超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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番外編です。
オーガはこのGW中に執筆してます(投稿するかは未定)




デート with八神

 決勝戦の終わった日の夜。

 

「優勝おめでとう。十六夜」

「ありがと。八神」

 

 オレは約束通り河川敷に来ていた。

 

「お前単体でのペンギンを使わない必殺技、イビルズタイムか。何気に初のブロック技だな」

「まぁ──」

 

 オレは指をパチンッと鳴らし移動、そして再び鳴らす。

 

「──強すぎるから普通の相手にはあまり使わないだろうけど」

「確かにな。その技には弱点らしい弱点が見当たらない」

 

 背中越しに話しかけてくる八神。

 そう。この技には明確な弱点が見当たらない。神様にこの技の原理を問い詰めたところ、この技はこの世界の時間を操ってるという超やべぇ技。対抗策が限られているからな。

 これに頼りすぎると弱体化するだろうし、もしアフロディのような、対抗できる奴が現れたときに弱くなってしまう。

 

「で?今日からは何をするんだ?決勝戦は終わった」

「オレはまだ満足してねぇよ。だからまたこれからも頼む」

「…………そうか」

「嫌か?」

「まぁ、まだ私の足元だからな。私を超えたいんだろ?分かった。また今日から厳しくなるぞ」

「あーそれなんだが……」

 

 と、オレは鞄からあるものを取り出す。

 

「今日の試合で限界が来たみたいだ」

 

 ボロボロとなり壊れてしまったスパイク。流石に今日に至るまで無理させすぎたようだ。というか今までよく持った方だ。うんうん。

 

「試合後に買ってこなかったのか?」

「いろいろ忙しくてな……」

「はぁ……」

 

 額に手を置いてため息をつく。そして、

 

「明日。昼間とか暇か?」

「暇だな。ただ、午後からだとありがたい。こっちもいろいろあるからな」

「なら、13時にここで集合な。お前のスパイクを見に行くぞ」

「オレ一人でも行けるが?」

「いいや。お前の感性は常人とずれてる」

 

 いや、ずれてないです。

 

「だから私が選んでやる。お前に合うスパイクをな」

「……分かった」

 

 まぁ、断る理由もねぇし。八神なら信用……出来るよね?

 

「じゃあ、今日はランニングとドリブルだな。よし、行くぞ」

「へいへい。って最初から飛ばすなよ!」

「これぐらい普通だろ?」

 

 普通だろ?じゃねぇんだよ!こっちはボロボロなんだよ!察してくれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌日の午後。

 

「待たせたな」

「今来たとこだ」

 

 時間通りに来た八神と一緒にスポーツ用具を扱ってる店に向かう。いつもの服装ではなく、スカート姿だ。最初見たときは……あぁ、ジーパンというかズボンだったな。

 

「なかなか似合ってるじゃないか。可愛いと思うぞ」

「かわ……」

 

 顔を赤く染め始める八神。あれ?前の世界ではとりあえず女性の服装はデートの最初に褒めるって学んだが、この世界では違ったのか?

 

「い、十六夜も格好いいぞ……」

「ありがとさん」

 

 何だろう。普段の強さを感じない。ま、そういうこともあるか。

 

「ん?八神。緊張してるのか?」

「そ、そんなわけあるか!」

「デートというか、異性と出掛けて買い物に行くだけだろ?何、緊張してんだか」

「で、デートって……ただ、異性と2人きりで出掛けるのは初めてだな」

「あんなに夜、毎日のように2人きりで会ってたけどな」

「これとそれは別だ!」

 

 そういうものかねぇ……

 

「そういうお前はやけに慣れてるな」

「まぁな。デートなら普通に……」

 

 あ、これ以上は不味いか?デート中に他の女性を出すのはタブーだし、そもそも中2の時点で経験豊富だと誤解されるか。それに、

 

「…………ふぅん」

 

 すでにご機嫌斜めになり始めてるし。

 で、若干不機嫌になった八神だが、スポーツ用具店についた頃には機嫌もある程度戻ったようだ。

 

「メーカーにこだわりは?」

「ない」

 

 そもそもどんなメーカーがあるか知らない。

 

「色にこだわりは?」

「ない。お任せでどうぞ」

 

 まぁ、条件つけると絞っちまうからな。

 

「値段は?」

「常識の範囲内……と言いたいが多少高くても問題はない」

 

 どうせ、神様という名の上限なしのお財布がいるからな。なるべく高校からは頼らなくても生計立てたいが中学生の状態ではそもそもバイトで雇ってもらえねぇ。

 

「分かった。お前は他のところでも見ていてくれ」

「あいよ」

 

 とまぁ、言われたのでスポーツウェアでも見ておこう。にしてもサッカー用具専門店かは知らないが、スパイクだけでもかなりの種類だな。ウェア以外には、ボール、脛当て、キーパーグローブに……へぇ、ミサンガまであるんだ。多種多様というか何というか。

 

「時間つぶしはできそうだな……ん?」

 

 あれ?スポーツ用具店なのに、なんでペンギンのぬいぐるみが?

 

「あ、雷門中サッカー部の十六夜さんですよね……?」

 

 と、ここで若い女性店員が声をかけてくる。

 

「はい。そうですが?」

「あ、やっぱり!この商品十六夜さんをモデルにしたんですよ?」

 

 と、ペンギンを指すが……あぁ。

 

「ペラーか」

「はい。十六夜さんが存じ上げてるか分かりませんが十六夜さんも人気ですし、十六夜さんのよく呼び出されてるペンギンのペラーさんも大人気なんですよ」

 

 だからといって何故こういうスポーツ用具店でペラーのぬいぐるみを売ってるのやら……と思って辺りを見渡すと円堂のバンダナに似たやつとか鬼道のゴーグルもどきとか……ああ、なるほど。そういう店か。

 

「お1つどうぞ。お代はいりませんよ。オリジナルを提供してくださったお礼です。これ人気なんですよ」

「そう?」

「お包みするので会計の時に渡しますね」

 

 まさかペラーがぬいぐるみ化されているとは……この世界は恐ろしいな。

 

「おい、十六夜」

 

 あれから時間が経って、八神が呼んでくる。

 

「これ、履いてみてくれ」

 

 そう言って渡してくるデザインは黒を基調とし、いくつかの青っぽいストライプ。

 

「履き心地も悪くない。柄もシンプルで、派手派手じゃないし、いいんじゃないか?」

「そうか、ならよかった」

 

 今更だがオレたち雷門中って、一緒の……というか全員似たようなスパイク履いてるな。ま、なんでもいっか。

 

「ついでに見たいものあるか?」

「うーん……」

 

 そう言って、店内の商品を見始めた八神。すると、

 

「これ、ペラーのぬいぐるみじゃないか?」

 

 よく分かったな。

 

「結構そっくりじゃないか?」

「それは大いに分かる」

「可愛いな。やっぱり」

 

 性格はかわいくないがな。

 

「あ、ミサンガか」

「そうだな。買うか?」

 

 元の世界で付けてサッカーやってるやついたし。別に置いてあっても不思議ではない。

 

「お前は買うのか?」

「うーん。八神が買うなら」

「なら買う。一緒のでいいか?」

「いいよ。柄は選んで」

「分かった」

 

 楽しそうだなぁ。八神はサッカーが本当に好きなんだな。

 

「じゃあ、これ」

「了解」

「あ……」

 

 と、ミサンガ2つとスパイクを持ってレジに向かう。

 

「これください」

「はい」

 

 対応するのはさっきの店員。

 

「もしかして彼女さんですか?」

「違うとだけお答えしておきますね」

 

 それは違うと断言できる。と、ぬいぐるみと買った商品を持って、

 

「ほらよ」

「……別に自分の分くらい払えるぞ」

「オレの気まぐれと言うことで。後、はいこれ」

「これは?」

「ペラーのぬいぐるみ。オリジナルのおかげで人気らしいから、ヒット商品の元となったということで1つ貰った。お前への今までのお礼とこれからもよろしくって意味で、ささやかなプレゼントだ」

「そうか……ありがと。大事にする」

「オレは近くのスーパーで今日の食材を買っておきたい。お前は?」

「家にこれを置いてくる。時間はかからないから先に行っててくれ」

「じゃ、そこのスーパーに行ってるからな」

 

 そう言うとオレは一旦別れる。家、この辺なのか?

 

「まぁ、確かに荷物にはなるからな」

 

 と思いながら歩いていると、

 

「おい」

 

 なんか、the・不良的なやつが四人くらいがオレを囲うように立った。

 

「ちょっとそこまで面貸せよ」

「……はぁ」

 

 今時こんな不良がいるのか……って、思い返したらこの世界には普通にいたわ。

 

「めんどくせぇな。何の用か、さっさと言え」

 

 で、人気のない廃材置き場に移動する。やれやれ、不運だなぁ。

 

「流石は現在中学サッカー界で有名になった人の言うことだ」

「俺たちとは次元が違うなぁ」

 

 ……はぁ。オレはこういう奴らの相手はあまりしたくないんだよなぁ……

 

「しかも、彼女持ちとかな」

「ほんと、有名人さんは違うねぇ」

 

 彼女持ち?……あー八神のことか。

 

「あいつは彼女じゃねぇよ。てか結局何の用だよ」

 

 直後、目の前の奴が蹴りを放つ。おっと。

 

「お前みたいな光の存在を黒い俺たちがボロボロにし」

「それを餌にあの女を──」

「あの女を?続きを言ってみろ」

 

 と、ここで歩いてきたのは八神だ。え?早くね?瞬間移動でも使ったの?

 

「十六夜がいないから探しに来たが……で、下劣共。十六夜に何してる?」

「はっ。ちょうどよかった。呼び寄せる手間が省けたわ」

 

 リーダーらしき男が軽い口調で答える。

 

「この男は人質だ」

 

 え?マジで?初耳です。

 

「この男を無事に帰したいなら、テメェが代わりになれ」

「……好きにしろ」

「ふーん。じゃあ……!」

 

 拳を振り上げる男。仕方ない。あの技を使おうと手を上げた瞬間……

 

 ドコッ

 

「グハッ!?」

 

 倒れ込む不良のリーダーらしき男。……え?

 

「ただ、私がさせないがな」

 

 威圧感たっぷりの言葉……やべぇ、かっけぇ……が。強くね?オレの倍くらい強くね?

 

「クソアマ!よくもリーダぐほっ!?」

「……遅い」

「ぶほっ!?」

「ふべっ!?」

 

 そしてあっという間に3人も瞬殺した。

 

「ふぅ。他愛もない」

「……ま」

「ま?」

「……ま、マジでかっけぇっすアニキ」

「誰がアニキだ!」

「ぐはぁああああああああっ!?」

 

 そして一瞬で現れた黒いサッカーボール。それを蹴り込まれ廃材置き場の壁に激突した。

 

「アニキ……オレは敵じゃ……(カクッ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か」

「や……八神か」

「たく。気絶して心配したぞ」

 

 気絶させたの誰でしょう?答え、八神。

 

「起き上がれるか」

「……ああ……いてっ」

「ダメならもう少し寝ておけ」

 

 頭の後ろには柔らかい……枕?いや、

 

「悪いな。貸してもらって」

 

 八神による膝枕だった。……今更だがこいつって何者?いくら何でも強すぎね?

 

「さて、行こうか」

「また絡まれても困るからな!」

 

 立ち上がるオレの手を握ってくる。

 

「か、勘違いするな!別に手をつなぎたいからって訳じゃないからな!」

 

 お前はツンデレか。

 で、こんな感じで買い物は終わったのだった。




八神さんはハイソルジャー計画で鍛えられていますから、不良くらい余裕です。
色んな人の意見を詰め込んでみました。
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