「マギアレコード」 Pueri et puellae magicis   作:ゆっくりff

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いよいよ戦闘シーンはクライマックスです。
私が脳内で想像した戦闘シーンを少しでも皆様に伝わればと思います…
次回からはしばらく説明フェイズニ突入します


ウワサの男4

「まったく、相変わらず人使いの荒い事」

 

そう呟いて私、七海やちよは自身が

激突したことで積み重なった瓦礫を

盛大に粉砕し、痛む体を動かし続ける。

目標は敵の攻撃から逃がすために

彼によって放り投げられたさなだ。

 

「ダメっ!間に合わない…」

 

パペットからの攻撃で、

体中痛覚でまともに機能していない以上

下手に動いたらそれこそ再起不能になる

かといって、それを恐れて慎重に

動いていてはさなの救出は不可能だ

ではこの場合どうすればいいか?

なに、非常に簡単な話だ。

 

「間に合わないわ!カズキ君!」

 

なにも1人で戦っているわけじゃない。

足りない力は仲間から借りればいいのだ

すると彼は

 

「とっておきだ、成功させてくれよ!」

 

パペットに突風をお見舞いさせて動きを

制限し、何かが砕け散る音とともに、

さなに向けて手のひらを向ける。

しかし別段何か起きるわけでもない。

風も鎖も何も出ない。

ただ、私は知っているこんな土壇場で

彼がミスをするはずがないと

 

「!フフッ随分と思い切ったものを

使ってきたわね」

 

私のはるか先の上空を舞っていた

さながいつの間にか、私のすぐ上空に

いた。まるでテレポートでも

したかのようだった。

 

「さなぁぁぁあああああああああ!」

 

モデルにあるまじき険しい顔と大声

を立てて私は力を振り絞る。

地面を切り上げて、自身の体を下

にするようにしてさな受け止める

受け身も気にせず背中の衝撃は

流水の魔法で力任せに遮断し、

地面をすべるようにさなをキャッチする

 

「はぁ…はぁ…さな?大丈夫?」

 

手早く彼女の状態を確認するが

特に異常らしい異常は見つからない。

目を覚ます気配はしないが呼吸も安定

しているし、心配はないだろう。

 

「よかった…」

 

「やちよさん!」

 

いろはがこちらに向かって走ってくる。

フェリシアと鶴野も無事だったようだ。

…むろん無傷ではない、彼女たちも

ボロボロだった。

 

「さなちゃんは大丈夫ですか?」

 

私はさなの頭をなでながら

 

「平気よ、気絶しているけれど呼吸は

安定しているわ」

 

「よ、よかった~…」

 

生きているとわかり、安堵の息を漏らす

足に力が入らずペタンと座り込む。

強敵ではあったが、とりあえず誰も

欠けていない、援軍のおかげで

一時の休息を得ることもできた。

 

「彼は大丈夫かしら?」

 

「えっ?…はい、何とか持ちこたえて

いるみたいですけれど、決定打が

欠けているみたいで、追い詰められてる

感じがします。」

 

体勢を整えた魔女の動きの読みにくい

奇天烈な攻撃に彼も防戦一方のようだ。

まるで何かに振り回されるかのように

左右に空を切る腕、私も戦ってわかった

事なのだけれど、攻撃を読みにくい上に

攻撃力がかなり高い。錯乱させられて

体勢を崩されたところで高火力の攻撃を

お見舞いする。実に戦いにくい相手だ。

 

「いろは、鶴野、彼を撤退させるわ。

援護をお願いしてもいい?」

 

いろはも同じことを考えていたのだろう

彼女は即座にうなずく。

 

「はい!でも、魔女の足は相当

早いですよ。あの人は逃げ切れる

でしょうか?」

 

「やるのよ!彼の力は私達に必要な物

ここで死んでもらっては困るわ」

 

といった後で少し後悔する。

しまった…ちょっと興奮して、いらない

事も言ってしまった。いろはは聡明

だから、いろいろ考えこむ。

いま必要ない情報を与えて動きに

乱れが出たらよくない。

 

「…分かりました。任せてください!」

 

しかし彼女は察してくれたようだ。

両手をぐっと握り、決意を表してくれる

 

「ふふーん!私にも任せておいて!

…やちよはどうするの?」

 

「当然私も援護するわ、でもまだ

本調子が出ないからあなたたちに

頼ることになるわ。」

 

魔女の攻撃で傷んだ体はまだ完全に

治ったわけじゃない。治りきる前に

行動をしたおかげで、さらに頭が

グラグラもする。

とはいえさなを救出することができた

からその意味では行動を起こして

正解だったということかしら。

 

「それじゃあ行くわよ!

もう少し持ちこたえなさいよ…」

 

 

~sideいろは~

 

「カズキ君!一度下がりなさい!」

 

そう叫び、やちよさんは跳躍をして

彼…やちよさんがカズキさんと

呼んんでいたっけ…?

彼を攻撃しようとしていた腕に

槍を振り下ろす。

それを見た彼は一度ぐるっとあたりを

見渡した後、こちらに向けて走ってくる

 

「いろはちゃん!一緒に行くよ」

 

やちよさんも追撃はせず、即座に反転し

後退をする。それを援護するべく鶴野の

炎をまとった扇が魔女に襲い掛かる。

やちよさん達を攻撃するために、

速度を上げて移動していた魔女は

うっとうしいと言わんばかりに、

闇雲に腕を振り回す。

 

「当たって!」

 

攻撃手段を防いだが、移動手段は

まだ残っている。現に今も手を振り回し

ながら足だけはしっかりとやちよさん

達を追いかけている。狙いを定めて…

矢を放つが

 

(それたっ!?)

 

右…左…左…また左…

目を賢明に動かし、動きを先読みして

何とか攻撃を当てようとするが

本当に自分の意志があって動かしている

のか疑いたくなるほどの足さばきに

翻弄されている。

自分の技術であれを正確に打ち抜くには

技術面に不安が残る。

それにもたもたしているとやちよさん

達に追いついてしまう。

 

「ッ!!」

 

そう判断したいろはの行動は早かった

腰を落として反動を落とす体勢をとり

右腕に装着しているクロスボウに

残っているありったけの魔力を込める

これを撃ったら魔力がからっけつに

なっちゃうけれど、なりふり構って

いられなかった。

それに…こちらに向かって走ってくる

やちよさんとカズキさん…あの2人を

見ているとどうにかなるのかな…なんて

なぜかそんなことを思えてしまう。

 

「ストラーダ…フトゥーロ!」

 

ストラーダ・フトゥーロそれは私の

編み出した必殺技。

私が放った1本の矢は前方に展開した

魔方陣に触れると、その数を増やす。

10…20…30…増えた矢は速度を変えず

絶え間なく魔女を襲い続け

足のあらゆる場所を切り裂きざむ。

耐えきれなくなった魔女は滑り込む

ように、地面に倒れこみ

あたり一面には砂煙が立ち込める。

 

「あっぶねぇ…ナイス判断だ。いろは」

 

こちらに走ってきたカズキさんは

息を整えながら顔についた汚れをぬぐう

 

「いろは…私なんかでよかったのかしら

さなはまだ、意識を失っている

のでしょう?」

 

ストラーダ・フトゥーロは発動に

使用しなければならない魔力量が多い

のに、攻撃に使用する魔力量は

少なくていい。つまり発動した後、

魔力が無駄に残ってしまう。

残った魔力を元に戻すのは不可能

つまり何もしなければその魔力は

消えてなくなるということだ。

それがもったいないと思った私は

その残った魔力を回復に回せるように

頑張って調整してみた。

1人限定ではあるけれど、攻撃と回復

を併用したなかなか使い勝手のいい

必殺技になったと思う。

 

「はい…やちよさんで大丈夫だと

思っています。」

 

今回その回復をやちよさんに使用した

意識を失っている2人に使えば

確かに目を覚まし、戦力になるかも

しれないけれど、なんかそれでは

よくないような気がしたのだ。

本当になんでか分からないけれど…

 

「さて…やちよこれからどうする?」

 

「あなたはどうするつもりなの」

 

「質問を質問で返さないでくれよ…

ただそうだな、あれができそうな

相手だと思う。久しぶりだが

出来そうか?」

 

そう聞かれるとやちよさんは笑みを

浮かべて自信満々に

 

「それは誰に言っているのかしら?」

 

「決まりだな。3、7、2、7でいくぞ」

 

すると彼は懐から小さいケースのような

物を取り出し中から光輝く石…(宝石

だろうか?)を取り出して、左小指に

ついている、指輪にはめ込んだ。

 

「いろは、無理のない範囲で援護

を頼もうと思うのだけれど、一旦様子

を見ててもらっていいかしら?」

 

「え…でも大丈夫ですか」

 

魔女はすでに起き上がっている、

足にいくらかのダメージを与えたとは

いえそれだけで魔女の動きが

止まるわけではない、あの目が回る

ような奇抜な動きはいまだに健在なのだ

 

「心配しないで頂戴。うまくやるわよ」

 

本当に今日のやちよさんは

どうしちゃったのだろうか?

いつもより自信満々でなんというか

なにより嬉しそうだった。

よっぽど彼と会ったのが嬉しいのだろう

なんだか知り合いって感じがするし…

無理しないようにと祈りながら

いろははもしものために備えて

体を休ませる。

 

 

~sideやちよ~

 

「あいつの動きを制するには、あれ以上

の動きをする必要があるわよ」

 

槍を構えて走りながら隣を走るカズキ君

に話しかける。彼は今はシースベルトに

ナイフを収めて、走ることに専念

している。

 

「分かっている。というか今現状頑張る

のはやちよの方だぞ。大丈夫なのか?」

 

「やるだけやってみるわ。」

 

ふっと笑って私は彼を見つめる。

少し見つめ合った後、彼はそれでいいと

苦笑を浮かべて、魔女に意識を集中

させる。

近づく私たちを追い払おうと、魔女は

腕を大きく振りかぶる。両腕で攻撃を

行ってきたら少々面倒くさい事になって

いたけれど、片腕だけの攻撃のようだ。

 

「タイミング合わせるわよ!3…2…1…

今ッ!」

 

やちよが降りおろしを槍で受け止めると

その隙間を縫うように魔女に接近する

 

「はあぁぁぁぁぁ!!」

 

ナイフを抜き取り、切りつける。

息を止めて、攻撃の届く足に連続攻撃

を行う。

 

「次!」

 

「おうよ!」

 

カズキは凪祓いを180度

回転しながらしゃがんでよけて、

地面をけり上げる。

それを横目で確認しながら私は

攻撃後の硬直中の魔女に刺突する。

休ませる暇は与えない。

回避を捨てて、刺突を繰り返す。

左足、右足、規則的に攻撃を行う。

 

「右からいくぞ!」

 

「ッ!」

 

後退する前に流水を顔にぶち当てる。

そして…目の部分に位置するであろう

場所には、水圧をあげて殺傷力を

高める。入れ替わりで入ってきた彼は

指輪にはめこんだ宝石を光らせて、

クロスするようにナイフを振り下ろし、

振り上げる。虚空を切ったそれは

離れていた魔女の腕を斬りつけた。

当たるはずのない攻撃に、魔女は困惑

したような様子を見せる。

 

バックステップで距離をとりながら、

カズキはさらに火球を複数造りだし、

顔をめがけて放つ。

その結果を見ずに、カズキは距離を

さらに離して、代わりにやちよが懐に

潜り込む。右、左…と、

魔女の攻撃に耐えながら刺突を

繰り返していく。

 

「甘いわね…」

 

妖艶の笑みを浮かべてやちよは規則的な

攻撃を急に不規則に変える。左、左、

上段、右…たまらずに魔女は後退を

始めるが、それを許す人物はここに

いない

 

「…多少の知恵はあるようだが、

付け焼刃の知恵でどうこうできるほど、

俺もやちよも甘いつもりはないぞ」

 

いつの間にか…まあ、私は見ていた

けれど。背後に回った彼は

細い糸のような雷撃を何度も放ち、

魔女の後退を阻害する。

 

「やはり、知性を有しているが、

単純なようだ。波状攻撃でいっきに

決めるぞ!」

 

雷撃をやめて、カズキはシースベルトから

ナイフを取り出し、足を背後から攻撃を

おこなう。

 

「ええ!上半身は私に任せて頂戴」

 

動きが止まった魔女に向かって跳躍

しながら、私は肩部分に槍を突き刺す

当然悶えて落とそうとするが、

振り落とされないように必死に

しがみつく。振り落とそうとする魔女の

動きを読んで私は槍を離して肩に乗る

上下からの攻撃に翻弄されて魔女の行動

はさらに単純化していく。

どちらを攻撃するかを迷い、どちらの

攻撃も中途半端になっている。

 

「これで!!」

 

肩に突き刺した槍を、力任せに

振り上げる。真下に向かって

突き刺さっていた槍を真上に

振り上げれば、当然魔女の腕は

きれいな断面を残して

落下する。顔に槍を突き刺して、

ぶら下がり数回前後に体を動かすと

突き刺した槍を離しながら一回転、

もう片方の肩に着地する。

 

「さて…きゃっ!?」

 

突然に衝撃に受け身をとることが

出来ず私は地面へと放り出させる

しかし衝突する前に私は走ってきた

誰かに抱き留められる。

 

「ぼさっとするな、奴が周りを意識

しだす前に蹴りをつけるぞ」

 

しかめっ面を浮かべてカズキ君は私を

お姫様抱っこをしながら走る。

しかめっ面なのは、高いことろから

落ちた私を直接受け止めたから

だろうか、どうやら私は顔に

吹っ飛ばされたようだ。顔を傾ける

だけで、肩に乗った私に攻撃が

出来たわけだ。

 

「ええ、もう波状攻撃はいいの?」

 

「ああ、やつが混乱している間に

飽和攻撃を仕掛ける。マギアの準備

をしておいてくれよ」

 

マギア…いろはが使っていた、

ストラーダ・フトゥーロみたいな

必殺技のようなものだ。

消費魔力とそれに見合った威力

というだけで、普通の魔法と変わり

ないのだけれど、マギアと名付けて

他の魔法と区別している。

 

「じゃあ、……いくわよ!」

 

そう叫びながら、私はカズキの

から飛び降りて魔女めがけて

突撃する。たどり着く前までに

私はありったけの魔力を込めて

召喚魔法を行う。虚空から無数に

現れるそれは私の背丈を超えるほど

の漆黒のハルバードだった。

このハルバードを串刺しにするという

一般的な魔法少女をイメージするような

可愛らしい技ではなく、ひたすらに威力

を求めた、なんとも私らしい技である。

 

「-----!!!!」

 

魔女は私が込めた膨大の魔力に反応して

腕を振りかぶり、振り下ろす。

一般人はもちろん魔法少女ですら、

一撃でその命を刈り取れるクラスのその

振り下ろし攻撃は私のもとに届く前に

ピタリと止まる。走り続けていた私は

空中で静止した腕を横切り、

貯めていた魔力を爆発させる

 

「アブソリュート・レイン!」

 

懐に潜り込んで私はマギアを発動する

魔女に心臓があるわけではないので

懐に潜り込んだところでどこを攻撃する

かなんて考えていない。魔女の奇妙な

顔を見上げながら私はハルバードを

撃ち放つ。

 

 

 

~sideいろは~

 

 

 

猛威を振るっていた魔女も、さすがに

この攻撃を耐えることはできなかった

みたい。シャランと大きな金属音と

ともに、パペット型の魔女は虚空に

消える。パペットの攻撃を防いでくれた

のは巨大な鎖だ。やちよさんが攻めると

同時に、カズキさんが仕掛けたものだ。

カズキさんはやちよさんが懐に潜った

後はまるで結果を分かっているかの

ように、結果を見ずこちらに向かって

歩いてくる。

 

「怪我の調子はどうだ?」

 

「えっと…安堵して疲れて寝ているだけ

です。心配はないと思います。」

 

魔女の消滅を確認した後、鶴野と

フェリシアは強敵が消えたことによる

安堵で意識を手放してしまった。

まあ、戦闘はすでに終了しているし、

他に魔女の影はないしということで

私も、フェリシアちゃんに膝を

膝を貸している。

 

「そうか、それは何よりだ。一応

全員の穢れの量を確認したほうが

いいかもしれないな。」

 

「はい…あ、やちよさん!大丈夫

ですか?」

 

さすがに疲労を隠せていないが、

やちよさんも大した傷もなくて

ほっとした。

 

「ええ、大丈夫よありがとう…」

 

私に微笑みかけてくれたやちよさんは

隣に立っているカズキさんを見つめる。

腕を組んで探るように互いを見つめあう

やちよさんとカズキさん。

いや、若干やちよさんのほうが腰が

引けているような気がする。

 

「………………………まあ、及第点

といったところだな。」

 

「ふぅ…相変わらず辛口なのね。

カズキ君」

 

それを聞くとやちよさんは今ままでに

見たこともないような顔…なんていえば

いいのだろうか?甘えたそうな顔?

とでもいえばいいのだろうか?

まあ…そんな顔を浮かべてカズキさんに

近づき、それを見たカズキさんも腕組を

やめて、やちよさんに近づく。

そして、二人は近づいたところで

右手を挙げて…

 

パンッ!

 

と乾いた音を響かせる。ハイタッチだ。




ちょっと書き込み過ぎて訳の分からないことになっている気がする…
書き方もそろそろ見直さないといけませんね…
意見要望お待ちしております!

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