超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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次回から番外編のオーガを投稿します。


試練の時

 コンコンコン

 

 グランが去って少しした後。オレの部屋の戸をノックする音が聞こえる。

 

「どうぞー」

 

 オレが入室を許可する。まぁ、断る理由ないからな。戸を開けたのは……

 

「なんだ。やが──ウルビダか。何の用?」

「説明をしに来た。そこに座っていいか?」

「どうぞ」

 

 とまぁ、ベッドに腰掛けるや──ウルビダ。

 

「まずは、この石を見てもらいたい」

 

 すると、見せてきたのは何か透明なカプセルに入ってる石。

 

「宝石?」

 

 紫色に輝いてるけど……うーん。

 

「アメジスト……じゃないし、パープルサファイアでもなさそうだし……」

「宝石ではない。これはエイリア石と呼ばれるものだ」

「はぁ……え?エイリア石?」

 

 まさか、エイリア石とエイリア学園……あれ?安直?

 

「この石をもっと見てみろ」

 

 と、見せられるが……

 

「何か感じないか?」

「……うーん」

 

 ただすげぇ不気味だなぁとしか思わないんだけど。あと、よく光るね。この石。

 

「特に何もないな」

「……ほう。まぁいい」

 

 そう言ってしまうウルビダ。

 

(特に何も思わなかっただと?嘘をついている様子はなさそうだが…………まぁいい。この男は何かと変わってるからな)

 

「じゃあ、説明に入ろう。グランからチームの勢力関係は聞いたと思う」

「ああ。で、マスターランクのチームと他のチームが何か大きな違いがあると言ってたな」

「今見せたエイリア石には人の力を何倍にも引き上げる力がある」

 

 …………は?

 

「その石を身につけただけで恩恵を得られるという代物だ」

「えーっと…………あ。身体検査に引っかからないドーピングか」

「まぁ、その感覚でいいだろう。で、これを使っているのがジェミニストームやイプシロンだ」

 

 つまり、あいつらは言うなれば強化人間ってとこか。

 

「…………ん?じゃあ、ウルビダは使ってないのか?」

「ああ。そうだな。私を含めたマスターランクのチームは使ってない」

「つまり、さっきのが道具によって強化された人間だとすりゃ、お前らは純粋に強化された人間ってとこか」

 

 それなら納得だ。オレが今まで簡単に吹き飛ばされたことがようやく原理がつかめた。……いや、それでも充分やべぇけど。なるほどな。そりゃあ強いわけだ。

 

「てか、そもそも何でこんなことしてんだよ」

「それは私の口からは言えない。聞きたいならお父様の元に行け」

「了解」

「さて、お前にはこの後私と来てもらう」

「ああ……グラウンドで何とかって言ってたな」

「それもあるがそれより前にやってもらうことがある」

 

 え?何かあるの?まさか、掃除当番とか調理分担とか?

 

「走り方の矯正だ」

「…………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれからグラウンドでひたすら走らされた。いやね。何か手を後ろにやって若干前屈みで走るみたい。それをエイリア学園の全チーム、全選手が統一してるらしい。いや、走り方統一ってなんだよ。団体行動か。

 

「やってるね」

 

 と、声を掛けてきたのは、

 

「グランか」

「もうすぐ時間だからね。直に皆集まるよ」

 

 グランがやって来てからいくつかの集団がまとめてやってきた。ユニフォームが4種類だから……なるほど。ジェミニストーム以外の4チームか。というかチームによってやはりユニフォームを替えているようだ。だって、ジェミニストームとガイアではユニフォーム違ったし。

 

 パンパン

 

 全員が揃ったようなので、グランが2回手を叩いて注目させる。

 

「今回は急な召集に集まってくれてありがとう。早速だが紹介させてもらうよ。彼はムーン。これから俺たちの仲間になる新人だ」

「ムーンです。よろしく」

「へぇ。こいつが例の片方の奴か……」

 

 と、赤髪のやつが言うが……片方?

 

「おいグラン。もう1人スカウトしていたんじゃないのか?」

 

 と、青……というか白っぽいやつが言うが……え?まだいるの?

 

「そうだね。ムーンの方は乗ってくれたんだけどもう1人は難航しているみたい」

「別に居ても居なくとも、ジェミニストームに勝てないようじゃプロミネンスには遠く及ばないだろうがな」

「それは我らダイヤモンドダストにしても同じ事だ」

 

 あーよく見るとキャプテンマークしているなぁ。なるほど、彼らがそれぞれのチームのキャプテンか。

 

「で、彼を我らガイアにいれるけど文句はないよね?」

「お待ちくださいグラン様」

 

 と、ここで……え?黒髪……って言うの?髪が長すぎてマフラーのようになってない?え?それともマフラーつけてるの?どっち?間をとって髪の毛でマフラー作った?

 

「何だい?デザーム」

「その男の実力はおそらくジェミニストーム以上でしょう。ですが、だからといって我らイプシロンを超えているとは信じられません」

 

 すると、グランは薄い笑みを浮かべる。うん。予想通りに事が進んでるんだね。分かるよその気持ち。

 

「確かにいくらガイアの()()()()()()()スカウトしてきて、()()()()()()加入を認めていたとしても、君を含めここにいる何人かは認めないだろう」

 

 何人かは図星を突かれた感じになる。うわぁ。分かりやすいなぁ。

 

「ならテストしよう。ムーンのポジションはDFだ」

 

 いや、全部出来ますよ……と言おうとしたがやめておこう。グランにはウルビダからオレが全ポジションできることは伝わってる(はず……だよね?まぁいいや)。その上でこうやって言ったということはグランはオレをDFとして以外は()()()()()()。或いは使()()()()()()ということ。…………まぁ、一切反対する気はないからスルーするが。

 

「デザーム。君はFWも出来たね。直接確かめてみるといいよ。それから、バーン。君もどうだい?」

「ありがとうございます」

「はっ。上等だ。やってやるよ」

 

 ちょっと待て。何か2人ともやる気になってんだけど。え、しかもデザームもバーンもそれぞれキャプテンじゃないか。おい、マジで言ってんの?

 そう思ってグランの方を向くと、

 

「あ、ちなみに実力が足りてなかったら容赦なく降格するからね」

 

 いい笑顔で言いやがったよ畜生が。

 

「ふん。ムーンが負けるわけないだろう」

 

 いやね、ウルビダさん。ハードルあげないでもらえます?ね?ね?

 で、取りあえず準備をする。

 

「フン。3分だ。3分でけりをつけてやる」

 

 いや、むしろ3分もかかるの?って野暮なツッコミを入れるのはやめておこう。

 ルールは単純明快。オレがボールを奪えばオレの勝ち。抜かれてシュートを打たれたら負け。

 

「行くぞ」

 

 そして、手を後ろにしてドリブルしてくるデザーム。ほう。レーゼたちより速い気がするなぁ。でもまぁ、

 

「これくらいのスピードなら……!」

 

 別に見慣れているし、ついて行くことも出来る。そして、

 

「何っ!?」

「ふぅ」

 

 これくらいのドリブルなら、余裕でボールを奪える。

 なるほどねぇ。レーゼたちを見ても思ったが彼らはやはり、身体能力が高いのは認めるがあくまでそれだけ。サッカーの技術や連携という意味では雷門の方が上なところが少なからずあるだろう。身体能力……特にスピードが脅威となるが、そのスピードにさえついて行ければ後は相手しやすい。

 

「へぇ。おもしれぇじゃねぇか」

 

 気付くと既にバーンがボールを持って準備していた。

 

「次は俺が行くぜ!」

 

 そう言ってドリブルをしてくるが、さっきのデザームとは違い、

 

 ガンッ!

 

「へぇ、はじかれないか!」

 

 何度もタックルし、オレを吹き飛ばしにかかる。

 

「別に荒いプレーでも問題はないけどさ!」

 

 オレもタックルでバーンを吹き飛ばそうとするも流石に吹き飛ばない。なら、

 

「ここ!」

 

 バーンがタックルしてきたタイミングでオレはそれを体をずらして避ける。そのまま倒れそうになるバーン。そこからボールを奪う。

 

「オレの勝ちだな」

「ああ。で、どうだい?デザーム。バーン。ムーンの実力は」

「……ッチ。認めてやるよ。マスターランクチームに入るに充分な実力だ。条件も満たしているようだしな」

「イプシロンの能力と同等かそれ以上はある。今回は負けたが次は勝つ」

「じゃあ、ガゼル。君もムーンとやるかい?」

「今はやめておこう。現時点の実力は理解した。ただ、まだまだ足りない部分も多い。もっと実力を上げてから戦いたいものだ」

 

 何だろう。このガゼルの強者感は。まぁ、オレだって今の実力がピーク。これ以上つかないとは考えてはいないけどさ。

 

「じゃあ、これからよろしくね。ムーン」

「ああ、こちらこそ」

 

 そして、ガイアに入ることが正式に認められ今日から特訓の日々である。降格処分を受けないよう頑張りますか。

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