「グラン。聞きたいことがある」
「何だい?ムーン」
ウルビダが倒れてから数日が経過したある日の昼頃。
あれからウルビダは体調をしっかり整えることが出来た。
そして、心配があったため治った後も二、三日は様子見という名目で彼女のストッパー役になっていた。……まぁ、彼女を無理させなければいいだけで、オレは無茶ぶりの連続だったんだけどな。あと、ペラーが何かサングラスを掛けて『スナイパーってかっこよくね?』とか言い出したけど知らん。
で、いろいろあって日は結構空いたがオレはグランにある話を聞くために、彼の元を訪れていた。
「ジェネシスについてだ」
「なるほど。ちょっと長くなりそうだし、外に行かないかい?」
「いいよ。任せる」
そうしてオレたちはエイリアボールで場所を移動する。
着いた所は…………
「帝国学園……?」
「ああ。ちょっと彼らの様子でも見ながらと思ってね」
「ん?彼らだと?」
「雷門さ」
ああ、そういうこと。…………ってアイツら今帝国学園にいるのかよ。というかよくその事知ってたなお前。
「研崎さんの部下の方が言っててね」
……見張りか?…………???よく分かんないけど……まぁいいか。
(勝手に許可もなく)グラウンドの観客席へと向かうオレたち。
「帝国学園と雷門が練習試合をするのか?」
いや、よく見ると少し違うな。円堂、鬼道、土門が帝国側に居る。
「どうやら俺たちが見ていない間に雷門は大きく変わったようだね」
「そうみたいだな」
ぱっと見、アフロディが正式加入、円堂のポジションチェンジ、立向居がキーパーってとこか。何というか……新鮮だな。
「…………ちょっと残念かな」
「残念?」
「何でもないよ。で、ジェネシスについての話だったね」
試合開始のホイッスルが鳴る。練習試合を尻目にこちらは話を進めるか。
「ああ。まず、あの人は何を基準にカオスではなくガイアをジェネシスに正式に決定した?」
「まぁ、ガイア所属でありながらカオスに力を貸していた君ならではの質問だね。何でだと思う?」
「いや、質問を質問で返すなよ」
「でも君は先日の試合で答えを出した。そのまんまだよ」
「……本当にそれだけか?オレが居て貢献していたからという理由だけなのか?」
「ははっ。君はガイアでもカオスでも選ばれるのはどちらでもいいとか興味ないとか言ってなかったっけ?」
「あの時は試合中で燃えてたからな。そんなことに思考割くのがもったいなかったんだよ」
まぁ、今も大して興味はないが、両方の努力とか実力を知っている分少し気になったのが本音だ。
「そうだね。ヒントをあげよう。お父様はあの試合をご覧になって俺たちガイアに称号を渡した」
……そこまでヒントになってないだろ。というか、またオレが答えるのか。
でも、言われてみればそうか。オレが居たからというのも試合を見ていなければ理由には出来ない。ただ、それだけでは違うだろうな。だって、オレがガイア所属でもカオスでプレーするのがマズければ最初からオレにお達しが来るはず。いや、そもそもダイヤモンドダストとプロミネンスが一つのチームになる時点でアウトなはず。
つまり、オレが居たからと言うのは理由の一つであって大きくはない。もっと別の何かがあるはずだ。
「……ああ、そういうこと」
「分かったかい?」
「大前提だが、ジェネシスの称号は最強のチームに与えられるものって認識でいいよな?」
「その通りだよ」
「なら話は簡単だ。カオスは負けたからな」
「どういう意味で負けたのかな?」
「試合としては4ー2。でも後半戦だけなら0ー1。負けているんだよ雷門に」
「正解だよ。ジェネシスの称号を持つチームは最強でなくてはならない。カオスは試合に勝っていても後半は負けていたに等しい」
「最強のチームならば後半も圧倒していたはず。故にカオスはふさわしくない」
完璧とまでは行かないが分からなくはないロジックだ。無理矢理さもそこまでない。
「それに加え、攻撃特化のカオスが後半無得点だったというのも関わっているだろうな」
「その通りだね」
チームカラーと言ったらあれだが、チームも攻撃特化、バランス型、守備特化などあるが、攻撃特化が点を取れなくては話にならない。
つまり、この前の試合。選手にとっては楽しく、熱く、互いに健闘したいい試合。
でもエイリア学園の上からしたらジェネシスを見極める試合。
試合に勝って勝負に負けた的な感じか。
「じゃあ、君の来るであろう次の質問に応えておこう」
「どうぞ」
「君は正式にジェネシスのメンバーに選ばれている」
……なるほどなぁ。
「よく聞きたいことが分かったな」
「この流れで君がする質問はこれだと思ってね」
読まれていた……というより分かりやすかっただけか。
そう思い手すりに肘をかけながら試合を観戦する。
「面白いことやってるんだね。彼ら」
「そうだな」
円堂、鬼道、土門の三人が帝国学園のデスゾーンを練習している。一方の立向居も何かしらの技を出そうとして奮闘している。
「…………ん?」
「どうしたんだい?」
「いや、ちょっとな……」
立向居の方は……正直何がしたいか、完成形が見えないから何も言えないけど。問題はデスゾーンを打っている三人だ。動きは帝国が撃っているのを見た記憶と照らし合わせても遜色ない。
しかし、デスゾーンは途中でパワーを失ってしまっている。
「気になるかい」
「お前もだろ」
「まぁね」
何度もデスゾーンに挑戦する三人と新必殺技にチャレンジする立向居。
デスゾーンのタイミングは完璧なのに何故発動しないのか……ん?完璧だと?
「あぁ。そういうこと」
「何か分かったのかい?」
「円堂たちが挑戦してる技が何故成功しないかがな」
「へぇ。それは何で?」
「あの技で重要なのは三人の回転とかのタイミングなんだよ」
「見た感じ三人とも息ピッタリだと思うけど?」
「そう。確かに完璧に見える。だがあのタイミングじゃないんだよ」
「……どういうこと?」
「あのタイミングは帝国学園の選手たちが打つ時に最適なタイミング。だから、雷門が打つ時に最適なタイミングとは限らないんだ」
「なるほど……打つ選手、打つチームが違えば同じ合体技でもタイミングはズレるわけだね」
成功していない要因はこれだろうな。これ以外の可能性も一応はあるが、今言ったのが的を得ている気がする。
「帰るか」
「もう少し見ていかなくてもいいのかい?」
「必要ねぇよ。というかお前が勝手に連れてきたんだろうが。バレる前に帰るぞ」
「そうだね。バレると厄介だからね。十六夜は特に」
「お前もな?」
雷門、帝国両チームの誰にも知られずにムーンとグランが試合を見て帰った後、鬼道、土門、円堂はデスゾーンを完成させることに成功した。
そしてその先の必殺技を完成させた三人。そのタイミングで空からボールが降ってきた。
落下と同時に紫色の煙が立ち込める。
「これは……エイリア学園!」
煙が晴れたとき、そこには……
「「我らはネオ・カオス」」
バーンとガゼルをはじめとした11人の選手が立っていた。
「バーン!ガゼル!」
「雷門よ。我らネオ・カオスの挑戦を受けよ!」
「宇宙最強がどちらか証明しよう!」
「くっ……」
高らかに宣言するガゼルとバーン。
「ネオ・カオスだと?前はカオスだったような……」
「アレはあくまでバックアップ。ベンチメンバー中心で戦っただけだ」
「そしてネオ・カオスこそが本命。最強メンバーのみで構成されている」
(ベンチメンバー中心であの実力だと?いや、それよりもネオ・カオスのメンバーの中に十六夜の姿がない……一体どういうことだ?)
鬼道は一人、ネオ・カオスのメンバーを見て疑問に思う。そう、この中には十六夜がいないのだ。
「試合は二日後。場所はここ帝国学園スタジアム」
「もし受けなければ無作為に日本中にこのボールを蹴り付けるだろう」
そう言い残し煙に包まれるネオ・カオス。次の瞬間には、彼らの姿は消えていた。
「カオスを超えるネオ・カオス……」
「一体、どんな強さを持つチームなんだ……」
そして試合の旨は瞳子監督にも伝えられた。
「カオスを超えるネオ・カオス……」
試合は二日後。
新体制となる雷門と前回よりメンバーが一新されたカオスの戦いはどうなっていくのか……。
カオスの一個上の名前の案が思いつかなくてネオ・カオスになりました(なおメンバーは本来のカオスの模様。ややこしいなぁ)。
あまりにも不評だったら変えます(変える代わりに案を私に下さい……)。