超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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 本年最後の投稿です。皆様、よいお年をお過ごしください。


VSオーガ ~最終兵器投入~

 そして、前半終了間際……ボールは八神が持っていた。

 

「な、何だこの女は……!?」

「ボールが奪えないだと……!?」

 

 ディフェンダー2人を華麗なテクニックで抜き去る八神。

 

「アイツ……あんなに上手いのかよ」

「ただのマネージャーじゃない……さすがは元ジェネシスの選手……いや、それ以上か」

「ハッ、選手として出てもらえないのが勿体ないレベルだな」

 

 天使戦に居なかった2人の司令塔は、そのプレーを見て舌を巻く。

 

(やはりLに比べれば……オルフェウスの選手たちに比べれば数段落ちる印象だな。もちろん、パスという選択肢があるのは分かっているが……)

 

「このままシュートまで行ってもいいか?」

「もちろんだ。行けるなら行って来い」

「フォローが必要なら任せてくれ」

「助かる」

 

 2人に声をかけるとそのまま1人、また1人と突破していく。

 

「お前たちは、十六夜からもサッカーを捨てさせると言っていたな?悪いが、それはやめてもらおうか。サッカーはアイツにとって大切な、それこそ生きる理由なんだ。もし、お前たちがそれを強引に取り上げると言うのなら……」

 

 キーパーと2人のディフェンダーを前に急停止する八神。

 

「私がここでお前たちを倒し、その企みを潰してやる」

 

 その言葉と同時に体を屈め力を溜める。それと共に宇宙服を身に付けた5羽のペンギンを足元から呼び出し、ボールと共に上空へと打ち出す。打ち出した先は満月が青く輝く夜空。ペンギンたちが蒼い満月の下でボールを周回しているところに背面跳びの格好でボールの下に回り込み、オーバーヘッドキックを放つ。

 

「ブルームーン!」

 

 シュートと同時に宇宙服を弾き飛ばしたペンギンたちは、蒼い光を放ちながらボールと共にゴールへと突き進む。

 

「ハイボルテージ!」

 

 一方の相手キーパーザコメルは両手にそれぞれ2人のディフェンダー、ブボーとゲボーを乗せ、必殺技を放つ。

 

「悪いがそのくらいじゃ止まらない。……押し切らせてもらう」

「ぐあああああっ!?」

 

 現れた電気の壁をペンギンたちが貫き、シュートは3人の選手を吹き飛ばすとゴールへと突き刺さる。

 

「凄い!凄いシュートですよ、八神さん!」

「うん……八神さんってあんなに上手で凄いシュートまで持っているんだね……」

「アドバイザーだったよね?ここまで来ると試合に出れないのが勿体ないね」

「確かに素晴らしいシュート……!ですが、何で先に技名を決めちゃっているんですかぁ!」

 

 4-0、ベンチでもフィールドでも今の得点に盛り上がりを見せる。

 

 ピ、ピー!

 

 そして、前半終了のホイッスルが鳴り、フィールドの11人はベンチに戻ってくる。

 

「お疲れさま、八神」

「ああ、ありがとう。ヒロト」

 

 ヒロトからドリンクを受け取った八神。

 

「ナイスシュート。惚れ惚れする技だね」

「改めて、特訓付き合ってくれてありがとう、ヒロト」

「良いよ、気にしないで」

「私はアイツの隣に立ちたい。でも、今はまだ差がある……これはその差を埋める一歩だ」

「うん、俺も負けていられないね」

 

 八神の新しいシュート……彼女もまた、昔とは比べものにならないほど強くなっている。だが、それでもまだ十六夜の何歩も後ろ。隣に立つ……そのために彼女はまだ強くなる。

 

「前も思ったけど、八神は十六夜くんが関わるといつも以上に力を発揮するね。確かに実力は、俺たちも知らないうちに伸びているけど、それだけじゃない。想う力が八神を強くしているのかな?」

「…………」

「ごめんごめん、そんな睨まなくて大丈夫だよ。そう言えば、十六夜くんの方は大丈夫かな?別動隊が送られたとか言っていたけど……」

「……アイツなら大丈夫だろう。私たちがここまで優位に戦える相手に対し、後れはとらないはずだ」

「それもそっか」

 

 ヒロトと八神の会話が一段落し、ハーフタイムも半分が過ぎようとした頃、それは起きた。

 

「何ですか?アレ」

 

 フィールドの上空からコートへと降りている4本の太い光の柱。そして、次の瞬間、

 

 ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

 4回の地響きがフィールドを襲う。光の柱の先では砂煙が立ちこめていた。

 

「な、何だ何だ!?」

「爆発!?大丈夫なんですか!?」

 

 突如起こったそれに動揺する面々。徐々に砂煙が落ち着くとそこには……

 

「……え?何ですかアレ?」

 

 オーガ側のユニフォームを纏った4人……いや、4体のメカがそこに居た。

 

「メカ……?人型のロボット……?」

「あ、でも一番端のロボット、髪型が豪炎寺さんっぽいですよ?」

「じゃあ、その隣は鬼道か?ドレッドヘアーにゴーグルにマントだな」

「それなら更に隣は吹雪……?で、最後は……」

「十六夜……?いやまぁ、髪型と何となくの表情的にそうだろうけど……」

 

 4体のロボットはそれぞれ豪炎寺、鬼道、吹雪、十六夜の4人に近いものだった。もちろん、近いと言っても、そっくりというほどではないが。

 と、そんな中、オーガの11人の方へと歩いて行くメカたち。

 

「最終兵器を投入……相手の強さを鑑みて彼らを投入せざるを得ないと判断されたのですね」

 

 最終兵器……そう呼ばれた彼ら。そして、オーガの面々は4人をベンチに残すとロボットを含めた11人がポジションに着いてスタンバイをする。

 

「……え?もしかして、選手として出るんですか?」

「みたいだな……」

「メカ豪炎寺とメカ吹雪はFW、メカ鬼道はMF、メカ十六夜はDFのポジションに居るな……」

「メカか……正式名称が分からない以上、ひとまずその呼び方で統一しよう」

 

 と、久遠監督が意見を採用したことにより、そう呼ぶことにしたメンバー。

 

「いやいや!?メカが試合に出るってアリなんですか!?」

「ここは向こうのテリトリー……彼らのルールに則るしかない。こういう不条理は既に経験しているはずだ」

 

 つい先日の試合のせいで、あれこれ文句を言っても無駄だと痛感しているイナズマジャパンの面々。

 

「……まぁ、魔王よりはマシか……ん?メカって魔王よりマシなのか?」

「どちらも一応人型だからな……」

「判断しかねますね……」

 

 あくまで向こうのメカが人型なのと、サッカーで戦う意思があるのなら、それで十分だという結論に達したのだった。

 

「きっと未来の凄い技術なんだよ!未来ではロボットと試合できるのか……何だかワクワクするな!」

「ああ。今では考えられないな……」

「エイリア学園の基地にあったアレから未来だと何処まで進化しているのか……」

「アレは一応警備ロボットだからね……」

「というか、え?アレも必殺技とか使うの?」

「さぁ……?」

「とにかく、あまりにも敵の情報がなさ過ぎる。お前たち、前半のリードは忘れるんだ。気を抜くと負けると思って試合に臨むこと。たった数人の実力者が点差を覆した試合はお前たちも目にしたはずだ。いいな?」

「「「はい!」」」

 

 当然、ベンチメンバーとの入れ替えはなし。イナズマジャパンの面々は前半と同じようにポジションにつく。

 そして、オーガのキックオフで試合開始。

 

「「「「ノーマルモード、起動」」」」

 

 その言葉と共に動き出すメカたち。ボールはメカ豪炎寺が持った。

 

「豪炎寺さんの偽物に負けませんよ!」

「ヒートタックル」

 

 対するは虎丸。しかし、メカ豪炎寺は自身の身体に炎を纏わせると虎丸に突撃。タックルで吹き飛ばした。

 

「キドウ」

「アア」

 

 メカ豪炎寺からメカ鬼道へとボールが渡る。対するは本物の鬼道。

 

「……なっ!?」

 

 しかし、鬼道はあっさりと抜かれてしまう。

 

「何あっさり抜かれてんだ!」

 

 そう言って不動がブロックに行く。

 

(と、口では言ったが、あの鬼道クンがあっさり抜かれるなんて、相手が相当の実力者か鬼道クンの思考を完全に分析しているかのどちらかしかねぇ)

 

 メカ鬼道の動きについていく不動。

 

(だが、俺をあっさり抜けねぇってことは恐らく後者。……となると、まさか……)

 

「ペンギンボール」

「……っ!」

 

 メカ鬼道が、一回リフティングした後にボールを蹴ると、ボールからペンギンの嘴と羽が生える。そして、不動の周りを飛び回って翻弄し突破した。

 

「ゴウエンジ」

「オウ」

 

 そしてボールはメカ豪炎寺へと渡る。そのままドリブルでブロックに来た相手を突破する。

 

「よし、来い!」

 

 ボールを前に蹴り出すとメカ豪炎寺は跳び上がりその身に炎を纏う。そして、その炎は左足に集中し、そこから勢いよく炎が伸びる。

 

「マキシマムファイア」

 

 その炎をボールにぶつけると、ボールは炎を纏い、地面を抉りながら突き進む。

 

「風神らいじ――っ!?」

 

 円堂は力を溜め、それを解放しようとする。だが、相手のシュートは魔神が出る前にゴールに突き刺さった。

 

「イッテンメ」

 

 淡々とその事実を告げると自陣へと戻るメカ豪炎寺。そこには感情はなく、ただ仕事を果たしただけのように感じる。

 

「ごめん、皆!」

「ドンマイドンマイ!取り返していこうぜ!」

 

 気持ちでは負けていない。ただ、今の失点はマグレではないことは皆分かっていた。

 

「……今のじゃ遅かった……マジン・ザ・ハンドを改良したみたいに、もっと早く出来ないと通用しない……か」

 

 手を見つめる円堂。風神雷神は確かに今の円堂の使える必殺技の中では強力な技。だが、その反面で溜めの時間が長いのが弱点になってしまいるのが現状。昔のマジン・ザ・ハンドと同じく、溜めの最中に決まってしまうのでは止めようがない。

 

「なぁ、気付いたか?」

「ああ。お前もか?」

「……アイツらの動きは鬼道クンや豪炎寺に近い……だが、問題はそこじゃねぇ」

「……俺たち……あのメカは俺や豪炎寺、吹雪、十六夜を分析して作られている可能性が高い。それも、オーガが持っているデータ以上の何かを基に作られているかもしれない……もしそうなら、俺たちではあのメカに完全に読まれてしまう」

「お前があっさり抜かれた理由なんてそれぐらいしかねぇ。あのメカとお前らオリジナルの相性は最悪と言って良い。さっきの得点に絡んでいないメカ吹雪とメカ十六夜も本人を分析し、本人と同等以上のスペックを発揮するってなれば……」

「……これは早急に対応しないと手遅れになるな」

 

 一方の不動と鬼道も今の失点からどうするべきかを分析する。

 そして、イナズマジャパンのキックオフ。ボールは豪炎寺が持った。対するはメカ豪炎寺。

 

「やはり……そういうことだな」

 

 豪炎寺がドリブルで突破を試みるが、全て先手を打たれている。メカは元となった人間を分析して作られている……それを確信するとすぐさまバックパスをする。

 

「佐久間!」

「ああ!」

 

 鬼道にボールが渡るが、メカ鬼道が迫る。1対1になっては勝ち目が低くなることを悟り、佐久間へとパスを出す。

 

「行カセナイ」

 

 と、そこへやってきたのはメカ吹雪。足元をまるでスケートリンクのように氷を張らせながら滑ってやってきて……

 

「フリーズグランド」

 

 回転しながら跳びあがり、踵落としをすると佐久間に向けて一直線に氷が生えてきて、佐久間を氷づけにするとそのまま奪い去る。

 

「しまった!」

 

 そして、ドリブルをして突き進む。そのスピードは吹雪と同等。

 

「僕が行く!」

 

 対峙するのは吹雪。だが、メカ吹雪は吹雪の動きを完全に見切っているのかあっさり突破されてしまう。飛鷹がフォローに入るもそのスピードで置いて行かれ……

 

「来い!」

 

 メカ吹雪はボールを軽くあげると辺り一面を自身ごと凍らせる。空にはオーロラがかかる中、自身を覆う氷が砕け落ちると、氷の結晶の中にあるボールを思い切り蹴りつける。そして、着地と同時に爆発的な速さを見せシュートに追いつくと側転し、その場でバク宙。右足に紅いオーラを纏わせながらボールを再び蹴りつける。

 

「氷結ノグングニル」

 

 蹴った瞬間ボールを中心に巨大な雪の結晶が現れ、その中心には紅いオーラがあふれ出ている。槍のような形で進む氷、その周りを紅いオーラが巡り、地面を凍りづけにしながら迫っていく。

 

「うぉおおおおおお!」

 

 一方の円堂の心臓からはオレンジの気が出てきて、それが円堂を中心に彼の周りをまわる。そして彼の右手に集まった気を解放すると……

 

「風神雷じ……あっ!?」

 

 魔神は1体しか現れなかった。マジン・ザ・ハンドと同じモーション、同じやり方だったためか、2体現れることはない。そして、1体の魔神では相手の強力な技を受け止めきれず……

 

「ニテンメ」

 

 シュートはゴールへと突き刺さった。

 4-2……後半開始早々、オーガの最終兵器たちがイナズマジャパンに牙を剥く。果たして試合はどうなってしまうのか……




 序盤の八神さんの強さと、終盤の最終兵器の強さの片鱗。最終兵器と言う癖に割と登場が早いのは内緒。
 ということで皆様の予想は当たりましたかね?いやぁ……まさか、オリキャラの人外率が上がるとは……過去編を除くと人外割合50%超えているのでは?何でこんなに人間以外で増えるんでしょうね?とにかく、魔王がAによる強制強化なら、オーガはメカたち参戦による強化ですね。
 オリメカ紹介は次回後書きで(オリメカってなんだよ)。

オリジナル・登場必殺技紹介

ブルームーン 属性 風 成長タイプ V ロングシュート可 使用者 八神玲名
イタリア武者修行で世界でも上位レベルのサッカーを知り、それに追いつかんと大きく成長した思い人と同じ景色を一緒に見ていたいと願った玲名が、ブラッドムーンにスペースペンギンの要素を組み込む事で編み出した強化改良技。
スペースペンギンと同様に体を屈めて力を貯めると共に指笛を吹かずに宇宙服を纏った五羽のペンギンを足元から呼び出し、ボールと共に上空へと打ち出す。打ち出した先は満月が青く輝く夜空になっており、ペンギン達が蒼い満月の下でボールを周回しているところに背面跳びの格好でボールの下に回り込み、オーバーヘッドキックを放つ。シュートと同時に宇宙服を弾き飛ばしたペンギン達は、蒼い光を放ちながらボールと共にゴールへと突き進む。
なお、初披露の際に蒼い満月の下でまるで舞う様にオーバーヘッドキックを放つ玲名の姿に十六夜はつい見惚れてしまった模様。


h995様より頂きました。ありがとうございます。


ヒートタックル
使用者 メカ豪炎寺
イナイレ2のPVで豪炎寺が使っていたドリブル技。アニメでは未登場で、本世界線の豪炎寺は覚えていないがメカ豪炎寺が使用する模様。


ペンギンボール
使用者 メカ鬼道
ドリブル技
属性:林
成長タイプ:V
概要:一回リフティングした後にボールを蹴るとボールからペンギンの嘴と羽が生え、相手の周りを飛び回って翻弄し、突破する。
『エンゼルボール』や『デビルボール』のペンギン版。

ヒースノーランド様より頂きました。ありがとうございます。


マキシマムファイア
使用者 メカ豪炎寺
映画で豪炎寺が使用した必殺技。まさかの本世界線では敵が使う模様。いやぁ……やりましたね。はい。


フリーズグランド
使用者 メカ吹雪
アレス・オリオン版アイスグランドです。メカ吹雪もスケートが出来るようですね。

名前の案はやまちゃん様より頂きました。ありがとうございます。


氷結のグングニル
使用者 メカ吹雪
オリオンで吹雪兄弟が使用した必殺技。本作はメカ吹雪が1体で使用するため、人間であれば無茶苦茶で負担エグいはずですが、どうやら特にダメージはないようです。ちなみに、作者個人のオリオンで好きな技ランキング作ったら間違いなく上位です。


 次回、非情で無情な壁
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