超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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カオスVSカオス ~接戦の前半戦~

 相手のポジションは2ー5ー3。ガゼル、バーン、サイデンの3トップにボニトナ、ネッパー、ドロル、バレン、ブロウの5人がミットフィルダー。ゴッカ、バクレーがディフェンダーで、グレントがゴールを守る。

 攻撃陣の多さに目眩がしそうだが……まぁ、こっちに守備陣が多かったし妥当か。

 やっぱり戦法は……というか作戦はカウンター狙いでいいな。流石に攻められる時間が長くなることは想像に難くない。……ついでに言うとガゼルとバーンにシュートを打たせたらその時点で失点を覚悟した方がいいな。いやだってねぇ……今は問題ないけど、あいつらの必殺技を止められるキーパーってぶっちゃけカオスにいないし。ガイアのネロぐらいしか単体で止められないだろう。

 

「それではカオスAVSカオスBの選考試合を始めます」

 

 ちなみにこっちがカオスBだ……正直何でもいいんだけどね。

 ……というか選考試合なのに選考されることが分かっているというね。もっと言うなら選考する側という謎の立ち位置ね。……いや、なんでこんな立ち位置なのだろうか。というか、その立ち位置の人間試合しちゃダメでしょ。やるとしても数あわせだよ?何であぶれて1人審判になっちゃったの?

 

「ではカオスAのキックオフで試合開始です!」

 

 ピ──!

 

 切り替えるか。選考試合でしかも選考側だからどんなプレーしてもいいんだが……

 

「負ける気はねぇぞ……!」

 

 生憎負けたくはない。だから勝ちに行く。

 ボールを持つのはガゼル。フォワード……だが、さすがにディフェンスをしなければマズいのでプレッシャーをかけていく。

 

「君を単身で抜くには骨が折れそうだ」

「そうかい」

 

 ガゼルはバーンと違い真っ向からぶつかってくるようなパワー勝負は仕掛けてこない。どちらかと言うと持ち前のスピードで相手を置き去りにするかフェイントを仕掛けてくるか。

 まぁ、熱くなってくると変わるが基本的にはこの2つか。

 

「ガゼル!」

 

 バーンが手を上げ、ガゼルを呼ぶ。ガゼルはバーンにパスする……と見せかけて、

 

「ネッパー!」

 

 後ろにいたネッパーにバックパス。

 

「ドロル!」

「バーン様!」

 

 そのままネッパーはサイドを走っていたドロルにパスし、ドロルがダイレクトでバーンへと繋げる。

 昔……というかカオスが出来た当初はダイヤモンドダストとプロミネンスでイマイチ連携がとれなくなっていた。全員が全員というわけではないが、ネッパーもその傾向が強かった1人だ。徹底的にプロミネンスの奴しかパスを出さないタイプだった。

 だが、彼を含めたそういう人たちもバーンとガゼルが手を組んだ理由を少しずつ理解して今では、連携もしっかりとれている。

 

「1人が無理なら連携して抜くだけだ」

「やるね……」

 

 前のカオスは2チームが合わさっただけのチーム。だからガイアには勿論、雷門にも欠点を見抜かれれば勝てる保証はなかった。

 だが今は違う。こいつらは1つにまとまっている。だからこいつらから選んだメンバーがガイアと戦えば結果は誰にも分からないだろう。予想外って言うのは付き物だから。

 

「ボンバ!バーンに当たれ!アイキュー!クララ!」

「分かった!」

「了解」

「うん」

 

 バーンを止めようとボンバが立ちはだかる。あの巨体だ。バーンと言えどもパワー勝負は避けるはず。だから選択肢はパスか突破。前線の方のパスコースはクララが塞ぎ、ガゼルにはオレが付いている。バックパスとかはそこまで警戒しなくていい。正直、バーンとガゼルの2人が脅威だから、その2人にボールを行かないよう立ち回ればそこまでダメージはない。まぁ、この2人を封じた上でどう得点に繋げてくるかが見物だが。

 

「はっ!抜いてやる!」

 

 軽いフェイントを織り交ぜボンバを突破するバーン。

 

「計算通りですね!」

「なっ……!」

 

 バーンがボンバを突破した矢先、アイキューによってボールを奪われる。

 

「ナイスディフェンス!」

「ボンバのおかげですよ……アイシー!」

 

 ボンバは確かに抜かれた。抜かれたが、その後ろにいるアイキューの事を考え、獲りやすいように抜かせたのだ。オフェンス陣の連携もそうだが、ディフェンス陣も負けてないくらいの連携を発揮する。

 1番の不安要素だった連携が解消されている今、後は個人としての技量も大きく関わってくるだろう。

 

「ヒート!」

「ムーン!」

 

 アイキューからアイシーへ、そしてヒートに繋がり前線へと走るオレへと繋がる。

 

「ムーンを止めろ!」

「「「おう!」」」

 

 近くにいたボニトナが立ち塞がる。後ろには抜かれた時のフォローのためにゴッカが。

 

「レアン!」

 

 突破しても、その後に取られる確率が高いと判断し、ボールを下げる。

 

「リオーネ!」

 

 すぐさまサイドを走っていたリオーネにパスが渡る。

 

「1回ボンバに戻せ!」

「ボンバ!」

 

 そのままディフェンスのボンバにパスが渡る。そして、

 

「ボンバ!こっちだ!」

「ムーン!」

 

 ボンバからオレへと大きくロングパスが来る。それを空中で取ろうとジャンプする……が、

 

「取らせない!」

 

 バレンがカットしようと同時に跳び上がる。

 

「無駄だ!ヒート!」

 

 空中でヘディングをし、ヒートにパス。ヒートはそのままダイレクトでシュートを撃つが、

 

「ナイスだ!グレント!」

 

 グレントが見事にキャッチする。

 

「ナイスシュート!どんどん狙っていけ!」

「はい!」

 

 それにしてもいい感じでパスが繋がった。やっぱりサッカーってこうだよな。間違っても、この前の雷門戦みたいに一方的に遊んで終わりじゃないよな。

 

「こっちだ!」

「おう!」

 

 パントキックでボールはブロウに。

 

「アイシー当たれ!クララとバーラはそれぞれガゼルとバーンをマーク!」

「ブロウ!こっちだ!」

 

 オレの指示の直後フリーになっているネッパーがボールを要求。

 

「ネッパー!」

「行かせない!」

 

 パスはネッパーへ、レアンが当たるが……

 

「えっ……!」

 

 ネッパーはそのパスをスルーする。そのボールの先に居たのは……

 

「持ち込めドロル!」

「おう!」

 

 完全にフリーとなっているドロルだ。ッチ。まさか、スルーするとは想定外だ。

 一応、皆にもこれは選考試合と言ってある。だから少しでもアピールしようと、いつもより自分勝手なプレーが見られると思ったが……

 

「どうにも成長しているみたいだな……」

 

 そんな自己アピールよりも試合に勝つ。そのためには協力する……か。

 

「サイデン!」

 

 そしてそのままボールはサイデンへ。サイデンがボレーシュートを放つ。

 

「ナイスキャッチだ」

 

 シュートはベルガがしっかり止めた。

 

「ドンマイドンマイ!」

 

 その後も一進一退の攻防を繰り広げ、

 

「ムーン。そろそろじゃねぇか?」

「ああ。ガゼル、よろしく」

 

 前半も半分が過ぎたころ、ガゼルが両チームに宣言する。

 

「これより必殺技の使用を許可する!」

 

 そう。この試合はあくまで選考試合。最初の方に、必殺技を使わないで皆がどれだけ動けるかを見るために行っていたのが、必殺技禁止ルール(破ると即交代、選考の対象から外すというペナルティー付)。まぁ、結局いらんかったかもしれないけどね。

 

「じゃあ、行くぜっ!」

 

 と、ガゼルの宣言とほぼ同時にバーンが走り出してボールを要求。あ、あの野郎。さっきまでそこにいたのに。

 

「バーン様!」

 

 その声に反応したネッパーがパスを出す。

 

「止めろ!」

「おせぇよ!」

 

 ディフェンス陣がバーンに当たりに行こうとした時、既にバーンはボールを蹴り上げて、

 

「アトミックフレア!」

 

 必殺技を放った。多少距離があるシュート。

 

「アイスブロック!」

 

 それをベルガは手に氷を纏わせボールに向ける。だが、

 

「…………うわぁっ!」

 

 呆気なく手の氷は粉砕し、ボールはゴールへ。

 さすがマスターランクチームのキャプテン。距離が少しあるくらいで、止められる程柔なシュートは打ってこない。

 

「カオスAのゴール!」

 

 必殺技をアリにして早々の失点。やはり、ガゼルとバーンにシュートを打たせるとマズいか。

 

「ドンマイドンマイ!1点取っていくぞ!」

「「「おう!」」」

 

 というわけでカオスBのキックオフで試合再開。

 

「ヒート!」

「レアン!」

「アイキュー!」

「アイシー!」

「リオーネ!」

「ムーン!」

 

 素早いパス回しで相手を翻弄し、ボールは最後、前線へと駆け上がるオレの元に。

 

「行かせない!イグナイトスティール!」

 

 バクレーのディフェンス技、イグナイトスティール。

 スライディングした場所から炎が出てくるという技。摩擦による熱が……とかいろいろ考えたけど、あれ熱くないのかなぁ?

 

「よっと」

 

 これの対処法は単純。ジャンプして躱せばいいのだ。

 あくまでスライディングなので空中には弱い。だから、

 

「フローズンスティール!」

 

 だから、その弱点を克服するために編み出されたのが、着地するタイミングと場所を狙って放たれるもう1つのディフェンス技。2度目のスライディングである。

 こちらはゴッカによる必殺技で、今度は氷。スライディングした場所が氷になっているというもう思考を放棄したくなる技だ。

 ちなみにイグナイトスティールはプロミネンスの、フローズンスティールはダイヤモンドダストのほぼ全員が共通して使える技。だからこのダブルディフェンスも普通にやってのける。だって強いもん。原理は凄い単純だけど強いもん。

 

「まぁ、対処法はあるけど」

 

 ピ──!

 

 とは言え強いけど対処できないわけじゃない。方法は主に2つ。1つはイグナイトスティールとフローズンスティールのごく僅かな間に着地し、もう1回跳ぶ。もう1つは飛ぶこと。だから、

 

「ライド・ザ・ペンギン!」

 

 跳びながらペラーを召喚。そのままペラーの上に乗り、フローズンスティールを躱す。まぁ、理論上あの連携技は最大11回連続で出来る。さすがに、11人も先に述べたタイミングゲー的な方法で躱すのは難しい。だから突破するんだったら飛んだ方がいい。

 

「行くぞ!」

「来い!」

 

 ピ──!

 

 オレはペンギンを10匹呼び出しボールを蹴り上げる。そして、

 

「皇帝ペンギンO改!」

 

 皇帝ペンギンOを放つ。前まで5匹で打っていたけど今は倍の数でも制御できるようになった。そしてペンギンの数が増えたことで威力も上がる。これが進化した皇帝ペンギンOだ。

 

「バーンアウト!」

 

 対してグレントは両手に炎を灯してシュートにぶつける……が。

 

「ぐぁあああっ!」

 

 シュートの前に弾き飛ばされた。

 

「カオスBのゴール!」

 

 というか、あの技の名前面白いね。バーンOUT!って何やったんだろうねバーン。

 そして、カオスAのボールで試合再開。

 

「フレイムベール!」

 

 ボールを地面に押し込むと同時に迫ってくる火柱、そして目の前に現れる薄い炎の壁。その衝撃によって吹き飛ばされる。

 というか、フレイムベールはプロミネンス、これに対応したウォーターベールはダイヤモンドダストのほとんどの選手が使える。君たち仲いいね。何で皆同じ必殺技を使えるんだろう?統一感が凄いなぁ……って感心している場合じゃねぇ。

 

「止めろ!」

「遅い!ガゼル様!」

 

 ボールはガゼルの元に行き、

 

「ノーザンインパクト!」

 

 ダイレクトでシュートを放った。

 

「アイスブロック!……うわぁっ!」

 

 再び敗れるアイスブロック。

 

「カオスAのゴール!」

 

 ピ、ピ──

 

「前半終了です!」

 

 ガゼルが点を決めると同時に前半が終了する。2ー1……まだどうなるかは分からない。

 

「ところで、選考試合なのに選考する側ばっか点を決めてよいのだろうか?」

 

 オレのささやかな疑問はガゼルたちに届かなかった。

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