超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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不要な人間は切り捨てよう

 秋葉名戸との戦いに勝利したオレたちは、地区大会決勝戦に向け練習をして行く日々を送っていた。

 

「よし、今日は終わり!帰るか!」

 

 円堂が練習の終わりを宣言する……が。

 

「悪い円堂。オレはもう少しやってくわ」

「練習熱心だな。怪我には気をつけろよ」

「おう」

 

 皆が引きあげていく中、オレは1人残って練習する。

 

「そういや、地区大会決勝戦の後にテストだったか?」

 

 皆、サッカーサッカー言ってるがテストは大丈夫なのか?少ししか時間ないぞ?

 

「まぁ、オレは元受験生様ですから中学2年生レベルくらい余裕ですが」

 

 身体はともかく頭と心は元の世界から引き継がれていた。知識もしっかりあるし、長年のサッカー経験もなくなったりしてはいない。

 

「ただ、もし、必殺技がバンバン出て来るようになったらどうなるんだろうな」

 

 って考えすぎか。さすがに、そんなに何個も出されても困る。

 

「よし、1回帰ろ。多少は勉強もするか」

 

 そう思いカバンを漁ると、

 

「うわっ、筆箱忘れた」

 

 はぁ……取りにいこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、雷門中に行くと、こそこそと移動している怪しい人……我らがサッカー部顧問(名前だけ)冬海先生がいた。

 

「何してんだ?」

 

 携帯電話を取り出して……建物の陰に移動している。ん?何してんだ?何となく気になったので、こっそり見てみる。

 

「申し訳ありません。アイツらがここまでやるとは」

 

 アイツら?

 

「わ、分かっております。何としても不参加にしてみます」

 

 電話を切る先生。

 

「はぁ、ダメだ……。うちのチームを決勝に参加させたら……私は破滅だ!」

 

 …………あれ?これ地味にヤバい現場に居合わせてね?

 うーん。とりあえず、バれないよう離れつつ、現状の整理。今、冬海先生が話していた相手……適当に仮名Aさんとしよう。冬海先生はうちのチーム……要は雷門サッカー部を決勝戦に参加させたくない。いや、正確にはAさんにさせるなと命令されている。しかも、Aさんによって冬海先生はかなり追い詰められているように見える。追い詰められた人間は何をしでかすか分からない。これ、刑事ドラマの犯人のお約束ね。

 オーバーだが一番手っ取り早いのは、雷門サッカー部員皆殺し。または全員を負傷させ棄権せざるを得ない状況を作る。他には、飲食物に手を加える策もあるが、今まで何もして来なかったあの人が急にドリンクを作ったって言ったら怪しまれるだろう。いや、円堂とか一部は違うか。

 まぁ、怪我をさせる方針で考えればいいんだが……というか、そもそも冬海先生がオレたちに関わることって何だ?……試合の引率くらいしか思いつかねぇな。だって、あの人、もはやオレたちがサッカー部であるための名前貸ししかしてねぇだろ。バスは免許なくて運転できねぇらしいから運転手としての価値すら……

 

「運転?」

 

 バス→細工→事故→怪我もしくは死→決勝戦棄権→目的達成。

 

「あれ?飛躍し過ぎ?」

 

 だが、冬海先生が裏切り者ってのはさっきの会話から確定。そこは真実だ。

 

「よし。どうせ、朝からやることねぇんだ。ダメもとで見張ってみよう」

 

 きっと最近アホな必殺技や特訓で頭が逝かれたんだ。何か最近、このチームでも染岡や豪炎寺以外によくわからんシュートを撃ち始める兆しが見られる奴らも居るからね。今一度、この飛躍し過ぎた思考が間違ってることを証明しよう!

 それに、なんか探偵みたいで面白そうだしな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はっはっはっ。もう笑うしかねぇ。え?ツッコミ過ぎて壊れたかって?違うよ。

 

「…………これでよし」

 

 朝、オレは学校用のバスが入ってる車庫の付近で張り込みをしていた。そしたら、何かを持った冬海先生が来るではありませんか。そして車庫に入って、バスに細工していく先生。…………やっべ。マジだったか……ん?アレは……土門?あ、こっちに来るわ。隠れよ。

 

「先生!」

 

 車庫に入り、声をかける土門。

 

「……何だ君でしたか。脅かさないで下さい」

 

 ……ん?反応がおかしい。まさか、土門と冬海先生は繋がっている?

 

「こんなところで、何やってたんですか?」

「さぁ、なんでしょうね。…………ああ。1つだけ忠告しておきますよ。このバスには乗らないことですよ」

 

 100%細工したな。いや、もしかしたら0.01%くらいで本当にバスの整備していた可能性もあったわけじゃん?ま、疑いの余地がなくなったけど。

 

「じゃ」

 

 そして、出てくる冬海先生。

 

「これも総帥の命令か……クソッ!」

 

 総帥?もしや、冬海先生がかけていた相手は総帥と呼ばれる男なのか?

 

「どうすりゃいいんだよ……」

 

 ほんと、どうすりゃいいんだよ。

 まず、オレがこのバスの細工を元に戻す事は実質不可能。だって、知識ないもん。次、これを公にすることだが、公にしたらしたで問題は起きる。まぁ、中学校の持つバスで事故等を起こしてそれが仕組まれていたとなれば大事件に発展、雷門中存続の危機かも。さてさて……

 

「マジでどうしようか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、次の日まで冬海先生が他におかしな行動がないか、それとなく見張ることしかできなかった。

 そして、バス細工の翌日の練習中、

 

「はい……はい。もちろんです。雷門中は出場できません。これから、最後の練習を見に行ってやります」

 

 こっそり……というか適当な理由つけて抜け出してきたが、やれやれ。

 

「どうしたの十六夜君」

「雷門か。ん」

 

 今さっき携帯電話で録音していたやつを流す。

 

「へぇ。これを見て」

 

 そう言われて紙を見る。そこには冬海先生がバスに細工した旨が書かれている。この字は……いや、それ以前にこの文をかけるのは、オレたちサッカー部の中で1人しかいないか。

 

「どうするつもりだ?」

「もちろん。今から白状させるわよ」

「乗った。せっかく、密告してくれてる人がいるんだしな」

「行きますわよ」

「おう」

 

 オレと雷門は一旦分かれて別々にグラウンドの方に向かう。どうせ、今やるんだ。打ち合わせなどせずその場のノリで何とかしよう。

 で、グラウンドについてオレはボールを使ってリフティングとかをする。そんな中、

 

「冬海先生」

 

 雷門が冬海先生に声をかける。よし、オレも近くに行っておくか。

 

「はい。なんですか?」

「お願いがあるのですがよろしいですか?」

「お嬢様の願いを断る理由はありませんよ」

 

 うわぁ。媚びを売ろうとしてるなぁ。

 

「遠征に動かすバスの調子が見たいので動かしていただけません?」

「ば、バスをですか?」

「そりゃあいい提案ですね雷門お嬢様。今度使うバスの調子がいいかどうかを確認するのも監督の務めですよね」

 

 ま、そんな務め聞いたことないが。

 

「で、ですが。いきなりそんなことを言われましても、私は大型免許を持っていませんし……」

「それは問題ありません。校内は私有地ですから免許はいりません」

「別にちょっと動かすくらい出来ますよね?」

「し、しかし……」

「断る理由はなかったのではなくて」

「そうそう。まさか、雷門お嬢様の頼みを断らなくてはならないほどの不都合なことなどないですよね?」

 

 ハンカチを取りだし汗を拭く先生。やれやれだ。

 

「冬海先生!」

「は、はい!」

 

 うっわ。このお嬢様こっわ。

 

「どうしたんだよ急に」

「まぁま、とにかく行こうぜ。全員でな」

「???まぁ、いいけど」

 

 と、こんな感じで全員車庫のところに集まり、冬海先生は運転席に座る。

 

「発進させて、止まるだけでいいんです」

 

 しかし、一向に動かない冬海先生。

 

「あれれ?車運転できるんですから簡単ですよね?ほらやってくださいよ」

「早くエンジンをかけて下さい」

「…………あれ?おかしいですね。バッテリーが上がってるのかな」

「ふざけないでください!」

「は、はい……」

 

 やっぱこえぇよこの人。八神と同じくらい……いや、アイツの方がこえぇわ。

 で、とりあえずエンジンをかけた冬海先生。

 

「さ、バスを出しましょうよ。なぁに、ちょっと進んで止まる。簡単なことじゃないですか?」

「出来ません!」

「どうして?」

「どうしてもです!」

 

 すると雷門は手紙を出した。

 

「ここに手紙があります。これから起きようとしたであろう、恐ろしい犯罪を告発する内容です。冬海先生、バスを動かせないのは貴方自身がバスに細工したからではありませんか?この手紙にあるように」

「ホントかよ……」

「ウソだろ?」

 

 円堂と半田が呟く。

 

「答えろよ冬海先生。時間の無駄だ」

「フフフ、ハハハ。そうですよ。私がブレーキオイルを抜きました」

 

 そのまま笑いながら降りてきた冬海先生。

 

「何の為に!」

「あなた方をフットボールフロンティア地区予選の決勝戦に参加させない為です。そうなると困る人がいるんですよ」

 

 困る人……総帥と呼ばれた人物か?とここで、豪炎寺が質問する。

 

「帝国の学園長か?」

 

 反応する冬海先生。図星か。

 

「帝国の為なら、生徒がどうなってもいいと思っているのか!」

「君たちは知らないんだ!あの方がどんなに恐ろしいかを」

「ああ!知りたくもない!」

 

 いつになく感情を露にする豪炎寺。……なんかあったのか? 

 

「貴方のような教師は学校を去りなさい!これは理事長の言葉と思ってもらって結構です!」

 

 ここで冬海先生は先ほどまでと打って変わり、開き直った様子で話を続ける。

 

「クビですか。そりゃあ良い。良い加減こんな所で教師をやっているのも飽きてきた所です。……しかし、この雷門中に入り込んだ帝国のスパイが私だけとは思わないことだ。ねぇ、土門君」

 

 やっぱりか。オレがそう思っている中、一斉に土門を見る雷門サッカー部。その間に堂々と冬海先生はどこかへ歩いていった。

 

「そういや、帝国学園に居たって」

「そんなのアリかよ!」

「土門さん酷いッス……」

「静かにしろ!」

 

 一喝。一瞬にして静まり返った。

 

「お前らなぁ。あのクソ教師の言うことを真に受けてどうすんだよ」

「そうだぜ。俺らは今まで一緒にサッカーやって来たんだ。俺は土門を信じるぜ」

「十六夜……円堂……すまん!俺は……!」

 

 走り去っていく去っていく土門。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の部活。あれから土門はオレたちに謝罪とやって来たことを伝えた。やったことは、情報を帝国に流していただけ。まぁ、雷門を内部崩壊させるとかやってないからいっか。

 

「冬海先生が居なくなってせいせいしたッスね」

「中ボス倒して1面クリアって感じかな」

「バレた時の冬海の顔ったらなかったよな」

 

 あーあ。こういう時に人に対する本当の評価が現れるもんだな。

 

「貴方のような教師は学校を去りなさい!って決まってたよね」

「さすが夏未さん!」

「サッカー部最強のマネージャー」

「これで気持ちよく地区大会決勝に行けるぜ!」

「いいや、それは違うな。オレたちは現状、棄権せざるを得ない」

「「「えぇぇぇっ!?」」」

 

 叫ぶ雷門サッカー部。え?こいつら気付いていなかったのか?

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