超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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斬り捨てた穴を埋めよう

 オレの言葉に驚くサッカー部の面々。

 

「どういうことだ十六夜!」

「フットボールフロンティア規約書……読んだか?」

 

 一斉に目を逸らす雷門サッカー部。おい。

 

「なるほど……十六夜君の言う通りですね」

「お前は分かったのか?」

 

 そんな中、目金がオレの言ったことの意味が分かったそうだ。

 

「『監督不在のチームは出場を認めない』とあります」

「そーいうこと。冬海先生はアレだったが監督としての名前貸しはしてくれていたわけ」

「お前知ってたのか!?」

 

 雷門の方を向く円堂。

 

「え、えぇ知ってたわよ!だから貴方たちは早急に新しい監督を探しなさい。これは理事長の言葉と思ってもらって結構です!」

「「「えぇぇぇっ!?」」」

 

 うわぁ。絶対知らなかったか忘れてたよ。

 

「こうなったら!皆で新監督を探すんだ!皆やろうぜ!」

「誰か運動部の顧問に頼めないかな」

「あーそれ良い考えっすよ」

「雷門夏未が頼めば誰かやってくれるんじゃないか?そもそもアンタが冬海を追い出さなきゃこんなことにはならなかった。責任取ってもらおうじゃねぇか」

「「「おぉーっ!」」」

 

 パチパチパチ

 

 染岡の意見に賛同し、拍手を送るサッカー部員。

 まぁ、相手があの総帥と呼ばれた男が率いてるチームでなければ、誰でもよかったんだろうな。

 

「冬海先生を顧問にしたままで皆試合なんかできて?」

「あはは。さすが雷門お嬢様。ただ、だったら代わりの監督見つけてから追放しても良かったのでは?」

「貴方ねぇ……!貴方も追放させた組の1人でしょうが……!」

「というわけで、この高圧ツンデレプライド高いお嬢様の尻ぬぐいをみんなでしようか」

 

(((十六夜って時々えげつねぇことを言うよな……)))

 

 すげぇ怒ってますよオーラは出てるがんなもん知れね。事実だし。

 

「ま、ただ。お嬢様が安直にこの学校内の大人で雷門サッカー部の監督を立てなかった判断は正解だ」

「貴方。私を下げてるのか上げてるのかどっちかしら」

「下げて上げて下げる」

 

(((結局下げるのかよ!)))

 

「待て、十六夜。コイツの判断が正しいってのはどういう意味だ?」

「ん?よく考えろよ。向こうは冬海を失い土門も失った。じゃあ、総帥……だったか?帝国の学園長がやる次の手は?」

「こっちの新しい監督を懐柔……ですか」

「そうだな。あり得そうな手だ。ここは一旦慎重になるべきだ」

「じゃあ結局どーすんだよ!」

 

 そこだよな……いっそのこと神様に堕天してもらってっていうのもアリか。ただ、そんなこと言った日にはこいつらからバカにされる未来が見える見える。

 

「円堂。雷雷軒の親父はお前のおじいさんを知っていた。ということは」

「そうか!響木さんだ!よし、交渉に乗り込むぞ!」

「「「おぉー!」」」

 

 いや、全員で行くのかよ。……まぁ、今回はメイド喫茶と違って、雷門サッカー部全体に関わることだから行くしかねぇけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「監督になってください!お願いします!」」」

「仕事の邪魔だ」

 

 ですよねー。

 

「すみません……あの!俺のじいちゃん知ってるんですよね!秘伝書のことも知ってた。だったらサッカーも詳しいんじゃないですか!」

「あるいは、円堂のおじいさんとサッカーをやっていたんじゃないですか?」

 

 おや?土門の言葉に一瞬ピクッと反応したような。

 

「それ本当か!?」

「勘だよ。秘伝書のことを知っていたんだ。伝説のイナズマイレブンじゃないのかって」

 

 目を輝かせて見る円堂。

 

「あの時、俺が言ったことを忘れたのか?」

 

 あの時?

 

「イナズマイレブンは災いをもたらすと言ったろ。恐ろしいことになるだけだ」

「でも、俺たちここまで来たのに!全国に行けるんだよ!」

 

 再び反応する響木さん。

 

「あのな……注文しないならとっとと出てけ!」

 

 ですよねー。

 

「だったらラーメン1丁!」

「あいよ」

 

 堂々と頼む円堂。

 

「お前金は?」

「んなの…………あ、財布部室に忘れた」

 

 木野の方を見る円堂。木野は笑顔で、

 

「大丈夫だよ。部室はしっかり鍵かけてきたよ」

 

 絶対違うと思う。

 

「ちゅ、注文取り消しで……」

「んじゃ、オレはチャーシューメンで」

「……お前。金は?」

「このバカと違ってありますよ」

 

 そう言って財布から1000円札を出して見せる。

 

「じゃあ、十六夜!悪いが俺の分も奢ってくれ!」

「嫌だよ」

「なら、お前ここに何しに来たんだよ!」

「ラーメン食いに来た。お前らの行きつけだろ?一度来てみたかったんだぁ」

「で、残りは?客でないなら出て行ってもらおうか。仕事の邪魔だ」

 

 結局オレ以外全員追い出された。お前らなぁ……ここは飲食店だ。金くらい持ってくるだろ普通。

 

「イナズマイレブンか……あのチーム。いいチームだったな。あのキャプテン。ゴッドハンドを使えるぞ」

「へぇ。よく知ってますね」

「まぁ、お前らの試合は全部見に行ったからな」

「わぁ。ありがとうございます」

「お前のことも知ってるぞ。確か、十六夜綾人だったな。副キャプテンの」

「いや、オレは副キャプテンじゃないですし、そもそもうちに副キャプテンなんていませんよ」

「はっはっはっ。てっきりお前さんがそうかと思ったよ」

 

 はっはっはっ。円堂を支えるとか骨が折れそうだ。

 

「チャーシューメン1丁」

「ありがとうございまーす。いただきまーす……美味しいです」

 

 あ、これ今まで食べた中でもかなり美味しいわ。

 

「響木さん」

「何だ?監督なら引き受けんぞ」

 

 ある程度食べ進めたところで話し始める。

 

「いえ、純粋な疑問です。貴方、さっき、『サッカー』とか『全国』って単語に反応してましたよね?」

「さぁな。気のせいだろ」

 

 ねぇ、知ってます?今も僅かに反応したんですよ。

 

「ま、それならいいんですけど。ただ、円堂守。アイツは面白いですよ。アイツは筋金入りのサッカーバカです。見たら響木さん。結構気に入ると思いますが」

「筋金入りのサッカーバカか。お前さんはアイツのことそう評価してるのか」

「はい。あ、ごちそうさまです。後、お代です」

「まいど。お釣りだ」

「また、来ますよ。純粋な客としてもね」

 

 さぁてと。響木さん……何かあったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、十六夜。今日は何だ?」

「いやねぇ。今絶賛監督不在なんだよ」

「顧問はどうした?」

「辞めさせた」

「?顧問をか?」

「いや、学校を」

 

 夜の練習中、今の雷門の現状を報告している。いや、報告義務はないんだけどさ。

 

「で、フットボールフロンティアの規定で監督の居ないチームは参加できないんだよ」

「ほう。だが、もうすぐなんだろ?地区予選の決勝戦。日数がないんじゃないか?」

「そこなんだよ……宛が円堂──うちのキャプテンの行きつけのラーメン屋の店主さんしかないんだよ」

「寧ろ、よくラーメン屋の店主さんに頼もうとしているな」

「まぁね。でも、あの人。サッカー知らないわけじゃないんだよなぁ」

 

 だから、決して無知な人に頼もうとはしてないから大丈夫なはずなんだけどなぁ。

 

「ただ、チームとしてのモチベーションは下がってるみたい」

 

 あの後、河川敷で皆を見ていたがどうもやる気がイマイチ。監督が居ないんじゃ試合に出られないからな。そうなると意味ないし。

 後、オレが来る前に鬼道が来ていたらしく、円堂と今度一緒にサッカーの練習するって約束を交わしていたらしい。さすがサッカーバカ。帝国キャプテンだろうと関係なしか。

 

「またか。お前のチームのモチベーションはどれだけ下がれば気が済むんだ」

「あはは……」

「これで、お前が腑抜けなプレーしていたら、本気で撃っていたけどな。やる気はあるようだし許そう」

「ありがとうございます」

 

 あぶねぇ助かった。てか今さら思うがまだ八神が全然本気出してない気がする。

 

「今更だが、いいのか?オレと練習したって、オレに対しては本気を出せてないんだろ?」

 

 それだったらオレ以上のレベルの奴と練習すればいいんじゃないのか?まぁ、頼み込んだのオレだが。

 

「なんだ。そんなことか。私としては十六夜が面白い存在だからな。別に構わない」

「面白い存在?」

 

 それはどういう意味だろうか。

 

「ああ。技術と精神がまるで噛みあってない」

 

 ……技術と……精神?

 

「サッカーを長年やってるのは分かる。なのに必殺技に関しては、まるで必殺技があり得ない世界からやって来たかのように知識も経験も何もない」

 

 うわぁ。図星だ。

 

「かと思えば、必殺技を邪険にせず、1度見て分析し対応しようとする。一言で言えばチグハグなんだ。お前は」

 

 まぁ、対応不可能なものもあるよ?例えば円堂の熱血パンチはアイツの手が届かないところにシュートを打てば不発にできるが、杉森のシュートポケットはゴール前を広くカバーしてるからシュート力を上げる以外に突破口が見えない。

 

「その分析力もかなりのもの。ほんと、不思議な存在だな」

 

 必殺技に必殺技で対抗しなくとも、持ち前の分析力で幾らかは対処法を見つけられる。

 

「と、雑談はここまでにしておこう」

 

 そのまま、いつも通り練習して、今日も1日が終わっていくのだった。

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