「理事長も影山は危険だと思ってるんだな」
「えぇ」
「とにかく何があるかは分からない。気を付けてかかろう」
雷門から手紙を見せてもらった響木監督とついでにオレ。
なるほど、イナズマイレブンのあの電話も御影専農を裏から操っていたのも影山か。だが、凄い単純な疑問が残る。あの影山はそこまで歳を取っていない。40年前ならせいぜいオレらと同じくらいの言わばガキ。そんなガキがあのバス事故を計画、手配、実行を全てできるのか?
「円堂君たちには」
「いや、アイツらには言う必要ない。それに」
「円堂は気付いている。馬鹿なように見えて、フットボールフロンティアの素晴らしさも潜む危険も」
「そう言うこった」
うーん。オレとしちゃ影山単独犯説は薄く、影山の裏に誰か居る、もしくは協力者がいるの2択な気がする。それに鬼瓦刑事が教えてくれたが『プロジェクトZ』って、一体何なんだ?
そう思ってると音無が校門から出ていくのが見えた。
うーん。無言で出ていったんだが……気になるな。
「って、お前もか」
「行くぞ。十六夜」
そしたら隣に豪炎寺がいた。え?なんでボール持って来てんの?ま、何でもいっか。
で、追っていくと、音無は鬼道と会ってそのまま河川敷の方に移動した。
「聞いたよ。世宇子中戦のこと。…………残念だったね」
「残念?残念なんてもんじゃない。俺の目の前で仲間があんなことに……!こんなに悔しいことがあるか……!俺は…………!俺は!」
と、そんな時、鬼道の元に飛んでくファイアトルネード。
隣を見ると、手に持っていたボールは無くなり、シュートを撃った後か着地する豪炎寺が……おい!
「……こんなボールを蹴ることが出来る奴は!」
そして蹴り返す鬼道。蹴り返されたボールは豪炎寺のもとへ。
「豪炎寺!それに十六夜!」
いえ、オレは今回無関係です!無罪を要求します!っと、ボールを持って無言で歩き出す豪炎寺。オレはそれについて行く。
「豪炎寺先輩!それに十六夜先輩も!お兄ちゃんは別に雷門のスパイをしていたわけじゃないんです!本当です!」
「
「まぁ、それぐらいは分かる。さすがにな」
音無と鬼道は雷門中の前で会っていたが、別にスパイ活動だなんて微塵も思ってない。
「十六夜先輩…………豪炎寺先輩!」
「来い」
「ああ」
そして階段を降りていく2人。オレは土手に座って成行きを見守る。
2人は距離を取り、豪炎寺が思い切り蹴るとそれを鬼道が蹴り返し、再び豪炎寺が、
「鬼道!そんなに悔しいか!」
「悔しいさ!世宇子中を!俺は倒したい!」
「だったらやれよ!」
「無理だ!帝国学園はフットボールフロンティアから敗退したんだ!」
「自分から負けを認めるのか鬼道っ!」
豪炎寺はファイアトルネードを撃って、鬼道の顔スレスレを通った。そしてそのままシュートは河川敷の土手にぶつかり、クレーターを発生させる。その瞬間にボールは破裂した。
よし、豪炎寺。2、3ヶ所ツッコませろ。……と、その前にアイツはオレを殺す気かぁっ!オレも座ってるんだぞ土手に!というかクレーター発生させたよ!地形を変化させちゃったよ!てか、サッカーボールって破裂するんだな!この世界のサッカーボールは破裂しない特別性能だと思っていたよ!
「1つだけ方法がある。お前は円堂を正面からしか見たことがないだろう。あいつに背中を任せる気は無いか?」
なるほど。何が言いたいのかよく分かった。鬼道も今の発言の意味するとこが分かったようだ。ただな?やり方を考えろよ!
そして夜。
「このクレーターはなんだ?十六夜」
「さ、さぁ…………隕石でも落ちたんじゃないのか?」
目を逸らして答える。言えねぇ。うちのチームメイトがやっただなんて言えねぇ。
「隕石だと!?」
そしてコイツは何でこんなに反応したんだ?理解できねぇ。何か思い入れでもあるのか?隕石に。
「そろそろ試合を始めませんか?」
全国大会2回戦。雷門中対千羽山中の試合当日。オレたちは試合会場にきていて、ベンチに座っている。審判の人が試合を開始するよう催促に来るが、
「すみません。もうちょっとだけ待って下さい」
まぁ、オレたちが試合を開始させないよう遅らせてるだけなんですけどね。
オレは目を閉じて、静かにベンチに座っている。
「監督。いい加減にしてください」
「いや、まだだ。もう1人来る」
「もう1人もう1人って全員揃ってるじゃないですか!」
「いいですか?大会規約により後3分以内にフィールドに出ないと試合放棄となります」
「「「えぇっ!?」」」
いや、お前ら規約読んでないのかよ。
で、みんなで監督を説得しようとするも聞く耳を持たない感じで、
「円堂君!キャプテンでしょ!?監督に何か言ってよ」
木野が円堂に説得するよう頼む。が、
「監督がまだって言ってるんだからまだなんじゃないか?」
円堂は監督を信じて待つ。
「後、30秒……」
気付けば後30秒に。
「監督。来ましたよ」
オレは閉じていた目を開けて監督に伝える。
「ああ」
「「「え?」」」
瞬間、オレが言った意味が気になったのか、皆静かになる。
そして近づいてくる足音。
「来たな」
そこに立っていたのは、雷門中のユニフォームを纏う鬼道の姿が。あれ?地味にマントの色が違うような……?気のせいか?
「「「うそぉおおおおおおおおおっ!?」」」
さてと、全員揃ったか。
「鬼道!?」
「どういうことですか監督」
『鬼道です!間違いありません!帝国学園の鬼道です!』
観客はそんなことが許されるのかと言っている。何言ってんだか。
「『大会規定第64条第2項。プレイヤーは試合前に転入手続きを完了していれば大会中でのチーム移籍は可能である』別にルールに反しちゃいない」
すると、実況の人が分厚い本を取り出して、そこから調べ、オレと全く同じことを言って、観客を納得させる。と、ここで疑問が沸く。
「え?十六夜。お前、アレ全部覚えてたの?」
「一応な。だってあの使えない監督だったし、覚えとかねぇとマズかっただろ」
「「「…………」」」
別の意味で絶句された。え?何、普通じゃないの?隅から隅まで覚えたんだけど。てか、こういうのオレの仕事じゃねぇだろ。
「で、鬼道。何か言う事は?」
「俺はあのままでは引き下がれない。世宇子には必ずリベンジする!」
「鬼道!俺には分かってたぜ!お前があのまま諦める奴じゃないってことは!」
「なんて執念だ……」
まぁ、受け入れているからいっか。
「でもちょっと心強いね!」
「鬼道さんがいれば必殺技がなくても千羽山の守りを崩せるかも!よーし!頑張るぞっ!」
盛り上がる宍戸と少林の2人。だけどなぁ……
「宍戸、少林寺。お前たちはベンチだ」
「「あ…………はい」」
軽く落ち込む2人。はぁ。
「ただ、集中は切らすなよ。戦国伊賀島の時みたく思わぬ負傷が出るかもしれねぇからな」
これ以上はスタメンに選ばれてる奴が言えることじゃねぇ。後はどうするかは本人たち次第だ。
さぁ、試合開始だ。