そう。姿を消すはず
「おい。そろそろ行くぞ。ガゼル、ムーン」
「ああ。分かってる」
「ちょ、え?オレも行くの?」
一旦基地に戻ったオレたち2人。すぐさまオレの方はガゼルとバーンに連行されていた。
「当たり前だ。まだ誰がキャプテンか決めていないのだからな」
お、おう……オレもキャプテン候補でしたか……。
「それに1人だけ行くのとかもう見飽きただろうしな」
だからって3人は多いって思うんだ。少なくてもオレは行かなくていいと思う。
「よし、着替え終わったな……っておい!ムーン早く着替えろ!」
「いやオレ行くこと了承していないんだけど?」
「さっさとしねぇとウルビダにあることないこと言いふらすぞ!」
「テメェそれは反則だろ!?」
「モタモタするな!」
くそぉ!なんでここでウルビダを引き合いに出すのかなぁ!卑怯じゃないかなぁ!
「行くぞ!」
「ま、待ってくれ!包帯が!変装が!」
「今更いらねぇだろそんなの!」
クソっ!本当に2人で行けばいいのになんでオレまで……!
と思いながら光に包まれて次の瞬間には……
「十六夜っ!」
「ガゼル様!バーン様!ムーン様!」
早い。気付かれるのが早すぎる。分かってる?登場してからコンマ何秒の世界だよ?おかしくね?
「我々はマスターランクチームカオスのガゼル」
「同じくバーン」
「……ムーン」
……今気付いたけど掛け持ちだよね?やっぱり表に出ちゃダメじゃね?
「今回の──」
「十六夜!お前はジェネシスじゃなかったのか!?」
あのー円堂?今、ガゼルの言葉遮ったよね君。
「答えろ十六夜!」
「簡単なことだ円堂。コイツは2つのチームに所属しているだけだ」
代わりに答えるバーン。いや、本当に簡単に言ったなぁ。
「十六夜……お前……」
そんな目で見ないで豪炎寺。そりゃあね?いろいろ事情があるんだよ。
「コホン。今回の敗北でイプシロンの完全追放が決まった」
「よって、お前らを追放する」
言葉の意味を察したデザームは円堂から距離を取る。
そして、そのままボールはイプシロンの元へ行き光り輝く。
次の瞬間、イプシロンの姿は消えた。
「くっ!?」
「円堂守。そして雷門」
「お前らと戦える日を楽しみにしているぜ」
そう言い残しオレたちも姿を消す。
「チームカオス……ジェネシス以外の敵」
「ねぇ!?オレ全然喋ってないしいらなかったよね!?」
オレは帰ると同時に2人に問いただす。
「いや、お前は必要だった。目立つ要員として」
「いらねぇよ!あぁもう!」
はぁ。元から敵対してることはばれているんだ。あんまり変わらないけどさ!
「……で?試合はいつするんだ?」
「近い内にする予定だ」
「へいへい。決まったら教えてくれ」
というわけで帰ろう……というか飯を食いに行こうとする。
「めんどくせぇし明日でよくねぇか?」
「いや待て。確かに近い内って言ってたけどさぁ」
が、後ろであまりにも可哀想なことを言っていたのでストップをかける。待ってくれ。流石に明日はやめてあげよう……ね?
「そうだな。奴らが東京に帰り次第挑むとするか」
「せめてそうしてくれ。じゃあ、飯食いに行ってくる」
ということで食堂へ行く。
「すみませーん。カレーとチャーハンとサラダと焼肉と餃子とあ、デザートも下さい」
「頼みすぎじゃないか?」
「うわっ!?」
背後にいつの間にかウルビダが居た。やめてくれ?心臓に悪いから。
「仕方ないだろ?昨日から何も食ってないんだ。凄い腹減ってる」
腹減ってたけど試合が気になったからそのまま試合行って一仕事して帰ってきたんだ。もう限界。円堂たちと話してもよかったけどお腹が鳴らないように抑えるので忙しかった。
「私はいつもの」
いつものってすごいよな……この何というか、格差を感じている。
で、お互いに食事を持って席に移動する。
「1日ぶりのご飯は最高だぁ」
『ダメだよ。よく噛んで食べないと。あ、一口貰うね』
そう言って肉をナイフとフォークを巧みに使い一口サイズに切り食べるペラー。
「相変わらずペラーは器用だな」
「オレ。お前に食事のマナーとか教えたっけ?」
『教わってないよ。ただ知ってるだけ』
凄い今更だがペラーって何なんだろう?
意思疎通ができて、道具をしっかり使えて、知識も豊富で。うーん……?まぁいいか。特に気にしてないや。何か、これ以上考え事を増やすと面倒だし。これ以上厄介事は御免だね。
「で?今度カオスとして試合しに行くんだろ」
「まぁね。流石にこの前みたいな圧勝はできないと思うけど」
皆レベルアップしていたし、豪炎寺も帰ってきているし。流石に前みたいなワンサイドゲームにはならないはずだ。
きっともう少しまともな試合展開になるはず。
「勝てよ。エイリア学園マスターランクチームの誇りにかけて」
「おう。任せとけ」
絶対に勝てると言い切れはしないだろう。だが、負ける気は微塵もない。
デザームのパクりじゃないけど、きっと今度の試合は前より楽しめるはずだ。
「十六夜綾人。彼は不思議な存在ですね」
「確かに不思議な存在だ」
「彼が原因でガイア、プロミネンス、ダイヤモンドダストの3つ巴状態から、ガイアとカオスの2つのチームの争いになった。これは予期しない展開でした」
「ええ。あのプライドが高い2人が手を組むとは。本当に予想外です」
「ですが、そのおかげでガイアもカオスもここ最近の伸びは素晴らしいです。どうやら練習相手がいなくなっても問題はなかったようですね」
会話をしながらお茶を啜る。
「ただ、本当に不思議だ。エイリア石の力が全く効かない人間が存在するとは」
「報告によりますと彼はエイリア石の力が効かないだけでなく、エイリア石そのものの力を無力化させる、そんな力があるそうです」
「ですが、この情報はとても有意義です」
「有意義……ですか?」
「ええ。私の考えは正しかった。エイリア石を持たせて強化させても、大きな弱点を抱えることになる。今までは石を外されることのみを考えていましたが」
「十六夜綾人のように無力化させ力を持つ人間と相対するときに必然的に弱くなる……ですか」
「その通りです。ただ、彼が石に触れていないと意味がないそうなので彼自身が脅威になるかは別問題ですが」
(なるほど。しかし、これは誤算だった。十六夜綾人は間違いなく私の手には来ない)
「そうなると、彼は一体何者でしょうね。初めからエイリア石に対抗するために存在しているのか、それとも……」
「どちらにせよ。我々の計画を止められるほどの力は彼自身有してない。問題はないと思われます」
そして、数日後。カオスが東京に戻った雷門を試合をするために呼びつけた直後。予想だにしない事態が起こってしまった。