超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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本編戻ります。


VSオーガ ~80年後からの襲撃~

「では、今日からイナズマジャパンのみでの練習を始めていく」

 

 ヘブンズガーデンでの工事の日々も終わり、日常が帰ってきたそんな日。

 久遠監督の言葉で練習を始めようとするイナズマジャパン。しかし、いざ始めるとなった瞬間……

 

 ドンッ!

 

「「「なっ……!?」」」

 

 背後のグラウンドに何かが墜落。同時に砂埃が巻き起こり、一瞬にして彼らの視界は砂で閉ざされる。

 

「始めろ」

 

 砂塵の中で聞こえた声。砂埃が落ち着いた次の瞬間、イナズマジャパンの選手、マネージャー、監督たちは衝撃に見舞われる。

 

「…………え?」

 

 誰かの状況が理解できずに出てしまった声……そして目を開けるとそこは芝生のサッカーコートになっており、グラウンドから何処かのスタジアムに瞬間移動したように思える。いや、それだけではない。先ほどまで晴れ渡っていた空は闇を思わせるかのように黒く染まっており、ゴールの後ろには何か鬼を思わせるようなオブジェクト。そして、至る所にパネルが浮いておりそこにはイナズマジャパンのエンブレムと謎のエンブレムが書いてある。

 

「円堂守だな」

「「「ん?」」」

 

 と、そこでグラウンド……否、サッカーのコートの中央には9人の男が立っていた。その内の1人が前に出て声を掛ける。

 

「えっと……君は?」

「バダップ・スリード。円堂守並びに十六夜綾人からサッカーを捨てさせる為に来た」

「「「はぁ?」」」

 

 その発言は衝撃を生み、理解に苦しむ。いきなり現れ、変なところに連れてきたと思えば、サッカーを捨てさせる為に来たと言う少年たち。あまりにも訳の分からない発言。困惑を隠せない中……

 

「円堂……お前、何かしたか?」

 

 取り敢えず、名前の挙がった円堂に事情を聞くことに。

 

「お、俺か!?い、いやぁ……何もしてないけど……」

 

 しかし、円堂自身に思い当たる節はない。そうなると……

 

「じゃあ、十六夜だな」

「そうだな。それしかない」

「アイツ……また隠していやがったな……」

「今度はどんなトラブルを持って来やがったんだあの野郎……」

 

 名前の挙がっていたもう1人の男……十六夜綾人。その場に居た誰もが、彼が何か知っているのではないかと思い始める。彼は問題や事件によく自ら突っ込む、本人以外は誰もが認めるトラブルメーカーの問題児のため、彼が起こしたトラブルの1つではないかと。だが……

 

「と言うか十六夜はどうした?」

「確か、遅れて参加……でしたよね?監督」

「ああ。病院に行っているはずだ」

 

 問題は容疑者筆頭候補である十六夜綾人がこの場に居ないことにある。本人が居れば聞けたのだがそういうわけにもいかない。

 

「……監督。圏外のようです」

「そうみたいだな」

 

 しかも、電話を掛けように圏外。これでは現状報告及び確認も出来ないのだ。

 

「心配無用。十六夜綾人には別動隊を向かわせてある」

「「「…………」」」

 

 そこは誰も心配していない……そのことを口に出すことなく、心の中で秘める。そもそも状況が理解出来ていないのだ。

 

「円堂守。俺たちとサッカーで勝負しろ。ここでお前からサッカーを捨てさせる」

「えっと……よく分かんないけど、俺たちとサッカーで勝負したいってことだよな?いいですよね、監督」

「ダメだ」

「え?」

「あまりにも情報がなさ過ぎる。それに目的も動機も分からない以上、この勝負は危険すぎる」

「監督に賛成です。第一、円堂からサッカーを捨てさせるための勝負など呑むはずがない。あまりにもリスクが大きすぎる」

「……そうか、実に残念だ。だが、お前たちは受ける以外に選択肢はない」

「何故だ?」

「ここオーガスタジアムには結界が張ってある。外部からの干渉を一切受けず、内部からも破壊不可能な結界だ。お前たちは完全に隔離されている。我々が解除しない限り、お前たちは外に出られない」

「……つまり、勝負を受けなければ、ここから出られないと」

「その通りだ。もちろん、ここで最期を迎えたいのなら拒み続けるといい」

「…………受けざるを得ないわけか」

 

 受けないという選択肢を潰され残るのは受ける選択肢のみ。イナズマジャパン側が受ける選択しか取れないと悟ると同時にバダップ以外の8人はポジションに着いた。

 

「……いいだろう。この勝負受けよう」

「賢い選択をしたようだな」

 

 そして、久遠監督は響木監督と共にベンチの方に下がる。他の選手やマネージャーたちもいったん下がることにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃……

 

「はぁ……オレと円堂からサッカーを消すためにやってきて?お前らは別動隊で?勝負を受けなければそもそもここから出られないって?」

 

 十六夜綾人は11人の男たちに囲まれていた。

 

「その通りだ」

「めんどくさ……」

 

(何だよこの変人集団……どいつもこいつも同じような感じで正直見分けつかねぇっての。……あれ?今回ばかりはオレ何もしてないよな?アイツら……今度はこんな面倒ごとを拾ってきやがって……オレでなければ怒っていたぞ?まったく、困った奴らだ)

 

 状況で言えばピンチなのに、何処か別のことを考えている。病院に向かう最中に、男たちに囲まれ、気付いたらスタジアムに瞬間移動させられた。しかし、そのことに驚くのではなく面倒くさささえを感じる始末。これが超次元サッカーに慣れてしまった男の末路だというのか?

 

「サッカーはやってもいいけどさ、別動隊ってことは本隊より弱いんだろ?……はぁ。どうせならオレの方に本隊よこせよな。やる気なくすわ……戦うことすらめんどくせぇ……なんで雑魚の方をオレに派遣するんだよ……チェンジ希望よろしくて?本隊とチェンジで」

 

 目の前の奴らより強い方が円堂たちに行っている。つまり、これから相手するのは弱い方だと分かってしまっている。その事実が十六夜からやる気を奪っていた。

 

「貴様1人、我らだけで十分だ。本隊が出るまでもない」

「…………ああ?そんな戯れ言吐けなくしてやろうか?」

 

 と、軽い挑発に乗せられる十六夜。

 

「まぁまぁ、落ち着きなって十六夜綾人」

「…………っ!?貴様らどうやって入ってきた!?」

 

 スタジアムに現れたのは……

 

「俺たち?普通に入ってきたけど」

「そうね。特別なことはしていないわ」

「AとLか……何しに来た?」

 

 AとLの2人である。

 

「うーん……助っ人かな?流石に1人じゃサッカーは難しいでしょってことで、手助けに来たよ」

「そういうわけでブラザーが入る」

「……え?シスターは?」

「面倒。ブラザーだけでよろしく」

「えぇ……」

「……お前ならいいか」

「……意外。『オレ1人で十分』と一蹴されるかと思った」

「間近でお前のプレーを見られる良い機会だからな。それに戦力は多い方が使える手が増える。使えるヤツのありがたい申し出を拒みはしねぇよ」

「そう……で?そちらもいいよね?王牙の別働隊さんたち?」

「……いいだろう」

「こいつらのこと知ってるのか?」

「まぁ……何と言うか……」

 

 歯切れの悪いLはAの方を見る……が、Aはその視線を無視する。

 

「Aが何かしたのか。ならいいわ」

「酷い。どういうことか問いただしたい。問いただして事と次第によっては謝罪を要求する」

「お前なら何しても不思議じゃねぇから」

「悲しい。そんなに信用されていなかったなんて泣いちゃう。えんえん」

「嘘泣き下手くそか。そんな猿芝居じゃ誰も騙せねぇよ」

「じゃあ、本気で泣いてみるから観てて」

「まぁまぁ、お2人さん。じゃれあいもいいけど、向こうの人たち待っているからさ……で、君たちに提案なんだけど、2対11で普通にサッカーしても良いけど面白くないじゃん?だから、10点差を付けた方の勝ちってルールでどう?」

「10点差?」

「そうそう、フィールドのサイズも変わらないし、必殺技も使用オッケー。普通にサッカーするけど勝敗の決め方は時間じゃなくて10点差を付けた方の勝ちにするってこと。そして、決着がつくまで休憩はなし。時間無制限の1本勝負。どう?それならこっちは最大で3人だけどアンタらは最悪人数増やせる。時間が経てば体力の差は浮き彫りになるし、何より10点あれば最低限時間稼ぎくらいは出来るんじゃない?」

「それは……そうだが……」

「ああ、もちろん、拒んでも良いよ?だけど、そうだなぁ……受けてくれないとシスターが()()()()このスタジアムを破壊しちゃうかもね」

「そんな野蛮なことしないわ」

「……分かった。受けよう」

「本当にぶち壊してやろうかしら」

「まぁまぁ……さぁ、準備しよっか」

「ん?スタジアム破壊のか?いつでも準備できてるけど?」

「何で君はそっち側に行くのかな……」

 

 いつの間にか会話の主導権を握っていた2人。圧倒的アウェイのはずだけど、気付けば立場が逆転していた。

 

「十六夜綾人、結界に向かって皇帝ペンギン1号」

「仰せのままに」

「やめてあげて?ほら、サッカーの準備するよ?」

 

 Aと一緒に結界を破壊しに行こうと思ったら、Lが止めてきたので諦めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スターティングメンバーを発表する。染岡、風丸、基山、土方、壁山、立向居。お前たち6人は昨日までの疲労がかなり残っている」

「そんなことね……っ!」

「それに加え筋肉痛もかなりのものだろう。この試合で無理をするわけにはいかない。よって、お前たち6人はベンチで行く」

「……加えて、十六夜くんが不在ということは……あれ?1人足りないんじゃ……」

「ああ。この試合は公式戦ではない。だから、八神。前と同じように頼めるか?」

「分かりました。やってみます」

「ゴメンね、頼んだよ八神」

「任せろヒロト。お前も十六夜も居ない分は私がなんとかする」

「これで11人。不測の事態が起きない限り、交代はなしで行く。異論は?」

「……クソッ、頼んだぜ豪炎寺。あんなよく分からねぇ野郎たちに負けるんじゃねぇぞ」

「染岡……ああ。任せてくれ」

「円堂、敵の狙いはお前だ。気をつけろ」

「大丈夫さ!これはサッカーなんだ。アイツらがどんなプレーをしても、俺たちは俺たちのサッカーをするだけだ!」

「その通りだ円堂。ポジションだが、FWに豪炎寺と宇都宮。MFに八神、不動、鬼道、佐久間。DFに木暮、綱海、飛鷹、吹雪。GKに円堂だ。いいな?」

「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、手袋とスパイクとレガース」

「……え?何でオレのがここに?盗んだ?」

「ううん。取ってきた。必要になると思って」

「……本人の許可がないなら盗んだことになりそうだが……まぁいいか。名目上のキーパーはオレがやればいいか?普通に攻めるつもりだけど」

「うん。よろしく」

「私は観戦しているわ」

「何で人数少ねぇのに観戦者がいるんだ?せめてベンチじゃねぇのか?」

「仕方ないわね。じゃあ、監督をやるわ。十六夜綾人はFWとMFとDFとGKで、ブラザーはFWとMFとDFね。方針は適当に頑張って」

「この監督クソ過ぎだろ。ここまで雑なスタメン発表と作戦聞いたことねぇよ」

「あらいいの?監督権限であなたをベンチに置いてブラザー1人に戦わせるわよ?」

「やってみろよ。そんな采配するんだったらアイツ1人でも勝てるだろ?」

「あはは……頼むからこれ以上の無茶ぶりはやめて欲しいなーって思うんだけど……」

「上等ね。ブラザー、あなた1人で戦いなさい。私は監督として見届けるわ」

「いいだろう。おいL。オレはコーチとして腕を組んで立っていてやるからお前1人で倒してこい」

「やめてよね!?絶対悪ノリだよね!?」

「10分ね。10分で倒してきて頂戴」

「ああ?うちのLだったら5分あれば行けるだろ」

「ブラザーの実力を分かっていないようね。3分で十分よ」

「じゃあ2分だ。2分で行けるはず」

「甘いわ。1分で……」

「これ以上はやめて!?本当に2人ならやりかねないからさ!」

「やれやれ、そんな本気でやるわけねぇだろ」

「ブラザーからの信用が低くて泣いちゃう。えんえん」

「ほら十六夜綾人行くよ!シスターはそこでじっとしていて!」

「へーい」「はーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「円堂守、サッカーを始めようか」

「ああ!良い試合にしようぜ!バダップ!」

 

「十六夜綾人、サッカーをやろうか」

「精々、オレを退屈させないでくれよ?」

 

「ここは戦場、馴れ合いなど不要」

「戦場……?十六夜みたいなことを言うんだな」

 

「ここは我らのホーム。いつまでその余裕を保っていられるかな?」

「頼むから少しは抵抗してくれよ?虐殺しても面白くねぇからな」

 

 ピー!

 

 イナズマジャパンとオーガの試合は2試合同時に幕を開けるのだった。




 強化イナズマジャパンVSほぼ原作映画のオーガ
 十六夜&LVSオーガ別動隊
 2試合同時開戦ですね。……ちなみに、このままだと天使や悪魔たちの二の舞になりそうなのは内緒。更に主人公が敵より敵側の発言しているのも内緒。

 次回、プラン崩壊修正不可能
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