評価もいくつか頂き、お気に入り数も一気に増え……何があったのかと驚くばかりです。
ただランキング載ったりしたのも、諸々全ては読んでくれる読者様のお陰です。
この場をお借りして読んでいただいている読者様に感謝をお伝えします。
…………お気に入り数が2000件超えたら何かしようかな?
ジェネシスとの戦いの翌日の夕方。
「お兄ちゃん。聞きたいことがあるの」
「なんだ?」
俺は春奈から聞きたいことがあると言われてここにやって来た。
ジェネシスとの戦いから今に至るまでの短い間。その間だけで雷門は大きく変わってしまった。
吹雪が二重人格であることを知る。風丸の離脱。円堂の練習不参加。
大きくこの3つだろうか。そして──
「何でジェネシスのムーンという選手が十六夜先輩だって分かったの?」
──そして、十六夜が敵に回ったことを知ってしまった、ということだろうか。そのことにより、雷門の──特に十六夜と一緒にプレーしたことのある者たち──の気が重くなった。ある意味アイツが敵であることを知ったショックが、一番大きいのではないかと思う。
春奈の質問だが、俺はムーンが十六夜だと知っててあの質問をしたわけじゃない。
確証はいくつかあった。だが、あの質問の意図は本当は、ムーンが十六夜じゃないと知りたかったためにしたのだ。十六夜が敵でないことを知るためにしたのだった。
「分かっていた……と言えば嘘になる。ただ確認したかっただけだ」
「でも、お兄ちゃんが何の確信もなしにあの質問をするとは思えない……何が引っかかったの?」
「まず、壁山が言っていた。ムーンが十六夜の声に近いと」
「声?」
「ああ」
それは前のイプシロンの試合。ベンチにいたムーンが話していた声。確かに包帯によってこもってはいたものの、あの声は十六夜そっくりだった。壁山だけじゃない。それを聞いた円堂や俺も内心では納得していた。
「でもそれだけじゃ……」
「ああ、それだけならあまりに証拠としては弱すぎる」
ただ、証拠としては弱いが、疑う足がかりになるには十分だった。
「後は昨日の試合で放ったムーンフォースという必殺技」
「でも、十六夜先輩はあんな必殺技使った記憶はないよ?」
「ああ。俺も見たことはない。だが、あのシュートにはペンギンが絡んでいた」
「え?確かにそうだけど……でも」
「確かにそれでも証拠としては不十分だろう。ここで話は少し逸れるが、春菜。お前は十六夜の特異性に気付いているか?」
「特異性?」
「俺は十六夜は特殊だと思っている」
「どういうことなの?」
特殊……というと少し言葉が違うかもしれない。ただあの男は間違いなくイレギュラーだろう。
「十六夜と豪炎寺の必殺技。皇帝ペンギンFを覚えているか?」
「世宇子との試合で使っていた技だね」
「ああ。あの技は少しおかしい」
「……どこがおかしいの?」
「あの技の理屈はペンギンを使ったシュートに炎技を合わせたというもの。理論上は俺の皇帝ペンギン2号とファイアートルネードを掛け合わせてもできるはずだ」
「確かにそうだよね。でも、それだったらおかしさはないんじゃ……」
「いいや、おかしい。普通ならあのシュートはペンギンが炎を
「……言われてみれば……!」
「だから十六夜の……正確には十六夜が呼ぶペンギンはペンギン自身の性質を自在に変えられる。少なくとも俺はそう睨んでいる」
奴はペンギンの形だけじゃない。ペンギンの性質すら変えてしまう。はっきり言ってむちゃくちゃだ。
だが、そのむちゃくちゃさがなければムーンフォースという必殺技は使えない。
あの技はやつ自身が作り出した月から光を纏ったペンギンを呼び、ボールと一旦合体させる。そして、やつが蹴り出してボールとペンギンの形をした光がシュートとなってゴールに向かう。
十六夜はまさしく変幻自在にペンギンを操って技を繰り出す。だからそんな技を使えたムーンが怪しく感じた。
「極めつけは、最後に吹雪を助けたあの動き」
「動き?」
「ああ。ムーンという選手は走って駆けつけたんじゃない。吹雪とシュートの間に一瞬で移動した」
ワープ、瞬間移動。いろいろと言い換えることが出来るが間違いなくその類だ。
「そして、そんな芸当を出来る存在を今まで2人しか見たことがない」
「2人……?」
「アフロディのヘブンズタイム。そしてそれと対を為す──」
「十六夜先輩のイビルズタイム!そっか!しかも十六夜先輩の方はブロック技だったから……!」
あの瞬間移動にも説明がつけられる。それに微かだが指を鳴らす音がジェネシスゴールの方から聞こえたからな。
コレが決定打だったと言っても過言ではない。ペンギンの方や声はともかく、アレは誰にでもできるような事じゃない。
「十六夜といくつか共通点を持つ存在。だから確認した」
「そっか……」
ただ、十六夜が何を考えているのかは俺には全てを読むことは出来ない。
アイツは本当に敵なのか。今の俺には判断が出来ない。
だから、あいつが敵として俺たちの前に現れるならば倒すしかないのだろう。
とりあえず昨日の試合では正体がバレたなぁ……。
「お前のペンギン技も大分進化したな」
「まぁな」
ただいま、いつも通りウルビダとの特訓中です。珍しく褒めてきている。
ペラーたちと向き合ってからペンギンを自力で出せるようになった……まぁ、数には限度があるけど。
「というかよく完成したな。ムーンフォース」
この技は──正確にはこの技も?──ウルビダの無茶苦茶な発想から生まれたのだ。
何があったかというと、まず、オレの名前(こっちでの)がムーン。だから、月に関係した技がほしいと。で、ペンギン要素もほしいと。合わせた結果──
──どうしたら月からペンギンを呼ぼうという発想になるんだ?
「でもオレ、本職はディフェンダーなのになぁ……」
おかしい。なぜシュートばかり練習したんだ?
だってね。月からペンギンと言ったがそれじゃあ、月が見えてないとできないと言ったんだよ。後、月だと遠すぎるとかね。そしたらね?なんと言ったと思う?
月がないなら作ればいい。
かっこよく言ったけどはっきり言おうか?
バッカじゃねぇの?
──まぁ、口に出したら殺されそうなので言いませんでしたが。
「じゃあ、ブロック技の練習でもするか?」
「へーい」
あの技も苦労したよ?何が苦労って月が全然できないことにね。まぁ、普通はできないんだけど……何か間違えたのか頑張ったらできたんだよ。
月ができてからも苦労は絶えなかったよ。ボールを蹴り上げる時にボールの位置がキーパーから見て、月と完全に重なるようにとか、ペンギンを呼び出すタイミングとか……本当に細部まで拘ったよ。お陰で完成したの昨日の朝だね。つまり試合当日の朝。ギリギリだね。
「でも、不思議だよな……」
「何がだ?」
「ああいや、あんな難しい技。1度完成したら後は簡単にできるようになったんだよなぁ……って」
ボールを蹴りあげる位置や、ペンギンを呼び出すタイミング。自分の跳躍の高さなど、どれか1つでも成り立たなければ出来ないはずで、どれも完璧に揃えるのはわりと難しかったのに、今は何であんなに難しかったか分からないくらい簡単にできる。勿論、多少の意識は必要だけど……言うなればオートモードなんだ。ちょっと意識するだけで身体が自然とそのモーションを寸分の狂い無く動く……
「?そういうものだろ?一度できるようになったものはずっと出来るに決まっているじゃないか」
「……あーそういうこと」
この世界は便利だなぁ。要は1度できるようになった必殺技は身体が動きや力、タイミングなどを全て覚えているからほとんど勝手にやってくれると。なるほど。
それ、元の世界のスポーツの選手たちに謝れよ。
例えば体操の選手とかフィギュアスケートとかが顕著というか分かりやすいか?あの人たちは一度できたら終わりじゃないんだよ。1度できても何度も繰り返してそれでも失敗することもあるんだぞ。
「さて、じゃあ、特訓するぞ」
「へーい」
何がさてかは分からないが、特訓はさせられるらしい。
まぁ、強くなるためだからいいんだけどね。
というわけでジェネシス戦翌日の様子です。
この段階では十六夜君は雷門側の試合後のことを一切知りません。