超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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休みと変化

「……え?休み?」

 

 それはイプシロンと雷門が戦った翌日の朝、朝食の時のことだった。

 

「そうだ。毎日のように朝から晩まで練習してはいずれ身体が壊れる。だから、今日から3日間はマスターランクチーム全員休みだ」

 

 意外だ。オレがエイリア学園にやって来て早くも何日か。1日休みを貰ったのは初めてな気がする。しかも3連休。

 

「前までは定期的に休みを入れていたんだがな。ジェミニストームが動き出し本格的に計画が始まってからはこうして一日丸々休む余裕がなくてな」

 

 午前だけ、午後だけ休みというのはちょくちょくあった。……まぁ、オレの予定は大抵……

 

 6:00 起床

 6:30 朝食

 7:30~12:00 個人練習

 12:30 昼食

 13:30~18:00 全体練習

 18:30 夕食

 19:30~22:30 ウルビダと特訓

 23:00 就寝準備とか色々

 0:00 就寝

 

 と、こんな感じである。ベースがこれで時々変わるぐらい……あれ?今気付いたけど、オレってどんだけ練習してんの?マジ?雷門でもこんなに練習したことないぞ?

 

「半日練習しているのか……」

 

 道理で疲れるわけだ。いや、しっかりと間に休憩は入れてるよ?流石に何時間もぶっ通しでやったら死ぬと思う。

 

「で?どうする?一応休みではあるが、別に練習禁止ってわけじゃない。お前が練習したいなら付き合うぞ」

 

 どうしたものか。急に休みって知ってもじゃあこれしよう!なんて思い付かない。まぁ、酷使しすぎてるから少しくらい休みたいのは事実だ。でも、休むにしてもやることないしなぁ……。かと言って円堂たちの動向を探るにしたって、デザームが10日後と宣言した以上、あいつらは「特訓だぁ!」とかやってそうだからな。そんなの見に行ってどうするの?って話だ。

 

「手持ち無沙汰だな……」

 

 勉強……は、別に支障ない。中学レベルなど今更終わってる。元高校生の学力舐めんなよ。

 …………おかしい。やることがない。

 

「なぁ、ウルビダ。お前はどう過ごすつもりだ?」

「私か?特に考えていないな」

 

 マジですかぁ……。折角便乗しようと思っていたのに……。

 

「ただ、久し振りに休むのもいいだろう。お前に付き合って夜まで特訓しているしな」

「いつもすみませんね」

「気にするな。お前との特訓は楽しいからな」

 

 楽しい?ああ、確かにオレにボールぶつけているときのウルビダって楽しそうだもんなぁ……。

 

「今失礼なことを考えなかったか?」

「…………そんなわけないだろ」

「おい、今の間はなんだ。後、私の目を見て話せ」

 

 何故こいつはこんなに鋭いのだろうか?もっと鈍いと思っていたのに。

 

「あ、そうだ。いいこと思いついた。なぁ、ウルビダ」

「なんだ?」

「明日デートしないか?」

「…………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 休み初日。調べたところによると、休みを貰ったマスターランクチームの面々は一部を除き、皆思い思いに過ごしている。

 自室で読書をする者もいれば料理をする者、エイリアボール(どこでもドア)を使用して海へ行ってみたり温泉へ行ってみたり様々だ。…………ところで温泉とか言った奴金持ったよな?さすがに金払わず逃走とかないよな?まぁ、学校破壊に比べたら可愛いものか。

 

「そろそろ休憩しようと思うのですが」

「そうだね。適度な休憩は大事だよ」

 

 じゃあ、オレは何をしているのか?と聞かれれば、一言で言えば特訓です。

 

「よし。各員10分休憩した後、再開するぞ」

「「「はっ!」」」

 

 正確にはイプシロンの特訓に参加しているって感じかな。

 

「でもムーン。いいのか?」

「ん?何が?」

「ムーンを始めとしたマスターランクチームの皆様は今は休暇中だと」

「あーあれね。勿論休みはするよ。でも、3日間もいらないなぁーって」

「そうか」

「それに。もっと強くなりたいし」

 

 あいつらはきっとこの10日間でレベルアップするだろう。なら、オレも負けていられない。

 

「…………強くなりたい……」

「ん?どうした?」

「いえ。この後のメニューですが……」

 

 こうして、イプシロンとの練習は夕食の時まで続いた。

 

「…………」

 

 その間、なにやら視線を感じたが、特に触れないでおいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま戻りました」

「ムーン……いえ、十六夜綾人の様子はどうでした?」

「特に何も。いたって普通ですね」

「そうですか」

 

 吉良星二郎は研崎竜一からの報告を聞き、調べた情報を口にする。

 

「十六夜綾人。両親を幼い時に亡くし、現在は両親の残した一軒家にて一人暮らし。親族によって生計は立てられている……ですか」

「えぇ。その通りです」

「あの子たちと近しい環境で育っている。いえ、下手したらあの子たちよりも酷いかもしれない。ただ、彼からはどうにも不思議なものを感じますね」

「と言いますと?」

「彼はどうにもただの中学生に見えない」

 

 実際、十六夜綾人はただの中学生なわけがないが、それを知る人物はこの世界には誰もいない。

 

「歳は取りたくないものですね。一介の中学生に過ぎないはずの彼をどうしてこんなに警戒している自分がいるのか。元々、彼は我々の戦力に加えるつもりだった。そのつもりであなた方にも動いてもらう予定でした。しかし、この目で彼を見て思ってしまうのです。『我々が取り込んだ存在は我々を崩壊させる毒だった』のではないかと」

「そうですね。ですが、それならばこう言い換えられますよ。『上手く使えばこの上ない優秀な武器』と。我々を滅ぼせるだけの毒ならば使いこなせば、我々の計画をより完璧にしてくれるコマです」

「それもそうですね。まぁ、所詮は一介の中学生。出来ることなど限られていますか」

「では私はこれで」

「呼び立ててすまないね」

「いえいえ」

 

 さがる研崎竜一。

 

「……ええ。本当に彼は()()()()()最高のコマですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻。グラウンドにて2人の選手が話していた。

 

「聞いたかガゼル」

「ああ、どうにもあのお方がジェネシスにガイアを選ぶ噂が流れているようだな」

「クソっ!俺は認めねぇぞ!」

「フンッ。私もまだ認めたわけじゃない」

 

 プロミネンスキャプテンのバーンとダイヤモンドダストキャプテンのガゼルの2人である。

 

「だが、このままでは噂が真実に変わるのも時間の問題だ」

「ああ。何かしら手を打てればいいが」

「一層のこと今から雷門へ襲撃して完膚なきまで叩きのめすか?」

「それは意味がないだろう」

「何故だ?」

「奴らはつい先日、イプシロンに大敗している。その程度のチームに勝つのは戦わなくても分かる。その程度で評価が上がるとは思えない」

「……ッチ。奴らがイプシロンをぶっ倒すぐらいの実力だったら楽だったのによぉ」

「ジェミニストームに勝てたところでイプシロンに対しあの様だ。我らには遠く及ばない」

「ああその通りだな……っ!誰だ!」

 

 と、ここでバーンがボールを蹴る。

 

「わっ、危ないなぁ……」

 

 現れたのは……

 

「ムーンか。盗み聞きとは趣味が悪いぞ」

「いやいや、オレは練習に来ただけだわ」

 

 片手にボールを、足にはバーンが蹴ってきたボールを持って、歩いてくるのはムーン。

 

「聞こえていたか?」

「んーまぁね。要は『ガイアがジェネシスの称号を与えられるのが気に食わない』ってことでしょ?」

「ああ、そうだな」

「でも、まだ君たちがもらう可能性はなくなった訳じゃないんでしょ?焦る必要なくない?」

「だとしてもだ!そもそもそんな噂が流れている時点で気にくわねぇんだよ!」

「やれやれ。だが、それには同感するがな」

 

 ムーンは思っていた。ぶっちゃけジェネシスの称号ってそんなに欲しいの?っと。

 

「じゃあさ、手を組めばいいんじゃない?」

「「はぁ?」」

「いや、プロミネンスとダイヤモンドダスト。2つのチームをいい感じに合わせたらガイアより凄いチームが出来るんじゃないかなって」

「要は選抜チームを作るってわけか」

「そうそうそんな感じ」

「フッ。なかなか面白い話だな。私は乗ってもいい」

「だな。この3人で上には上がいるってことを思い知らせてやろう」

「うんうん…………ん?どの3人?」

「差し詰めムーンはガイアに入り込む我々のスパイってとこか」

「ああ。こいつは自分からチームを選んだわけじゃねぇ。そこまでガイアに思い入れもねぇだろ」

「あのー……」

「ここから少しの間の準備期間ってとこだな」

「それが終わり次第、俺たち3人がグランをぶっ潰す」

「いや、ちょ……」

「「ここにネオ・ジェネシス計画を発動する」」

 

(何か巻き込まれたんですけど……)

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