カオスボールで試合再開。ガゼル、バーン、ボニトナ、バレンと細かく、そして早くパスを回していく。
『おぉーっと!カオスのFW、MF陣による素早いパス回しが、雷門イレブンを翻弄しているぞ!』
さっきまでと違う戦法……と言ったら大袈裟だが、さっきまでと少し作戦を変えている。
ドリブル主体からパス主体で組み立てていく。
既にこっちのドリブルによる突破力は見せている。だからいくらパス主体に攻め始めたと言っても向こうは、パスとドリブルの両方を常に警戒して守る必要がある。
そもそもの話、オフェンスとディフェンスを比べると、どう考えてもディフェンスの方があらゆる意味で大変なのだ。オフェンス側はドリブル、パス、シュートなど多数の選択肢から選ぶ。ディフェンス側は出されたそれに対抗しなければならない。ほとんどのケースに置いてディフェンス側は後手に回る。
もちろん、オフェンス側が取れる選択肢を予め減らすために、ディフェンス側も立ち回る。それがある分ディフェンスの方が完全に不利というわけではない。だが、向き合うときにディフェンス側の方が力を使うのは事実。
じゃあ、ディフェンスを消耗させるにはどうすればいいか?簡単だ。
「アイキュー!アイシー!サトス!」
DFの3人もパス回しに参加する。これによりフィールド全体を使ってのボール運び。
ディフェンスを消耗させる簡単な方法。選択肢を増やすのだ。選択肢が増えれば増えるほど考えることが増える。考えることが増えるということはディフェンスをする際に消耗していくことに他ならない。
それに加えディフェンス側はパスカットをしようと走り回る。脳や精神だけでなく、体力面でも徐々に奪っていく。
しかも、3ー1と向こうが負けており、1点でもいいから早く欲しいこの状況。徐々に焦りは募り、それがミスへと繋がる。
「……見えた。へい!」
「ムーン!」
向こうの対処としてFW陣の警戒。当然だ。その2人がこっちの得点に絡んでいるのだから。ガゼルとバーンにそれぞれ2人、最低でも1人が常にマークに付いている。
あの2人はそれを知ってか、場所をコロコロと移動している。それにより向こうは何度もマークチェンジをする必要があり、結果……
「しまった!戻れ!」
「行けっ!サイデン!」
……結果。バーンとガゼルにディフェンスたちはつられやすくなり、MF陣が動きやすくなる。
オレからのロングパスを受け取ったサイデンはマークの付いていないフリー状態。
言い忘れていた……って訳でもないけど、サイデンの本来のポジションはFWだ。雷門のイメージでシュートを撃つのがオレ、ガゼル、バーンのみと思われているが実際は違う。あくまでイメージにないだけで他の選手も打つことができる。
「アトミックフレア!」
サイデンのアトミックフレアが炸裂する。
バーンには劣るが並大抵のキーパー相手なら余裕で決められる。……もっとも、
「正義の鉄拳!」
円堂の正義の鉄拳はサイデンのアトミックフレアを弾き返す。間違いなく動揺……というより隙を突いてはみたが、円堂から点を取るのはやっぱり誰でもできるって訳じゃないな。
「ドンマイドンマイ!ナイスシュートだ!」
「次は決める……!」
だが、これで雷門側は分かったはず。別にMF陣にシュート力がないからFW陣しか撃っていなかったわけじゃない。ただ、ガゼルとバーンの2人が撃ちたいから撃っていたに過ぎないのだ。
「さぁ、ドンドン選択肢を増やしていこう」
これによってまた1つ選択肢が増えた。MFからのシュートってな。
そして今のサイデンのシュートのお陰で1つ掴めたことがある。
時間もこっちがパス回しとか諸々である程度使っていたからいい頃合い。
「……動こうか」
ボールは壁山から一ノ瀬、そして塔子に渡る。
「ディフェンス!」
アイシーが塔子をブロックしに、アイキューとサトスがアフロディにマークに付く。
これだけ見ればさっき点を取ったアフロディを厳重に警戒しているように見える。だから、
「なら……豪炎寺!」
だから、DFが誰もいない豪炎寺へとパスを出すはず。
「読み通り!」
「「「なっ……!」」」
驚愕する雷門イレブン。当然だ。
『な、なんと!豪炎寺へのパスをカットしたのはキーパーの十六夜だぁっ!カオス、ゴールをがら空きにする大胆不敵なプレーだぁ!』
さっきまで言っていた選択肢の話。ディフェンス側がうまく動けば相手の選択肢を減らし、限定できる。限定できればこっちのものだ。
「行くぞ!攻撃だ!」
そのままドリブルで駆け上がっていく。
そもそもだ。そもそも、豪炎寺をフリーにしておくほど舐めたプレーはしねぇよ。
「十六夜からボールを奪え!チャンスだ!」
鬼道がすかさず指示を出す。そりゃそうだ。だって、今オレからボールを奪えば点を取れるのだから。
ただまぁ、ボールを奪えればの話だが。
「止める!ザ・タワー!」
塔子の必殺技、ザ・タワー。何度か見てきてこの技の対処法は分かっている。
「アイシー!」
「うん!」
この技は塔の威圧で足を止めさせ、そこに雷を落とす。ただ雷を落とす範囲は決まっているように見える。おそらく、この塔の正面にあたる範囲のみ。
だから一度、必殺技の範囲外にいるアイシーに渡し、自身も塔を回り込むようにして突破。再びボールを貰い、塔子を抜き去る。
正面から破壊してもいいが、オレ個人的にはパワーでの突破より、こうやって簡単にと言ったらあれだが力をかけずに突破出来るならそっちの方がいい。
「しまった!」
「行かせないよ!」
すぐさま一ノ瀬のヘルプが入る。
「フレイムダンス!」
この技は炎を操ってボールを奪い、ドリブルしてきたやつを吹き飛ばす。
「よっと!」
ただ、炎の大きさとかは操れない。太さとかが決まっているんだったら、この技は炎を避ければそれでいい。途中から大きさが変わるなんてことはないからな。
「何!?」
「マズい……止めろ!」
すると木暮がこっちにやってきた。
「止めてやる!旋風陣!」
この技は木暮の超スピードの回転で風を起こし、ボールを引き寄せ最終的にキープする技。シュートの時は足に当てて、そのまま勢い使わせることで削ごうっていう感じだろうか。
「はいよ」
対策としてオレはボールを
ボールが上に上がり、木暮の回転が止まる。そして、
「うっしっし。何だ。意外とらくしょ──」
「じゃあ、返してもらうよ」
「──う!?う、嘘だろ!?」
左膝の丁度上辺りで漂うボールをすかさず回収する。なぜかは知らないけどこの技。止めた後に一瞬隙が生まれる。なら、そこをつくだけってな。
という感じで突破し、
「通さないッス!ザ・ウォール!」
壁山のザ・ウォール。もう何回も見たことのあるその迫力に今更怖じ気づくことはない。
とりあえず、ボールを上に蹴り上げて壁の上を通過し、オレも壁にある僅かな凹凸に足をかけて、跳んでいく。この壁はコンクリートとかより自然の崖とかが近い。だから、綺麗な平らじゃなくて凸凹がある。壊して突破もいいがこっちの方がしっくり来る。
「行くぞ円堂!」
「来い!」
円堂との1対1。オレはペンギンを10匹呼び出して……
「皇帝ペンギンO改!」
必殺技を放つ。ペンギンたちはボールと共にゴールへと飛んでいく。
「正義の鉄拳!」
対して円堂は正義の鉄拳を使い、飛んでくるシュートを弾こうとする。
ペンギンと拳の衝突。勝ったのは……
「よし!」
拳の方だった。
「まだだ!」
オレはすかさず跳び上がり、
ピ──!
空中でペンギンを6匹呼び出す。ペンギンたちはボールに食いつき、超高速で回転し始めた。
「また来るぞ!構えろ円堂!」
鬼道が気付いたか……だが一手遅い!
「オーバーヘッドペンギン!」
そしてそのボールをオーバーヘッドキックで蹴る。青紫色のオーラを出しながらボールとペンギンはゴールへと向かっていく。
「正義の鉄拳!」
正義の鉄拳を再び繰り出す円堂。だが、溜の時間がいつもより短くなってしまったそれは、さっきよりも弱々しいものだった。
「うわぁっ!」
故にさっきよりも威力のあるこのシュートを止められるはずがない。
『ゴール!1度は弾いて見せた円堂!しかし、十六夜が素早い反応で食らい付きシュートを決めた!なんとカオスこれで4点目!』
円堂の正義の鉄拳。ボールを弾く軌道やスピードが毎回ほとんど変わらない。サイデンのお陰である程度掴めていた。後は反応して決めるだけだ。
「ナイスシュートだ」
「狙ってやったのか?」
「当然」
弾かれる事なんて最初から織り込み済みだ。そこまでバカじゃない。
ピ、ピ──!
『ここで前半終了のホイッスル!スコアは4ー1!後半、雷門の反撃は見られるのか!』
ふぅ。気付けば前半終了か。アフロディ加入のおかげか予想より一方的ではないな。
ただ、こっちのMF陣もシュートを持っているが、アイツらだってまだ連携技を出していない。撃たれたら100%止められる補償はないが……まぁ、それはその時考えよう。
主人公習得技
オーバーヘッドペンギン
アレス、オリオンのアレ。
前回のカオス同士の戦いの最後に思いついた技。
この時空では十六夜が開発者(?)だったりする。
ちなみに、主人公のシュート技の強さの順番は、
皇帝ペンギンO改<オーバーヘッドペンギン<ムーンフォース
って感じです。
皇帝ペンギンOはシュートチェインが前提の技なので、単体だとそんなに強くないです。