ISfA~インフィニット・ストラトスフォーアンサー   作:穴掘り屋の妖精

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第十七話 守るべきもの

シャルルが転校してきて5日が経ち、今は土曜日の放課後、俺は生徒会室に来ていた。

 

「楯無先輩、デュノアの件はどうなっています?」

 

シャルルが転校してきた初日に依頼していたデュノア社の調査の結果がそろそろ出るころだろうと思い楯無に状況を聞くことにした。

 

「デュノア社の内情を完全に把握はまだ出来てないけど、シャルルくんの事については分かったわ」

 

さすが暗部、仕事が早い

 

「それで?」

 

「本名シャルロット・デュノア、社長の正妻の娘ではなく愛人との間に生まれた娘だそうよ。母親は1年前に病没、社長が引き取ることになってその時IS適正があることが判明。パイロットとして養成され、白式と一夏君のデータを盗む為に男の仕草を仕込まれIS学園に男子として入学させられた。」

 

「デュノア社は第3世代ISの開発で他社に後れを取っていたな…開発の為のデータを手に入れるのと、2人目の男性IS操縦者を保有していると見せることで世間の注目を集めるのが狙いか。そのために捨てた女との間に生まれた娘を利用するか…クズがっ!」

 

捨てた娘を利用価値があるからと拾い、そして結局は切り捨てようなど親のすること…いや、人のすることではない

 

「貴方が怒りを露わにするなんて以外ね。でも、私も腸が煮えくりかえりそうよ…こんなこと」

 

楯無も怒りを覚えているようだ。それも当然ではあるが

 

「あんなクズに利用されて手を汚させはしません。彼女を保護します。もし、デュノア社が手出ししてくるようなら俺がデュノア社をぶっ潰す」

 

「ぶっ潰すって、どうやって潰すつもりなの?」

 

「デュノア社に関わる者を一人残らず殺す…それだけだ」

 

子どもに汚い真似をさせてまで利益をさせるような豚共は残らず死んだ方が世の為だ

 

「それじゃ貴方が犯罪者になってしまうじゃない。わたしに任せなさい…シャルロットちゃんに手を出せなくするくらい造作もないわ」

 

「そうですか…ならお願いします。」

 

本当は殺してやりたいが。今、虐殺者に戻ってしまっては彼らを護ることが出来なくなってしまう。ここは任せておこう。

 

「ねぇ、レイくん」

 

「はい」

 

「どうして貴方はそこまで怒れるの?」

 

「女の子の未来を食い物にするような奴らを許せる男がいますか?まぁ、いるでしょうがね、こんな腑抜けばかりの世の中じゃ… でも、俺は違う。それに、アレの技術を狙う輩は殺すと前に言ったでしょう。」

 

正直それだけではないが、女の子を平然と傷つけられる連中に怒りを覚えるのは男として当然だ。

 

「そう…それじゃこの話はおしまい。それじゃ、レイくんは着替えてお茶を淹れてちょうだい♪」

 

「………」

 

生徒会のメイドになって早五日、もう慣れた

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば今日もレイは生徒会だったけ…」

 

一夏達との訓練を終えたシャルルは部屋に戻っていた

 

(先にシャワー入って良かったんだよね…それじゃ)

 

シャルルはクローゼットから着替えを取り出してシャワールームに向かった。

 

 

 

 

 

「なんということだ…」

 

生徒会室でレイは途方に暮れていた。何故かと言うと、コーヒーを淹れて運ぶ際にコードに躓き転んでしまった拍子に自分の制服にコーヒーをぶちまけてしまったのである。もちろん代えの制服など自室にしか無い。

 

「本音…すまないが俺の部屋にいって制服をとってきてくれないか?」

 

「…zzz」

 

「って寝てるし!? まぁいいや、じゃ楯無先輩か虚先輩お願いします」

 

「メイドがご主人様を使おうなんていい度胸じゃない。レイちゃん♪」

 

「そうですよ。お嬢様に着替えを取りにいかせるなんてメイド失格ですよ」

 

俺はあくまでメイドの格好をさせられているだけでアンタらのメイドじゃないんだが。そして二人はかなりニヤニヤとしている。

 

(ちくしょう…遊んでやがる。ええい、この際プライドは抜きだ!)

 

「でも、このままじゃ部屋まで戻れませんし…そこはどうかお願いできませんか?」

 

上目づかい+か細い声でお願いする。

 

「「ぶふぉぉぉあああっ!!」」

 

なんか思いっきり鼻血を噴出して後ろに吹っ飛んだ。大丈夫なんだろうかあの出血量は…

 

「ぬぬぬ…やるわねレイちゃん」

 

「危なく承諾してしまうところでしたよ。レイちゃん、恐ろしい子」

 

(なん…だと… これでも落ちないとは!?)

 

「はぁい、本音ちゃん起きて~ 部屋閉めちゃうから~」

 

「むにゅ…はぁい」

 

本音は起き上がるとそそくさと部屋を出て行ってしまう。

 

「ちょ、本音!ま…」

 

「はいはい、レイちゃんも早く出て出て」

 

「な!?おい!待て…」

 

楯無と虚に掴まれそのまま生徒会室から引き摺りだされる

 

そして、無情にも部屋のカギが掛けられ―

 

「それじゃ、がんばってねレイちゃん♪」

 

二人もダッシュで二年寮に戻ってしまう。

 

一人生徒会室の前にメイド服のまま取り残されてしまった。

 

「仕方ない…ISを展開すれば―」

 

バシン!

 

「許可なくISを使用することは校則違反だぞ。アラスカ条約にも違反している。」

 

いつのまに織斑先生が背後にいた。痛ぇ…

 

「それにしても…ふふ、なかなか面白い格好をしているな」

 

「…な! こ、これは…」

 

見られてしまった…いきなり人に姿を目撃されてしまった。しかも織斑先生に

 

「女装趣味とは…うちの女子共が知ればどうなることやら」

 

ニヤリと子供が悪だくみを思いついた時のような笑みを浮かべる織斑先生

 

「む、無理やり着せられたんです!楯無先輩に!決して俺の趣味とかではなく―」

 

「まぁ、そういうことにしておこう。くれぐれも見つからんようにな、健闘を祈る」

 

そういって去ってしまった。

 

(弱みを握られるとは…なんという失態だ。だが一刻も早く部屋にもどらねば)

 

幸い夕食時で皆食堂に居る頃なので生徒が少ない、もどるなら今のうちだ

 

 

傭兵(メイド)の潜入作戦(スニーキング・ミッション)が始まる

 

 

 

数分後―

 

(よし…右方クリア。今のうちに)

 

なんとか誰にも見つからず寮まで戻ってくることが出来た。

 

(あと角二つ…このままいけるか)

 

角から顔を覗かせて通路を確認すると―

 

一夏と箒、セシリアがこちらに向かって歩いてきた

 

(マジかよ…まだ食堂に行ってなかったのか…)

 

角に隠れてやり過ごそうとするが―

 

「でねー、それがさぁ―」

 

(! 不味い…もう戻ってくる生徒がいたか)

 

早く夕食を終えて部屋に戻ってくる生徒の声が背後からした

 

進退極まったレイは

 

(仕方がない…気付かれないことを祈るか)

 

要は自分であるとバレなければいいのである。コスプレをした女生徒と勘違いしてもらえば問題ない…男ととして女と間違われるのはどうかとも思うが

 

(ええい!ままよ!)

 

意を決して角からでていく

 

「あ、織斑君達今からご飯?」

 

不振がられな為に得意の変声術で女の子の声を真似て話しかける。

 

「ん?ああ、訓練してたら遅くなっちゃってさ。てか、コスプレ?」

 

「う、うん。かわいいでしょ? じゃあね!」

 

「お、おう。じゃあな」

 

なんとかやり過ごせた。

 

(ふぅ…なんとかなるもんだ。それじゃ一気に部屋まで戻るか)

 

 

一方、箒とセシリアは―

 

(…今の女子、どことなくレイに似ていたような…)

 

(いまのメイド服の女生徒…まさかレイさん? って、そんなことあるわけ無いですわよね)

 

うすうす感づかれていた

 

 

 

 

 

「ふぅ…やっと着いた。」

 

わずか10分程度しか経っていないのに、やたらと長く感じていた。

 

ガチャリ

 

扉を開けると―

 

「あ…レ、レイ!? お、おかえり」

 

シャルル…いやシャルロットが丁度着替えを終えたところだった

 

そしてかなり動揺している。

 

(み、見られてないよね? バレてないよね?)

 

シャルロットは、丁度シャツを着た瞬間だったので下に来ている特別製のコルセットを見られていないか心配になってあわてていた。レイの格好にも気付かないほどに

 

「何をあわてているんだ?下にコルセットを付けているのがバレたかと心配しているのか?」

 

レイはしっかりと見ていた。

 

「え、え?なんのこと?やだなぁ…僕、男の子だよ?コルセットなんて―」

 

ダッ―

 

ドアを閉め、シャルロットとの距離を一気に詰めベッドに押し倒す。そしてシャツの前を無理やり開ける

 

「きゃっ!」

 

「誤魔化しても無駄だ…シャルロット・デュノア。君が女子であることには最初から気付いている」

 

シャツの前を開かれ、コルセットを見られてしまったシャルロットは観念して抵抗を辞める。

 

「予定が早まったが、まぁいい…シャルロット・デュノア、君はデュノア社からの命令で白式及び織斑一夏のデータ、そして追加で俺とホワイト・グリントのデータを盗もうとしていたな?」

 

「…うん。社長の…父からの命令で僕はデータを盗みに来たんだよ」

 

観念したシャルロットは正直に答える

 

「君のことはあらかた調べさせてもらった。デュノア社の企みも全て」

 

「そう…なんだ。で、僕をどうするの?」

 

『なにもかもバレてしまった…もう、終わりか』そんな顔をしていた

 

「君が女子であることが発覚した場合どうなる?」

 

「本国に呼び戻されるだろうね…デュノア社は潰れるか、他の企業の傘下に加わるか、どの道今までのようにはいかないだろうね。僕にはもう関係のないことだけど。」

 

「いいのか?それで」

 

「え…?」

 

「それでいいのかって聞いているんだ。親がなんだっていうんだ!?親だからといって子供の自由を奪っていいわけがない!」

 

「レ、レイ…?」

 

シャルロットが戸惑いと怯えの表情をしている。だが、―糞っ、ムカつく。彼女にあんな暗い顔をさせる全てに腹が立つ

 

「親が居なけりゃ子は生まれない。だがな、親が子に何をしてもいいなんて、そんな馬鹿なことがあってたまるか!子どもは親の所有物じゃないんだぞ!生き方を選ぶ権利は誰にでも等しく与えられているものだ、それを奪う権利など誰ももっちゃいない!」

 

戦う為に生み出された俺にはそれ以外の道はなかった。特にあの世界では―

 

しかし、この世界は違う。誰もが道を選ぶことができる。あの世界のように閉ざされていないのだ。自由な世界で自由を奪う事を許してはならない

 

「ど…どうしたのレイ、変だよ?」

 

「…悪い、つい熱くなってしまった」

 

「いいけど…本当にどうしたの?」

 

「俺は…自然のそのままに生まれてきた人間じゃない…ある組織によってつくられた戦うためだけの人形、それが俺だ。故に親もいない」

 

「え…」

 

驚愕の事実を打ち明けられたシャルロットは驚きを顔に浮かべる

 

「昔話をしよう。とある場所にとある組織の研究施設があった…そこでは優秀な兵士を生み出すために日々実験が繰り返されていた。人工的に遺伝子操作された受精卵を作り出し、それを鉄の子宮で育てる―俺はそうやって生まれてきた。他にも何人もそうやって生まれてきた奴がいたよ。物心が着いた時から戦い方を仕込まれ、そして薬物投与などにより肉体を改造された。幼い頃からそうやって育てられてきた俺はそんな日常になんの疑問もいだかなかった…ある人と出会うまでは。その人は俺たちとは違って人工的に作り出された訳ではないが、同じ施設の出身で高い適正を持っていた」

 

「適正ってIS適正のこと?」

 

「いや、AMSという神経接続による機械の操縦システムだ。俺のホワイト・グリントは電位差による追従機動ではなくこのAMSによる神経接続で動いている。AMSは多大な精神負荷を伴うシステムだ。適正の無いものが使用すれば精神汚染によりすぐ廃人になる。その施設は高いAMS適正を持つ人間を作り出すことを目的としたものだった。その人は作られた人間ではないが生まれつき高いAMS適正をもっていた。その人は俺たちに外の世界の事を教えてくれた。そして俺は自分たちが普通ではないと知った。その瞬間からなんでもなかった日常が地獄に変わった―そして俺は知ってはいけないことを知った。訓練や薬物投与に耐えられなくなり脱落していったもの達の末路を…彼らは殺処分されていた。女の実験体は輪姦され壊れたら同じように処分された。その光景を見た俺は、いつか自分もああやって処分されてしまうのではないかと思い怖くなった。そして俺はその施設を脱走した…」

 

「そんな…酷い」

 

「機関の追手を振り切った俺は当てもなく歩き続け、持ち出した食糧も水も尽き…衰弱した俺は意識を失った。次に目を覚ました時、俺はベッドに寝ていた。死んだと思っていたが寝心地の悪い固いベッドが俺がまだ生きていることを告げた。俺は行き倒れていたところをセレン・ヘイズという女性に拾われた。セレンは俺に寝床と食べ物を与えてくれた。そして、俺に生き方を教えてくれた。俺にとって彼女は母のような存在だった。彼女が聞いたら怒るだろうが、父のような存在でもあった。まぁ、歳の差を考えると親子と呼ぶには不自然だったが…丁度、一夏と織斑先生みたいな感じだな。親子というより少し歳の離れた姉弟みたいなものだ。それから少し経ち俺に外の世界を教えてくれたあの人が死んだことを知った。あの人は機関に利用され、彼の友の居る地を襲撃させられた。彼は友との激戦の末に敗北し…死んだ。俺は機関の奴らを憎悪した…あんなにも優しく、高潔であったあの人を利用して死なせた奴らを許せなかった。彼もまた不条理に道を閉ざされた者の一人だった。だが、俺は道を開くことが出来た。だから道を閉ざされた人間を放っては置けない。君のことを…」

 

そう、放っては置けない。道が閉ざされきってしまう前に救い出したい

 

「………」

 

「どうせ、自分には選ぶ権利が無いとか思ってんだろ?」

 

「…うん」

 

「なら、ここにいろ」

 

「え?」

 

「特記事項第22、本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意が無い場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする。―つまりは在学中にデュノア社が君に手出しすることは出来ない」

 

「まぁ、それを決めるのは君自身だがどうする?」

 

「…うん、そうするよ。けど…卒業しちゃったら」

 

「卒業しても俺が守り続けてやるよ」

 

そう、俺が守ってやる。

 

「え…?」

 

頬を赤らめるシャルロット

 

「どうした?」

 

「その…いいの?僕なんかを…」

 

「なんかってのは辞めろ。女の子を守ろうとするのは男として当たり前のことだ」

 

「う、うん…ありがとう」

 

これでいい。彼女を縛る枷はもうない

 

「それで…」

 

「ん?どうした」

 

「どいてくれないかな…?」

 

「は? …って、ああ!」

 

今まで押し倒したままの姿勢だったことに気付いて急いで飛び退く

 

「す…すまない」

 

「そ…そういえばその服は…?」

 

「ん?………っ! こ、これはだな…」

 

まずい…メイド服を着たままだったことを忘れていた

 

「もしかして…レイって―」

 

「ち、違うっ!これは楯無に無理やり着せられてだな―云々と長々と弁明をしてやっと誤解が解けた。

 

女装趣味があるだなどと誤解をされたままではたまったものではない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




語られたレイの過去―そしてメイド服^^

あの人とは分かるとおもいますがジョシュア・オブライエンのことです。レイがホワイト・グリントを回収した理由もジョシュアにあります
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