超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

50 / 193
VS世宇子 ~反撃の狼煙!~

 ハーフタイム中。ベンチに座り込むオレたちに雷門お嬢様が告げてくる。

 

「神のアクア!?」

「えぇ」

 

 神の水?…………ああ、聖水のことか?でも、サッカーに聖水?んん?

 

「神のアクアが世宇子の力の源よ!」

「体力増強のドリンク!」

 

 え、何で鬼道その名を聞いただけで分かったの?え?一般的に流通されてるの?というか聖水じゃないし。

 

「許せない。俺たちの大好きなサッカーをどこまで汚せば気が済むんだ!」

 

 まぁ、要はドーピングだろ。しかも、神のアクアっていう名で飲んでるからアフロディたちは自分たちを神だと名乗ってると。……蓋を開ければくだらねぇが……奴らは増強されたに過ぎない。

 なら、いい。無敵でないなら勝ち目はある。中学全国大会でドーピングはやり過ぎだろうがんなのオレたちが勝てば関係ねぇ。

 

「円堂君……」

 

 雷門が円堂に声を掛ける。心配するような雷門に円堂は堂々と答える。

 

「俺はやれる。やらなきゃならない。俺たちは世宇子のサッカーが間違ってることを示さないといけないんだ」

「なんだよその使命……まぁ、いいけど。それを果たすってことは勝つことだぞ」

「何を言ってんだ十六夜。最後まで諦めないで勝ちに行くに決まってるじゃないか!」

「聞いただけだよ。ま、予想通りの答えが帰ってきて安心した」

 

 皆も勝つことを諦めてねぇ。それでこそ、オレたち雷門だ。

 

「よし!行ってこい!」

「「「はい!」」」

 

 オレはフィールドに立つがてら現時点での向こうの必殺技の対抗策を考える。

 キーパーは知らん。両方ともゴール全域をカバー出来る以上、アレを打ち破るだけのパワーでゴリ押しか、キーパーに反応されない速度のシュートを撃つしかない。

 ディフェンス、メガクエイクは試したいことが1つある。生憎、見てばっかでオレ自身は受けてないから、それを実証しておきたい。

 ドリブルは、ダッシュストームは何とかなる。2度もうけて風の強さが分かった。ヘブンズタイムに関しては大きく2つの仮説がある。1つは時を止める。もう1つは視覚に捉えられないほどの超スピードでのドリブル。だが、どちらにせよ。一筋縄じゃ対抗できないのは明らかだな。

 シュートはリフレクトバスターは大きな欠点がある。残りの二つは正面からぶつかって止めるくらいか。

 

「お、円堂。グローブ変えたのか」

「元のがボロボロになっちゃって。これ、じいちゃんのなんだ」

「そうか」

 

 オレは円堂のマジン・ザ・ハンドを見た感想を言う。

 

「なぁ、マジン・ザ・ハンドなんだけどさ。お前、何で全身から力を出してんだ?」

「全身から?」

「いや、1点にその力を集中できれば強いかもと思っただけだ。ま、挑戦したこともない人間が偉そうに言えることでもないから、ただの感想程度で忘れてくれ」

「力を……1点に」

 

 初めて見た時、円堂の全身からすげぇ力を感じた。だが、果たして全身から出す必要があるのか?まぁ、あるんだろうな。知らんけど。

 

 ピ、ピ──

 

 雷門ボールで後半戦開始。

 

「点を取る!そして勝つ!」

 

 豪炎寺がドリブルで上がっていくと、立ちはだかったのはディオ。

 

「神には通用しない!」

 

 そして蹴り合いになるが、豪炎寺が徐々に押されてしまう。

 

「「「まだだ!」」」

 

 そこに一之瀬、鬼道の2人が豪炎寺と共に蹴る。が、

 

「無駄だ!神には通用しない!メガクエイク!」

 

 3人を飛ばす…………今更だがお前本当に中学生?

 

「ダッシュストーム!」

 

 ダッシュストームで吹き飛ばされるミットフィルダー陣。そしてボールはアフロディへ。

 くそっ。ヘブンズタイムを見るしかないのか……

 

「ヘブンズタイム!」

 

 指を鳴らすと同時にアフロディは後ろへ。そして突風。くそっ。もしかして指を鳴らすことがカギなのか!?

 

「皆!」

「残るは君だけだ!」

 

 円堂の顔面に向かってシュート。跳ね返ってきたボールはアフロディの足下に。しかし、円堂は倒れない。何度撃たれても円堂は倒れない。倒れてもすぐに立ち上がる。

 

「サッカーを汚しちゃいけない……そんなことは……許しちゃいけないんだ!」

 

 円堂の姿勢にアフロディは恐怖を感じ、オレたちはその勇姿を見て再び立ち上がる。全員身体中ボロボロで、体力なんて残ってないのに。

 

「これは大好きなサッカーを守るための戦いだ」

「円堂っ!」

「円堂!」

「「「円堂!」」」

「「「キャプテン!」」」

 

 アフロディがゴッドノウズの体勢に入る中、オレたち雷門中サッカー部全員の声がフィールド中に響き渡る。

 

「みんなの思いが伝わってくる!」

 

 そして、円堂は両手を見て何かに気付き、体を捻って背を向ける。

 

「諦めたか。だがもう遅い!」

「んなわけねぇだろうがぁ!豪炎寺!鬼道!上がるぞ!」

「「おう!」」

『なんと十六夜、鬼道、豪炎寺の3人が前線へと走り出した!これはどういうことだ!』

 

 円堂からオレンジ色のオーラが放たれ1点に集中し始める。

 

「ゴッドノウズ!」

「うぉおおおおお!マジン・ザ・ハンド!」

 

 円堂の背後から魔神が現れた。そして魔神が手を突き出し、ボールを止める。というか、そのオーラで出来た魔神やべぇな!魔神が手で止めるからマジン・ザ・ハンドってそのまんま!お前のじいさんの技名前そのまんますぎだろ!

 

「円堂!」

「ああ!いっけぇえええええええ!」

 

 ボールは大きく蹴り飛ばされ、

 

「よし!」

 

 駆け出していたオレへと繋がった。

 

「円堂が止めてみせたんだ!絶対ゴールを決めてやる!」

「無駄だ。メガクエイク!」

 

 オレの前に立ちはだかったのはディオ。メガクエイクで足下の地面がせり上がってくる。だが、このスピードなら!

 

「何!?」

「効くかよ!」

 

 それを利用してさらに高く跳ぶまでだ!

 

「鬼道!」

「ああ!」

 

 上空から地面に立っている鬼道へ鋭いパス。そのまま鬼道はダイレクトで上空にあげる。

 

「豪炎寺!」

「ファイアトルネード!」

 

 上げられたボールに豪炎寺はファイアトルネードをゴールではなく下に向かって放つ。

 

「ツインブースト!」

 

 それに鬼道がツインブーストで合わせる。そのままシュートはゴールへ向かい、

 

「ツナミウォール!」

「「うぉおおおおおおおおお!」」

「な、何っ!?何だこのパワーはぁあああああああ!」

 

 キーパーを吹き飛ばしゴールへ突き刺さった。

 

『ミラクルシュート炸裂!雷門中!遂に世宇子中キーパーポセイドンから1点をもぎ取った』

 

 さぁ、反撃開始だ!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。