今回のポジションも4ー4ー2で、宍戸、影野、目金がベンチといつも通りな感じだ。まぁ、相手がどんなプレーをするか分からない以上そう特殊なポジショニングをする必要がない。
ピー
雷門ボールで試合開始。ボールは染岡に渡り、半田へパス!と言ったところで例の名無し君がパスカットをした。
「風丸!」
「ああ!」
風丸がプレッシャーをかけに行くと、
「残像!」
うっそぉ!?本当に忍術使ってやがる!?片方消えたんだけど!?
「見たか!これこそまさに伊賀島流忍法、残像の術!」
そしてそのままシュートが飛んできた。
「ナイスパス」
それを簡単にトラップの要領で受け止める。
「ふっ。まだまだ序の口だぜ」
「知らねぇよ。半田!」
半田にパスを回し、半田と豪炎寺は上がっていく。
「伊賀島流蹴球戦術、鶴翼の陣」
な、なんて言った?と思ってると戦国伊賀島の8人の選手が4人ずつに分かれ真ん中に向かって1列に並び、中央へしかドリブルの行き場をなくす。そして、
『伊賀島流忍法、四股踏み!』
中央で待ち構えていた男2人が四股を踏んで、その風圧で豪炎寺と半田を吹き飛ばした。ておい、それのどこが忍法だ!どう考えても相撲だろうが!サッカーも忍者も関係ねぇじゃん!
そして、弾かれたボールをTHE・忍って感じのキーパーが軽々とキャッチ。おいこら待て!お前ら生きてる時代間違えてるだろ!…………あれ?何だこの
「ほっほっほっ。これが伊賀島流忍法によるサッカーじゃ」
「意味わかんねぇよ!」
特に四股踏みって忍者がやることじゃねぇだろ!
戦国伊賀島の忍者サッカー?っていう意味不明なプレーにペースを狂わされるオレたち。だが、そんな中でもボールを奪い、前線へとつなげる。
「染岡!」
「おう!行くぞ豪炎寺!」
「ああ!」
『ドラゴントルネード!』
ドラゴントルネードを打つ……が。
「伊賀島流忍法、つむじの術!」
おい待て。どうやってその竜巻出した。自然に出したのか?遂に何もしなくてもそれぐらいの竜巻、普通に出せるようになっちまったのか?
その竜巻に入った瞬間、ボールの威力は完全に殺され、上空へ投げ出された。で、それを相手キーパーがキャッチ。そのままMFにボールを送り、
「伊賀島流忍法、分身フェイント!」
何か3人に増えたんですけど!?分身とかありかよ!…………ん?
「オレも分身の術とか言ったら分身できるかな?」
いや、やめよう。そんな下らないこと考えるのは後にしよう。ていうか、残像っていう技をほぼ全員が使えるか知らんがそれにより翻弄されている……クソ。あの技の弱点はなんだ?
「鍛えぬかれし強者の必殺技。破れるものなら破ってみい」
何か監督が言ってんな。上等だ。破ってやるよ。
「伊賀島流忍法、分身フェイント!」
再び3人に増える相手選手。だがな、
「ボールが増えてなきゃ、関係ねぇんだよ!」
「何だと!?」
空中でキープしていた相手のボールを奪い、
「壁山!上がれ!」
「はいッス!」
ボールを少林に預けて壁山をあがらせる。
『おっと!ディフェンスラインから壁山が上がってきた!これはイナズマ落としか!』
「伊賀島流忍法、くもの糸!」
すると、ディフェンスに行った奴の手から中心にくもの糸がのび、一瞬でくもの巣を形成し、壁山の足を止めさせた。
いやどう考えてもおかしいだろ!くもの糸で人の足をあげなくすることができるのか!?というかそもそもそのくもの糸どっから出した!忍術か!全て忍術で纏めるつもりか!
「クソッ!押しているのに噛み合わない」
「ああ、相手が厄介な技を使いまくるせいで攻めきれてない」
だが、くもの糸の弱点は分かった。攻略法は2つあるな。
「伊賀島流忍法、残像!」
片方は偽物、片方は本物。いや、残像という意味から、
「こっちが本物!」
「なっ!」
よし。残像にはある程度対応できるな。
「こっちだ!」
「ああ、行け!風丸!」
風丸にボールを渡し、風丸はドリブルで目の前にいたディフェンスを突破した……かのように思われた。
「伊賀島流忍法、影縫いの術!」
しかし、突破したディフェンダーの影が伸びて、風丸の影を引っ張った?何か転倒したんだが……え?影操っちゃうの?というか、何が起きたのかさっぱりわかんないんだけど?え、どういう原理?
すると、ボールはそのディフェンダーから背が小さいやつに渡り、そこから名無し君へ。
「伊賀島流忍法、つちだるま!」
名無し君のシュートは地面を転がりながら土を纏っていき、どんどん大きな雪だるまならぬつちだるまとなる。くっ。なるほど。あのままデカくした状態でキーパーを弾き飛ばそうと……
「ん!」
何か指で切ったかと思うとつちだるまは一瞬にして崩壊し、中のボールが現れた。いや、あのままでよかったじゃん!あのまま突き進んだほうが絶対良かったよ!ってしまった!あのデカいままで来ると思ってたせいで蹴りが間に合わねぇしズレた!
「円堂!」
「ああ!熱血パンチ!」
しかし、熱血パンチを正面から弾いてゴールに入ってしまった。
『ゴール!先取点は戦国伊賀島だぁ!』
「大丈夫か円堂!」
今何となくだが普段と違って嫌な倒れ方をした気がする。
「あ、ああ。すまない。先取点取られた……」
「いや、オレも威力を削げなくてすまない」
「くっ……!」
円堂の右手を掴んで起き上がらせようとすると、顔をしかめる。
「……っ!お前!」
雷門ボールで試合再開。が、敵ディフェンスを突破することができず、向こうの忍術に翻弄されてしまい。
「分身シュート!」
相手のシュート。3人に分身したかと思うと、その3人で同時に蹴りこむ。くっ、分身フェイントに続いてこっちも分身かよ!分身ディフェンスとか分身キーパーもあるんじゃねぇよな!?
「くっ……!」
キャッチで受け止めるも、その威力かはたまた痛みのせいか。思わず膝をついてしまう。
ピー
ここで前半終了。
一旦各々のベンチに戻る。
「思った以上に厄介な相手だな」
「あぁ、何をしてくるか予測がつかない」
ほんと、忍術どれだけあるんだよ。
「流石に全国大会の相手は一筋縄じゃいかないってことかな」
「嫌!絶対に突破口はあるはずだ!一筋縄でダメなら二筋縄!二筋縄でダメなら三筋縄だ!」
そこ新しい言葉を作るんじゃない。
まぁ、突破口があるのは事実だな。少なくともある程度付け入る隙はある。おそらく、カギは風丸。アイツのスピードだな。
「はい。しっかり水分補給してね」
「ありがと……くっ」
顔をしかめる円堂。
「おい、円堂。グローブを外せ」
「いや、外す意味が」
「手を見せろって言ってんだよ」
無理やり右手のグローブを外す。すると完全にはれ上がっていた。打撲か打ち身かそんな感じがするが相当痛そうだ。いや、ドリンクを持っただけでかなり辛そうだし、痛みは相当なものだろ。
「こんな状態で」
「心配すんなって。左手だけでもゴールを守ってみせるさ」
「交代しろ。円堂」
「何言ってんだよ十六夜!俺は戦えるぞ!」
「アホか。全国大会はこの試合だけじゃねぇんだ。後半、左手だけで止めて左手も負傷したらどうする?もし、勝てても次の試合以降に怪我が長引いたらどうする?大会のレベルは高い。おそらく、地区なんかよりずっとな」
「くっ…………でも!」
「怪我を甘く見るんじゃねぇ。無理をして怪我を長引かせた奴を何人も知ってる」
元の世界で戦った相手にもいたし、チームメイトでもな。
「まぁ、いい。オレにはそんな最終決定権はねぇ。お前の怪我の具合も正確には分からねぇ。お前がキーパーとして続けたいなら好きにしろ。……ただ、その最終決定権を持つのは響木監督だからな」
「…………」
「はぁ、わりぃ。木野か音無、円堂の手の応急処置を」
「は、はい」
木野が円堂の手の処置を進めていく。
「なぁ……円堂。最後に1つ言っておくと時には無理も大事だ。時にはな。ただ、今がその時かちょっと考えてみろ」
コイツは見えてねぇ。そんだけだ。そう思いながら腰掛けて、水分を補給するのだった。