超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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京都へ

 漫遊寺中……そこはなんと寺だった。古き良き日本って感じがする中学校。今そのグラウンドにて、

 

「何度言われても答えは同じです。私たちに戦う意思はありません」

 

 漫遊寺中学サッカー部の代表とイプシロンキャプテンのデザームが向き合っていた。そして、グラウンドの外には雷門中サッカー部の面々が。やっぱり居たのね。

 

「ならば仕方ない」

 

 そう言ってデザームはエイリアボールを掲げる。そして、掲げられたボールを蹴るゼル。蹴られたボールは何か歴史を感じそうな寺に直撃し、破壊した。

 

「私たちの学校が……!」

 

 え?あれが学校だったの?

 

「やむを得ません。その勝負お受けいたしましょう!」

 

 こうしてイプシロンと漫遊寺中サッカー部の試合が決定。両チームがポジションに着く中、オレはさっきから気になってたことを聞く。

 

「何でここにお前までいるんだ?グラン」

「おっと、この格好の時はヒロトって呼んでよ。十六夜」

「そうだぞグラン。お前が試合を見に来るなんて珍しいじゃないか」

 

 と言っても学校の2階部分(だと思う)の陰からこっそり見ているだけなんだけどね。いや、堂々と見ようとすると流石に怪しまれるから。それに(主にオレが)厄介なことになりかねないし。

 

「まぁまぁ。そんなことよりも試合が始まるよ」

 

 仕方ないグラン……もといヒロトがこの場にいる理由とかはスルーしよう。

 

「お許しください。一時の激情に負けた私たちの弱さを」

 

 何だろう。チーム全員が瞑想している。

 

 ピ──

 

「遠慮はいりません!邪悪なる魂に天罰を下すのです」

 

 と、そんな言葉で試合は漫遊寺ボールで始まった。

 

「だとよ。邪悪なる魂の代表さんたち」

 

 オレは横にいるエイリア学園最強チームのキャプテンと副キャプテンに声をかける。

 

「失礼な。僕らのどこが邪悪って言うんだい」

「全くだ。邪悪さなど微塵もないだろうが」

 

 おっと、この2人は自覚がないようだ。もうダメだね。

 

「愚かな。6分で片付けてやる」

 

 ちょっと待てデザーム。6分で片付けるってお前……

 

「時間計っといてよ十六夜」

「6分で終わらなかったら罰だな」

「いや、今の発言はどうかと思うけどな」

 

 とかなんとか言いつつ試合開始から時間は計っていたのでそれを見る。でも、6分だよ?無理だと思うけどなぁ……

 

「竜巻旋風!」

 

 あれって、少林寺の技じゃね?そう思ってると技を食らったはずのクリプトは簡単に砂の竜巻を破ってあっさりボールを取った。そのままマキュアにボールが渡り、ドリブルしていく。

 

「四股踏み!」

 

 あれって、忍者たちの必殺技じゃ……と思ってるとそんな風を前にしても表情を一切変えずにドリブル。シュートを放ち、四股踏みをしたディフェンダーごとゴールに押し込んだ。

 漫遊寺ボールで試合再開。と、ここで、

 

「クンフーアタック!」

 

 必殺シュートを放つ。もしかしたら、シュートと言いつつ肩で当ててボールを押し込んでいる以外普通の必殺技なのでは?と、そんなシュートもデザームの前には無力。片手であっさり止められてしまう。

 ボールはゼルに。そのままシュートを放つ……と。

 

「火炎放射!」

 

 キーパーの胸(おそらく肺)が異常に膨らみ口から火を吐いた!?ヤバい!びっくり人間出てきたよ!種も仕掛けもなく純粋に口から火を吐けるなんて……!

 

「あーチャッカマンとかいらなさそうだなー(現実逃避)」

 

 キャンプとかするとき便利そーだなー。ほんとほんと、きっと彼はサバイバル環境では重宝するだろうなー。

 しかしまぁ、彼の吐いた炎を切り裂くようにシュートは進みゴールに突き刺さった。

 その後は一方的な展開に。彼らがボールを持てば颯爽と奪い、パスを出しながら的確に漫遊寺の選手に当て、シュートもキーパーやディフェンスを巻き込み、着実にボロボロにしていった。

 

「無念だ……」

 

 そして、最後の選手が倒れてしまう。これで漫遊寺側に戦える選手はいない。

 

「ジャスト6分……」

「流石はデザーム。時間に厳格だね」

 

 え?そういう問題?

 

「6分で15点……まぁ上出来だな」

 

 6分は360秒。それを15で割るから1点24秒ペース。わぁお。それで上出来って言える八神さんマジかっこいいです。

 

「やれ」

 

 デザームがボールを掲げて学校を破壊させようとしている。

 

「待てっ!」

 

 と、ここで響くのは円堂の制止させる声。

 

「まだ試合は終わっちゃいない!俺たちが相手だ!」

「お前たちが?」

 

 んな無茶苦茶な。

 

「ふんっ。いいだろう」

 

 いやいいんかい。

 

「でも、キャプテン。目金先輩が……」

 

 は?目金になんかあったの?

 

「だったら10人で戦うまでだ」

「じゅ、10人で!?」

「このままあいつらの好きにはさせられないだろ!」

 

 いや、それでも10人でイプシロンに挑もうとするのは無謀だろ。

 

「11人目ならいます!木暮君が」

「え?」

「「「木暮ぇっ!?」」」

 

 音無が11人目として名をあげたのは、漫遊寺の選手。ただ、さっきの試合に出ていないことから補欠だろうと推測される。雷門のメンバーもあまりいい顔ではないし。

 

「お願いします!キャプテン!」

 

 すると円堂は笑顔で、

 

「分かったよ。音無。いいですよね!監督!」

「……好きにすればいいわ」

 

 まぁ、アイツがそういうの断るとは思えんか。

 

「さてさて雷門対イプシロンか。クスッ。どうなるんだろうね」

「下らんことを聞くな。イプシロンの圧勝で終わりだろ」

「ま、オレは試合結果よりアイツが気になるな」

「へぇ。漫遊寺の子かい」

「どうしてそこまで信じられるのか。どんな実力を秘めているのか」

 

 彼1人が加わったところで試合結果は変わらないだろう。だが、木暮という選手が何を見せてくれるのか。興味が湧いてる。ポジション的にもディフェンダーだし。

 

「雷門中。ジェミニストームを打ち破った唯一のチーム。たったそれだけのことで勝てるなど我らイプシロンも舐められたものよ」

 

 まぁ、あんまり知らないからしょうがなくない?

 そして、デザームは雷門のメンバーがストレッチを終わるのを見計らって告げた。

 

「諸君。キックオフと行こうか」

「暴れたりねぇなぁ。レーゼに勝ったんなら少しは手応えあるんじゃねぇの?」

「お手並み拝見と行きましょう」

「ぶっ潰す」

「命知らずってマキュア大好き」

 

 軽口を叩く余裕はあるか……まぁ、なかったら困るけど。

 

「聞けぃ雷門中。破壊されるは漫遊寺中にあらず。我らエイリア学園に歯向かい続けるお前たち、雷門イレブンと決まった」

 

 勝手に決めたよ。いいのかそれで。

 

「漫遊寺中は6分で片付けた。だが、お前たちはジェミニストームを打ち破った。その実力をたたえ、3分で決着とする」

 

 いや、短くなってますけど?本当に大丈夫なの?3分って大体のカップラーメンのお湯を入れてからと同じくらいの時間ですけど?

 

「今度は3分かぁ」

「もうサッカーの試合の終わる時間じゃねぇだろ」

「さて奴らはどれだけ抵抗できるかな」

 

 もうヒロトと八神の強キャラ感がやべぇ。まぁ、実際に強いから否定しないけど。

 でも、さっきの試合はイプシロンは本気を出していない。さてどこまで喰らいつくかな?

 

 ピ──

 

 雷門ボールで試合開始。ボールは風丸へ。

 

「戦闘開始!」

 

 デザームの指示により、吹雪と染岡のツートップにマークがつく。

 

「流石にジェミニストーム以上のスピードだな……塔子!」

「鬼道!」

 

 攻める雷門。だが、たった1人。木暮だけは動けずにいた。

 

「土門!」

「撃て!一ノ瀬!」

 

 ボールは鬼道から土門、そして一ノ瀬へと渡る。

 

「スピニングシュート!」

 

 あの威力じゃ足りない。

 

「打ち返せ」

「「了解」」

 

 モールとケイソンが同時に蹴って打ち返す。

 

「これで1点目かな?」

 

 そう。クリアのためにあいつらは打ち返したんじゃない。シュートのために打ち返したのだ。

 

「塔子!壁山!」

「ザ・タワー!」

「ザ・ウォール!」

 

 2人の必殺技で何とか弾くことに成功する。その弾いたボールにジャンプして向かうは吹雪。吹雪のマークについているスオームとメトロンも続いてジャンプする。

 

「貰ったぜ!」

 

 すると、急に雰囲気が変わり、空中で2人の肩を踏み台に更なる跳躍をする。……あれ、ファールにならないの?

 

「エターナルブリザード!」

 

 そのまま空中でシュート。

 ただ、距離もあってか威力は足りない。デザームは左手を突き出して、片手で止めてしまった。

 

「敵ながらいいシュートを打つ。気に入ったぞ」

 

 気に入っちゃったよ。開始40秒、デザーム、吹雪を気に入る。…………というか、まだ40秒しか経ってないの?

 そしてそのまま反撃に移る。パス回しで雷門を翻弄しボールはゼルへ。

 

「ガニメデプロトン!」

 

 あ、1番ダメな技が来た。あれ、ハンドだろ。足を一切使わずもう手からビームじゃないけど出してるしアウトだろ絶対。

 

「ゴッド──」

「間に合わない!」

「爆裂パンチ!」

 

 円堂はゴッドハンドを出そうとするも間に合わず爆裂パンチに切り替えたが無慈悲にもゴールに刺さってしまった。

 

「……まぁ、ゴッドハンドでも無理だっただろうが」

 

 そこから撤退的に痛めつけられる雷門のメンバー。だが、木暮だけは無傷だった。

 

「へぇ、面白いやつだな。木暮」

「ふん。逃げ足だけは速いってことだろ」

「いいや、完璧に避けている。アイツには見えてるんだよ。あのスピードが」

 

 完璧に避けるにはボールや相手の動きが見えてないと無理だ。つまりアイツには見えている。だが、逃げてばかりでは何も解決しないがな。というか、

 

「おいヒロト。今デザームこっち見たぞ」

「まぁ、彼なら気付くだろうね」

「そもそも3人も居れば誰かはバレるだろ」

 

 まぁ、確かにそうだが……

 

「間もなく3分。我々は次の一撃を持ってこのゲームを終了する」

 

 ……サッカーってそんなスポーツだっけ?

 

「聞け地球の民たちよ!我らは10日の後にもう一度勝負をしてやろう!」

 

 勝手に決めちゃったよ。

 

「だが、お前たちは勝負の日まで生き残っていられるかな?」

 

 おかしい。サッカーって本当にそんな生き残るとかいう言葉が出て来るスポーツだっけ?

 すると、デザームの渾身のシュートが雷門ゴールへと迫る。

 

「伏せてろ!木暮!」

 

 シュートのコース上には木暮の姿が。必死に逃げる木暮。だが、逃げ切れない。…………あれ?ボールから逃げるスポーツだっけ?

 

「わわっ!」

 

 木暮は壁山の足に躓き転んでしまう、そこにシュートがやって来てそのまま木暮を巻き込んで竜巻をあげる。

 

「竜巻って……」

 

 竜巻がやんだとき、威力のゼロとなったボールと無傷の木暮が地面に落ちる。

 そして、デザームたちイプシロンは既にその場から居なくなっていた。

 

「帰るぞ。十六夜」

「そうだな」

「面白いね……」

「どうした?ヒロト」

「なんでもないよ」

 

 オレたちも人知れずに帰るのであった……ていうか瞳子監督こっちに気付いていた気がするの気のせい?

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