アラサーニートエリちとキャリアウーマン亜里沙   作:桜川凛

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鹿角理亞ルート 21

 ハニワプロのアイドルが集う住居――名前はエトワール。

 病院から退院する日だと言うのに迎えに来たのが理亞ちゃんだけという、

 世知辛さを微妙に感じてしまう対応ではある。

 嬉々とした表情を浮かべながら、みんなでドッキリでもするの?

 なんて尋ねてみたら、

 ものすごく困った表情を浮かべながら、

 あ、はい、そうです……

 と、まったくそうではなさそうな反応をされてしまい、

 クラッカーでも鳴らされたらハラショーって驚くことには決めたけど、

 そのシチュエーションがイマイチ想像できないので、

 実行できるかどうかは不確定。

 

「優木せつ菜さんをどう思うかですか?」

 

 本日の夜くらいに

 理亞ちゃんと雪菜クンを集めて、

 アイドルプロジェクトを宣言したいと思っている。

 協力を得られることを前提で計画は立ててしまっているし、

 嫌ですと一言で切られる予想もしているんだけども、

 仮にダメだとしても限られた時間の中で説得する事に集中はしたい。

 ただ、ここであいつの顔なんか見たくもない!(過去に自分が言われた)

 と宣言をされてしまうと困ってしまうので、

 いちおう現在の好感度は確かめておく。

 

「……能力は高いですね」

 

 相手をどう思うかよりも先に、

 客観的に相手がどのような能力を持っているかを言うあたり、

 好感度は低空飛行していると察せられた。

 無難にごまかすこともできたはずだろうけど、

 私がわざわざ問いかけるくらいだから正直に言ってくれたんだと思う。

 ただ、彼女が語ることには

 久方ぶりに再会を果たした(過去に英玲奈を通じての顔見知りだった)

 朱音ちゃんの好感度は恐ろしく低いらしく、

 朝日ちゃんやよっちゃんも私やツバサからの好感度が高めの男性を

 どう扱っていいかわからないみたい。

 エトワールの住人として扱うことには難儀というか、

 せめて理亞ちゃんとレッスンやトレーニングを受けられる立場にするには、

 課題が山積しているようにも思える。

 

「質問を頂いたので、私からもいいですか?」

「遠慮なくどうぞ」

「以前仕事場でルビィたちに会いました」

 

 不愉快というわけではないけれど、

 対応に困っているふうな、湧き上がる情動に戸惑っているみたいだった。

 なんでも、以前警戒にあたった楠原雅さんと一緒にいて、

 しかも恐ろしく仲が良さそうだったらしい。

 まるで過去の自分を見ているかのよう――と寂しげな理亞ちゃんも、

 かいがいしくルビィちゃんのフォローをしたり、

 しょげれば前に出てくる彼女を見て、

 いっそう警戒感を強めたみたいだけども。

 

「ルビィに対する悪い感情は見て取れませんでした」

「……理亞さんに対する感情は?」

「絶望的なまでに嫌われているようです」

 

 なんとなく嫌われることがあるというのは、

 私も、理亞ちゃんも――そりゃあ誰しもあるけれど。

 以前まで仲が良かった友人からそういう対応をされるというのは、

 身につまされる思いをする。

 嫌われていることに自身に原因があるなら、

 改善することができるけど、人間関係はそうは行かない。

 特に女の子になればなおさら。

 いや、まあ、男性のコトなんて想像でしかないけどね?

 

「挑戦状を叩きつけられました」

「実力に見合わない挑戦ね」

「え、あ、絵里先輩?」

「私たち、エス・ディー・エスもナメられたもの、でしょう?」

「ま、まだ前に立つつもりですか?」

「セーブはするわ、でも、売られた喧嘩は買わないと」

 

 亜里沙も私にとってとても可愛らしい妹ではあるけれど、

 理亞ちゃんもツンが強い時期も可愛いなあとも思っていたので――

 蹴りが入るとついつい恐怖感が先んじてさん付けで呼んじゃうけど。

 とにかく、変貌を果たしたとは言え、

 可愛らしい妹扱いをしてしまうのは、

 彼女の放っておけなさが琴線に触れるんだと思う。

 μ'sやA-RISEの面々から放っておけない人扱いされてる私の事情は

 天高く放り投げておくことにする。

 

「確かに身体的には異常はないと聞きましたが」

「優れたパフォーマンスは発揮できないかも知れない

 でも、理亞ちゃんのパートナーとして、あなたを支えることはできるから」

「期待はします

 ――ですが、頼りにならない支柱なら折ります」

「ええ、期待に応えられるよう頑張るわ」

 

 同業者として理亞ちゃんの期待には答えないといけない。

 どれほどできるかなんてわからない――

 でも、やるしかないのだ。

 ただ、理亞ちゃんが叩き潰す相手が私にならないようには気をつけたい。

 

 

 意気揚々と帰宅しようとしたけれども、

 まだ身体も本調子ではないようなので喫茶店でちょっと休憩。

 駅前であったり、駅の中にあるビルの店は混雑しているので、

 知る人ぞ知るみたいな、それほどお客が入っていない、

 カフェテリア「朝香」というところに入った。

 コーヒーよりも断然紅茶派(苦くて飲めない)理亞ちゃんも、

 出てきたお高めなティーカップに入った紅茶にふうふう息を吹きかけながら、

 おっかなおっかな口に入れている。

 アンティークであったり、質のいい音楽であったり、

 お店自体は高級感漂ってはいるんだけども、

 紅茶もデザートもすごく美味しいんだけどもお客さんの入りが少ない。

 

「マスターも苦労されているんですね……」

 

 このあたりで店を開いて5年目で、

 以前はバリバリのエリートサラリーマンだった

 マスターもここまで店が流行らないとは予想もしていなかったみたい。

 確かにおいてあるレコードから奏でられる曲は格調の高いクラシック。

 店も丁寧に清掃されており、使われているカップなどは綺麗でテカテカ。

 掃除が行き届いていない店だと、ちょっと一肌脱ぎたくなる衝動に駆られる私も、

 まったく手を出さずに店の中で落ち着いていられる。

 高校生姉妹と言われ、おべっかなんて良いんですよとつい言ってしまったけど、

 実際の年齢を白状したら、マスターと10くらいしか離れていなくて泣けた。

 しかもマスター、高校二年生の娘さんがいるとかで、

 娘さんがお年を召されているのか、私が若いのかは判断しないけど、

 娘よりも10以上も上には見えないというお言葉は頂けた。

 

「マスターは格好良い顔つきされていますから、

 娘さんもさぞかし美人さんなんでしょうね」

「絵里先輩、事実はオブラートに包むべきですよ」

「二人してそこまで褒めないでください」

 

 顔つきだけではなく、体型もシュッとしている。

 だいたい40くらいの年齢と言うけれど、下手するとライダーとか戦隊モノの

 主人公でもやれそうなくらい若々しいし、がっしりしている。

 最近一番目にした男性というのが、

 優木せつ菜(芸名)さんであったので、

 男性のイメージがだいたい彼だったんだけど、

 そんなわけないよね、そりゃそうだ。

 

「経営は言うほど赤字ではないのですが、

 娘にやりたいことをやらせられないのは苦しいですね」

 

 生活に支障はなくても、わがままを言うには躊躇いがあるのか、

 節約志向に舵を取り、学園でも目立たない方向で動いているみたい。

 虹ヶ咲学園でも特等性枠を勝ち取り、学力や運動能力でも優秀。

 美麗な容姿に素行でも非の打ち所がないとか。

 とはいえ、性格の良さがワガママの言えなさにも直結しており、

 かといって自分に非があるのにやりたいことをやれとも言えず。

 本当はエトワールに早いとこ帰らないと、みんなも心配するかも知れないけど

 美味しいデザートも食べさせてもらったし、

 なにより娘さんの姿にも興味があるのでしばらく滞在させてもらうことにする。

 

 

 娘からメールが友人と帰ってくると言うので、

 μ'sの裏話はしばらくお休み。

 ことりはどこまで低い声を出せるか選手権で、

 あの子は「えーできないよー」みたいなことを言って、

 確かにできていない風だった。

 それがキャラ作りだったのか、

 パリで嫌なことでもあったのかは定かではないけれど――

 ふだんはそんなでもないのに、

 私キレましたって瞬間になると背筋を凍る声を出す。

 ここ最近ではツバサもその被害に遭ったけれども、

 その声を称して”メガトロン”もしくは”星一徹”と宣言。

 多くの同意を得るけど、本人には悲しきかな伝えられていない。

 ちなみに妹もキレるとハマーンみたいな声を出す、俗物って言うとゾクゾクきちゃう

 エリーチカ・セロとしてスペース・ウルフ隊と一騎打ちしちゃうかも知れない。

 最後のセリフは愛してるばんざーい!でいかがか。

 

「……!?」

 

 私はドアに背を向けているので分からなかったけど、

 自分と対面する理亞ちゃんはとんでもないものを見たと言わんばかりに、

 表情を驚愕の色に染めた。

 幽霊か何かと言うより、ぶっちゃけありえないと言った風で、

 そんなにイケメンな美少女がきたのかと思い振り返ったら、

 なんてことはない、知り合いのエマ・ヴェルデちゃんその人。

 が、以前であった時には私服であったためにダイナマイトバストも

 溢れんばかりであったけれども、

 制服を着ていようがダイナマイツであった――!

 東條希も私も高校時代には高校生割を使えなかったし(にこも使えなかった)

 さぞかし学生と宣言するには苦労も多いんだろうなあとホロリと来た。

 ちなみエマちゃんは寮生のはずだけど、

 案外簡単に抜け出ているあたり校則は緩いと思われる。

 

「あのサイズ……1.5倍聖良姉さま……ッ!?」

 

 言葉の意味は分からないけど、とにかく理亞ちゃんは震撼した。

 理亞ちゃんを震わせるバストをぷるんぷるん勢いよく震わせ、

 呆れ半分、心配半分と言った表情でこちらに寄ってくる。

 彼女の後ろには高校生と思しき、

 背もスラリと高く、足も長く、腕も長い、非の打ち所のない美少女。

 マスターが言うには地方の出身で子ども時代はずいぶんわんぱくだったそうだけども、

 その面影すらない。

 都内に住んだことにより大人びたか、元からの素養が発揮されたか。

 なお彼女がマスターの子どもなら、名前は果林さん、血が増えそう。

 

「珍しくお客さんがいる……」

「失礼だな果林、一日5グループはキープしているぞ?」

「しかも私と同じ年くらいの人じゃない、ナンパでもしてるの?」

 

 ちなみに朝香果林ちゃんは私よりも11くらい年下である。

 絢瀬絵里の年齢を知っているエマちゃんや、理亞ちゃん、マスターもれなく苦笑い。

 ひとり私をアラサーだと知らない彼女だけがキョトンとしている。

 冷静な感じの彼女ではあるけど、以外に抜けている部分もあるものだと思われる。

 ファッションかも知れないけど、靴下の色が左右で違う。

 

「絵里ちゃん、身体だいじょうぶなの?」

「ちょっと病み上がりでね、無理しすぎた」

「それと、アイツいないけど? 体のいいパシリが使えなくて……」

 

 朴訥な感じがするエマちゃんではあるけど、

 優木せつ菜その人には容赦がない。

 果たして彼自身が自信を持っていっていた胸のサイズを褒めると喜ぶというのが

 どこまで真実なのか、なんとなく空気も緊張しているふうなので確かめてみることにした。

 

「……あ、その前にマスター、ちょっと向こうへ、女の子トークしたいので」

 

 さすがにバストサイズを男性の前で暴露するわけにはいかない。

 自分を女子と称することに些細な抵抗感はあったし、

 マスターも「子?」みたいな顔をしてこちらを見ている。

 ただ、年齢は干支一回り変わっても、女性というのは変わらないので

 なんとかしてキッチンの方に戻って貰った。

 

「エマちゃん胸のサイズを褒めると喜ぶってほんとう?」

 

 私の方を驚くように見たのが果林ちゃん。

 まあ、知り合って間もないのに下ネタぶっこんでくるということに関して、

 多少の倫理観の欠如は疑われても仕方ない。

 ただ、それをしないと理亞ちゃんが先程からおっぱいに目が釘付け。

 彼女にとって近年稀に見る衝撃具合だったみたいなので、

 そろそろリカバリーディスク入れてあげないといけない。

 

「絵里ちゃん、普通の女の子は喜ばないんだよ」

「え?」

 

 声を発したのは理亞ちゃん。

 そんなに大きいんだから喜んでおけよと言わんばかり。

 ただ、外見ではおしとやかな妹キャラではあるので、

 ここにいる全員がその声に驚いた。

 

「あ、すみませんはじめまして、エマ。エマ・ヴェルデと申します」

「どうもご丁寧に、鹿角理亞と申します」

「え?」

 

 理亞ちゃんも理亞ちゃんでおっぱいをガン見しつつ頭を下げ、

 エマちゃんはSaintSnowの鹿角理亞ちゃんが思い至ったのか、

 二人して、え、あの、みたいな顔をしている。

 ただ、私は状況を理解しているけど、

 知り合いが一人もいない状況下の果林ちゃんはかわいそうなので経緯を説明してみる。

 

「果林ちゃんで、いいのよね?」

「エマがちゃん付けで呼んでいるけど……絵里……さん?」

「はやめに年齢を暴露しちゃうけど、あなたより10は年上」

「……え?」

 

 自分よりもむしろ父親と年齢が近いアラサーに対し、

 またまたご冗談をみたいな顔をしている。

 スマホで高校時代の理亞ちゃんを検索し、

 これはあなたなんですか? と尋ねているエマちゃん。

 いやもう、この年齢になるとツインテールにもできなくて、

 聞かれてもないことを答える理亞ちゃんはまだおっぱいばっか見てる。

 とりあえずこの状況が落ち着くまで、

 マスターには新しい飲み物を注文することにした。

 男性の前で胸の話ばっかしていることに謝罪の意味も込めて。

 

 

 話が少しだけ軌道からそれてしまったけども、

 本来の目的を話すためにみんなで一つのテーブルに集まってもらう。

 私や理亞さんがけっこう年上であることを認識してくれた果林ちゃんや、

 さっきからバストサイズしか認識されてないと気づいたエマちゃんには、

 色々と謝りたい気持ちも無きにしもあらずなんだけども。

 

「自分のやりたいことをやるですか……難しいですね」

 

 私と同じというと語弊があるかもしれないけれども、

 わがままを言える立場になかったという点では共通項があると思うので、

 自らの経験を踏まえたアドバイスをしながら、

 少なくとも私の両親と違って甘えられる立場にある以上は、

 もうちょっと甘えてもええんでね? とも言ってみる。

 友人であるエマちゃんも彼女がそれなりに我慢をしていることは察しているので、

 私のフォローなどもしてもらっている。

 なお、相手にわがままを言うことが不得手な理亞ちゃんには

 実家が喫茶店であるという共通項を持ってマスターにアドバイスを送ってもらっている。

 過去の聖良さんが優秀な店員だった(疑わしい)喫茶店が繁盛していたという事実からある程度客観性を持ってのもの。

 自宅が案外有名であったのは理亞ちゃんも驚いていたけど。

 

「果林ちゃん、スタイル的にイケてるし、もうちょっと人前に立ってなにかするのも良いんじゃないかな?」

 

 現在スクールアイドルとしてチラホラとイベントに登壇中の彼女も、

 友人となにかしたいという衝動はあるみたい。

 エマちゃんは背も高いし、彼女一人が前に経っても目立ちすぎてしまう側面があるので、果林ちゃんみたいに落ち着いた感じのパートナーが居ると映える。

 本当はもうひとり誰かいると良いのかなって思うけど、

 そこまで望むのはまだ贅沢かなって思う。

 

「今の生活でも満足してるけど……」

 

 多少の不平や不満はあるんだと思う。

 満足していたら自分が満足しているとはいわないものであるし。

 誰しも何かしら、ああなったらいいこうなったらいいという願望は持ち合わせている。

 表立って披露するかしないかの違い。

 

「んー……じゃあ、エマちゃんと一緒になにかしたくない?」

「ずるい言い方をしますね絵里さん」

 

 以前もみた虹ヶ咲にいるスクールアイドルのレベルで考えれば、

 エマちゃんがトップとして君臨していないという状況には違和感がある。

 規格外のバストサイズを誇るからという安直な理由ではなく、

 UTXでトップにいる優木せつ菜ちゃん(男性)と対等に渡り合う身体能力や、

 彼女(男の娘)よりも優れた歌声も持ち合わせている。

 知識や経験と言った様々な事項の差でせつ菜ちゃんに軍配が上がる側面もあるけど、どちらかといえばエマちゃんを応援したい。

 同姓ゆえの贔屓目であるとも言えるし、性別バレをしたときに何が起こるのかおっかなくて仕方ないというのもある。

 エマちゃんがある程度不遇な立場にいることは、果林ちゃんも認識しているみたいでそこを指摘されるのは弱いみたい。

 ただ、経緯はどうあれ、友人と一緒になにかしたいよねっていわれたら、したいですと言っちゃうものだけどね。

 

「私みたいな子でも、アイドルってして良いんですかね?」

「とても失礼な言い方になるけど、果林ちゃんはアイドル向きだと思うわ」

 

 エマちゃんも自分のことを地味っていうし、

 おそらく友人である果林ちゃんも自分のことをおとなしいであるとか、地味なタイプだって思ってるんだと思う。

 どのμ'sのメンバーにこの二人が地味かと問いかけたところで、何いってんだ絢瀬絵里っていわれるのがオチ。

 

「まあ、でも、スクールアイドルって華々しく前に出るだけが良いことじゃないから」

「そうなんですか?」

「今でこそ輝かしく応援されるアイドルばかりが前面に立っているけど、

 学校の名を残したいとか、みんなでなにかしたいっていうのが、

 ――本来はμ'sもそういうグループだったんだけどね」

 

 自身の身の丈以上に評価をされてしまい、

 私はそれで生活をしていた側面があるから良いけれども、

 困った事態も多少なりとも引き起こしてはいたのだ。

 

「自分のやりたいこと……」

「果林ちゃんが私と一緒になにかしたいっていうんなら協力するよ

 それに私も果林ちゃんとなにかしたいし」

 

 μ'sとしての過去エピソードを語るとどうしても明るい内容ばかりではないから、

 私自身の気分も沈みがちになってしまうんだけども、

 鬱々とした私のフォローを年下の二人にされてしまう、不覚。

 エマちゃんの一緒になにかするなら協力する、

 そして私はあなたと一緒にしたいという言葉は、

 果林ちゃんの心を動かした模様。

 彼女たちがやる気になれば、同じスクールアイドルの先輩として何事かはアドバイスできると思う。

 これが優れたスクールアイドルとして何ができるか問い合わせたいとかなら

 もっといい相手がいるんだろうけども――

 

「果林!」

 

 スクールアイドルとしてアドバイスなんぞ送っていると、

 そういえば理亞ちゃんはどんなアドバイスを送ったのだろうと疑問に思い、

 まあ、そんな特異なアドバイスは送らないであろうと考えてた矢先。

 そのアドバイスの対象先のお父さんが娘さんを呼びかける。

 ただならぬ雰囲気にみんながみんな背筋を伸ばしてしまい――

 

「ウチの店に足りないのは店員の露出度だ! 果林! まずはビキニで接客」

「理亞ちゃぁぁぁぁん!!!!????」

 

 真面目なマスターをトチ狂わせてしまう鹿角理亞ちゃんのトーク術。

 彼女ばかりがドヤ顔して上手いことやったぜみたいな感じだけど、

 この落ち着いた雰囲気の喫茶店が違う意味で繁盛――いや、炎上しないことを願いたい。

 いちおう説得のために一肌脱いだつもりではあるけど、

 どこまで聞き入れて頂けたか、ただ、時給5万は魅力――いやでも、ビキニはちょっと……


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