超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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VS世宇子 ~傷付く仲間たち~

 雷門ボールで試合再開。が、今度は世宇子のディフェンス陣に阻まれシュートまで行けない。そしてボールは再びデメテルへ。

 

「クソ止めてやる!」

「全員サッカー!」

「それが僕たちのサッカーだ!」

 

 オレ、マックス、少林がカットに向かうも、

 

「ダッシュストーム!」

「「「うわぁぁああああ!」」」

 

 吹き荒れる暴風の前にオレたちは成す術もなく飛ばされてしまう。クソ予想以上の強さ……!見てるのと体験するのは違うか……!そして、ボールはヘラに、

 

「ディバインアロー!」

 

 ボールを空中に上げたかと思うと目に見えないスピードで何度も蹴りつけ、最後は回し蹴り。……マジかよ。目に見えないスピードって……ただ、前の2つに比べたらマシか?いや、マシと言っていいのか?

 

「爆裂パンチ!」

 

 が、それも虚しく、

 

『ゴール!世宇子連続得点!あっという間に3点目だぁ!』

 

 円堂ごと、ゴールにぶち込まれた。立ち上がって策を練ろうとする……だが。

 

「おい!少林!マックス!」

 

 少林とマックスが倒れたまま動かない。結論から言うと、負傷により、半田と宍戸と交代になった。

 

「これ以上好き勝手させっかよ!」

「まずは1点取り返すぞ!」

 

 雷門ボールで試合再開。染岡と半田がドリブルで上がっていく。

 

「メガクエイク!」

「「「うわぁああああ!」」」

 

 向こうのディフェンダーディオがジャンプして着地すると、地面にヒビが入りどんどん盛り上がって、染岡、半田、ボールを吹き飛ばした。ボールはコートの外へ。

 おい待てや!何でそんなことになるんだよ!どうしたらそんなことがジャンプしただけで出来るんだよ!ふざけんな!というか、次の瞬間には何事もなかったかのようにグラウンドが元に戻ってるのは何でぇ!?

 

『おーっと!?フォワードの染岡!ミットフィルダーの半田も負傷か!?』

 

 交代枠はあと2枠。だが、片方は……

 

「僕も行きます!僕も雷門の一員だ!」

「目金……!」

 

 目金がフォワード。影野がDFに入る。今まで以上に目まぐるしい試合展開だ。

 

『これで雷門。交代枠を全て使い切りました!』

 

 おまけにベンチは全員負傷退場の仲間たち。もう交代出来る余裕がない。

 スローインで試合再開。ボールは前線に立つ目金……だが。

 

「メガクエイク」

 

 マークについていたディオのメガクエイクの前に無情にも吹き飛ばされてしまった。

 入ったばかりの目金が退場してしまい。現在の雷門ポジショニングは、

 

 

 FW 豪炎寺

 

 MF 風丸 鬼道 一之瀬 宍戸

 

 DF 影野 壁山 十六夜 土門

 

 GK 円堂

 

 

 10人でなおかつ豪炎寺のワントップ。得点力が下がってしまったが、

 

「ヘブンズタイム!」

「「「うわぁああああああ!」」」

 

 ヘブンズタイムの前にフィールドにいた円堂以外全員倒されてしまった。そして、円堂もアフロディのシュートを顔面に喰らって倒れてしまう。

 

「まだ続けるかい?続けるよね。では、質問を変えよう。チームメイトが傷付く様子をまだ見たいのかい?」

 

 野郎……!

 

「続けるか棄権か。君が決めるといい」

 

 しかし、あのバカは迷ってやがる。

 

「立てよ。円堂」

「十六夜……?」

「そうだ。何を迷ってる円堂」

「豪炎寺……」

「俺は戦う。そう誓ったんだ」

「一丁前に人の心配してんじゃねーよ。バーカ」

「豪炎寺と十六夜の言う通りだ。俺たちを思ってだとしたら大間違いだぜ!」

「最後まで諦めない。それを教えてくれたのはお前だろ!」

「俺が好きになったお前のサッカーを見せてくれ!」

「「「円堂!」」」

 

 オレたちは戦う。円堂。お前が諦めない限りな。

 

「なんてバカなんだ…………俺は。仲間を理由に諦めようとしていたのは俺だ!」

「立てるか?」

「ああ。信じてくれる仲間がいる限り。俺は何度でも立ち上がる!」

 

 立ち上がる円堂。たく。諦めるなんて選択肢用意されてねぇだろうが。

 そこから雷門にボールが渡った。豪炎寺が鬼道、一之瀬と共に攻め上がる。

 

「ディフェンスは攻撃陣を徹底的にねらえ!」

「メガクエイク!」

 

 ボールは弾かれ、デメテルへ。

 

「オフェンスは守備陣を」

「ダッシュストーム!」

 

 くそっ。まだ見えねぇのか突破口は!

 

「「「うわぁあああああああああ!」」」

「キーパーは重点的に」

「ディバインアロー!」

「マジン・ザ・ハンド!」

 

 未完成なマジン・ザ・ハンドはボールを跳ね返したのはいいものの円堂は尻もちをついてしまう。

 

「跳ね返りの角度も予想通り」

「やはりあの技は習得できていないようだ」

 

 情報が漏れてた……か。

 

「こんな奴らにどうやったら勝てるか分からない。分かっていることは、絶対に諦めないことだけ」

 

 立ち上がる円堂にシュートをぶつけるアフロディ。ボールは跳ね返ってデメテルに行き、アフロディにパスが渡る。

 

「まだ立ち上がるか。面白い。君がどこまで耐えられるか。試したくなったよ」

 

 と、ここで。

 

『おーっとアフロディいきなりボールを外に蹴り出した!ミスキックではない。意図的に蹴り出したのか?』

 

 アフロディがボールを外に出し、世宇子中全員がベンチに向かう。

 

『なんと世宇子中余裕の水分補給だ』

 

 ……妙じゃないか?確かに水分補給は大切だ。だが、何で全員同時に、しかも時間を計ったかのようにやってるんだ?

 しかし、水分補給の直後、

 

「ヘブンズタイム!」

 

 辛うじて立ち上がった面子はアフロディのヘブンズタイムに吹き飛ばされ、円堂が人間サンドバック状態になる。そして、円堂までも倒れてしまった。

 

「限界だね。主審、ホイッスルを」

「試合続行不可能ということでこの試合。世宇子中の」

「まだだ……!」

「ああ、まだ……終わってねぇ!」

 

 オレと円堂が立ち上がる。

 

「しかし、君たち2人だけでは」

「そいつらだけじゃない」

「そうだ!」

「まだまだ戦える!」

 

 豪炎寺、鬼道、一之瀬を始めとし、続々と立ち上がる雷門。これには主審も試合続行を認めるしかない。

 

「どうした?その顔は。信じられないものでも見たか?」

 

 オレはアフロディと円堂の間に立ち、アフロディに話しかける。

 

「円堂は何度でも何度でも立ち上がる。倒れる度に強くなる。お前は円堂の強さには敵わない!」

「では、試してみよう……」

 

 背中から6枚の純白の羽。……まずいな。

 

 ピー

 

『ボロボロだけど大丈夫?ご主人様』

「ああ。空へ。頼む」

『りょーかい』

 

 アフロディが空へ飛翔すると同時にオレもペラーに乗って飛び立つ。

 

「ゴッドノウズ!」

「止めてやるよ!」

 

 ペラーから跳躍し、アフロディと同時に蹴り合う。衝撃波が辺り一帯に起きたが関係ない。

 

「君とは勝負する約束だったね!」

「覚えていたのかよ!」

 

 お互いに一層力を込めようとしたその刹那、

 

 ピ、ピ──

 

 鳴り響く笛の音。前半終了のホイッスルが聞こえてくると同時に、オレとアフロディは蹴る力を徐々に弱め、ゼロにし、地に降り立つ。

 

『ここで前半終了だぁ!アフロディと十六夜の蹴り合いは時間切れで決着つかず!』

「命拾いしたね」

「お前がな」

 

 オレは円堂を支えながらベンチに帰っていくのだった。


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