「マギアレコード」 Pueri et puellae magicis   作:ゆっくりff

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戦闘シーンは極力書かないで日常にしたいな、と思いつつ書いてみると
全然書けませんでした…サブタイトルはもはや深い意味はありません。
(全く思いつきませんでしたぁ…)



変わった朝の日常

~みかづき荘自室sideいろは~

 

 

キンッ!

何やら耳に響き渡る甲高い音を聞きいて私

は目を覚ます。目をこすりながら、備え

つけてある、目覚まし時計で時間を

確認する。

 

「6時半…まだ、眠ってたいなぁ…」

 

いつもなら、大体このくらいの時間に

起きて、やちよさんと一緒に朝食の準備

でもしているのだけれど、昨日は少し寝る

のが遅かったから、しょうがない。

 

「…よし!」

 

顔をパチン!と叩いてやる気を出してから

温かい布団から肌寒い外に出る。

 

「うう…寒いよぉ……」

 

秋ともなれば朝は肌寒い。そろそろ布団

から出るのも、億劫になってくるから

頑張って起きないと…!

 

 

 

~リビング~

 

 

 

やちよさんはしっかり者に見えて、朝は

少しだけ弱い。それでも年長者として、

私たちに朝食を作ってくれます。もちろん

頼りっぱなしはよくないと思って、

こうしてお手伝いに来たわけですが…

 

「ッ!?」

 

リビングにでて窓をぼんやりと見ていると

視界の端に人影が写り、悲鳴を上げそうに

なった。まさか…不審者!?

 

(ふぅ………ってあれ?カズキさん?)

 

息を整えて、状況を確認しようと身構えた

所で、今度は視界端ではなく、リビングの

窓から全体が確認できるくらいの位置まで

移動してきた人影…カズキさんを目撃する

こんな寒い朝なのに、大量の汗を浮かべて

カズキさんに迫り狂うナイフを必死に

避けている…って

 

「ナイフ!?」

 

まさかこんな所で魔女の襲撃でもあった?

と私はソウルジェムに魔力を込めて、衣装

を展開。左手に装着されているクロスボウ

に矢を装填して、窓を開ける。

 

「カズキさん!大丈夫ですか?」

「ふっ!…ん?なんだ、いろはか。」

 

こちらの心配ごとなど、まるで気にしない

ように気の抜けた声で、カズキさんは声

をかけてくれる。それと同時に周囲に

浮かび上がっていたナイフがフサッと、

芝生に落ちて微動だにしなくなった。

 

「あれ?…あれ?」

 

「変身なんかして、何かあったのか?」

 

「い、いえ私はてっきりカズキさんの身

に何かあったんじゃないかって…」

 

それを聞くと、カズキさんは困った笑み

を浮かべて

 

「そうだったのか、すまんな。これは

日課みたいなものだからな。」

 

「日課…ですか?」

 

腕を軽く回して、柔軟をするような行動を

とって、庭に落ちたナイフを拾い上げる

 

「そうだ、俺は魔法少女と違って身体能力

は最低。しかも訓練しないと衰えるときた

ゆえに訓練を欠かすことはできない。」

 

まあ、とチラっとこちらを見て、目を

少し細める。

 

「最低限、ここの住民達には伝えておく

べきだったな。すまない」

 

「いえ…あの、私も訓練ちょっと見てても

いいですか?」

 

思い返すは、昨日の戦闘。彼は一度だって

攻撃をもろに当たったことはなかった。

流して、躱して、魔法を使い防いで。

あの戦闘だけでも、彼の引き出しの数を

知ることができた。おそらく…まだ大量

に残っているはずだ。まあ、魔法だけでも

数百種類が確定してるし…

とはいえ、回数制限の制約により、それ

だけを頼りにするのは不可能なはずだ。

体術、これなら私たちにもマネする

事ができるはず。これからも、戦いが

続いていくなら少しでも引き出し(戦術)は多い

方がいいに決まってる。

…もっとも純粋に彼がどうやってあの

強さを手に入れたのかが気になるだけ

なのだけれど…

 

「別に構わない。見ていて面白いとも

思わないけどな」

 

「面白くは…ないかもしれませんけど、

でも参考になるとは思いますから」

 

「そうか…」

 

そういって、彼は指輪にはめ込まれた

宝石を光らせる。すると手に持っていた

3本のナイフが四方に散り散りになる。

そして腰を落として、意識を集中させる…

 

 

~みかづき荘庭sindeカズキ~

 

 

他人が見てると少し落ち着かないというか

あんまり手の内を見せたくはなかった

けれど、まあいずれはばれることだし、

今は、チームとして行動してる。

あまり隠し事をするのはよくない。

 

「………………………」

 

一度目をつむり、意識を体に集中させる。

この場所は今から戦場に変わり、この体は

骨の髄まで、戦闘のための道具に変わる。

破壊は許されない。変えは効かない。

しかし、妥協は許されない…

 

「…………よし」

 

魔力を指輪に込め、捕食魔女で獲得した

魔法を起動する。するとあたりで浮いて

いたナイフが、まるで得物を見つけた獅子

のように周りをくるくる回りだした。

隙を伺うように、ゆっくりと回り、時に

フェイトをかけて、こちらへの

プレッシャーを途切れさせない。

 

「ッ!」

 

左目の視界ギリギリに移動したナイフが

痺れを切らしたように、こちらに向かって

突撃を開始する。そちらに顔を少し傾けて

機動を確認する。

 

(上…肩か)

 

おおざっぱに攻撃目標地点を予測して行動

に移す。全身をそちらに向けて、回避

しやすいように微調整。その後右側に体

をそらして、ナイフを回避する。

 

(さて、ここからが本番。30秒は

耐え抜きたいところだ…)

 

右足を軸にそのまま約90度回転案の定

左にはナイフが2本すでに迫っていた

 

(下…太もも、中…左腕)

 

秒をかけずに即座に判断左ひざを地に

つけて前にしゃがむ。太ももを狙った

ナイフは微妙に体をそらして躱し、

その切っ先が体の横を通りすぎた瞬間に

そのナイフに肩を当てる。頭上から刺突

してくるナイフを後ろに体を倒して

左手を地面につけバランスを取り、肘で

弾き飛ばす。左腕を狙ったナイフが反転

おそらくわき腹を狙うべく攻撃を開始する

 

(足が地面についていない状態は

まずい…!)

 

勢いよく後転。軌道修正をするナイフ

を躱すべく片手で逆立ち。そのままバネ

のように体を跳ねあげる。

 

(読んでいたぞ!)

 

この無防備な状態を狙わないわけがない。

先ほど肘で打ったナイフが今度は着地を

狙って攻撃をしてくる。

しかし、跳ねあげるときに捻りを

加えていたために、着地前に裏拳で

弾くことが可能。そのまま着地する。

左右の手には動きの阻害がほぼない

軽い籠手がついているため、果物ナイフ

程度の小さいナイフなら刺突を防ぐこと

ができる。

 

(ただ…問題はここからだな…)

 

すでに2本のナイフが左右から攻撃を

開始している。ナイフをはじいたりして

攻撃を防ぐと3秒ほどは行動を停止

させることができる。位置関係からして

2本のナイフを処理した直後、もしくは

処理と同時に先ほど弾いたナイフが

俺に攻撃が届くことになる。

 

(考える暇はない、やるだけやる。

思考を研ぎ澄ませ、秒で答えを、秒で

行動を…)

 

攻撃目標は2本とも腰。ここに来るまで

2秒ほどはあるから、回避行動をした

所で、修正されて終わるだろう。

そう判断した俺は即座に反転。

近くにある塀に向けて走りだす。

それを追うようにナイフも速度を上げるが

壁にたどり付くのは、こちらのほうが早い

壁を背にした後は、十分に引き付けて

跳ねて避けるように、足を曲げて重心を

深く落とす。

 

(いまだ!)

 

しかし、跳ねない。後続が2本の後に

迫ってきているのに、地から離れるなど

愚策だ。飛んだようにフェイントをかけて

地面から足を離して背中から地面に向けて

落下、十分に引き付けたおかげで、ナイフ

は壁に直撃し、甲高い音を立ててあらぬ

方向へ飛んでいく。すぐに受け身をとって

起き上がり、後続のナイフは体を投げ出す

ように前転して回避。その間に態勢を

整えたナイフが刺突ではなく斬りつける

ようにな動きに変わるただ突っ込んで

くるのではなく、体の周りを引っ付く

ように滑空する。

 

(クッ…)

 

刺突と違って、大きな動きでよけると

その隙を狙われる。最小限の動きで体を

左右に振りながら何とか活路を見出そうと

する。たが…

 

(刺突ッ!?)

 

先ほど前転で交わしたナイフが今度は遠く

から刺突を行ってくる。そのせいで行動は

制限された。もはや体を投げ出して、回避

するほかない。

 

(斬りつけ後の隙をついて刺突を…

なんて悠長な事やってられないな)

 

すでにチェック。このままでは首を

とられるのをむざむざ待つことになる。

 

(あがけ!、1秒でも長く!)

 

斬りつけてきたナイフを強引に籠手で

防いで、バックステップで刺突を回避。

しかし、2本目のナイフが腹を斬りつけ

ようと、懐に潜り込んでくる。

2度目のバックステップをしようとした。

 

「うわっ!?」

 

しかし、地面に落ちていた大き目の石

に足をとられてしまい、そのまま転倒

おかげで刺突は回避できたが、仮に受け身

を取ったとしても、視界不良の情報不足で

回避は不可能だろう。それでもあがける

だけあがこうとしたが、いつの間にか背後

に回っていたナイフが首筋に突きつけ

られていた。チェックメイトだ。

 

「はぁ……23秒。まだまだだな。」

 

そう呟くと、ナイフに掛かっていた魔法を

解く。このナイフには自動操作の魔法…

正確には、テレキネシスのような魔法だが

自身が決めたアルゴリズムによって動き

を行わせることができる魔法だ。

訓練用に拵えた魔法で、どんなことが

あろうと寸止めで終わるようになっている

実戦ではほぼ使えないが、まあもともと

このために用意したものなので、

何も問題ない。ナイフにインプットした

動きはいつでも変更可能なので、訓練に

最適ということだ。

 

「お疲れ様です。カズキさん。と言っても

あっという間でしたね…」

 

「おお…そうだな。」

 

体中を捻って状態を確認する。短期間で

あれだけの負担をかけたが、特に異常は

ない。筋肉が張ってもいない。良好だ。

 

「あれはもともと準備運動みたいなものだ

短時間で体に強烈な負担を毎日与え続ける

事で、体を慣れさせる。戦闘ではきれいに

狙った場所に負荷を与えるなんぞ不可能

だからだな。」

 

「じゃあまだ、訓練は続けるんですか?」

 

「いや、昨日の疲れもまだ取れてねぇ。

だから、ここいらで辞めるつもりだ。

まったく、難儀な体だよな。」

 

芝生に腰を下ろして葉巻を吸おうとすると

いろはが少し悲しそうな顔をしている。

少し言い過ぎたか、いや、彼女が深読みを

しているだけかもしれない。

少なくとも俺はそのような意味で言った

つもりはない。隣をポンポンとたたくと、

いろはは少し不思議そうな顔をして隣に

座った。

 

 

「…ああ、悪かったな。俺が言ってる

のは機能の話だ。お前たちは俺と同じ

人間だ。少なくとも俺はそう思っている」

 

そういって頭を撫でる。

 

「あ…あの…」

 

「ん?ああすまない。ついな」

 

いろはは顔を小さく振って否定の言葉を

述べてくれる。

 

「いえ、嫌いでは…ないので…、でも

誰にでもこんなことするんですか?」

 

「まさか、少なくとも俺から見てそういう

事をしても不快に思わないだろうと判断

した人にしかやっていない。俺にはよく

分からないが、少しでも信頼を寄せている

人から頭を撫でられると落ち着くんだと」

 

正直俺にはよくわからないが、今のところ

例外はない。こういうものなのだろうか?

 

「私は…信頼しているって判断したんです

か?」

 

「少なくともあの3人よりは」

 

「え?あの3人…やちよさん以外って事

ですよね?」

 

その質問に俺は頷く。めんどくさい下拵え

を終えてから葉巻を吸い始める。

 

「ああ、あの3人は見繕っている状態だ。

表面上は好意的な態度を見せているが、

少しでも俺が信じられないと判断すれば

躊躇なく切り捨てる。間違いない」

 

そんな事ないですよと不満げな顔をして

いるが、あいつらは自分たちの場所を

守りたいだけ。仕方がないことだ。

 

「あら?いろはも一緒にいたのね。」

 

少ししんみりした雰囲気でぼーっと

していると、スポーツドリンクをもって

やちよが庭に訪れてきた。

 

「やちよさん?」

 

「いろは?あなた、そろそろ時間ないん

じゃないの?他の皆ももう朝ごはん

食べているわよ?」

 

「ああ!?」

 

俺はチラッと腕時計を確認する。確かに

世の学生の登校時間少し前だ。

 

「も、もう…もう少し早く教えてくれても

いいじゃないですか~」

 

「ごめんなさいね。集中してたから…

でもそのうち戻ってくると思っていたわ。

あ、カズキ君これどうぞ。」

 

彼女はそう言ってコップ一杯に特製の

スポーツドリンクを持ってきてくれた。

カランと耳にスッと残る気持ちの良い音

を聞きながら、それを一息に飲み干す。

レモンの香りの効いていて、大変

飲みやすいスポーツドリンクだった。

 

「ああ、悪いな。お前も今日学校だろう?

今日の家事はやっておく。」

 

すると彼女は考え込むようなしぐさをして

 

「そうね。そしたらお願いできるかしら?

さすがに洗濯はあれだから…」

 

「ああ、わかってる。掃除と夕飯作る程度

になると思うが…」

 

「え、えっと…カズキさんこんな時に

言うのもあれなんですけど、ご職業…

なんですか?」

 

いろはには困惑の色が見て取れる。まあ、

当然といえば当然か。各地を転々として

いたことは言ってはいないが、想像する

のに難しくない。となれば、どうやって

生計を立てているのか、不思議に思うのは

至極当然だ。

 

「無職」

 

「え?」

 

「だから、無職だ無職。働いていないんだ

金は色々あって親の遺産を食いつぶしてる

一生かかっても潰しきれないほどの物だ」

 

「ええ…そうだったんですね…」

 

まさかの無職という目をしているいろは

に時間はいいのかと告げると、慌てて

リビングに入って言った。その代わりに

やちよが代わりに隣に座る。多少の御粧し

をしている、彼女と最後に出会ったのが

1年ほど前の18歳。その時は化粧は

モデルの仕事の時くらいしか、していな

かったはずだが、19歳の大学生ともなれば

さすがにそこのところは少しは気に

しなければならないというのだろうか

 

「ふふっ」

 

「なんだ急に…」

 

ごめんなさいとやちよは首を振り、肩に

頭を載せてくる。この町の魔法少女達が

見たらいろいろな意味で驚かれるだろう。

 

「いえ、ただ…またあなたと一緒に戦える

なんて、と思って。しかも一つ屋根の下

こうして毎日を共にできる。」

 

「やちよ…」

 

やちよは肩から頭を離して、首を横に

振る。その顔からは悲しみが感じとれた

 

「分かっているわよ…その気はないん

でしょ…あの時から、ずっと変わって

いないのね。あなたの心も私の心も」

 

「そうだな…何も変わらない。いや互いに

変えるつもりがない。が正しいのかな」

 

ふぅ…と虚空に消える白い煙を眺めながら

俺はゆっくりと立ち上がる。やちよも

そろそろ、登校時間のはずだ。

 

「そうね…じゃあ、カズキ君留守番

よろしくね。冷蔵庫の物好きに使って

いいわよ。あ、補充もお願いね」

 

「すっかり主婦って感じだな。オーライ

任せておけ」

 

全員を見送りした後、俺は庭に戻り、

葉巻を吸いなおしていた。さすがは葉巻

まだ火は残っていた。

 

「心は変わらずとも、変わってしまう物

もある。いつまでも子供でいるのは不可能

ということだな。昔の面影はもうすっかり

無くなっているな。」

 

寂しさも覚えながら、その顔に俺は

頼もしさも覚えていた。そしてそれと

同時に、俺は少しばかりの負の感情を

抱いていたが、なぜなのかは理解する事が

出来なかった。

 

余談ではあるが、俺の料理はここの住民

達の舌を虜にしたようだ。まあ、料理は

に限らず、技術はやっていないと衰える。

それにおいしそうに俺の料理を

頬張っている彼女たちを見て、悪い気は

しなかった。




長編を1つ思いつきました後3~4話ほど短編を書いてから
投下したと思います。
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