超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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VS帝国 ~試合前に重大なことを知っちゃった~

「いよいよ地区大会決勝だ!あの帝国とまた戦えるんだ!特訓の成果、出し切っていこうぜ!」

「「「おおぉー!」」」

「皆張り切ってる。決勝だもんね」

 

 電車の中で張り切る雷門イレブン。まぁ、移動手段がバスでなく電車なのはいろいろと察してほしい。

 

「響木監督!」

 

 呼ばれて立った響木監督。

 

「俺からはたった1つ。全てを出し切るんだ。後悔しない為に!」

「「「はい!」」」

 

(……気がかりなのは影山だ。どんな罠を仕掛けているか分からない。試合が始まるその時まで注意しなければ。俺がこいつらの盾にならねばな。40年前のような思いをするのは俺たちだけで沢山だ)

 

 問題は帝国の学園長。あの人はオレたちの命を軽く見てる。どんな手で来るかわからない。気を抜いたら負けるな。

 

「あれ?夏未さんは?」

「電車は嫌いなんですって……」

 

 なるほど。そういうのアリかよ。

 

「な、何スか!?アレ!」

「まるで要塞だな……」

「あれが帝国学園です。そして中央に大きくそびえているのが……決勝を戦うスタジアムです」

 

 ねぇ、あれ中学校なんだよね?どっかの軍事施設じゃなくて学校なんだよね?おかしいなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 到着したオレたち。とりあえず円堂が入り口で叫んでいたが、あまり目立たないようにして欲しい。

 

「気をつけろ!バスに細工してくる連中だ!何をしてくるか分からん!落とし穴があるかもしれない!壁が迫ってくるかもしれない!」

 

 響木の言葉に壁山、栗松、宍戸、少林は壁や床のチェックを始める。それを見た一部の奴らは呆れる。

 

「……監督が選手をからかうなんて」

「た、多分監督なりの緊張をほぐす方法なんだよ……」

「ま、用心するに越したことはねぇだろ」

 

 そのまま何事もなくオレたちのロッカールームに辿り着く。

 円堂が扉を開けようとしたその時、中から鬼道が出てきた。

 

「鬼道!」

「無事に着いたみたいだな」

「何だと!?まるで事故でもあった方が良いような言い方じゃねぇか!まさか、この部屋に何かしかけたんじゃ……」

「安心しろ。何もない」

 

 そのまま去っていく鬼道。

 

「待て!何やってたのか白状しろ!」

「染岡。鬼道はそんな奴じゃない」

「止めるな円堂!」

「落ち着け。頭に血が上りすぎだ」

 

 円堂とオレが染岡を必死に抑える。

 

「勝手に入ってすまなかった」

 

 一言残し、今度こそ去る。

 

「鬼道!試合楽しみにしてるからな!」

 

 円堂が声をかける。

 

「とりあえず入ろうぜ。荷物置きてぇ」

 

 と、オレはさっさと入ってさっさと荷物を置く。

 

「おい十六夜!何か仕掛けてあるかもしれねぇだろ」

「別に、鬼道が何もないって言ってたろ」

 

 そう言うと他のメンバーも入ってきて調べ始める。調べてないのは、オレ、円堂、豪炎寺、土門。後、マネージャーズ。

 

「……はぁ。どうせ、何もないさ」

「そうだぞ。鬼道が言ってたじゃないか」

「騙されてんじゃないのか?あいつも帝国の一員だぞ」

「鬼道は信じていい!俺には分かる!」

「はいはい。この話は終わり。今は試合に集中しましょ」

 

 というわけで、準備を進める。にしても、広いなぁ。迷子になりそ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、すっきり!」

「さっさと戻るぞ」

 

 トイレから出てきたオレと円堂。別に一緒に来たわけでは無く別々に行ってここで合流した感じだ。

 

「ん?鬼道?」

「どうした?」

 

 円堂が走り出したのでしぶしぶ付いていく。

 

「うわっ」

「って、走るとあぶねぇ……?」

 

 目の前には人が。この人誰?

 

「雷門中サッカー部、円堂守君に十六夜綾人君だったね?私は帝国学園サッカー部監督。影山」

 

 帝国の監督……もしや、この人が総帥と呼ばれる男か。雰囲気的にそう見える。

 

「君たちに話がある」

「話?」

「鬼道のことだ」

「鬼道?」

「ああ。君のチームのマネージャー、音無春奈が鬼道の実の妹だということを知っているかね?」

「いいえ」

「えっ!?音無が鬼道の……」

 

 おそらく揺さぶるための嘘……ではないな。真実だろう。こんなすぐに確認されるような分かりやすい嘘をつくメリットが無い。

 で、話によれば、2人は施設で幼少期を過ごし、鬼道が6歳、音無が5歳の時に別々の家に引きとられた。鬼道は音無(離れた妹)と暮らすために、養父とある契約を交わす。フットボールフロンティア全国大会で三年間優勝し続けること。

 

「鬼道は勝ち続けなければ妹を引き取ることは出来ない。もし、地区大会レベルで負けたともなれば……鬼道自身、家から追い出されるかもしれないな」

「そんな……」

「それだけですか?()()()()話したいことというのは」

 

 おそらくこの人は偶然ここで鉢合わせたわけじゃない。オレか円堂、或いは両方と()()()接触してきた。当然だ。ぶっちゃけて言うならこの話を染岡とかに言ってもどうでもいいと思うはずだし。

 

「フッ、忘れるな。雷門が勝てば鬼道たち兄妹は破滅する」

 

 そう言い残して影山は去る。するとそこに響木監督が来た。 

 

「大丈夫か2人とも。影山に何を言われた?」

「……いや、特に」

「大丈夫です」

 

 まずいな……オレはともかく円堂が今の話を受け入れ切れてねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ!」

 

 アップ中に壁山がこける。どうやらいつにない大舞台で緊張しているようだ。音無の方を見るが、元気がない。なるほど、鬼道のことか。

 で、問題はだ。

 

「行くぞ、円堂」

 

 円堂のキーパー練習。オレがシュートを打つも、棒立ちのままだ。そう、このバカだ。

 

「たく、顔洗って目覚まして来い」

「あ、ああ、そうする。悪いな。十六夜」

「全く……」

 

 降りていく円堂。すると、木野が追いかけて、

 

「木野さんと音無さんはどこ?私雑用は嫌よ!」

 

 ぼっちが残った。気付けば音無もいない。

 

「まぁ、いいんじゃねぇか。マネージャー1人でも準備はできるだろ」

「へぇ。何か知ってそうな感じね」

「ははは。オレは何にも」

「全く。そうだ十六夜君。手伝ってくれない?」

「はぁ、ま、仕方ないな」

 

 でも、なんでオレがマネージャーの仕事やってんだろう。

 

「ふぅ。もう行っていいわよ」

「ひでぇ。試合に出る選手なのに……」

 

 そう思ってると宍戸が壁山をくすぐってるのが見える。余りのことに壁山がボールを高く蹴り上げ、

 

 ガンっ!

 

 天井に当ててた。やれやれ、止めた方がいいな。

 

「おい、2人とも。悪ふざけもその辺に」

 

 と思うと落ちてきたボールが宍戸の頭に当たった。

 

「いてっ!」

 

 因果応報だ。にしても綺麗に落ちてき……ん?

 

「あぶねぇ!」

 

 咄嗟に手を出して落ちてきたモノをキャッチする。やっべ、最近動体視力も上がってるわ。後、反応速度も。

 

「くっ!」

 

 さすがにいってぇ……どんな高さから落ちて……は?落ちてきた?

 

「だ、大丈夫ですか!十六夜さん!」

「それ、何すか?」

「……ボルトが6本?しかもかなり大きいやつだ」

 

 おいおい……嫌な予感がしてならねぇんだけど。

 

「大丈夫か!」

「あ、ああ。これが降ってきた」

 

 あっぶね。刃物だったら手が切れてたわ。

 ……ただ、今頭の中で最悪のシナリオは出来てしまっている……妄想で済めばいいが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 両チーム整列して入場する。円堂に一応落ちてきたものを見せて、監督に預けておいた。監督は鬼瓦刑事に渡したそうだ。

 

『雷門。帝国。両チームの入場です』

 

 そして整列し、全員と握手していく。オレは円堂の前、つまり最後から2番目に握手する。鬼道と握手したとき、

 

「天井、仕掛け、違うか?」

「おそらくな」

 

 コクりと小さく頷いたのを見て、そのまま自然な動作で離れていく。

 

「円堂。鬼道はなんて?」

「ああ。試合開始と同時に全員を下げろって」

「オーケー。極端なまでに下がった方がいいな」

 

 ということでスターティングメンバーには最初からいつもより後ろめに居てもらい、その上でホイッスルと同時にペナルティーエリア内くらいまで下がるように指示。当然、意味の分からん指示に反発はあったものの真剣な表情で頼み込む。

 

 ピー

 

 雷門ボールでキックオフ。ホイッスルと同時に全員が下がってくる。

 

「やっべ……マジかよ……」

 

 オレは上の方に視線をやると、何本もの鉄骨が落ちてくるのが見えた。

 

 ドンッ!ドンッドンッ!

 

 鉄骨はスタジアムに落ちると同時に砂煙を上げる。

 

『ああっと!?どういうことだ!?突然雷門中側の天井から鉄骨が降り注いできた!?大事故発生!』

 

 やっば。視界が塞がれて見えねぇ。無事か?

 

『酷い……グラウンドには鉄骨が突き刺さり、雷門中イレブンも……お?何と!雷門中イレブンは無事です!誰1人怪我さえしてない模様です!』

 

 マジかよ……最悪のシナリオが当たった……

 

「鬼道が言っていたのはこういうことだったのか……」

 

 オレは鬼道がどこかへ消えてくのを見て、慌てて追いかけていった。

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