デザーム率いるイプシロンは京都で雷門中学と対戦する。
圧勝するイプシロン。キャプテンデザームは10日の猶予を与え雷門と再戦することを告げる。
雷門は愛媛で新帝国学園と対決、そこで染岡は負傷、離脱を余儀なくされる。
その後は大阪へ。嘗て十六夜を苦しめた特訓マシーンと向き合う円堂たち。果たしてクリアできるのか。
一方の十六夜は、海外で八神とデートする。
そこでフィディオと出会う(十六夜は原作を知らないため、そんなすごい存在とは知らなかった)
フィディオに完敗した十六夜。
強くなると決意を固め、彼はある場所を訪れていた。
ゴォォォオオオオオオオオオオオッッッ!
圧倒的とも言える存在感。音を聞いただけで分かるこの雄大さ。
ゴォォォオオオオオオオオオオオッッッ!
オレは今、修行に来ていた。座禅を組み、心を空にする……いや、こうやって考えている時点で空にできていないけど。
ゴォォォオオオオオオオオオオオッッッ!
初めこそこの修行に辛さを感じたが1時間もすれば自然と苦ではなくなっていく。
この水の落ち、打ち付ける音だけが残る。
精神を集中させ雑念を振り払う。そう、オレの中にある雑念…………!
(ペンギンは地面から生え空を飛ぶ。これ常識おかしくない。ペンギンは地面から生え空を飛ぶ。これ常識おかしくない。ペンギンは地面から生え空を飛ぶ。これ常識おかしくない)
そう。ペンギンが地面から生えるわけがない、空を飛ぶわけがないという雑念である。またの名を前の世界の常識という。
『…………いや、その常識は捨てたらダメでしょ』
うるせぇ。
『しかも、それをするために滝行って……』
いいだろ別に。お前も一緒に修行できるし。あと、滝行って何かかっこいいし。
『だから感性がズレているって言われるんだよ。ほら姉御なんて暇すぎて帰ったし』
ふっ、この魅力が分からんとはな。まだまだだ。
『いや誰だよ。滝に打たれて頭おかしくなった?』
いいかペラー。ここにはオレとお前。後は雄大な自然しかない。それがすべてなんだよ。それが世界のすべてだよ。
『ダメだ。ご主人様がキャラ崩壊している』
今のオレの精神を乱すものは何もない。
『ふぅーん。じゃあさ、姉御が滝行している姿を想像してみてよ』
???普通に似合いそうだな。
『そして滝による水圧で姉御の衣服がはだけその胸があらわに──』
「消え去れ邪念がぁあああああああああああ!」
ゴォォォオオオオオオオオオオオッッッ!
「はぁ……はぁ……」
流石に疲れたので少し休憩する。
「まだだ……まだ足りない……!」
『そうだよ。前よりは認め始めてるけどまだ、オレ以外を呼ぶには足りないね』
「…………ペラー」
『何?』
「もう1回打たれるぞ」
「その前に飯ぐらい食え」
スパーンっと、いい感じの音が頭から聞こえた。
うっ……それは打たれると言うよりぶたれるだ。もしくははたかれる……。
「今はお昼だぞ。腹が減ってるだろ」
「やれやれ。精神統一をさっきまでしていたんだぞ?お腹がすいてるわけ──」
──ぐぅううううう。
「──あるな。うん。食べよう」
『身体は正直だね』
そういって八神が持ってきたのは弁当。まぁ、エイリアボールを使えばここまで一瞬だからな。
「それからタオルだ。とりあえず、頭ぐらい拭いとけ」
「へーい」
流石に髪はまだまだ濡れていた。さすがに弁当の中に水が入るのはまずいか。
「いただきまーす」
手を合わせて、それから食べ始める。
「順調か?」
「うーん、多少は効果あるみたいだけどまだまだだね」
「ふーん。私も付き合おうか?」
「いえ。邪念が溢れそうなのでやめてください」
「???よく分からんが、そこまで言うならやめとくか」
危ない。きっと隣に並ばれた日には隣に意識が行って、精神統一どころの騒ぎじゃないだろう。
「まぁいい。無茶だけはするなよ」
「いつも無茶苦茶な特訓を提案するお前が言うこと?」(もちろん。心配してくれてありがとな)
『ご主人様。本音と建前が逆』
咄嗟に口を抑える俺。しかし、時既に遅し……
「ほーう?」
目の前に青筋を立てる八神さんが…………ペラー。
『何?』
今まで楽しかった。ありがとな。
次の瞬間。オレは滝の中へ、ボールごと蹴り込まれるのだった。
ああ、ここは何処だろう。確か、滝の中へ蹴り込まれて……ああ、そこからどうなったのか。
「やれやれ。アホなことしているねぇ」
ん?お前は?というかここは何処?
「ここは君の精神世界。心の中さ」
ふーん。よく分かんねぇや。で?お前は?
「今の君に名乗る名前はないよ。まぁ、いずれ分かるさ」
うわぁ……そういうこと本当に言うやつがいるんだな。
「で、何をつまらないことに拘っているんだ?十六夜綾人」
はぁ?拘っている?
「そうだよ。お前は拘っているんだよ。そのこだわりを捨てればいいだけの話なのにな」
何を言ってるんだよお前は。
「お前は必殺技が使えるわけがない。そう思っている。でもそれはあり得ないからそう思ってるんじゃない。違うか?」
いやいや。あんな超常現象意味不明だろ。
「まぁ、確かにな。でもお前は今の状況で甘んじているんだよ。そしてそれを逃げの手にしている」
……逃げの手だと?
「必殺技を充分に使えないから負けた。よくある話だよ。チートみたいな技を使う奴らに無能力が勝てないのは当然だからな」
お前はさっきから何を言ってるんだ?
「お前が純粋な、必殺技がないようなサッカーをしたいって気持ちがあるのは分かる。フィディオとやったようなサッカーがしたいのは分かる。それに嘘はない。でもさ、だからといって必殺技を認めないのはおかしいだろ」
何なんだこいつ。本当に……何なんだ?
「お前がやっているのはサッカーだろ。オプションに必殺技が付いているだけで。今までを思い出せよ。お前、必殺技があるサッカーも楽しんでいただろ?」
楽しんでいた……確かにその通りだな。
「はっきり言ってやる。今のままだとお前に成長はない」
……っ!言ってくれるなお前。
「時間もねぇし。これだけ言っておいてやる。いい加減つまらないことで拘るのをやめろ」
徐々に薄れていく感覚。まだだ、オレはお前に……
「じゃあな。次会う時は…………」
「…………ここは」
「起きたか」
何か前もあったこの感覚。気付いたら部屋に運ばれていた……。
「誰かと話でもしていたのか?なんか言っていたようだが」
「話?あー……」
確かに誰かと話していた気がする。声は覚えているのに話の内容は覚えていない。何だろう。一体あいつは何だったんだ?でもまぁ、
「つまらないことに拘らない……」
「???」
「悪い。ちょっとペラーと話がしたいから、1人にさせてくれないか」
「……分かった。また夕食でな」
そう言うと立ち去るウルビダ。
「ペラー」
『なに?』
「お前言っていたよな、器の話。オレの器の大きさってぶっちゃけるとどんなもんなんだ?」
『そうだね。正直に言うと、最高だよ。今まで見てきた中でダントツで大きい』
「もし、その器をフルで使えるようになったら?何か変わるか?」
『うーん。必殺技を使えるくらいかな?今よりもいろいろと』
「そうか……ということはお前たちを認めてパワーアップとかは?」
『ないない。そんな認めるだけでパワーアップとかあり得ないよ』
つまり、ほとんど変わらない……ってわけか。
「ははっ」
『どうしたのさ』
「いいや。何かつまらないことに拘ってたなぁ……って」
オレはきっと前の世界での普通にとらわれていた。
でも、とらわれたままだと、きっと強くはなれない。
それにペラーたちを認めようと認めまいと結局はオレが強くならないと意味はない。
そして、その先で強者と渡り合う上でペラーたちの力は必要。
「今までありがとな。本当に」
今までもペラーたちには救われてきた。
我ながら酷いな全く。
使うだけ使って存在を認めてないなんて。
それじゃあ、ペラーたちが都合のいい道具みたいじゃないか。
「なぁ、ペラー」
聞く人が聞いたら頭おかしいかもしれない。でも、それでも。
「友達になろう」
オレは手を差し出す。
ペラーたちを道具とは思ってないし、これからも思わない。オレにとって大切な存在だ。
『やっと認めてくれたんだね』
この時を境にオレはペラー以外のペンギンも自力で呼べるようになった。
十六夜君は今まで努力をしてきた。
元の世界でもこの世界でもひたすら努力を積み重ねてきた。
だからペンギンたちを呼び出せるようになるだけで飛躍的に強くなることを認められなかった。
でも、結局認めただけで強くなれるわけではない。
彼が縛られていたのは前の世界の常識ではなく、自分の努力が簡単に否定されてしまう事への恐怖だった。
……というのが彼の無意識の中で起きていたことです。
恐怖に関しては無自覚なので、とらわれていたのは前の世界の常識だと思っていますが。
というわけ十六夜君強化ですね。なおツッコミがなくなるわけではないが多少は減る。(予定)
さて、唐突ですが次回からしばらく一日置き投稿します。