「マギアレコード」 Pueri et puellae magicis 作:ゆっくりff
不定期更新ですがこれからもよろしくお願いします。
正直なところ、よく分からなかった...が今見ている戦闘訓練の感想だろう。
カズキもやちよもどっちも強い、それは分かりってることだし今更疑うところもない。今回の訓練も相まってその認識はますます強くなっていった。
「そこっ!」
「シッ!」
命を刈り取らんと突き出されたハルバードは、意図もたやすく小さき獲物によって軌道をそらされる。
魔法を制限しようと提案されてから、既に5分ほど。その見応えは未だに衰えることを知らない。
ただ一つ....変わったことがあるとするならばやちよの攻めが圧倒的に少なくなり、逆にカズキの攻めが圧倒的に多くなったことだろうか?。
「よけきってみせろ!」
「くっ…」
一つ一つまるで体の一部かのように自由自在に右手で暴れまわるナイフ。
とはいえ、それを防ぎきっているのはさすがと言うべきではあるが…
ハルバードを細かく持ち替え回りしながら、あらゆる部分を防御に使う。
そして…一度ハルバードを思い切りナイフで押してその反動を使って距離を取る。
「はーー……」
「とりあえずこんな感じかしら?」
「ああ、上出来だろう。」
息を止めた怒涛の攻撃の反動で大きく息を吐き出し、いったん仕切り直しとなる。
が、どうやらカズキの中では丁度いいと判断したらしい。
「さて、鶴乃今の戦いをみて何か思った事はあるか?」
「え?えーと……ごめん。正直よくわからなかった…」
「まあ、だろうな。次はやちよに主に攻めてもらう。そっちも見てみろ」
「そういえば…師匠のほうが私の戦い方に近いんだっけ…?うんわかったよ!」
水分補給をすまして、すこしあたりを確認してから2人は対面し改めて構えを取る。
「ン…?それで戦うのか?」
「ええ。鶴乃に見せるためならこっちの方がいいかなと思って」
先ほどまでと違い、ハルバードを2本持っているやちよ。
その1本は水をまとい、やちよが手を離すと、あたりでフワフワと浮かび始める。
普段はあまり使わない技に鶴乃が少し不思議そうにしていると、苦笑しながら
「カズキ君みたいにないかをやりながら戦場を戦うのは私には無理よ…」
「そこまで難しくはないだろう?位置取りの把握と味方の行動の予想。これだけでどうにかなる」
「どうにもならないから使ってないのよ…」
やれやれと首を振るやちよは改めてその切っ先をカズキに向ける。
たいするカズキもナイフのほかにどこからか取り出した籠手を取り出して左手に装着する。
少しのにらみ合いを得て…先に動いたのはやちよ。
「カズキ君ほどの脅威ではないけれど…これでもひそかに練習してるのよっ!」
魔法少女の脚力を利用し、一気にカズキの懐に潜り込み、刺突を行う。
もちろんその程度を見切れないほどの動体視力はしていないので余裕で対処、さまざまな魔女を屠ってきた隙を見せない刺突の数々は彼のナイフの前に無力であった。
そして…
「っ!?」
両手で扱うハルバードと違い、カズキにはまだ左手が残っている。
ナイフで止められたそのすきにハルバードを籠手で思い切り弾く。
これにより大きな隙が生まれてしまい、そこからの追撃で終わる…だが
「ちっ…」
追撃の前に、飛来してきたハルバードに対応しなくてはいけなくなった。
バックステップとバク転で距離を取り、やちよもまた、崩れた体制を整える。
「やっぱり…私だけでは無理ね。」
「十分じゃないか?」
「こんなんじゃまだ、あなたの隣には立てないわよ…」
やちよは改めてハルバードを構え、先ほどと全く同じように突っ込む。
先ほどと違う点は傍観を決めてた浮いてるハルバードがやちよの突撃に合わせて切り取らんと攻撃を仕掛けてくる点だ。
しかし、この一本だけで戦況は大いに変わった。
先ほどまでいいようにあしらわれてきたやちよがたった一本のハルバードのおかげで今度はいいようにあしらえるように変わったのだ。
一瞬のスキを作り、やちよが追撃…やちよが作った隙をさらに広げるように一撃…まくられた時のケア…そのハルバードが行った仕事の量は計り知れない。
「チッ!」
これでカズキが防御力に自信があり、それでごり押しを仕掛けるのならば、また戦況は変わったかもしれないが、彼は人間。
針の穴に糸を通すのような鮮麗かつ大体な行動を強いられる彼にその突破方法は不可能に近い。
「………」
そういえば…と鶴乃は思い出す。
彼らの戦いをこうしてまじかで見たことはあるだろうか…?
確かに一緒に戦いは何度かしてきた。それでもそれをじっくりと観察する機会はなかったはずだ。
「師匠も…カズキ君も本当にすごい人だったんだ…」
目の前で繰り広げられている、何年分も蓄積されたその技術に鶴乃は本来の目的を忘れ見惚れていた。
だからこそ…だろうか、彼女はその光景を見てあることに気が付いた。
(あれ…?あのハルバード……なんか私に似てる…)
別に色が似ているとかそういったわけではない。
似ているのはその戦闘での役割だ。
徹底したサポート…攻撃を中断させるため、攻撃の起点を作るため、あくまでも…やちよの為…仲間のために…これがハルバードの限界。
ふと、そんなことを考えているとカズキのナイフが手を離れ、やちよが首にハルバードを当てたことで訓練が終了した。
「お疲れ様。ちょっと危うかったわね」
「よく言うぜ。目が慣れてからはそっちの独壇場だったじゃないか」
「ふふっ…さて、鶴乃。どうだった?」
「あ、えーとね…」
確かにつかんだと言えばつかんだ。
カズキの戦い方とやちよの使ったハルバードの戦い方、確かに言われてみればそれは全くの別物だった。
カズキの本質は敵を倒すことにある。確かに戦いの中ではいろいろと助けられた部分もあるし、援護魔法だってあるからそれしかできないという訳ではない。
ただそれは敵を倒したらそれが結果的に援護に繋がったと言うだけだった。
「なんとなくだけど…言いたいこと分かった気がする…」
確かにカズキに教えられたとしても、それが鶴乃に合う事はないだろう。
いや、確かに今までの戦い方を捨てれば合うかもしれない。
でも強くなりたいとはいえ、いまの役割が一体どれだけ重要なのかは理解しているし、この戦いでみたハルバードからもそれは物語っている。だからカズキは鶴乃に言ったんだろう、戦い方が合わないと。
「あはは…まあ、いいんだ。皆を護れるなら別に弱くっても…」
「お前は勘違いをしている」
「ほえ…?」
「お前が弱いと思った理由は活躍できなくなったから…そういったよな?」
「うん…最近他のみかづき荘の人がめきめき力をつけて来て…」
「それもそうだが、変わった物は別にある」
そういって…ヤナギは鶴乃に指をさした。
「鶴乃の戦い方が大幅に変わったのが原因だろう。」
「えっ?でも…別に私前とおんなじだよ?」
しかし、その言葉をカズキは首を振って否定する。
怪訝そうにする鶴乃をよそに、自分の考えを口にする。
「自分でも言ってただろう?仲間を護るために力を求め続けたって。そしてお前はその頑張りで神浜最強とまではいかなくとも、仲間に頼られる力を手に入れた。
ただ…頼られるだけであり、鶴乃を理解する真の仲間は存在しなかった。お前は大人数で戦いながら一人で戦っているかのような錯覚を覚えた…どうだ?」
隣で一緒に戦っていながら、心の奥深くでは信用しきれていなかったのだ…
つまり、戦いかたはカズキの戦い方に寄ってしまったというわけだ。
「そして真の意味で仲間を手に入れたとき、きっと急激に視野が広くなったんだ。
文字通りお前は仲間のために戦うようになった。
広い視野をもって仲間の危機を察知して持ち前の行動力でその危機に対処する…言い方を変えれば、今までの戦いをすべて捨てて新たな戦い方を身に着けたんだ」
敵を倒す戦いではなく、味方を援護し守る戦いに移って変わった。
もともとやちよと言うその手の戦いが得意な人を師匠にしていたし、鶴乃自身の性格も相まって守る戦いはすぐになじんだはずだ。
「それが鶴乃のスランプの原因だ。仲間の援護に回れば必然的に前衛に出る頻度は落ちるし、撃退率も大きく下がるだろう。今までは倒して倒して倒しまくる…その戦いを続けてきたのでだから、自分は活躍できてない、弱くなった…そう錯覚するのも納得だ。」
そう…それはいい事ばかりではない。意識下の考えは変わらず無意識化での考えが大きく変わったせいで、鶴乃はその変化に対応しきることができなかったのだ
「戦い方が違うって言うのはそういう事だ。さっきの戦いでのハルバードの活躍はどうだった?
俺にろくに攻撃も当てられず、ただ少しちょっかいを出しただけに終わった…
しかし、そのちょっかいがやちよの生存率を大きく上げる事になった。
たいして俺の戦い味方の事は一切視野に入れていない。必要な攻撃を必要な場所に…そんな戦いだけだ」
「でも…いろいろ助けてくれたりもしたでしょ?」
「そこまで人間は捨ててない。でも…強さにもいろいろある。お前にはやっぱり…やちよの戦い方がああってるよ」
そう言うと、彼は部屋の中に戻っていこうとする。
「すまんが続きがしたければやちよに聞いてくれ、さすがに疲れた
もう活躍できないと言うアホな事は言わないと思うが…お前のその行動はチームの勝利に大きく左右される。戦闘狂でないならば、それを忘れるなよ」
うむを言わさずにそそくさと家の中に戻って行ったカズキを、鶴乃はぼーっと見つめていた。
「師匠…」
「ん?」
「か、カズキ君ってすごいんだね!」
「つ、鶴乃?」
「そこまで深い付き合いじゃないのに…自分でも知らなかった自分っていうのかな?それをここまで当てるなんて…!妙にしっくりくる気がするんだよね~」
キラキラと目を輝かせて、本当の意味で新しい頼りになる人物を見つけた、そんな感じな目をしていた。
今まで彼が頼られてきたのはやちよの圧倒的な信頼と、そのやちよが信頼してるから…それに過ぎなかったはずだ。
しかし、今の目にはカズキという存在がやちよ抜きで確立している。そのことに少しもやもやしながらも、ほほえましいまなざしをするやちよだった。
次回予定通り8章を進めていきます!
※定期
ネタを募集しています。
この魔法少女と絡ませてほしいとか
この魔法少女とのこんなシーンが見てみたい
カズキの使う魔法など、
一人で考えるのも楽しいですが、皆様の
発想はおそらく私にはないものですので
ぜひ、ご意見いただけると幸いです。
よろしくお願いします