超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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雷門VSカオス ~十六夜の弱点~

 後半戦は、十六夜が雷門の奇襲を止めてから動かなかった。

 両チームの攻めの中心となっていたフォワードに厳しいマークが付き、お互いチャンスに恵まれない。

 更に奇襲のお陰かそのせいか、十六夜自身もロングシュートの存在から前に出ることが躊躇う展開も見られ、より一層試合は動かなかった。

 

「どうする鬼道。このままじゃ時間切れだ」

 

 マークの厳しい豪炎寺が鬼道のもとへと作戦を聞きに行く。

 いくらマークが厳しいとは言え、流石に深くまで下がればマークは外される。それは実証済みだった。

 

「僕のヘブンズタイムももう通用しないだろうしね」

 

 一緒に付いてきたアフロディも会話に加わる。

 彼の必殺技──ヘブンズタイムはドリブル技の中ではかなり強い部類に入るだろう。しかし、それを対抗する術──十六夜のイビルズタイムがある以上、前半のようにはうまくいかないのは分かり切っている。

 

「向こうはこちらのことを知っている。対してこちらは十六夜以外を知らない」

「情報から不利だね」

 

 当然と言うべきか十六夜は、雷門側の選手の特徴や使われる必殺技を完璧とは言わないが大体把握している。知らないのは加入して日が浅い者ぐらいだろう。

 だが、今の彼はゴールキーパー。加入した者の中で彼からゴールを奪える可能性があるのは吹雪ぐらいだ。

 しかし、彼のシュートは1回止められている。そもそも今の状態では試合に出ることさえ叶わないだろうが。

 

「いいや。逆に言えば俺たちはほぼ全員がアイツを知っている」

 

 鬼道はそう言う。たった1人とは言え相手の情報を持ち、共有している。

 大きな事とはいえそれが直接点に結びつくかと言われれば疑問が残る。

 

「ハーフタイムも言ったが十六夜は、無敵じゃない。それどころかアイツには大きな弱点が存在している」

「大きな弱点…………あぁ。おそらくだけどアレか」

「それともう1つ。奴の性格を考えればこれで1点取れるはずだ」

「大きな弱点って一体なんだい?彼にそんな弱点があるようには見えないけど」

「弱点と言ったら大袈裟だが、アイツは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふむ。後半始まってそこそこ経つ。しかしお互い得点なし。

 向こうはこっちのシュートを警戒して守りを固めつつ、豪炎寺とアフロディがいるせいで油断は出来ない。

 理不尽だよなぁ……そこにいるだけで点を取られる匂いがプンプンとする。

 やれやれ。やっぱりキーパーってある意味怖いよなぁ……何というか。

 

「よく、円堂ってあれだけやるわ」

 

 だってあれだよ?この世界何が飛んでくるかマジで分かんないよ?開けてみてのお楽しみというか、ただの恐怖だよ?

 そう思うとつくづく自分はDFの方がいいと思う。まぁ、シュート止めようと行くのは置いといて、ゴールキーパーとフィールドプレイヤーの違いは自由度だと思う。

 イメージと言うよりいくら攻められるからと言って、攻めに行って守らないのはゴールキーパーの仕事を果たしていない。

 オレは割と自由人と言ったらアレだが、ディフェンダーでも攻めるしなんやかんやで動き回っている。ゴールキーパーだとそれが制限される。

 

「そもそもがキーパーに向いていないかもな……というのはいいけど」

 

 向こうの方でアフロディ、鬼道、豪炎寺の3人組が集まっている。ボール?さっきうちのサイデンが蹴り飛ばして、拾いに行っているよ?観客席の方に。

 今思うとあの3人は影山と因縁を持つ者であり、円堂によって救われた者である。

 なるほど。そんな3人が同じチームでこうやって協力してオレから点を取ろうと……ちょっと待て。え?あの結構ヤバい3人が協力している?目標はこのゴール?感慨深いなぁって言ってる場合じゃねぇじゃん。相当マズいじゃん。死ぬじゃん。

 

「……いや、落ち着け」

 

 どうせ来たシュートに対応するしかない。……というかあの3人で連携技的なのあったっけ?いや、ないだろ。

 そう思っていると豪炎寺とアフロディが前線に戻ってきた。特に変化はなさそうだが……あの鬼道が打つ手なしですなんて言わないだろう。それだったらもっと絶望的な顔をするはずだ。

 そんなこんなでゴールキックから試合再開。ボールは土門から壁山、一ノ瀬に渡る。アフロディと豪炎寺が上がってくるもしっかりとマークが出来ている。問題はない……よな?

 そしてボールは鬼道へと渡り、

 

「イリュージョンボール!」

 

 必殺技を使いバレンを抜き去って、

 

「行くぞ!」

 

 ボールを大きくあげた。そのボールはゴール前の高い位置……!

 

「アフロディだ!」

 

 そのボールに純白の羽を出しながら食らいつくのはアフロディ。シュート体勢に入ったところをアイキューとアイシーが跳び上がって阻害する。

 

「そう来ると思っていたよ!」

 

 アフロディはそのボールを更に上へと蹴り上げる。

 嘘だろ?シュートを打たずに上へと蹴った?そこには誰もいないし、そんなところ誰も到達できない。落ちてくるのを待つしか……!

 

「壁山!」

「はいッス!」

 

 ボールが最高点に到達した瞬間、ボールに向かって跳び上がる2人の影が。

 

「今度こそイナズマ落としか!」

 

 同時にサトスも跳び上がるも空中で壁山を土台にして更に高く跳び上がる豪炎寺には届かない。そこから豪炎寺は炎を足にまとわせ回転し……

 

「ファイアトルネード!」

 

 普段より遙か高い位置からのファイアトルネードを放つ。

 クソ!そっちかよ!だが、止められないと決まったわけじゃ……?ちょっと待て!あの軌道だとゴールに到達しないぞ!アレだとペナルティーエリア手前ぐらいに落ち……!

 

「ディフェンス!鬼道だ!」

 

 咄嗟にディフェンスに指示を出す。しかし、その瞬間。オレは気付いてしまう。

 サトスは豪炎寺たちと跳び上がったため壁山と共にまだ空中。アイキューとアイシーはアフロディに付いており、アフロディはゴットノウズもどきの後にサイドまで走っていたためセンターで鬼道がフリーという事態。しかも誰もマークに行けないというより間に合わない。

 

「ツインブースト!」

 

 ファイアトルネードとツインブーストの組み合わせ。それは世宇子戦で見たそれよりも威力が高く進化していた。

 

「クソっ!」

 

 ペンギンを呼ぶには指笛をする必要がある。だがボールは目と鼻の先。呼び出すことも叶わない。ペラーを出してもアイツが他のペンギンを呼び出すのにわずかとはいえ時間がかかる。

 一矢報いる……という言い方はおかしいが足掻くため、止めようとするために両手を突き出す。

 次の瞬間両手を伝い凄まじい勢いが全身を襲う。

 力を入れ耐えようとするもボールの勢いにより、抉られる地面。そして、

 

「ぐぁあああああああ!」

 

 身体ごとゴールに叩き込まれた。

 

『ゴォールッ!雷門の鮮やかな連携!後半も半分が過ぎようとしたところで雷門が1点返した!これで2点差だぁ!』

 

「ははっ。やられたな……完全に」

 

 ディフェンスをアフロディが誘導して釣りだし、全員の視線を豪炎寺に集めさせた上で、鬼道による連携シュートかよ。一本取られた……ってところじゃないだろうな。

 

「大丈夫か?」

「悪い。完全に出し抜かれた」

 

 ガゼルとバーンによって差し出された手を取り立ち上がる。

 

「気にすんな!俺たちが点を取ってやるからよ!」

「ああ。次は私たちの反撃だ」

「バーン……ガゼル……よし。取り返していくぞ!お前ら!」

「「「おう!」」」

 

 いい空気だ。やっぱりこれがサッカーだよな。間違っても片方のチームがダブルスコアで、相手を怪我させて圧勝するものじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「作戦成功だな。鬼道」

「ああ」

 

 鬼道と豪炎寺の気付いていた十六夜の弱点。それは初見の必殺技への対応力の低さだった。十六夜は、初めてその必殺技を見たとき動きが停止し判断が遅れる。技を分析しようと細かく見ているために起きる現象と2人は考えたが、実際は非現実的な光景に驚き、目を逸らし、ツッコミを入れているためなのを2人は知らない。

 

「なるほどね。細かく分析してしまうからこそ、必殺技の中にイレギュラーが混ざると弱くなってしまうんだね」

「ああ。後半最初も、壁山と豪炎寺が跳んで壁山を踏み台にしただけで、イナズマ落としを警戒していた。それ以外の可能性を考慮できていなかったのか、反射的に構えてしまったのかは分からないが」

 

 それが性格的な意味での弱点だと鬼道は言う。

 必殺技を分析し対応が出来るのは美点だが、分析しすぎたあまりに必殺技の中のイレギュラーに弱い。

 

「ただ奴は2度も同じ手が通用するほど簡単な相手ではない。もう1度同じパターンをやれば対応はされてしまうだろう」

「御影専農みたいだな。徹底した分析から確実なルートを探し出す」

「いいや。アイツらよりも厄介だろう。分析の精度は機械を使わない以上劣っているが、反面その場の対応力は遙かに勝っている」

「そうだよね。分析と実行を同時に行えるタイプだから尚更厄介だ」

 

 彼を表すなら司令塔と行動役、2つを兼任してしまえるタイプ。言わば万能なのだ。

 

「でも、何だかいい雰囲気だよな。カオスって」

 

 と3人の会話に円堂が混ざってくる。

 

「雰囲気?」

「ああ。何というか、アイツら心の底から楽しんでいる気がする」

「楽しんで……か」

 

 円堂がそう言うと、3人も自然と笑みがこぼれる。

 

「確かにな。アイツらからは、イプシロンとやった時以上にサッカーに対する熱さをチーム全体から感じる」

「そうだね。僕も彼らとやるのは楽しくてしょうがない」

「ある意味アイツが敵でよかったかもな」

 

 雷門全体を見ても雰囲気は重くなったりしていない。最初こそ十六夜が敵だと言うことに戸惑いがあったものの、今はそれ以上にこの試合に対して熱くなっている。

 

「次こそアイツらのシュートを完璧に止めてやる!絶対点は入れさせない!」

「俺たちもアイツから点を取っていくぞ!」

「「「おう!」」」

 

 4ー2。雷門にとって順調な滑り出しで始まった試合後半。

 しかし、十六夜の弱点があるように、雷門の弱点が見えてくるのだった。




十六夜がカオスをサッカーバカに染め上げる。
十六夜は強く円堂のサッカーバカの影響を受けていた。
故にカオスがサッカーバカっぽくなっているのは円堂が原因。
ヤバいな……さすが原作主人公。
次回、決着(予定)。
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