超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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過去編はその12……なんて酷いタイトルだ。

ようこそ実力至上主義の教室へ最新刊、推しがぁ……次巻どうなるんだ……?以上、ネタバレ防止のためにこのような表現になりました。この作品は話が進むごとに推しが増えていきますね。推しが増えて消えてを繰り返しています。

では本編どうぞ。


過去編 ~無能なチームメイトの使い方~

 コーチたちから別れた十六夜と天王寺は互いのチームへと帰って行く。

 

「遅いよ綾人!もう整列しているよ!?」

 

 陽向の焦る声を受け、改めて見ると十六夜以外の10人が整列していた。

 

「ごめんごめん」

「ごめんって思ってないでしょ……」

 

 と美空が陽向の隣でぼやく。彼女はサッカー部のマネージャーという訳ではないが、監督が臨時部員と言って認めたためベンチに居る。

 

「ウォーミングアップは!?って準備からだけど……」

「大丈夫だ。しっかり温めてきた」

 

 スパイクを履き、紐を結ぶ。レガースをつけ、淡々と準備を熟していく。

 

「監督」

「何だ?好きにやらせろって話か?」

「明日用事入ったんで。次の試合出られねぇっすわ」

「……その前に、この試合に勝たないと次の試合はないんだが?」

「はっ、何を言い出すかと思えば……あるに決まってるだろ。だって、勝つんだからよ」

「気合い十分か……見せてこい、リベンジマッチだ」

「行って来るわ」

 

 そう言い残して整列するチームメイトの前に立つと、

 

「この試合は今までのお遊びとは違う。……反抗したら殺す。覚えておけ」

 

 そう言ってのけた。

 

「「「…………」」」

 

 およそチームメイトに向けるとは思えないドストレートな脅迫に監督と陽向と美空が頭を抱える。

 

『キング、よくお戻りで』

『うむ。さて我が下僕たちよ』

 

 と、一瞬で静まり返った十六夜たちのもとに、対戦相手側のベンチの声が聞こえる。

 

『この試合は楽しみに感じているものだ。その楽しみを潰そうものなら殺す。……良いな?』

 

「「「…………」」」

 

 向こうのベンチからも似たような発言をする男が1人。その発言が聞こえてきて更に頭を抱える3人。

 そのまま諸々の確認が終わると互いに挨拶してそのまま分かれてポジションにつく。

 

「……ねぇ、神奈ちゃん。何か物騒だけどこれが普通なの?」

「互いに試合を楽しみにして、互いにチームメイトにそれを邪魔されたくないから、その本心が本来かかるはずの諸々のフィルターを吹っ飛ばしてそのまま出力されたってところだね」

「つまり、普通じゃなくて、どちらかと言うとテンションが上がっている感じ……と」

「……はい」

「なんでテンション上がると発言が物騒になるのよ……」

 

 そして、試合開始のホイッスル。ボールは天王寺に渡り……

 

()ろうぜ!王様(キング)!」

「うむ!来い!」

 

 CB(センターバック)の十六夜が周りを全無視してセンターラインに居る天王寺へ突撃する。

 

「彼のシュートレンジを鑑みるに、ボールを持った瞬間にブロックに行くのは手としてはアリだ。しかも、他の者では簡単に倒されるから十六夜が行くのも問題は無い」

「あれ?彼とは相性が悪いって、前に言っていなかった?」

「大丈夫。それなら……」

 

 夏前の戦い同様、天王寺は圧倒的なフィジカルを武器に攻めてくる。だが……

 

「悪いな、天王寺」

「ぬぅ……チョロチョロと……!?」

 

 そのフィジカルと真っ向からぶつからず、相手のタイミングを見計らって一気にボールを奪う十六夜。

 

「前よりフィジカルが武器のヤツとのタイマンの経験値はあるんだわ」

 

 そのまま十六夜が攻め上がる。

 

10(テン)11(イレブン)、aとgのラインを7まで前進。リターンは先、鋭いのでいい」

 

 天王寺が反転して追いかけようとする中、十六夜からの指示が飛ぶ。前回には見られなかった味方への指示。

 

「ここで時間を稼ぎ……っ!?」

 

 そして、迷うことなく10番の選手へパスを出す。そのパスをワントラップすると十六夜の走る先へと返す。

 

「嘘っ!?コイツがパス……!?」

「ワンモア」

 

 そう言って11番へパスを通す。そして、そのパスがワントラップした後帰ってきて……

 

「お前に追いつけさせねぇよ、天王寺」

「くぅっ……!」

 

 そのままシュートを放つ。シュートは大きな弧を描いて……

 

 ザシュッ

 

 ゴールの右上隅に吸い込まれた。開始1分弱で、先取点は十六夜があげた。

 

「あ、あっさり決めちゃった……」

「当然です。向こうのチームで綾人のドリブルを止める可能性があるのは天王寺くんのみ。彼と相対しなければ、今の綾人さんが相手チームからゴールを奪うことなんてそう難しくはないのです」

「そして、彼に追いつかせないために必要なのは足を止めないこと。相手選手の時間稼ぎのブロックに愚直に付き合う必要はない。パス交換での突破……それが最速だと一瞬で判断し、淡々と正確に実行したに過ぎない」

「よく脅迫した相手をそんな淡々と使えるわ……」

「綾人さんに脅迫した自覚はないからねぇ。使えなかったら捨てる。それ以上でもそれ以下でもないから」

 

 そして、天王寺のチームのキックオフで試合再開。ボールは天王寺から彼の下僕へと渡る。

 

10(テン)11(イレブン)、前線からボール保持者へ詰めろ。a-h、5-6の範囲で愚直に走れ。9(ナイン)は……」

 

 天王寺の下へ歩きながらチームメイトに指示を出していく。その指示に従っていくチームメイト。

 

「……我へのパスコースを塞がぬのか?」

「出したらその時はオレが狩るだけ。ちゃんと計算できてる。ちゃんと読めている」

 

 そのまま天王寺の傍で淡々と指示を出す。

 

「我に出せ!」

 

 その指示に追い詰められていると悟った天王寺がボールを要求する。そこにパスが通り……

 

「ほう?あくまで正面から相対すると?」

「トラップした瞬間は警戒してるだろ?そこで下手に取りに行くよりこっちのが確実だ」

「言ってくれるな!」

1(ワン)、ゴール右に寄ってろ」

 

 十六夜と相対する天王寺。

 

「小細工不要!」

 

 ボールを左に送ると次の瞬間シュートを放つ。

 

「それは強引すぎだぜ?」

 

 しかし、シュートはゴールの右上を通過、枠外へと飛んでいく。

 

「お前にシュートを撃たれても、ゴールに入らなきゃ関係ねぇだろ?」

「やってくれるわ……!」

 

 試合は十六夜たちの優勢で幕を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は流れ前半終了3分前。試合は3-0で十六夜たちのチームがリードしていた。

 

「ありゃ?予想とかなり違うね~」

「おいおい王様(キング)!この程度かよ!」

 

 試合前に集まっていた彼らはそのままコーチと共に十六夜と天王寺の試合を観戦していた。

 フィールドでは十六夜のチームメイトのシュートが放たれるも、ゴールの枠外へ飛んでいく。

 

「あややんのチームの決定力のなさに救われているだけだよ……」

「ほんと……つぅか、十六夜のチームは決定機を外し過ぎだろ」

「むかぁっ!俺様だったらもう全部決めて10点差はつけれたぞ!」

 

 そのまま試合は進み、天王寺がシュートを放つ。しかし、そのシュートはゴールから逸れて枠外へと飛んでいく。

 

 ピ、ピー

 

 そして、前半終了のホイッスルが鳴り響く。

 

「つぅか、王様(キング)王様(キング)だ!アイツは何回外せば気が済むんだ!」

「そう怒るな犬塚。ありゃ、十六夜の野郎が一枚上手だ」

「あややんが?」

「ああ。天王寺のヤツはシュートレンジが広い……常人より遙か外側からでもシュートを放つことが出来るのがストライカーとしての魅力」

「確かに、あそこまでのキック力は僕にはないね。あんな遠くから撃てるのは素直に尊敬出来る」

「ただ、コントロールが悪いね。王様(キング)はあくまで撃てるってだけで、そこまで精度は高くない。……なるほど、そういうことかい」

「どういうことだ?加々美」

「なぁに、単純な話だよ。十六夜がやっているのは枠内に入る確率を下げる守備。王様(キング)のシュートレンジギリギリで撃たせることと、一番撃ちたいシュートコースを封じていること。この2つを徹底して行い王様(キング)を潰している」

「へぇ~あややん、難しいこと考えて守備しているんだね~」

「???よく分かんねぇけど、それなら撃たなきゃ良いんじゃないのか?」

「だが、そこで撃たなければゴールのチャンスはない。少しでもゴールに近づこうにも、一定のラインより近づいてしまうと十六夜がシュートを撃たせる守備から撃たせない守備に切り替える。パスを出そうに出せば最後、王様(キング)の下へは帰ってこない」

「よく見てるな加々美」

「今の十六夜のプレーは、地道な計算を積み重ねて出来た合理的なプレー。ここまで完璧に計算してその通りにこの試合を運んでいる……十六夜綾人という脚本家が手掛けるシナリオ通りに進行している。天王寺将馬という男を掌の上で踊らせている……まるで劇を見ているような前半戦。だからこそ、惜しいのはキャストに相応しくない醜い存在たちがいること。この劇に居るモブがもう少しマシだったらこの試合の展開はもっと変わっていただろうね」

 

 前半の様子を思い返すように目を閉じ、言葉を紡ぐ加々美。その様子を見て頷くのはコーチだった。

 

「さぁて、どうする天王寺?このままじゃ淡々と十六夜の脚本(シナリオ)通りに進んでゲームセットだぜ?」

 

 コーチは腕を組みながら後半のための調整をする両チームを観察する。

 そして、ハーフタイムは終わり後半戦スタート。キックオフと同時に十六夜がチームメイトを動かしてシュートまで持って行くも、そのシュートはゴールの枠を大きく外れて明後日の方向へと飛んでいく。ドンマイドンマイ、次行けると軽い声かけが十六夜のチームメイトの内で交わされる。

 相手のゴールキックで試合再開。パスを繋げていき、天王寺にボールが渡った。

 

「来いよ、王様(キング)

「…………」

 

(此奴は我からボールを奪うことを第一に考えていない。我に抜かせない、あるいは撃たせて外させることを第一にしている。突破さえされなければ、シュートが決まらなければ良いと考えておる)

 

 天王寺はボールを止める。十六夜は不穏なものを感じているのか攻めに行こうとはしない。一歩離れてその動きを警戒している。

 

(なるほど……強い。前よりも反応が早く、裏を一切取らせてくれない。遙かに強大な壁。ぶつかり合いに持って行けば勝てるが、そもそも持って行かせない。ちゃんと我のことを分析している。分析し、この間合いなら対応できると判断し、この立ち位置なら我の撃ちたいコースを潰していると分かっている。その上、空いているコースにはヤツらのキーパーが見え、重なっていない)

 

 首を振って周りを確認する天王寺。改めて周りの状況を確認している。

 

(しかも、ヤツのコマが我の下僕をおさえ、パスコースもない。出せたとしてもリターンはなく、結果こちらの点は決まらないか。……ああ、面白い)

 

「最高だ……やっぱり、お前さんは最高だな!」

「急にどうした気持ち悪い。勝負を諦めたか?」

「いいや……我は何処か甘えていたのだろうな」

 

 そう言って、天王寺はドリブルをする。

 

(やはりこの間合いなら此奴は無理に奪おうとしない。ヤツの思う危険な領域に我が入るまでこの守備を続けるつもり)

 

 そして、あるところで足を止める。

 

(ある種機械的で正確なプレー……理性的なプレースタイルをここまで極めたとは素直に称賛する。……ここは後1歩でも近付けば奪いに来る守備に切り替えるギリギリの場所。ここが我が自由に撃てるゴールから一番近い場所……)

 

 そのまま天王寺はシュートモーションに入る。

 

「シュートコースはないぞ?」

「ないなら作るまでよ!」

 

 そのまま放たれたシュート……今までよりは強力に見えないそれはゴールに吸い込まれるように入っていく。

 

「我は下僕を従え率いる王……最前線で蹂躙し、下僕を導く王。そんな王が下僕に甘えてどうする?王が相手に怯えてどうする?貴様のプレーは計算できる相手には強く出られるだろう。それが貴様の進化だと言うのなら素直に称賛する。……だが、王を測り、操っていると勘違いしているならその認識を改めよ。……頭が高いぞ、愚か者」

「ッチ。1本決めたくらいでいい気になるなよ愚民の王。そういうのは勝ってから言いやがれ」

「ではそうさせてもらう。貴様に膝を突かせ、頭を垂れさせようではないか」

 

 1-3……後半最初のゴールは天王寺が決める。思いの外あっさり決まったそれに観客は盛り上がりきらない。

 

「……フロー」

「ん?何か言った?コーチ」

「天王寺にスイッチが入ったって話だ」

「スイッチが入った?どういうことですか?」

「天王寺のチームは、十六夜、速水、犬塚に比べると残りの10人の忠義心が高い。全員が天王寺のためにプレーをし、自らが脇役に徹して王のために全てを捧げる」

「それはまぁ……見れば分かるけど……」

「でもでも、どういうことだ?」

「ヤツはその環境に無意識に甘えていたんだ。残りの10人が手足となって自分のために動いてくれる環境に。ヤツがシュートを外せば、セカンドチャンスをすぐに献上する。ヤツがパスを出せばヤツのやりやすい位置にボールを運ぶ。ヤツが居なくてもボールを奪ってきて、ヤツが欲しいときにもらう……多くのチーム相手ではそれが出来た。何故か?残りの10人の実力もだが、何より天王寺将馬がそれで容易く相手できるほど相手が弱かった。天王寺自身が負ける展開が少なかったからだ」

 

 圧倒的なフィジカルを持ち、チームでも突出した存在。それは相手チームからしても、自分たち以上の強力な存在で、束になっても敵うかどうかの存在。

 

「ただ、この試合は違う。ヤツは十六夜に勝つことが出来ていない状況。そして、ヤツがシュートを外しても、セカンドチャンスはすぐに巡ってこない。パスを出しても、その先で奪われ帰ってこない。ヤツが動かないとボールも満足に奪えない。確かに下僕どもは十六夜のところのゴミどもよりも強い。だが、十六夜の駒よりも弱い」

 

 天王寺のチームメイトと十六夜のチームメイトのパワーバランスは変わっていない。天王寺のチームメイトの方が10人の意思の統一度も連携も実力も、あらゆる面において、十六夜のチームメイトに勝っている。だが、十六夜綾人が頭脳として10人を動かすことにより、そのパワーバランスを拮抗……否、逆転させるまで至ったのだ。

 そして、天王寺と十六夜の間には大きな差が無く、十六夜が若干優勢な状況。それにより、天王寺は今までのような自由を封じられてしまったのだ。

 

「指揮する人間の有無で変わるものなの?」

「当たり前だろ。優秀な指揮官は兵力の差をひっくり返すほど……ゴミで格上を狩ることだって出来る。反対に無能な指揮官に任せてしまえば、優秀な兵士もたちまちゴミと化す。駒を生かすも殺すも指揮官の能力次第」

 

 再び天王寺と十六夜の対面。十六夜が天王寺のシュートコースを消す位置に立つ。

 

「生憎、天王寺側に十六夜以上に優秀な指揮官はいねぇ。天王寺も下僕どもをうまく操れないし、他の奴らも誰かが声を出したとしても、そんなアドリブで勝てるほど十六夜の駒を動かす能力は低くねぇ」

「それでは王様(キング)が負けると?」

「いいや?同じ戦い方をしようと思ったら負けるってだけだ」

 

 再び天王寺のシュートが炸裂する。大きな弧を描くとそれはゴールに吸い込まれるように刺さった。

 

「テメェは指揮官にはなれない。いや、なろうとするな。……テメェにはテメェの、王様としての道がある。テメェにはテメェの進化がある。思い出せ……そして、痛感しろ。テメェには無限のチャンスが口を開けていると降ってくるわけじゃない。チャンスは掴み取り、モノにしないと勝てねぇぞ」

「でも、そしたら今度は十六夜が負けるのでは?」

「そうだな。覚醒した事実に気付き、行動を変えないとズルズル負ける。そして、その行動の変え方は前みたいに戻ると確実に失敗する」

 

 さぁ、今度はテメェの番だぞモンスター……そう言ったコーチの目は十六夜を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 十六夜はこの2失点を受け、冷静に考えていた。

 

(シュートコースは消していた……が、消していたところに刺さったか)

 

 目を閉じ、この2失点を頭の中で映像として再生させていく。

 

(間違いなく言えるのは、ヤツのシュートのパワーが落ちていること。代わりにコントロールが上がっている……今まで、ヤツはコントロール度外視パワー全振りのシュートしか放たなかった。それをパワーじゃなくミート……そして、コースを意識した……か。シュートレンジはその影響で多少短くなっている。その分、シュートレンジ内だったら枠内を捉える可能性が跳ね上がった……多少のコース妨害程度では意味を為さないか)

 

 頭の中でフィールドを組み立て今の天王寺の射程範囲を描く。それぞれでの枠内確率のデータを更新していき、そこに他の選手たちのデータを追加することで、ここから先の試合展開を頭の中でシミュレートしていく。

 

(負けだな。このまま行くと確実に負ける)

 

 敗北を確信した十六夜はゆっくりと目を開く。彼のチームのキックオフで試合再開。ボールは十六夜が指示を出して動かしていく。

 

(つぅか、王様(キング)の目がマジだな。集中している……ゴールを奪うことに、オレを倒すことに力を注いでいる)

 

 刻一刻と状況が変わっていく。一瞬の決断が求められる。十六夜は歩きながらチームメイトへ指示を出し、その傍らで思考を進める。

 

(……ゴミを捨てるか、このまま戦うか……選ばないといけないか。はっきり言って今の王様(キング)を止めながら、ゴミどもを動かしながらは無理だ。そんな片手間には勝つことは出来ないだろう。このまま戦ったところで勝ち筋はない……だが、前みたく1対21をしようものなら、今の天王寺相手に勝算は低い。暴走して殺されてゲームセット)

 

 十六夜のチームメイトはシュートまで到達するも外れてしまう。それを興味なさそうに横目で見ると正面を見据える。

 

「……監督。それに神奈も」

「何だ?」

 

 既にライン際に居た十六夜は試合が止まったそのタイミングで声をかける。近くに置いてあったドリンクから水分を補給すると……

 

「やめるわ、こんなお遊び。そろそろストレスが限界迎えて爆発しそう」

 

 グシャ……握り潰すようにドリンクを掴む。その表情には彼の中にある獰猛な部分が見え隠れしていた。

 

「……分かった。好きに暴れてこい、バケモノ」

「ああ、行ってくる」

 

 そう言ってフィールドへと戻る。

 

「……寧ろ、ここまでよく我慢したと言うべきだろうな」

「そうですね……あまりにも他の人たちのシュートの精度が悪すぎる」

「前半最初にポンポンポンと十六夜が3得点を挙げた後、アイツはシュートを撃たなくなったが、これは酷すぎだな。このチームの決定力不足が顕著すぎる……今までの試合でも痛感はしていたが、このまま任せていたら終わるレベルだ」

「前半は外しても3点差あるという油断、今はいきなり追い上げられて来たという焦り……精神的なものがあるとは言え、元々が酷い。それでもこのデータはこれまでの試合でもワースト1、2を争う酷さですね、監督」

 

 陽向がメモしていた紙を見せる。そこには……

 

 十六夜 シュート数3 枠内3 得点数3

 11 シュート数7 枠内1 得点数

 10 シュート数6 枠内1  得点数

 9 シュート数3 枠内  得点数

 

 あまりにも悲惨な状況が数字として表れていた。他のメンバーを合わせても、十六夜抜きにすれば、シュートが枠内にすら飛ばず、決定機が既に何度も消失している。十六夜ほどとは言わないが本来であればもっと差がついていたはずの状況。

 

「……向こうの守備もある程度上手いとは言えだな」

 

 ボールは天王寺へと渡っている。先ほどまでとは違い十六夜がその距離を詰めていく。

 

「邪魔すんなよ、カスども。邪魔したら殺す」

 

 十六夜綾人は味方を一切見ていない。ただ1人、目の前に居る天王寺将馬を見ている。

 

()ろうぜ天王寺!」

「ようやくその気になったか……いいだろう!受けて立とう!」

 

 そして、十六夜と天王寺のマッチアップ。

 

「いいの?さっきより距離を詰めているようだけど?」

「うん、それでいいと思う。さっきまではシュートを撃たせて外させることを第一にした守備。広い視野で味方を動かしつつ、相手にとって撃ちたいコースを綾人が掻き消す。そして、無理やり撃たせて外させるのが狙い」

「だが、今の相手はその状況で新しくシュートコースを見出し始めた。そんな守備ではどうぞ撃ってくださいと言っているのと同じ。だから、最初からシュートを撃たせないように潰しに行った」

 

 天王寺にシュートを撃たせない。先ほどと真逆の狙いのディフェンス。

 

「くっ……!」

「オラッ!」

 

 天王寺のフィジカルによる突撃を横からボールだけピンポイントに弾く。そして、弾いたボールは十六夜のチームメイトが取る。

 

「……っ!」

 

 そして、何処か怖がっているチームメイトが十六夜の足下へボールを渡す。

 

「渡さなきゃ殺す……無言の圧でビビらせたね~」

「十六夜のヤツも扉を開きつつある。駒どもを動かすプレーを捨て、天王寺と向き合う、ゴールを決めることを優先している」

「さっきは優秀な指揮官がどうのって言っていなかった?」

「あくまでスペックだけなら優秀な指揮官になれる。だが、十六夜綾人の性格的に司令塔は向いてねぇ。お前らと同じで、アイツは自分がやりたいことを優先したい人間、戦いの中でしか生きられない人間……自己中の戦闘狂だからな」

 

 天王寺が後ろから追いかける中、天王寺の下僕たちは十六夜を遅らせようとブロックに来る。一方の十六夜のチームメイトはその豹変にどうすればいいのか分からず動けなくなってしまう。

 

「さぁ、どうする?このままじゃ前回の試合の二の舞になるぞ?」

 

 十六夜綾人の暴走……相手にとってこの状況は前にも経験したこと。勝手にバラバラになった以上、十六夜綾人に天王寺将馬をぶつける、その1点を考えてプレーすれば良い。

 

「は……?」

 

 だから、相手のディフェンダーは困惑した。シュートレンジよりも外側から十六夜がボールを蹴ったことに。ドリブルしか選択肢のないはずの男がボールを蹴り飛ばしたことに困惑する。

 

「ごふっ……!?」

 

 そのボールは棒立ちになっていた十六夜のチームメイトの顔面に突き刺さる。そして、跳ね返ったボールを既に走り出していた十六夜が確保。一切のロス無く相手ディフェンダーを突破する。

 

「見えてんだよ、オレだけのゴールまでのルートがな!」

 

 続けざま、相手ディフェンダーがやってくるもボールを蹴り出す。

 

「あがっ!?」

 

 それは相手のすぐ近くに居た駒の腹に刺さる。そして、弾かれたボールを相手ディフェンダーを躱した十六夜が確保。歪なワンツーにより、またも相手の時間稼ぎは失敗する。

 

「ここで……!?」

 

 そのまま三度ボールは蹴り出される。そのボールは逆サイドに居る味方に向けたモノで……

 

「ちょっ……!?」

 

 そのボールはあまりの光景に立ち尽くす駒に直撃。距離のお陰でそこまでダメージはないが、それでもそのキラーパスを受け取れるほどのトラップ技術は無い。そして、そのまま転々と転がっていくボール……

 

「どけ」

「っ!?」

 

 そこにいち早く追いついたのは当然、十六夜綾人。全てを理解していた男は迷いなく走り込み、慌ててボールを確保しようとした駒を突き飛ばし、そのままシュートを放つ。そのシュートは綺麗な弧を描き……

 

 ザシュッ

 

 キーパーが手を伸ばして跳び上がるもその手は届かない。ゴールの左上隅へと吸い込まれた。

 

「ハハハッ、良い成長だ」

 

 そのゴールは観客含め多くの者が固まった。そんな中で高笑いするのはコーチ。

 

「え?そうなの?」

「ああ。アイツのチームにいる粗大ゴミどもは、十六夜が駒にしねぇと戦力としてはゼロだ。この時点で1対11……だが、前の試合も含め、奴らは相手にうまく使われる……すなわち、十六夜を邪魔するように使われる。そうなりゃ、十六夜にとってはゼロ越えてマイナスだ。実質1対21になってしまう」

「そのようだね」

「それをマイナスにさせない。相手にとってのプラスにさせない。アイツはあのパスを取れると思って出していない。いいや、ああやってトラップできず跳ね返ることを期待して出していた。言うなれば、フィールドに突き刺さった杭。前はその杭の位置を把握しきれず、相手に使われたが、今回はそれを把握し、相手が何を考えたかも理解して潰し、自分が使った。そうだ……それでいい。どんなゴミも使いよう。敵に使われる前にお前が使い壊せ。どうせ、壊れても替えは居るんだからな」

 

 楽しげにそう語るコーチ。フィールドでは十六夜に文句を言うチームメイトが迫る。

 

「おまっ……味方を何だと思っているんだ!?」

「ふざけるな!やり過ぎだろ!」

「あの威力は明らかにパスの威力じゃない!」

「負傷交代させるとか……!」

「一体、何考えてるんだよ!」

 

 顔面にボールを受けた選手と腹を押さえて蹲る選手が交代を宣言される中、残りの選手たちが十六夜に突っかかる。それを心底面倒くさそうな感じで返すのは十六夜。

 

「ああ?味方?誰のこと言ってんだ?」

「「「はぁ……!?」」」

「テメェらカスどものことなんざ、味方だと思ったことねぇよ。何、自意識過剰なこと言っているんだゴミどもが。敵に都合良く使われる前に使ってやったんだ。こっちとしては感謝して欲しいくらいだが?」

「テメ……!」

「何言って……!」

「さっきまでテメェらのお遊びに付き合ってやったろ?これまでもテメェらの球蹴りに付き合ってやっただろ?最近はやりたいごっこ遊びが出来て楽しかっただろ?……そろそろサッカーさせろ、ゲロカスども。チャンスだけ潰し続け寄生することしか能がない穀潰しの雑魚どもが味方面して偉そうに命令すんな」

「なっ……!?」

「甘いんだよサルども。テメェらは自分たちが楽しくわいわいしたいがためにボール遊びしているんだろうが、こっちは勝つためにサッカーしてるんだよ。意識が低くて甘いんだよド底辺野郎ども」

「こ、こっちだって勝つために……!」

「お前の指示なら聞いてただろうが!」

「うっせぇよ、シュート1本の価値を理解していねぇ能なしが。幼稚園児でももう少し枠内に蹴れるぞルーキー未満。何回、同じ事繰り返せば気が済むんだ学習能力ゼロども。指示聞くだけ聞いてロクに遂行出来てねぇんだよ木偶の坊。主人の想定の遙か下でしか動けねぇぇ不良品操り人形(パペット)が。……もし、これが理不尽だとほざくならこれはテメェらが招いた、自業自得なんだよ。それすら理解出来ない無能置物が。そんな粗大ゴミどもは黙って壊れるまで使われていればいいんだよ。どうせ、壊れても替えはあるんだからな。精々、死ぬことでオレに貢献しろ」

 

 中指を立ててそう答える。チームメイトからの視線も言葉もばっさり切り捨て、ポジションへと歩いて行く。

 

「君、味方相手とは言えこれ以上言葉が強すぎるようだとカードを出すよ?それに非紳士的行いは控えないと……」

 

 審判が注意のために十六夜に声をかける。

 

「……はいはい」

 

 それを聞いた上で淡々と歩き出す十六夜。 

 

「……先生。内乱が起きそうな空気を感じるんですが……と言うか、何か審判に声をかけられていますし」

「サッカーのルール上、相手選手への暴言暴力だけでなく、味方に対してのそれらもファール含めた反則の対象だからな。と言っても、味方へのそれらでカードを出される選手なんてそう聞いたことないが……流石にこの試合開始時点から危うい発言をし過ぎたようだ。それに味方に対して思い切り中指立てていたしな。相手が違えば処分ものだぞ」

「…………」

「それにしても、まさか味方をボールを通すための壁としか思わないとは……流石と言うべきか。思っていても実行するのは難しいぞ?」

「どんな使い方でも良いって言いましたからね。それにこの使い方は想定内です。これで綾人の選択肢は広がっている……止めるのも時間稼ぎも容易ではなくなった」

「いやいやいや!肯定している場合じゃないって神奈ちゃん!」

「え?何で?相手のキングを奪うのに必要な犠牲でしょ?」

「チェスじゃないからね?」

「プロモーション出来ないポーンの犠牲でキングが取れるなら、その程度は安いモノ。最小限の損失で最大限のリターンを得られるのならやる価値は大きい」

「ああもう!戦術的に正しくても、それをやっていいか悪いかの善悪のラインを持って」

「善悪?ルールの範疇で戦っているんだから問題ないよ。というか、勝つために本気を出すのなら善悪なんて甘いことはダメだよ。勝てば善に、負ければ悪になるんだから」

「あなたたちは本当に……このままじゃチーム内で暴力沙汰になりますよ?いいんですか、先生?」

「教師としては十六夜を咎めるべきだろうが……ここまで他のメンバーの好きにさせた結果がこれだ」

「それに心配しなくても大丈夫だよ、雪ちゃん」

「え?何が?何も大丈夫じゃないと思うんだけど……」

「綾人はそれを狙っている……ううん。そうなるともっと都合が良いと思っているだろうから」

「は……?」

「だって、ボクならそうするから」

 

 不穏なことを言い出すベンチをよそに試合再開。ボールは天王寺が持ち……

 

「ゴミどもが……!煩わしい!」

 

 そこに群がるは十六夜のチームメイト。

 

「残りの10人の感情を煽り、十六夜に渡さないようにする。2人が十六夜を押さえつけ、残りはボールへ。もうサッカーをしていない……小学生のお団子サッカーより酷い状況だ」

 

 7人が天王寺からボールを奪おうと突撃する。

 

「言われっぱなしだが、的を得ていることも分かっている。そして、フラストレーションが溜まっているのは彼らも同じ……だから見せつけようとする。十六夜抜きでやれるところを。それに十六夜にボールを渡さないことで身の安全を確保する。実に合理的だ」

「……綾人にプレーさせないことが自分の身の安全に繋がるって……理屈は分かるけど……」

「相手のチームは天王寺くんしか撃たないことが分かっている。そこが変わらない、究極のワンマンチーム相手だから出来る戦術。そして、生まれるのは混沌……」

 

 そんなもみくちゃ状態でも、天王寺はフィジカルを武器に1人、また1人となぎ倒していく。

 

「だからこそ刺さる」

 

 コマが倒れるのに見向きもせず、コマによって出来た僅かな隙……その一瞬を刈り取るバケモノが1匹。

 

「予定調和だ、ゴミども」

 

 十六夜綾人……自身を押さえてきた2人をあっさり出し抜き、残りを隠れ蓑にしてボールを奪い去る。

 

「奪え!」

「アイツに持たせるな!」

 

 天王寺の下僕と十六夜のチームメイトが同じようなことを口にする。果敢に十六夜にぶつかるは十六夜のチームメイト。完全な敵対宣言……それを見てバケモノは口角をあげる。

 

「ちょっ、何しているの!?」

「何って十六夜から奪おうとしているんだろうな。だって、アイツがボールを持っていたらどう使われるか分からないし」

「だからって無茶苦茶よ!?こんなのもうサッカーじゃ……」

「でも、それでいいんだよ。無能な味方は優秀な敵よりも厄介。そして、置物にも限界はある。……だったら、全員敵にまわるのが一番いい。全員を敵に回し、敵に回ったからこそ容赦なく使い壊せる」

「…………」

 

 隣にいる天才の思考に頭が拒絶する美空。おかしいのは自分だけではない。観客もごく一部の楽しんでいる人たちを除いては困惑を隠せていない。だって、そうだろう?仲間割れどころか堂々と敵対しているんだ。そして、その状況を待ち望んでいたような反応をするマネージャーと……

 

「ナイス壁」

「ッチ!」

 

 自分に突撃してきた味方を、相手を押さえる壁に使う。その味方にボールをぶつけてボールを通す。混沌としているフィールドを駆け上がる十六夜。残りの全員が自分と敵対している……1人の状況なのに、今までよりも楽しそうに蹂躙する。

 

「アイツはサッカーに向いていないな」

「でしょうね……。チームプレーも出来ないし、協調性も皆無だし……何で全員敵に回す方が生き生きとしているのよ……」

「だが、今までと違うのは、残りの10人がちゃんと敵に回ったこと。そして、相手チームの戦力にもなっていない。言うなれば1対10対11の状況……なるほどな。味方として置物で何もしないし出来なくて相手に使われるくらいなら、敵に回ってでも動いてくれた方がやりやすいか。十六夜には謝らないとな。チームメイトを敵に回した方がチームとしては強くなるか……流石に読めなかったな」

「…………」

 

 十六夜に破れたチームメイトが結果的には天王寺との間に入って彼が追いつくまでの時間を稼ぐ。この混沌が天王寺が十六夜に追いつくまでの時間を与えない。この混沌が天王寺と十六夜の1対1の状況を作らせてくれない。そのまま追いつかれる前に振り抜きゴールを奪う。

 

「……ちゃんとサッカーで戦いたかったな」

 

 ボソッと十六夜がそんな願望を口にする。十六夜自身、天王寺とのまともな1対1が出来ず、自分が引き起こしたとは言え、こんな荒れに荒れた状況には不満がある。本当だったらこんな状況にすることなく勝ちたかった。

 頭を振りその気持ちを捨て去る。自身が望む勝ち方で勝てるほど自分は強くない。それを理解し、勝つために不要なものを捨て去り、勝つために必要なものだけを残す。

 天王寺のチームのキックオフで試合再開。

 

「オラァッ!」

 

 天王寺に群がるゴミをそのフィジカルで一掃する。

 

「……っ!?」

「ヒット!」

 

 ショルダータックルで弾き飛ばしたゴミが陰に潜んでいた十六夜にぶつかる。そのせいで十六夜の足が止まり、ゴールまでの道筋が出来る。

 

「チッ!」

 

 飛んできたゴミを振り払うと天王寺を追い掛ける十六夜。しかし、十六夜が追いつくよりも先にシュートが放たれゴールへと吸い込まれる。

 

「この状況で決める相手も相手ね……」

「彼は彼で強い。綾人と同じバケモノ……間違いなくこんなところで埋もれさせてていい存在じゃない。だから、今の手駒で彼を封殺しきるのは厳しい。だけど、十分勝てる手を打っている。最善手ではないにしろ、ちゃんと勝率が高い手を打っているよ」

「…………ちなみに、神奈ちゃんの言う最善手って?」

「そうだね……綾人はまだ駒の扱いが不得手。だから、敵に回した10人も、天王寺くんのチームの10人も、行動を読み切れていない。読み切れていないから使いこなせていない。……まぁ、ボクの考えていることはある意味理想だし、綾人の性質と合わない部分もあるけど、それでもまだ動かす能力が弱いかな。一つ言えるのは、綾人はゲームの完全な支配者になれていない」

「…………」

 

 隣の天才はこんな状況でもすべてが見えているのだろう。この場にいる誰よりも、先が見えていて、誰よりも最善手を打つことが出来る。そう思わせるだけの力があった。

 そして、この試合は最後まで十六夜と天王寺が互いにぶつかり合って終焉を迎える。夏前の試合と異なったことはただの2人の激突ではなく、死に物狂いで乱入する者たちの存在。十六夜たち側の交代枠を全て使い切ったこの試合は、最終スコア7-5で十六夜の勝利で幕を閉じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、翌日。十六夜が所属するサッカー部は0-24で大敗し、人知れず大会から姿を消したのだった。




十六夜綾人
 およそ主人公とは思えない程暴言を連発し、チームメイトを負傷交代させ、交代枠を使い切った原因その1。審判によってはカードが出ていて退場していた可能性すらある。やはりお前は敵ではないのか?
 無能な味方を敵に回す暴挙に出る。前回の敗北を受けて、ちゃんと仲間を使って勝利をおさめた。そういうことじゃないと普通なら言われそうだが、そういうことを言える人間も言う人間も周りに居なかった。
 多分、円堂あたりがこの試合を見たら「こんなのサッカーじゃない」と言うだろうが、この時代の彼は認めていない者の言葉を聞く耳を持たないので一蹴されそう。何なら今の十六夜でも一蹴していそう。

天王寺将馬
 十六夜の与えた不自由が彼の実力を発揮させる。自分に対して挑んでくる者が少なくて退屈していたが、十六夜のお陰で楽しめた様子。十六夜のチームメイトを負傷交代させて交代枠を使い切らせた原因その2。ファールはギリギリ出なかったが、この後、審判からは十六夜と共に注意された。
 余談だが夏前は十六夜に勝った次の試合に出場せず、そのままチームは敗北した。出なかった理由はコーチに止められたから。

コーチ
 全ての元凶。教え子たちがちゃんと成長をしているのを見られてよかったと思っている。

監督
 このチームは問題だらけだと改めて痛感する。教師としては十六夜を咎めるべきだと分かってはいるが、監督としてはチームメイトたちのレベルや意識が低すぎて起きた問題だと認識しているため、十六夜を咎めることはしなかった。なお、止めていた場合は十六夜が二度と言うことを聞かなくなるため、ある意味では正解を引き当てたとも言える。

十六夜のサッカー部部員たち
 コーチたちや十六夜からゴミやカスとぼろカスに言われている。ただし、実力的には地区予選初戦敗退レベルが良いところ。十六夜が強引に押し上げているだけなので、十六夜が抜けて大差ぼろ負けしているのが本来のチームとしての力である。なお、次の試合でこんな大差で負けている相手ではあるが十六夜が居たら勝てた試合である。
 ちなみに、天王寺との試合以外も1-0か2-0でしか勝てず、あまりにもシュートを外し続けるので十六夜のストレスを溜めていたとか何とか。こいつらがもう少し強ければ十六夜はこんなプレーをしなかったかもしれない。あくまで何処までもエンジョイ勢でサッカーは趣味程度の彼らと色んな意味で突き抜けたガチ勢が生み出した悲劇である。

陽向神奈
 十六夜に関しては影響力が強い存在。前回の敗北の時点でもだが、彼女の言う味方の使い方の中には十六夜の使い方も含まれている。彼女の中で十六夜のプレーは想定内であり、全肯定どころかもっと上手く捨て駒として使える方法も思いついていたあたり、彼女も円堂たちと話が合わなさそう。と言うか、八神さんとサッカーに関してのことは合わなさそう。もっとも、彼女のサッカー感を狂わせたのは十六夜なのでお互い様である。

美空雪
 サッカーってこんなスポーツだっけ?
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