超次元サッカーへの挑戦   作:黒ハム

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雷門VSカオス ~決着~

 雷門が得点を決めて2点差と迫られるカオス。

 

「彼ら。楽しそうだね」

 

 隣に立つグランがそう言ってくる。

 

「フン。勝てなければ意味はない」

 

 だが、理解が出来なかった。カオスが楽しそう?先ほど失点をして差を詰められたのに?後半に入ってまだ得点を挙げていないのに?

 

「おっと。君は気付いていたと思うんだけどな。彼のおかげで」

 

 そう言って指さすのはゴール前に立つ1人の選手──ムーン。

 あの男は……いや、あの男と雷門の面々がこの試合を盛り上げている。互いが互いに楽しく、熱く、激しい試合をしている。

 確かに私もムーンを見ていると、心の中に熱くなっていくものを感じる。

 ただ、最近の私はそれ以外にも色々なことを思ってしまっている節がある。

 

「そんなもの不要だ」

 

 だが、どれもお父様の計画を完遂するためには不必要。一言で言うなら邪魔なのだ。

 そんなものを抱いてもしょうがない。

 アイツの力は我々に必要で、私のこの感情は不必要。それ以上でもそれ以下でもない。

 

「ねぇウルビダ。君は誰の味方になるつもり?」

 

 グランからの質問。コイツが急に意味ありげなよく分からない質問をすることは慣れている。ただ、今回に関しては何の意図があるか一切分からない。誰の味方?そんなの決まっているじゃないか。

 

「お父様に決まってるだろ?」

 

 そう言うとグランは笑ってみせる。

 その笑いはやっぱりという意味か何の意味かは分からない。

 ただ1つ言えるのは、今はコイツにかまってる場合じゃない。そう思い直して、私は試合を見ることにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合残り10分を切っただろうか。

 試合はあれから4ー2の状態。つまり、逃げ切れば勝てる。

 だがそんなのははっきり言って面白くない。

 最後の1分1秒まで何が起きるか分からない以上1点でも多く取りに行く。

 だから──

 

「出し惜しみなしだ。バーン!レアン!ボニトナ!」

「アレか!」

「分かったわ!」

「了解!」

 

 ──だから遠慮なく技を使わせてもらうことにしよう。

 レアンとボニトナがセンターライン付近で、人が2人入るか入らないかくらいのスペースを間に空けて横並びに立っている。

 後は……

 

「ガゼル!サイデン!バレン!」

「分かってる。行くぞ!」

「「おう!」」

 

 ボールはサイデンからバレンまたサイデンと2人でパスを回して翻弄する。その間に、バーンがレアンとボニトナの間に入り、ガゼルはディフェンダーを引きつけながら中央からサイドへと走る。

 

「行くぞ!」

「ディフェンス!来るぞ!」

 

 そしてゴール前まで2人が走るペースが出来た瞬間、レアンとボニトナはダッシュ。同時にボールはサイデンから一旦アイキューに戻し、バーンへと渡った。

 2人が走った跡から炎が現れ、炎の壁が形成される。その中をバーンが突き進み……

 

『フレイムロード!』

「な、何だコレは!」

「近付けない!」

 

 鬼道と一ノ瀬がバーンをマークしようと左右から向かうも炎の壁を前に弾かれる。

 

「ここだ!」

 

 この技左右からは強いが生憎炎の壁には終わりがある。言ってしまえば出口から入ればいいのだ。その事を察したのか土門が入っていく……が。

 

「くっ!キラースライド!」

 

 問題は左右のスペースが狭すぎて技を思うように撃てない。

 

「はっ!」

 

 バーンは跳んで躱す。そして、

 

「行くぜ!」

 

 ボールを空高く上げ、自身も跳躍し、

 

「アトミックフレア!」

 

 必殺技を放った。このまま行けば得点だ。

 

「もう点はやらない!絶対に止めてやる!」

 

 脚を高く振り上げ、溜を作った後に振り下ろす。何度も見て、この試合だけでも何度も破った必殺技。

 

「正義の鉄拳!」

 

 しかし、先ほどまでと違い威力の上がった正義の鉄拳。進化したそれはバーンの必殺技を弾き返した。

 

『おぉっ!何と円堂!正義の鉄拳を進化させバーンのアトミックフレアを打ち破った!』

「よっしゃぁ!」

 

 弾かれたボールは塔子が取る。

 流石……としか言いようがねぇな。この試合だけで進化させやがった。アレを打ち破るには、バーンとガゼルのあの技か?いいや、純粋にオレの技でも打ち破ってみたい。だが、時間は刻一刻と終わりに近づいている。もっと余っていればその願いも叶えられただろうか。

 雷門側を見るとこちらの攻撃が不発に終わった直後。オレ以外の誰もが決まると思っていたために反応が遅れる。つまり、向こうにすれば絶好の機会。こっちにすれば絶体絶命。

 

「今だ!点を取るぞ!」

「「「おう!」」」

「ここ1本止めるぞ!ディフェンス!」

「「「分かった!」」」

 

 ディフェンスはより一層厳しく当たって行き、中々もう1歩攻め込めずに居る雷門。そうこうしているうちに時間だけが過ぎていく。

 焦る雷門。だが、焦っているのはこっちも同じだ。なぜか?単純だ。前半は点を決めれたのに後半は無得点。後半だけで見たら雷門に負けている。

 だから、両方とも点が欲しい状況なのだ。

 

「こっちだ!」

 

 ボールを要求したのは……円堂!?

 

『な、なんと!このタイミングで上がってきたのは円堂だぁ!雷門!全員攻撃で点を取りに行く!』

 

 これって、千羽山の時みたいだなぁ……って言ってる場合じゃねぇ。円堂の攻めは予想外すぎる。そのせいでこっちの反応がまた遅れた。

 

「鬼道!」

 

 すかさず鬼道にパス。パス後もそのまま上がっていく。

 

「行くぞ!豪炎寺!円堂!」

「「おう!」」

 

 鬼道を中心にその斜め後ろに豪炎寺と円堂が走って行く。アレはイナズマブレイクか!

 ボールをあげる鬼道。

 

「させるかぁっ!」

「「「なっ……!」」」

 

 イナズマブレイクを撃たれたらどのみち止められねぇ。だったら撃たせる前に取るしかねぇだろ!

 

『な、なんと!ボールを取ったのは十六夜だぁっ!あぁっと!雷門のゴールがガラ空きだぁ!』

 

 よし、このまま攻めれば……!

 

「円堂君戻れ!早く!」

 

 目の前に現れたアフロディ。彼を抜き去るのには時間がかかる。だから……!

 

「こっちだ!」

「ガゼル!」

 

 マークを外したフリーのガゼルへとパスを出す。そして、ボールはアフロディを抜き去ったオレに帰ってくる。

 

「アレをやるぞ。ムーン」

「ああ、あの技か」

 

 確かにこのまま攻めると円堂がゴールへと戻ってしまう。そうなれば折角のこの得点の機会を奪うことになってしまう。だから、

 

「合わせろよ」

「そっちこそ」

 

 だから、ここからシュートを打ってやろう。

 オレはすぐさま皇帝ペンギンO改の体制に入る。それと同時にガゼルもシュート体制に入ったようで、辺り一帯には冷気で満たされ、背後にはオーロラが見える。

 

『皇帝ペンギンT(トゥルー)!』

 

 皇帝ペンギンO改を撃った直後に、ガゼルがノーザンインパクトをチェインすることでの連携技、皇帝ペンギンT。ペンギンたちは白く染まり、1匹1匹が冷気をまとっている。

 だが、何故このシュートを今選んだか?

 

「な、何だあのスピードは!」

「は、速すぎるッス!」

「円堂!」

 

 このシュート。威力はそこまでなのでさっきの進化した正義の鉄拳なら止められてしまうだろう。だが、スピードは随一のもの。この圧倒的スピードを誇るシュートは円堂より速くゴール……いいや、ゴールより手前のペナルティーエリアに到達するだろう。

 走っていた円堂は、仲間からの指示もありすぐさま反転し、正義の鉄拳を放とうと脚を高く振り上げ素早く振り下ろし、

 

「正義の鉄け──」

「ダメだ!ペナルティーエリア外だぞ!ハンドになる!」

 

 拳を突き出そうとしたところで、鬼道の言葉により踏み止まる。……というかこの世界にもハンドって概念はあったんだね。いや、ファールって概念が限りなくゼロに近かったからハンドもないかと思っていたよ。

 そうしている間にもシュートは円堂の方へと行き……

 

「たぁああああああああっ!」

 

 円堂はボールに頭突きをかました。

 …………いや、タダの頭突き。さすがにただのヘディングじゃあ止められんだろうコレは。

 

「うわっ!?」

 

 すると円堂の頭から()()()()()()

 もう一度言おう。円堂の頭から正義の鉄拳の小さい版が出て来た。

 

「何!?」

「バカな!」

「はぁぁああああっ!??」

 

 いやいやいや!何で頭からあんなのが出てきているの!?意味分かんねぇよ!というかアレ、ハンドじゃねぇのか!?……え?審判さん何だって?何々?頭から出たからハンドじゃない?あれはヘディングだ?

 

「いいのかそんな理屈で!?」

 

 明らかに手の形してたろ!?下手したらガニメデプロトンと同じくらい厳しいぞアレ!?

 

 ピ、ピ──

 

 と、ここで試合終了。

 え?最後……あ、得点にはならない?ですよね。知ってた。

 

「まさか、あんな技を使ってくるとはな」

「円堂守。底知れないやつだ」

 

 終わってみれば勝てた……が。後半はこちらのペースに雷門も付いてきたようだ。どこまでも強くなっているなアイツら。

 

「よし。帰るか」

 

 いつものごとくエイリアボールで帰ろうとする。

 

「十六夜!」

 

 ……と、呼び止められた。

 

「……何だよ円堂」

「お前が何で敵に回ったかとかは分からない。でも!これだけは言わせてくれ!」

 

 そう言ってオレの目を見て円堂は言葉を紡いだ。

 

「いい試合だった!またサッカーしようぜ!」

 

 思わず笑みがこぼれてしまう。他の奴らを見てもどこか楽しそうな感じがして……

 

「またな」

 

 オレたちは光に包まれ、帰って行った。

 

「よし!皆!次は勝つぞ!」

「「「おぉっ!」」」

 

 試合後の雷門は試合に負けた絶望はなく、純粋に次への期待が高まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、ムーン。サッカーって胸を熱くしてくれるんだな」

「この感じ久しく忘れていたぜ!思い出させてくれてありがとな!ムーン」

「いいや、オレじゃない。円堂の力だよ」

「フッ。次も勝ってみせる」

「俺もやってやる!」

「我々の本気を見せてやろうか」

「そして、雷門に勝つんだ」

 

 オレたちの中に湧き上がるこの熱。

 だが、彼らは忘れていた。自分たちはあくまでエイリア学園。サッカーは計画のための手段でしかないことを……。




おぉ……半分くらいオリジナルのカオス戦。まさかの6話分で過去最長(オーガを除く)。
ま、まぁ……試合以外の描写もあったりしたしこんなもんか……ジェネシス戦どうなるんだろうか。
ちなみに今回出て来た皇帝ペンギンTは志ノ乃様から頂きました。ありがとうございます。
今後も皆様から頂いた必殺技も少しずつ出て来ます(さすがに一辺に出すと十六夜の強化がヤバいことになる)。
あ、ちなみにまだまだ必殺技は募集していますので。
後は下に解説(一部簡略化等)を載せておきます。いつものあれです。では。

オリジナル技解説
皇帝ペンギンT(トゥルー)
属性 風
シュート技 (ロング)
二人技 パートナー氷技使い(吹雪、ガゼル、……)

背景がオーロラっぽくなって、ペンギンの色は白くなる。冷気をまとった皇帝ペンギンO。威力は他のペンギン系合体技に劣るがスピードは随一。

ところで話は変わりますがTwitterってあるじゃないですか。
今まで使ったことないけどあれで告知……ではないけどそういうのやった方がいいのかな?二次創作用のアカウント作って。
皆様どう思われます?感想欄だと面倒なことが起きると思われるので、後は活動報告にて。興味ない方はスルーでOKです。

活動報告URL
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=236583&uid=129451
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