超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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大阪へ

 イプシロンが雷門との再戦を宣言した日から10日が経ちました。

 噂によると、雷門は数日前から、あの大阪の廃棄した訓練施設で特訓をしているらしい。

 だから、試合会場としてそこにあるスタジアムになりそう……というのが報告で上がってきたことだ。

 まぁ、スタジアム、というか試合の会場を指定せずにこちらが合わせるというスタンスは、優しいと捉えるべきか当然の配慮と捉えるべきかは人それぞれだが。

 

「……オレは知っている」

 

 明日、どうせウルビダが大阪に行くぞ、と言い出すことを。だから、夜の特訓も軽めにしてこうして早めに寝ておくのだ。

 二度あることは三度ある。今回の場合は突発的ではなく事前に知らされていたものだし、もしかしたら、観客もあの廃棄した訓練施設とは言え何人かはいるかもな。というか、沢山居てくれればそこに紛れ込めるから楽なんだよなぁ……。

 

 コンコンコン

 

「はーい」

「入るぞ」

 

 おっと噂をすれば何とやら。まぁ、明日についての話だろうな。

 

「明日のことだが……」

「ああ」

「……明日はイプシロンと雷門は置いといて練習しようと思うがどうだ?」

 

 …………あれぇ?何かがおかしい。

 

「……えっと……どういう風の吹き回しで?」

「ああ。明日はこっそり影から偵察……みたいなことが出来ない立地でな。どう考えても見つかりそうだからやめとこうと……特にお前は見つかると厄介だろ?」

 

 むむ……確かにその通りだな。でも、この10日間一切雷門を直接見ていない以上気になるんだよなぁ……。

 

「よし、なら……」

 

 仕方ない。奥の手だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、雷門VSイプシロン当日。オレはいつものようにコソコソ隠れて見る……のではなく。

 

「アイツは誰だ?」

「確か前回はいなかったぞ」

「エイリア学園の監督?」

「いや、それにしては選手っぽいけど……」

「というか、何なのあのミイラ男」

 

 隣のベンチから聞こえてくる声。オレはそれを無視して、

 

「デザーム、それにイプシロンに告ぐ。オレはただの見物人だ。お前ら好きにやってこい」

 

 声をかけると同時にベンチに腰掛ける。

 一応変装しないと……という話でウルビダが任せろと言った結果、包帯で顔をぐるぐる巻きにされた。両目は出ているけど息苦しい……というかこれじゃあ、宇宙人というよりただの重傷人だ。何かが違う。

 後、デザームたちがやっていたがこれ、日本中に中継されているらしい。…………オレ映らないよな?大丈夫だよな?

 雷門の様子を見ているとふむ。情報通り、染岡が離脱している。

 雷門はデザームが宣言した日のすぐ後、オレがデートしている頃に真・帝国学園──影山たちと戦っていたらしい。その戦いで染岡が負傷。戦線離脱を余儀なくされた。

 代わり……と言ったらあれだが、浦部リカが入っている。まぁ、一ノ瀬につきまとってるギャルにしか見えない……一ノ瀬ご愁傷様。そういや財前塔子は円堂を気に入っていたし……君たち何か加えるメンバー間違えてね?

 

「吹雪はディフェンスか……」

 

 お互いにポジションにつくが……なるほど。浦部はフォワードだったか……あれ?染岡がいなくなった以上フォワードが足りなくね?

 ちなみにボイスチェンジャーとか使ってないためあまり喋り過ぎるといつかばれそう。まぁ、ばれた時はばれた時だ。

 

 ピ──

 

 イプシロンボールで試合開始。

 

「メテオシャワー!」

 

 マキュアがボールを持ちドリブル。跳び上がって空中でオーバーヘッドキック。ボールの代わりに隕石のようなモノをいくつも落とす……相変わらずすごいなぁ。一気に鬼道、塔子、浦部を倒す。……全部避ければ良さそうだけどなかなか難しいか。

 

「抜かせない!」

 

 と、ここで風丸がマークしていく。マキュアを足止めしているが……いい位置取りだ。近すぎず遠すぎず。フェイントも対応できてるし、この距離感ならメテオシャワーも打てない。

 その間に他の選手たちが風丸のフォローに向かう。

 

「マキュア!」

 

 見かねたゼルがボールを要求。そして、マキュアからのパスが入り……

 

「ガニメデプロトン!」

 

 ……ダイレクトでシュート(シュートだよな?多分)を打つ。

 さて、これで1点目…………だったら拍子抜けだけど、どうかな?

 

「マジン・ザ・ハンド!」

 

 円堂のマジン……以前よりパワーアップしたそれはゼルのシュートを完全に止めた。

 

「…………やっぱりな」

 

 エイリア学園側で円堂が止めたことに驚いていないのはオレとデザームのみ。デザームがわざわざ10日の猶予を与えたのは、雷門のパワーアップする時間を与えたと言うこと。それを知ってか知らずか、奴らはこちらの予想以上にパワーアップしていた。

 ボールは浦部へ。浦部はシュートする……と見せかけて一ノ瀬へパス。…………あのフェイントは分かりやす過ぎるだろ。ボールは一ノ瀬から鬼道。そして、鬼道はボールを上に上げ、一ノ瀬がヘディングし……

 

『ツインブースト!』

 

 最後に鬼道がシュートを放つ。

 これをデザームは片手で軽々止める。だが、

 

「パワーが格段に上がっている」

 

 デザームの足下を見ると少し地面が削れていた。

 1人1人のパワー、スピードはもちろん。チームの連携も以前よりは良くなっている。イプシロンの残りの面々もこの10日の猶予を与えた理由は分かったようだ。ただ、何故雷門を強くしようとしたのか。目的までは分からないらしい。別にオレも完全にデザームの考えが読めてるわけじゃないけど……。

 

「ただ…………まだまだガイアやカオスの敵ではないな」

 

 こちらがシュートを打てば円堂がマジン・ザ・ハンドで止める。向こうがシュートを打てばデザームが片手で止める。シュート以外にも中盤でのボールの奪い合いでもイプシロンと雷門は互角に戦っている。

 

 そう、()()だから問題なのだ。

 

 イプシロンに互角ではオレたちにはまだまだ及ばない。だから……

 

「早くここまで来い……円堂。いや雷門」

 

 オレはこの高まる気持ちを抑え、ベンチから試合の行方を見守るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 硬直していた試合は1人の選手によって大きく動き出す。

 

「いつまで守ってんだよ!」

 

 吹雪が荒々しい声で叫びながら、ドリブルしていたスオームから強引にボールを奪い取る。

 

「吹雪!こっちだ!」

 

 鬼道からのパス要求を無視してドリブルで突っ込む。

 

「完璧じゃなきゃ……俺はいる意味がねぇ!」

 

 吹雪のドリブルを止めようとケイソンとタイタンがマークに付こうとする……が。

 

「打たせろ。こいつが今日のメインディッシュだ」

 

 2人はデザームと吹雪の邪魔にならないよう離れる。

 はぁ……。メインディッシュ……って。あと、打たせろって……おい。これで点が決まったらただのダサいやつだぞ。

 

「ふざけやがって……!喰らえ!」

 

 挑発に乗る吹雪。

 

「エターナルブリザード!」

 

 荒々しいそのシュートがデザームに迫る。

 

「待っていたぞ……!遠距離から打ってあれだけのパワー……この距離からだとどれだけ強烈か……!」

 

 待っているなよ……というかただの戦闘狂じゃねぇか。

 

「ワームホール!」

 

 すると、デザームの前に謎の吸い込む空間が発生し、ボールが吸い込まれて消える。

 その直後、デザームの横から謎の吐き出す空間が発生し、ボールが吐き出されて地面にめり込む。

 

「もっと打ってこい……!私を楽しませろ!」

 

 そう言ってボールを投げるデザーム。

 

「…………サッカーってそんな競技だっけ?」

 

 シュートを撃ちまくってキーパーを楽しませる競技だっけ?……何かが違うような……?

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