同点に追いつき試合再開。が、バダップはボールを持ったままカノンに急接近し、近距離からシュート並みの威力でボールをぶつける。そして跳ね返ったボールを再びぶつける。人間サンドバッグ状態だ。
「アイツ!カノンを潰す気か!」
なるほど、助っ人を一人ずつ潰す気か。……感心しないな。
「止めねぇと……!」
オレが止めようと行こうとするもシュートの嵐がカノンを、そしてその近くにいた者を襲うため容易には近付けない。
そんな中、オレより先にボールとカノンの間に割って入る影があった。
「助っ人ばかりにいい格好させないぜ」
「一兄ぃ!」
「風丸さん!」
風丸だ。風丸はボールをヘディングで弾き、そのシュートを防いだ。
「行くぞぉ!」
はじかれたボールは鬼道が確保していて、鬼道から琴星にボールが渡る。
「綾人!」
「ナイス!」
そして、上がってきたオレにボールが渡る。
「十六夜!俺が言ったこと覚えてるな!」
「試合再開前のアレか?」
「ああ!」
斎村に試合再開前、話があるとかで話をしていた。
どうやらレイからオレがまだペンギンを多く呼ぶときにペラーを介してしかできないことを伝えられたらしく、それの改善を図るように斎村に頼んでいたそうだ。で、言われたのが……
「先入観を捨て、イメージを強く持つ……」
後は鬼道が一番イメージしやすいそうだ。よし。
ペンギンは地面から生えるペンギンは地面から生えるペンギンは地面から生えるペンギンは地面から生える…………!
ピーー!
すると、ペラーを含めた6匹のペンギンが現れた。
「皇帝ペンギンO!」
そして、センターラインからロングシュートを放つ。
「斎村!後は頼んだ!」
「おう!」
斎村は右脚に光を集中させ、オレのシュートが到達したタイミングで捻るように蹴り込んだ。
「超ライトニングスピアー!!」
それは一本の光の槍となり、先端は尖り回転しながら突き進んでいく。ペンギンたちもその姿を光に変え、共にスピードをあげながら突撃していく。
『いけぇっ!』
すると、ザコメルの肩の後ろ側が盛り上がり!?(人間かアイツ!?)ユニフォームの下から小さな二人のプレイヤーが出て来た。……あ、なるほど。でもなぁ……
「…………よく生きてたなぁ」
いやね。最初からあそこにいたとしたら少なくとも死んでいてもおかしくないと思うんだ。主にこっちのシュートのせいで。
すると出てきた二人はそれぞれザコメルの手の上に乗って、
「ハイボルテージ!」
そのまま二人の頭をぶつけると今まで以上の電気がほとばしりそれが壁となってシュートと相対する。いや、おかしくね?何であんな壁ができるの?というか痛くないの?
ボールは壁を突き破るも威力があと一歩足りずに簡単にとられてしまった。
「この技を使わせ、あと少し威力があれば破るほどとはな」
『バカな!』
驚くフィールドとベンチのメンバー。だが、対照的にオレと斎村は冷静だった。
「ッチ。オレの力が足りなかったか」
だって、破れなかった大きな原因はオレにある。オレのキック力がもっと高かったら破れていた可能性はあった。ッチ。そう思うと悔しいなおい。
「いやそれだけじゃない。もっと連携された技じゃないと完全には破れないだろう」
「それもあるかもな……」
「だが、出来たじゃないか。今の感覚だよ」
「ああ。自己洗脳したらなんとかな」
「…………は?自己洗脳した?」
思わず素っ頓狂な声を上げる斎村。一体何に驚いたんだろうか。
「終わらせろ!」
そんな会話も終わり自身のポジションにつくと、バダップの指示を受け再びシュート並の威力でオレたちにボールをぶつけ始めたオーガ。
こちらはボールの威力で吹き飛ばされる。仮にトラップしたとしてもオーガの選手がかなりのスピードで接近。ゼロ距離でシュートを放たれやはり吹き飛ばされることになる。さらに、向こうが通用しないと判断された一部のメンバーはオーガの数名による徹底マークでボールに近付かせない。
「牙を抜かれた人間よ……トドメだぁっ!」
オレたちを傷付け、何度も倒したそんな時、トドメと言ってシュート体勢に入る。
先ほどオレに止めかけられたのもあってか、バダップの横にはミストレとエスカバが。
ミストレとエスカバが跳び上がり、バダップが空へと蹴り出し、自身も跳び上がる。そして、バダップは空中でオーバーヘッドキックのような形で、ミストレ、エスカバとともに同時に蹴り込む。
『デスブレイク!』
何本ものトゲのような物がボールから生えてくる。シュートはその威力で地面を
「ひい……じいちゃん!」
カノンがよろめきながら立ち上がる。
「まだまだぁっ!」
そしてカノンと円堂が共に頷き合う。
『まだまだ……終わってねぇぞぉーっ!!』
……たく。熱いなおい。だが、
「それでこそ円堂だよな!五条!レイ!行くぞ!」
オレも立ち上がり、五条とレイに声をかける。
「ククク……任せてください」
「しっかり合わせてよ!ひいじいちゃん!」
「お前こそな!」
まず、五条がシュートの前に立ちはだかる。そして跳び上がり空中で足を振るう。すると、地面からその振るった軌跡上に紫の炎が現れた。しかも、スピニングカットの炎と違いまるで悪魔のような顔を持ち、炎が意思を持っているようにも感じる。
「デーモンカット!」
そのまんま!てか、やっぱり悪魔かよ!だが、五条のデーモンカットを持ってしてもデスブレイクの威力を完全に止めるには至らなかった。
ただ、それも計算に入れていたのが五条。オレたちの行動を読み、オレたちが次に止めやすいようにボールの軌道をやや上空に変えてくれた。
「後は任せましたよ」
相手の力量を正確に判断する必要があるはずなのにそれを簡単にやってのける。どこまでも底が知れない実力を持ってるな……。
「流石です!行くよひいじいちゃん!」
「おう!」
オレは右脚を引き、レイが右脚の上に乗る。そして、右脚を振るうと同時にレイがオレの脚を踏み台にし、跳躍する。
ピーー!
そして、同時にペンギンをオレとレイが6匹ずつの計12匹を呼び出して、フィールドにペンギンたちが現れる。
オレはペラーに乗りながら加速し、5匹のペンギンと共にシュートへ。レイはゼロに押されながら空中で縦回転をし、スピードを上げ5匹のペンギンと共に落下する。
『皇帝ペンギン――』
シュートに対し上からは空中からのレイの踵落としが、下からは地上からのオレの蹴りが。二つの蹴りの力が同時に加わりさらに、ペンギンたちがシュートを止めようと食らい付く。
『――
ボールは
『おぉっ!デーモンカットと皇帝ペンギンDBがデスブレイクを完全に止めたぁっ!』
あ、やっべボールがと思った次の瞬間にはボールが再生していた。とりあえず、ま、いっかということでボールをカノンに渡す。
「俺たちは信じてる……ひいじいちゃんたちから受け継いだサッカーを!」
ボールは琴星に渡り、琴星を囲うように残りのオレたち9人が囲うようにして走る。
「例え世界が違ったとしても!」
「未来に繋ぐんだ!」
助っ人に来てくれた琴星、五条、斎村。未来から来てくれたカノンにレイ。生きている世界が、時代が違ったとしてもサッカーがオレたちを繋いでくれている。
「俺たちの――――」
『サッカーを!!』
だから、オレたちはその繋いでくれるサッカーを未来へと守っていくんだ!
「行かせるか!」
オレたちの前に立ち塞がるオーガのディフェンス陣。
「これはゴマちゃんが、レイレイが、綾人が止めたボールにゃ!絶対に奪われるわけにはいかないにゃ!」
オレたちの一歩先をボールを持った琴星が走る。
「それに、ボクはイナズマジャパン……雷門の皆に夢を貰ったんだにゃ。だから、ボクはその夢を、憧れの皆を守るんだにゃ!!」
すると、指を鳴らす琴星。
「イリュージョンスター!!」
オーガのディフェンス陣は琴星の作る幻の星空の世界に連れて行かれた。だんだんと強くなっていく光にオーガディフェンス陣は目を開けてはいられない。
「今にゃ!ナギーさん!綾人!決めるにゃ!」
その隙を突いて突破し、オレにボールが渡った。
「ククク……決めてください。斎村君。十六夜君」
「いっけぇ!二人とも!」
五条、円堂からも声が聞こえる。いや、それだけじゃない。オレたちに託してくれる思いが全てこのボールから伝わってくる。今も一緒に走ってくれる仲間の、怪我でベンチに下がってしまった仲間の、未来から、別の世界から来てくれた仲間の。
オレは斎村の方に目を向け、アイコンタクトを取って頷き合う。
そしてボールを斎村に託す。斎村は走りながら受け取ったボールをゴール前の上空にフルパワーで蹴り上げる。すると、ボールは銀色に光り出して超エネルギーをチャージし始める。オレはすかさず、
ピーー!
ペンギンを7匹召喚する。
「行くぞ!十六夜ぃっ!」
「決めるぞ!斎村ぁっ!」
オレはペンギンたちと共に飛び上がり、ボールの上を通過する。オレが飛んだのと同時に斎村も飛び上がり、そのままオレたち二人は縦回転をし、オレが右脚を、斎村が左脚を同時にボールに叩き込む。それに伴いペンギンたちは銀色に染まりそのままゴールに向かって飛んでいく。
『セイクリッド・ペンギン!!』
デスブレイクとは対極の力。邪悪を打ち破る為の破邪の力を持つシュートがゴールに向かっていく。
『いけぇええええええええええっ!!』
『ハイボルテージ!』
その破邪の力は雷の壁を打ち破り、ザコメルたちを吹き飛ばして、ゴールに刺さる。
「やったにゃ!打ち破ったにゃ!」
「ククク……なかなかの威力ですねぇ」
「やったな!斎村!」
「ナイスシュートだ十六夜!」
オレと斎村はハイタッチを交わす。
「やっぱ、ひいじいちゃんもすげぇや」
3-2。遂に勝ち越すことに成功。時間もまもなく終わりを告げる。このまま何もなければ雷門の勝ちで終わるだろう。そう、
「円堂守ぅううううううううっ!!!!」
憎悪を怒りを感情の全てを込めて吠えるバダップ。
まだ試合は終わっていない。
最後まで何が起きるか分からないのだ。