、鬼道、吹雪、ヒロト、エドガー、テレス、ディラン、マーク、フィディオ、そしてオレの11人か……良かった。ここまで言ってオレを戦わせてくれない暴挙に出ようものなら、サッカー関係なく討伐するところだった。
「さぁ、早く準備しろ!儀式を行うぞ!」
「俺たちがやるのはサッカーだ!俺たちの愛するサッカーを儀式なんかに使うな!」
「フン!戯れ言を抜かしていられるのも今のうちだな!」
「早く始めようぜ?テメェらを地獄へ叩き落とす儀式をさ」
ダークエンジェルの面々がポジションにつく。そんな中、オレたちは一旦ベンチに集まっていた。
「……まずは謝罪させて欲しい。君たちを巻き込んでしまった」
久遠監督はそう言って海外選手たちに頭を下げる。確かに、気付けば彼らの魂……命まで掛かってしまったからな。
「頭を上げて下さい、監督」
「そうですよ。俺たちが決めたことですから」
「つぅか、勝てばいいんだろ勝てば」
「そうだね!ミーたちが勝てばノープロブレムさ!」
「まぁ、そういうわけですよ」
「ありがとう、感謝する……今回の試合は交代なしの11人での戦いになる」
そう言って改めて出場する11人を見渡す。
「この試合は勝たなければならない……が、今まで負けて良い試合など無かったはずだ」
所属するチームは違えど、各々が国を代表するチームの一員だった。当然、1人1人がその国を背負ってきた。
「つまり、いつも通りってことだね」
「そうだね。そう思うと少しは気が楽になるよ」
「魂とか生贄とか言われるよりはな」
「ああ」
「よぉし!勝とうぜ!皆!」
「「「おう!」」」
そう言うとヘブンズガーデンからデモンズゲートに行く途中で、古株さんから受け取っていたものを配るマネージャー陣。
「幸い、水分は確保してきた。他の皆も疲れていると思うが優先させて構わないな?」
その監督の言葉に頷く選ばれなかった選手たち。
「水分を取りながら聞いて欲しい。FWは豪炎寺、ディラン、エドガー。MFは基山、フィディオ、鬼道、マーク。DFは吹雪、テレス、十六夜。GKに円堂。これで異存はないか?」
「「「はい!」」」
選ばれた選手たちが次々とドリンクを置き、ポジションにつく。
「八神」
「何だ?」
「コレも見ておいて」
「「「…………は?」」」
何故か皆がオレの取り出したモノを見て目を丸くしている。一体、どうしたのだろうか?
「……いつからつけてた?」
「え?お前と病院に行ったとき」
「「「…………」」」
???何で今さらおもりを外したくらいで驚かれているのだろうか?
(((……そりゃ、怪物扱いも納得だわ)))
唖然とする彼らを置いてオレもフィールドへと歩を進める。
「さぁ、人間どもよ!儀式を始めようじゃないか!」
「何度も言うが俺たちがやるのは儀式じゃない!サッカーだ!」
「ハッ!そう言っていられるのも今のうちだな!」
「御託はいいからやるぞ。人類と魔王の殺し合い……戦争を始めようか」
文字通り魂を賭けた1戦が幕を開けるのだった。
ということで強化魔王様VS選抜チームの戦いです。なお、選抜チームは魔王様を操るAによって選ばれていますね。……何で魔王を操っている黒幕がいるんでしょうね?この作品には魔王が何人居るんですかね?
ところで円堂さん。あなたのすぐそばに儀式を肯定し、殺し合いや戦争と言ってのける人類側(?)が居るのですが……ついでにそいつ、この戦いに魂賭けられている以外の私情も持ち込んでいます。
今更ながら原作知識を有している転生主人公なら、うまくやれば魔王戦カット出来る気がしますね……もっともウチの主人公は原作知識の代わりに協力者から知識を得て、やろうと思えば止められたけど、止めずに魔王を復活させた戦犯なので……何で主人公の覚醒を律儀に待つどころかそれを望んで覚醒させる戦闘狂の敵ボスムーブしているんだよ。
一応強化魔王様戦ですが軽く状況確認。
・両チーム交代不可(アニメ版同様)
・選抜チームは各々体力が減少した状態でスタート(連戦プラスその前の練習等のため。ただし個人差あり)
・魔王様は体力が全回復した上で、試合中減らない(GP無限ですね)
・魔王様は必殺技使いたい放題(ゲーム版同様。本作はTPという概念が希薄だが、体力が減らないので……)
・魔王様はAに力を貰っている(細かい強化点は後々分かるかな?)
習得必殺技紹介
スーパーメガトンヘッド
習得者 円堂
アレスでの必殺技。イタリア戦で偶発的に出来たそれを、ちゃんと技として昇華させていた。
次回、悠久の時をただ1人で