「マギアレコード」 Pueri et puellae magicis   作:ゆっくりff

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とりあえずこの話で一区切りとなります。
それではどうぞ~


カズキ3

~みかつき荘リビング~

 

「なあ、あいつ何がしたいんだろうな?」

 

彼が葉巻を吸っている間に私たちは準備

を終えてリビングに集まっている。

せっかく飲み物を入れなおしたのに、

カズキさんは手を付けない。まあ、ここに

いないし仕方がない。

フェリシアちゃんは飲み物を一息に

飲み込んで、フェリシアは疑問を

口にし続ける。

 

フェリシアと鶴野は先ほどまで情報を

頭に納めきれずに寝てたりしてたけれど、

やちよさんとさなちゃん達と詳しく説明

してようやく理解してくれた。

 

「だってさ、あいつにとって俺達を

助けることになんもメリットないだろう?

自分の命文字通りすり減らして、

グリーフシード集めて、それを実質無償

で俺達に配って…なにがしたいんだろ」

 

確かによく考えなくともそう思うのは

自然なはずだ。魔女を倒すという行為は

魔法少女ですらも倒すのに困難な時も

ある。それをいくら捕食魔女があれど、

能力面ですべてが劣っている一般人が

戦うのは並大抵のことではできないはず

彼はそれを成し遂げた。相応の人生を

戦いにつぎ込んだはず、プロのスポーツ

選手なんて目じゃない。きっと文字通り

命をすり減らすような訓練をしたはずだ

 

「やちよさん…そこらへん何か聞いてたり

しますか?」

 

「ええ、彼は私たちを助けるために

行動を続けているのよ。」

 

単純明快。予想していた答えだ。けれど

知りたいのはその先。

 

「それは見りゃ分かるよ!理由だよ!

り、ゆ、う!」

 

「そうね……いくつか推測できる事こそ

あるけれど詳しいことは正直私にも」

 

「7年も一緒にいるのに、師匠にも

分からないの?」

 

「ええ、彼から彼のことを聞き出すのは

至難の業よ。私も7年経っても過去の事

はほとんど教えてくれないもの」

 

「別に話すほどの事はない。」

 

話しているとカズキさんが戻ってきた

小さくなった葉巻を捨てて、リビングに

戻ってくる。

 

「教えてくれないのか?」

 

「知る必要もないからな。」

 

「なんだよ!少しくらい教えてくれても

いいじゃないかよ!」

 

「逆に聞くがお前は自分の過去を知らない

誰かに話せと言われてはいそうですかと

素直に話すことは可能か?」

 

そう聞くとフェリシアは顔を伏せて

黙り込む。彼女の両親は魔女によって

殺害された。しかも幼い時に。

…本当は別の理由で死んでしまったのだが

キュウベイに願った願いにより、

そのことを忘れてしまい、代わりに

そういった記憶が植え付けられた。

 

まあ、どちらの記憶だったにせよ、安易に

人に聞かせられるような話ではない。

フェリシアにも話せない過去がある

 

 

「聞かれたくない事の1つや2つは

誰にだって存在する。まして、俺たちは

そういった記憶をよく持っている。

そういった集まりに自然となってしまう。

だから相手が話したくないとわかったら

聞かないほうがいい。相手がしゃべりたい

と感じたら勝手に話す。どうしても

聞きたいというのなら、説得してみろ」

 

「でも話してみなきゃ何もわかんないだろ

よく、そういう秘密は信頼してから…って

いうけど、信頼を得るためにも、

互いに少しははなしたほうがいいだろ?」

 

 

フェリシアちゃんはカズキさんを

にらみつける。フェリシアちゃんは

この中で誰よりも、純粋で素直だ。

疑問が生まれれば知りたがるし、

自分が違うと思えば、遠慮なくその意見を

言う、分からないことは素直にわからない

という。そんな彼女だからこそ、

初対面でもこうやってぐいぐいと

懐に入り込もうと行動できるのだろう。

 

「まあ、そう思うのは勝手だ。

俺はそうは思わない、俺は…」

 

「カズキ君、そこまでにしておいて

くれるかしら?過去を詮索されるのは

相変わらず嫌いみたいね」

 

終わらないと見たやちよさんはカズキさん

に静止を入れる。後から聞いた話だけれど

昔からこんな感じだったみたい。

過去を必要以上に語ろうとせず、

突っ込んでくると突っ放す。

そのくせ、必要とあればこちらの隠したい

事柄に対して容赦なく土足で踏みにじる。

 

「…まあな、すまない少し言い過ぎた。

お前の考えを否定しているわけじゃない。

誤解しないでくれ」

 

「え、ああ…こっちもその、ごめん…」

 

フェリシアを申し訳なさそうに頭を下げる

 

「その代わり、これは答えてくれよ。

そのカズキはなんのためにこんな事

してるんだ?魔女を相手にする危険も、

その…魔法少女を相手にするのも十分

危険だって…俺でも理解できるぞ」

 

先ほどの申し訳なさそうな顔はすでにない

彼女とて、だてに魔法少女をやってきた

わけではない。この存在(魔法少女や魔女)がどれだけ危険で

危ういかを13歳という若さで完璧に

理解してしまっているのだ。

なんとも嘆かわしい事ではあるが、

必要な事なのだろう。

 

「そうだな…さっきも言ったが

立派な目的があってやってるわけじゃない

魔法少女を救いたい。それだけだ」

 

「十分立派だとおもいます。フェリシア

ちゃんも言ってました。それがどれだけ

簡単じゃないか…ただ救いたいって

それで十分じゃないですか。カズキさんは

それをやってのけた。いいひとですよ!」

 

いろはの熱弁に仲間たちも頷き肯定する

しかし、彼は顔を伏せて、意味ありげな

表情をしていた。

 

「いや、俺のやっていることはただの

延命治療に過ぎない。本当に魔法少女を

救いたいのならば、道がなくとも、

その道を探し続けなければならない。

だが…俺はそれをあきらめた、いい人

なわけがない。」

 

「カズキさん…」

 

「そういう意味ではマギウスとやらの

集団のほうがよっぽどいい人なのだろう」

 

「カズキ君!」

「カズキさん!」

 

そのセリフに即座に私たちが否定を現す

 

「そうだろう?彼女たちは棘の道を歩いて

いる。多くの否定意見を聞きながら、

自分の道を進んでいる。世界の理とまで

言われた魔法少女の運命にあらがい

続けている。あきらめた俺なんかより、

魔法少女にとってよっぽどいい人だ」

 

「それでも誰かを犠牲にしてまで私は

助かろうなんて思いません!

そんなのは間違っています!」

 

「どうしてだ?一般人と魔法少女は

相容れる事は確実に不可能だ。

それにタダで何かをなすのは不可能だ

何かしらの対価を支払わなければ

どこかで必ず歯車が狂う。」

 

しかし、いろはは負けじと反論を続ける。

 

「あなたはそう思うかもしれません…

でも私はそうは思いません。全世界の

皆と仲良く…なんてそんなことは

言いません。でも人を殺してまで何かを

なすのは間違っていると思います。

対価は必要かもしれませんけれど、

それでも、超えてはいけない一線って

あると思うんです…」

 

「同感だ」

 

え?と彼女はカズキを見つめる。

今までの会話からしてカズキさんは

マギウスに賛同しているんじゃ…?

 

 

「何を以外そうにしている?俺とて無用な

殺生は好まん。それに俺も奴らのやり方は

気に入らん。聞けば洗脳、詐欺、乗っ取り

ろくでもない奴らだ。まあ…俺も人のこと

を言えた義理ではないがな…

だが、理はかなっているし魔法少女のため

になる。これはゆるぎない事実だ。

それに、奴らは自分のやり方を貫き通して

いる。自分を最後まで貫くということは、

どれだけ大変かお前たちも理解している

だろう?」

 

「それは…」

 

確かにその通りだ。長い目で見れば

彼女たちの行動は私たちの運命を

大きく変えることになるかもしれない。

そして、私たちもぶつかってきた。

さまざまな意見の食い違いを目の当たりに

して、自分を貫き通して、自分の意見で

物事を進める難しさをよく理解している

 

「…もし、納得できないのなら、妨害

し続けろ。マギウスのような非常識の

連中を止めるには叫び続けるしかない

お前たちは間違っている…とな

まあ、それでも向こうはきっと

止まらない。だから戦う必要も出てくる

もっとも…お前たちにもその覚悟がある

みたいだな…」

 

と彼は目を細めて優しいまなざしを向けて

くれる。

 

さて、とカズキさんは腕時計を見る。

つられて私たちも見てみるとすでに時刻は

日付が変わるところまで進んでいた。

帰ってくる時間が遅かったとはいえ、

少し魔法の説明に時間をとっちゃった

みたい…

 

「そうね…時間的にもそろそろいい時間、

今日はここでお開きにしましょう。」

 

「まあ、正直話す事もないしこんなもの

でいいだろう。俺はしばらくこの町にいる

いろいろ調べたいこともあるしな。

やちよ携帯変えただろ?番号を教えてくれ

繋がらなかったんだ。」

 

「あら、ごめんなさいねそういえば

言っていなかったわね」

 

そういってやちよさんはカズキさんに

携帯を渡す。他人に携帯を渡すなんて…

改めてカズキさんへの信頼度が高いことが

うかがえる。

 

「ところであなた寝泊りする場所は

決まっているの?

 

「いや、決まってない。だがお前達の

チームとの連携は俺にとっても有益だ。

この近くのホテルにでもと思っているが」

 

「そう…それなら、ここで寝泊りはどう?

それなら楽でしょう?」

 

「「「ええ!?」」」

 

と4人で驚く。さすがにそれは恥ずかしい

いくらやちよさんの信頼できる人とは言え

正直私達からしたら、今日初めて

知り合ったばかり、助けてはもらえた

けれど、それでもやっぱり不信感が勝る

 

「…俺自身は構わん。むしろ願ったり

かなったりだ。いろいろ楽ができるからな

ただ…」

 

とカズキさんはこっちをみて、肩を

竦める。

 

「今はお前だけの家じゃないんだろ?

ここの住民全員から許可が下りないなら

俺は素直にホテルに行くよ」

 

「どうかしら?…無理を言ってるのは

分かっているつもりだけれど、彼を

信頼してくれないかしら?」

 

そういってやちよさんは深々と頭を下げる

この時のやちよさんは頭にカズキさんとの

同居のメリットをすさまじい速度で

数多く考えていたみたいだけれど、

それは杞憂に終わる。

 

「私はここに住んでるわけじゃないし…

大丈夫だよ~それにカズキ君強そうだし

私もいい訓練になるかな~」

 

「俺も別に構わねーよ!楽しそうだしな」

 

「わ、私もちょっと不安ですけど、

大丈夫です。やちよさんの事信じてます

から…」

 

「そう…ありがとう皆」

 

と彼女たちは私のほうを向く。

まだ最後、私がいいと言っていないからだ

まあ、答えは決まっている。

 

「大丈夫ですよ。やちよさん。私も

カズキさんと同居しても。」

 

それを聞いたやちよさんは深い安堵の

ため息をつく。正直な所私は断る

つもりでいた。元を糺せば彼の情報は

ウワサから来たものだ。もうちょっと

彼について調べ尽くしたかったけれど…

私は、「それ」を見たからやめることに

したのだ。

 

「そうと決まれば、さっそく部屋の準備を

しましょう。いろは、手伝ってくれる?」

 

やちよさんはそう言って立ち上がる。

ここのみかづき荘はやちよさんの

おばあさんが経営していた宿で、

今は私たち以外には住んでいない。

けれども元宿というだけあって部屋の数は

それなりに多い。

 

「はい、任せてください」

 

「俺は置いてきた荷物を持ってくる。

少し用事もあるから、部屋がどこか記して

先に寝ててくれ。」

 

「分かったわカズキ君おやすみ」

 

カズキはそう言って手荷物をもって

部屋を出ていった。

眠そうにしている2人を部屋に連れて、

鶴野には両親に電話をして、泊まって

もらうことにした。

 

 

 

~空き部屋~

 

 

 

ベッドを軽く清掃して、机とかほかの

個所は…まあ、もう夜は遅いし後日で

いいだろう。しまっていた布団を

取り出して整える。

 

「ふぅ…やちよさんこんなもので大丈夫

ですか?」

 

「ええ大丈夫だと思うわ。掃除は後日で

いいでしょう」

 

一息ついたところでやちよさんと一緒に

大きなあくびをする。

 

「ふぁぁ‥‥さすがに疲れました。」

 

「そうね、カズキ君も帰ってこない

みたいだし…私たちも寝ましょうか」

 

お休みと言ってから私たちは自室に戻る

ベッドを目をつむって眠ろうしても、

今日のことが頭をよぎり、なかなか

寝付けない。

 

「カズキさん…か。」

 

変わらな日常に、突如として現れた男性

この出会いが私たちに何を与えるのか?

何を得られるのか?

まだそれはわからない。もしかしたら

失い物もあるのかもしれない。けれど…

この出会いは私たちにとっていいもので

あってほしいとそう思いたい。

そして…

 

「きっとあの人にもいろいろあるんだ…」

 

いつか教えてくれればいいな




いかがだったでしょうか?
これで一区切りとなります。
ここから先は短編と長編を
混ぜながらネタを考え付いたら
その都度投下していく感じ
にします。
評価、感想お待ちしています
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