転生者達のせいで原作が完全崩壊した世界で 作:tiwaz8312
転生者がモンハンのモンスターを願った結果、地上で猛威を振るっていたので聖書の神によって、古龍を含む全モンスター(アルバトリオンを除く)が冥界に落とされ、モンスター達が冥界を我が物顔で闊歩して居る為、原作以上に冥界開発が進んでいません。
転生者によって、全財産を毟り取られた貴族等や妻や娘を奴隷にされた悪魔が居ます。
転生者・四郎君の、水源に毒をぶち込む。密集人口が多い所を爆破などの手段によって8万以上の悪魔が虐殺されました。
そんなこんなで、ヒィヒィ言っているところに、口から血を流してる聖書の神の殴り込みによる。天使・堕天使(コビさんは除く)・悪魔(セラちゃんは除く)の三つ巴戦が勃発した上に、全神話の主神達に無理矢理叩き起こされた二天龍が乱入した結果。
悪魔の総数は原作を大きく下回る状況で、以前のやらかしで周りは敵だらけ。総数低下による人材の枯渇に税収低下。なのに現状を理解せずに暴れまわるバカども。
そんな詰んでる状況が、本作の悪魔の環境です
俺には、自慢の姉が居る。
容姿端麗。頭脳明晰。運動神経抜群。品行方正。何処の漫画・ゲームのメインヒロインだよ。と言いたくなる欠点なんて一つも無い完璧超人な自慢の姉が居た。
全部。なにもかも、俺のせいだ。俺が、覗きやスカート捲りとかそんな事をしてたから......姉貴があんな事になったんだ。
小学生の頃。覗きやスカート捲りをしてた俺のせいで、姉貴は友達をなくした。それに気付かずに、覗きとか続けてた俺のせいで、姉貴は苛められた。
姉貴の元友達が、苛めの現場を俺に見せてくれた。気付かせてくれた。でも、バカな俺は――大好きな姉貴のナイト気取りで、姉貴を苛めてる連中に文句を言ったり、相手が男子なら喧嘩をした。
そのせいで、姉貴への苛めはもっと酷くなった。
両親も、俺のせいで謝り続ける事になったんだ。
それなのに、元凶の俺は、覗きとかを辞めずに......謝っても許してくれない周りが悪いと本気で思った。
中学生の頃。両親に覗きとか辞めろと説教をされても辞めない俺に、俺の部屋に入って来た姉貴がいきなり服を脱ぎ捨てて、「裸が見たいなら、私の裸を見なさい。胸が揉みたいなら、私の胸を揉みなさい。お願いだから......もう、覗きとかセクハラをするのは辞めて」そう言って泣いた時、クズな俺は――性欲に負けて、本当に姉貴の裸をガン見して気が済むまでその体を触ったんだ。
そして、性欲が落ち着いて、裸で泣きじゃくる姉貴を見て、初めて、自分のした事がどれだけバカでクズな事なのか知って、泣いている姉貴に土下座して謝り、もう二度と覗きとかセクハラをしないと約束した。誓ったんだ。
それなのに、姉貴が恥ずかしさとか情けなさとか我慢して、あんな事をしたのに、俺はどうしても、覗きやセクハラを辞められなかった。どんなに必死に我慢して、したらいけないと思っても、辞められなかった。
約束を誓いを守らなかった俺に、「どうすれば、辞めてくれるの? 私の体を好きにして気が済むなら、それで辞められるなら――好きにして良いから......」と諦めた顔で泣きながらそう言う姉貴に、俺は泣きながら土下座をする事しかできなかった。
どうしても性欲を抑える事ができない。悪い事だと理解してるのに我慢できなかった。と謝るバカな俺に、「運動。運動や勉強とか、後は禅とかで性欲を昇華すれば、なんとかなるかも......」と俺の事を見捨てないでくれる優しい姉貴のアドバイスに、俺は両親に全てを話した。
性欲に負けて、姉貴の全裸をガン見して触った事。
どんなに我慢して、悪い事だと分かっていても、我慢できずに、覗きやセクハラをしてしまう事。
俺の悪事を全部、両親に話した。話しを聞いた両親に泣きながら殴られ説教を受けた俺は、あんなに酷い事をした俺を庇ってくれた姉貴に謝りながら、両親に最後のチャンスを貰った。近くの亀仙流道場やバラキエルさんが開いている禅道場に通わせて貰える事になったんだ。
そのお陰で、俺は性欲の抑制ができるようになった。
エロ猿だった俺が、完全にこれ以上無いぐらいにエロ断ちができたんだ。
バラキエルさんに精神修養を教えて貰ったり、亀仙流の柳川師範直々に稽古を着けて貰ったりしながら、俺は、もう覗きやセクハラを絶対にしない。しなくて済む。そう思っていた。
俺の覗きやセクハラの被害者の女の子達やその家族に謝って回って、殴られたりビンタされたりしたけど、ちゃんと赦して貰った。
運動や勉強に打ち込む様に成ってから、姉貴の苛めも無くなった。両親が平謝りする事も無くなった。
心の底から、家族に打ち明けて相談して良かった。と俺は暢気にそう思っていた。
高校に上がった直後に、両親が仕事で居ない時に、風呂上がりの姉貴を見て――俺は、姉貴を襲った。
「なんで」 「どうして」 「やめて」 そう泣きじゃくる姉貴に俺は興奮して、押し倒した姉貴の体を隠すパジャマを力ずくで剥ぎ取り、泣き叫ぶ姉貴の反応に更に興奮して、姉貴を犯す寸前で、俺は正気に戻った。
最悪だった。最低だった。クズの俺を見捨てないでくれる姉貴を犯そうした俺は、両親にも姉貴にも合わせる顔がなくて、半裸の姉貴を残して家から逃げた。
本気で、本当に、死のうとした。どうやって死ねば周りに迷惑が行かないか真剣に考えながら、町を歩いていたら、道場通いを始めてからの主治医ライザー先生にばったりと出会ったんだ。もし、この時にライザー先生に会わなかったら、俺は確実に自殺していたと思う。
それが、両親と姉貴をどれだけ傷付ける行為なのか、全く考えず想像すらしないで。
先生曰く"物凄く酷い顔"の俺を見かねたライザー先生に、フェニックス病院に強引に連れて行かれて、個室に押し込まれて、なにが有ったのか聞かれて全部話したんだ。我を忘れて姉貴を犯そうとした事。最後のチャンスを貰っておいて、それを裏切った事。これ以上、両親と姉貴を悲しませて傷付けて迷惑を掛けるぐらいなら、死にたい。て、全部吐き出した。
なにも言わずに、俺の話を聞いていたライザー先生が、コーヒーと三枚のチェックシートを渡してきて、チェックシートを埋める様に言ってきたから、こんなのがなんの役に立つんだと思いながら、チェックシートを埋めてたら......ライザー先生が「どんな時に、ムラムラするか」 「我慢の限界を越える時は、どんな時なのか」 「我慢できない時に、頭痛や目眩等はないか」とか色んな質問をしてきたんだ。
その質問に、「ムラムラする時は女性の胸や尻を直視した時」 「我慢の限界を越える時は、道場通いを始めてからの無かったし。今日が初めてでよく分からない」 「頭痛とか目眩とかは無かった」と全部素直に答えたんだ。
そうしたら、俺が埋めたチェックシートを見てたライザー先生が「費用は要らないから、とにかく検査をしよう」て言って、CTとMRIとか色んな検査をさせられて、もしかして、なにかの病気なのかと心配してたら――看護師長のユーベルーナさんに待機室に押し込まれて、そこに両親と泣き腫らした姉貴が居たんだ。
もう二度と顔を会わせられないと思っていた俺は、どうして良いのか分からなくて棒立ちになってたら、ライザー先生が深刻な表情で入って来て、俺を両親の隣に無理矢理に据わらせると、俺が"性依存症"を患ってるて言ったんだ。
初めて聞く病名に戸惑っていると、ライザー先生がどんな病気なのか説明してくれた。
性交渉だけでなく、自慰行為やポルノへの過度な耽溺・収集。強迫的な売買春。露出や覗き行為等の全ての性的な活動が考えられていて、明確な定義がまだ確立されていなくて、ギャンブル依存や買い物依存とかと同じで"行動への依存"に分類される依存症。
そして、明確な治療方が確立されていない事。酷い場合は日常に支障があったり、性的犯罪を起こしてしまったりする事。明確な原因等は分かっていないけど、恐らくは幼年期のトラウマや過度のストレス等だろうと考えられている事。
そして、治療方はカウンセリングや性欲を抑える効果の有る野菜中心の食事療法。男性ホルモンの分泌を抑える働きが有るノゴギリヤシ等のハーブを摂取する事。これで駄目なら投薬しか無い事。
ライザー先生の説明を聞いた両親が、俺に泣きながら謝ってきたんだ。自分達のせいだ。て、そんな訳がないのに。
ずっと姉貴と比較して、叱ったり怒ったりしてきたから、きっとそれが原因なんだ。て、泣きながら謝ってきたから、親父とお袋のせいじゃない。て俺は否定したんだ。俺も両親も譲らなくて、いつの間にか俺も泣いて。
そうしたら、ライザー先生が「一誠君の症状は重度ではなく極度です。しかし、強姦等の重犯罪は辛うじて踏み止まってます。これは、ご両親のお陰だと思います。ですから、御自分を卑下しないで下さい。そして、これから大変な思いをする一誠君を支えてあげて下さい」て言ってくれたんだ。
その言葉に俺も両親も頷いて、これからどうすれば良いのか、詳しい話を聞こうとしたら......多分。俺の強姦未遂と性依存症とかで、テンパったんだと思うけど、姉貴が「だ、大丈夫よ! イッセー! お姉ちゃんが全部受け止めるから!?」ていきなり叫んで。
まぁ、うん。アレは本当に酷かった。姉貴の叫びに慌てた両親とライザー先生が姉貴を説教と云うか説得? して、姉貴は姉貴で「私はなにが有ってもイッセーの味方だから! バッチこいだから! ウェルカムだから!」とか言い出すし。
それから、柳川師範やバラキエルさんにも事情を説明して、性欲コントロールと依存脱却に協力して貰って。
えっと、今のところは、性欲の暴走とかはないかな。
自分では、ちゃんとコントロールして発散できてると思う。
点数を付けるなら......85点ぐらいかな? -15点はちょっと欲望に負けそうになったから。
「はい。お疲れ様。今日のカウンセリングはこれで終わりだ」
ニッコリと笑いながらそう言った看護師姿のカーラマインに、一誠はカウンセリングを受け始めてからいつも思っていた事を口にした。
「あの、これってカウンセリングなんですか? あ、疑ってる訳じゃなくて、ドラマとかで見るのと違うから......」
そんな一誠の疑問に、「ああ、成る程。確かにドラマとは違うか」と苦笑いをし、カーラマインは「大丈夫だ」と口にした。
「カウンセリングと一言で言っても、やり方は様々だ。相手の話しに同調して進めるやり方が正しい時も有れば、理路整然と相手の話を整理するやり方が正しい時も有る。イッセーの場合は聞き役に徹するのが一番だとライザー先生は判断したんだ」
一度、言葉を切ったカーラマインは優しい笑みを浮かべる。
「だから、安心しろ。お前はちゃんと前に進めてる。お前と周りの努力は報われている。お前は胸を張って良いんだ」
力強く優しい言葉に、自分が足踏みしていると不安を感じていた事を自覚した一誠は、「ありがとうございます」そう言って頭を下げる。
「しかし、クライアントを不安にさせるとはなぁ。私もまだまだだな。やはり、
普段、一誠のカウンセリングを勤めている美南風と自分を比較したカーラマインの小さな呟きが聞こえた一誠は、慌て首を横に降る。
「そんな事無いですよ! そりゃ、美南風さんとなんか違うけど、カーラマインさんもちゃんと俺の話を聞いてくれてるじゃないですか」
あまりフォローになっていない事を無自覚に口走った一誠に、カーラマインは苦笑いを浮かべてしまう。
「そうか、そう言って貰えるならありがたい。それから、明日には美南風が心理学研修から帰ってくるから、イッセーのカウンセリング相手は美南風に戻るぞ」
言外に、良かったな。と言っているカーラマインの言葉に、一誠は無言でグッと小さいガッツポーズを取ってしまう。
「なんだ。やはり、私の様な武骨な女より、美南風の様な純和風の大和撫子が好みか? 後で、お前の姉の京子に教えておくか……」
その言葉に、一誠がビッシリと固まり、油の切れた機械の如くギッギギギッと不自然な動きをしながら、机越しに目の前に座っているカーラマインに視線を向けると、ガッバッと机に両手と頭を付けて「カーラマインさん。マジ最高。カーラマインさん。マジ美人!」と大声で叫んだ。
「あー もしかして、また、ネットかなにかで余計な知識を仕入れたか?」
想像以上の一誠の反応に、またあの駄姉が余計な知識を仕入れたかと、カーラマインは天を仰いだ。
「えっと、なんでも、性欲過多の場合は、解消できるパートナーが居れば良いとかなんとか……言ってました」
「お前の場合は、性欲過多では無く。行為依存症であって、逆効果だろうに……」
そこまで口にしたカーラマインの脳裏に、悪魔以上に悪魔らしい京子の考えが通り過ぎた。
「いや、まさか……そんな事は……」
カーラマインの脳裏に浮かんだ事――それは、行為依存の弟を性的行為の依存から京子に対する行為依存へとすり替え、最終的には京子という人物に対する依存に切り替えると云うモノ。
心理学を齧る者からしたら一笑に付す様なバカバカしい考え。しかし、あの京子ならば――やりかねないと思えるだけの凄みがある事を知っているカーラマインは、小さく唾を飲み込む。
「あの、どうかしたんですか?」
恐る恐る話し掛けてきた一誠に、カーラマインは首を横に振りながら、「いや、なんでもない」と返し、自分の有り得ない妄想を振り払う。
「しかし、京子にも困ったモノだな。お前の力に成りたい想いが空回りしている」
相変わらず困った奴だと笑っているカーラマインに、一誠は変わってしまった姉を想い遠い目をしてしまう。
「俺が絡まなければ、自慢の姉なんですよ。全国模試で5位以下に成った事が無いし。今度、日舞の大会に出るし。ナンとか流の華道家元? が養子に欲しい。て言ってきてたり......」
そんな自慢の姉が、自分が絡んだ途端にダメ姉に成る現実に、一誠は深い溜め息を付いた。
「なのに、親父達が居ない時は、どう見てもヒモだろ? てエロい下着姿で彷徨くし、服を着ててもエロコスプレとしか思えない格好だし......朝起きたら隣で寝てるし......もう、本当にどうしたら良いのか......」
机に顎を付けたまま頭を抱えている一誠に、カーラマインはフイと視線を反らす。
「私の方から、京子にはそれとなく注意しておこう。素人のカウンセリング程、危険なモノは無いと。後、そう云った行為は慎む様にと」
自分の言葉に「お願いします」と頭を下げる一誠を見ながら、実の姉が弟に貞操を――本気で一誠から襲われたいと思っている。等と口にできないカーラマインは振り絞る様にそう言うしかなかった。『カウンセリングが必要なのはあの駄姉ではないのか』と思いながら。
「あの、俺。帰ります。今日、親父達居ないし、姉貴が心配してるだろうし」
なんだかんだ言っても、シスコンの気が有る一誠の言葉に、カーラマインは「相談ぐらいなら何時でも乗るからな」と返す事しかできなかった。
一誠が個室を退室し、その足音が完全に聞こえなくなった事を確認したカーラマインは小さな溜め息を付く。
「しかし、イッセーに嘘を付くのも慣れてしまったな」
正常な精神の一誠を性依存症と嘘を付いた事を僅かに悔やんでいるカーラマインは、「本当にこれで良かったのか?」と小さく呟いた。
脳に障害も無く。精神に異常性も無い。ただ、人より性欲が強く。性欲の制御や発散の仕方が未熟だっただけの一誠を、ああも苦しめている事は本当に正しかったのか、カーラマインは分からなかった。
兵藤夫妻には、最初から本当の理由――物心付いた時から出来の良すぎる姉と比較され、努力を余り評価されなかった事でストレスが鬱積し、それによる性欲の肥大化とそれに伴う自制心の低下。そして、正しく発散されず蓄積された性欲の暴走。それらの可能性が極めて高い事を伝えているとは云え、可愛い弟分の一誠を騙している事をカーラマインは後ろめたく感じていた。
とは云え、今にも命を断ちそうな......幽鬼の方が遥かにマシと断言できる様な顔色をしていたあの一誠を知っている者としては、免罪符と兵藤夫妻協力の三文芝居は絶対必須だったと断言できた。
せめて、性的な事を全て絶つ行き過ぎた禁欲生活――それこそ、どこの高名な大僧侶だと云いたくなる中学生時代に相談してくれていたら、我慢の限界を越えて実の姉を襲う事も無く、性依存症と云う免罪符も不必要となり、無料とは云えカウンセリングも不必要で、下手な三文芝居をしなくて済んだだろうにと、そう思いながらカーラマインは深い溜め息を付いた。
自宅に辿り着いた一誠は、玄関の扉の前で深呼吸をしながら気持ちを落ち着かせ、心の準備と覚悟をしながら『大丈夫。俺は我慢できる。俺はやれる。昨日だって、狐ミミ&モフモフ尻尾+超ミニエロナースをなんとか乗り越えたじゃないか。結構ヤバかったけど、後少しで押し倒しそうになったけど、乗り越えたじゃないかっ! 姉貴が体を張って、俺のエロ耐性を鍛えてくれてるんだ。頑張れ俺。負けるな俺。姉貴の泣き顔と笑顔を思い出せ。胸に心に刻め。親父達も御近所さん達も、ライザー先生や柳川師範やバラキエルさんも、俺はできる子やれる子と言ってくれてるだろ! いざ逝かん! 鎌倉へ!』と自分に言い聞かせ、玄関のドアを開け、ただいまーと言おうとした一誠は、その場で無言のまま扉を閉めた。
何時もの如く、自分が帰って来るタイミングで玄関で姉が待機しているのは慣れた。密かに嬉しかったりするし、でも、何故、あの格好なんだ。と一誠はその場に崩れ落ちそうになる。
主治医のライザーに「性欲は押さえ付けてはいけない。他人に迷惑を掛けない範囲で、適度に発散させなくてはいけないんだ」と医者の観点から3時間みっちり説教を受けてから、エロい漫画やエッチィ写真集を買い始め。
お気に入りのエッチィ漫画家バイサー先生の純愛・熱血・実姉の競馬モノ"ケンタウルス"シリーズ目当てに購入したエロい雑誌に紹介されていた、とある18禁ゲームのメインヒロインに一目惚れしてしまい。
バイト代全てを注ぎ込み、パソコンと共に購入した18禁ゲームのメインヒロイン――姉の京子に良く似た人生で二番目の2次元嫁のコスプレをしている実の姉の姿に、一誠は泣き崩れそうになるのを必死に耐える。
『バレたぁぁぁぁ!? つーか、なんで、俺の嫁。梔子箒のコスプレしてんだよ!? 作ったのか? また自分で作ったのか? て言うか、似合ってた。スゲー似合ってた! まさしく、リアル箒ねぇだった!! あの格好でメッてポーズで「こら。そんな事したら、ダ メ で しょ?」て、言って欲しい! マジで言って欲しい! んで、そのままあの豊満な胸を......』
凄まじい衝撃に思考が暴走し始めた一誠は、すぐさま首を左右にブンブンと振り、頭の中の煩悩を振り払う。
「落ち着け......落ち着け。一誠。アレは箒ねぇじゃない。実の姉の京子姉ちゃんだ。姉貴のコスプレだ。落ち着け。俺。また姉貴を傷付けて泣かせたいのか?」
小さく自分にそう言い聞かせた一誠は、自分の中の欲望が消えて行くのを感じる。
深呼吸を一回して、滾り始めたモノが治まったのを確認した一誠は、ゆっくり扉を開け、玄関で待っていた姉の京子に「ただいま」と口にした。
「お帰りなさい」
優しく穏やかな京子の声に、一誠はもう一度「ただいま」と口にすると、できる限り首から下を見ない様に気を付けながら、靴を脱ぎ――
クロッチがギリギリ見えそうで見えない超ミニスカートや引き締まったスラリとした足。
丸出しのほっそりと括れた腰に、薄手のタンクトップを持ち上げる二つの小さな突起がはっきりと分かる豊満な胸。
その胸を強調する様に羽織っている袖無しジャケットから覗く手入れのされた腋に、露出した肩より少し下まで伸ばした艶の有る美しい黒髪。
2次元嫁のコスプレをしている京子の姿に、一誠は見たい願望と見たらヤバいと訴える理性が戦い始め、心の中でバラキエルに習った神言を唱えて理性強化をしながら、平静を必死に保ちながら京子の脇を通り抜ける。
「一誠」
後少しで自室に繋がる階段に足が届くところで、京子のどこか甘い声に、一誠の心の中で唱えていた神言が途絶える。
「いっせい」
どことなく甘く悲しげな声に、一誠の理性が振り向くなと警告を発するが、姉を僅かにでも悲しませるなと本能が叫ぶ。
「いっせい......」
ダメ押しの京子の呟きに理性が本能に完全敗北し、いつものパターンだと理解しながらも、覚悟を決めた一誠はゆっくりと振り返る。
そこには、僅かに前屈みになり、胸を強調する様に左腕で豊満な胸をムニュと押し潰す様に横にして、その左の掌に右肘を乗せ、軽く握った右手は人差し指だけをピンと伸ばした、どこか困った感じの表情の京子の姿。
「門限の19時を過ぎてる。ちゃんと門限を守らないと、ダ メ で しょ?」
その服装。そのポーズ。その表情。そのセリフ。全てが一誠の煩悩を一気に燃え上がらせる。
「もー ちゃんと聞いてるの?」
思考が停止した一誠に止めを刺すかの様に、メッのポーズを止めて背を伸ばした京子が、右手で横髪を掻き上げてから、棒立ちになっている一誠の目の前まで近づく。
「ねぇ。ちゃんと、聞いてる?」
そう言いながら、京子は唖然としている一誠の鼻の頭を、右の人差し指でツンと軽く付いた。
「あ、うん。聞いてる。」
辛うじて動き出した思考で、朧気に『"ねぇ。ちゃんと"の――エロゲーの告白シーンそっくりだ。このシーンの後にエロシーンだっけか』などと思いながら、現実味を失った一誠は「姉ちゃん。俺......」と掠れた声で、ゲームの主人公の言葉を口にした。
「どうしたの? 一誠? お姉ちゃんを、ど う し た い の?」
ゲームで聞いたセリフ。後少しで唇が何かの拍子でくっついても不思議じゃ無い距離まで近づいた京子の顔。なにもかもが、主人公の告白シーンそっくりの状況に、ゲームの主人公がした様に、一誠の両手が京子の両肩を掴もうとした――その時。
「そこまでよ!!」
その声と共に玄関の扉が勢い良く開き、左手を腰に当て右手を突き出し、京子と同等プロポーションを誇り、紅の美しい長い髪を靡かせたジーンズにTシャツ姿のリアスが立っていた。
「リアス先輩?」
ライザーが経営するフェニックス病院で偶々、知り合い仲良くなった学校の先輩の登場に、我に返った一誠は直ぐ近くに姉の顔が有る事を認識し、慌ててその場から飛び退く。
「危ないところだったわ......嫌な予感がしたから駆け付けたのよ」
正気を取り戻した一誠に微笑みながら「もう大丈夫よ。私が来たわ」と言いながら土間まで入ると、リアスは一誠に背を向けて扉を閉めて、一誠のフェチポイントを刺激する為に研究を重ねた動作――振り向きながら長い髪をサラリと右手で掻き流す。を実行する。
リアスの登場に雰囲気をぶち壊された京子は、舌打ちを我慢し苦い思いを飲み込み、それらを一切表に出さずにリアスに向き合う。
「なんの様かしら? リアス。今は21時よ。こんな時間に一人で出歩くなんて、常識が無いんじゃない?」
後少しのところを邪魔された京子の刺々しい言葉に、リアスのこめかみがピックと動く。
「あら。可愛い可愛い。私の 後輩の危機に駆け付けただけよ? それに、常識が無いのは京子の方でしょう?」
強調する様に豊満な胸の下で両腕を組み、胸を僅かに持ち上げたリアスに、フェチポイントを刺激された一誠は知らず知らずにゴクリと唾を飲む。
「あら、そうなの? でも、ここは、私達の家 よ? 危険なんて有る訳無いでしょう? ああ、でも、私の 弟を心配して、わざわざ来てくれたのよね? リアスにそこまで気を使って貰えるなんて、私の 弟も幸せね」
優しい口調なのに途轍もなく冷たく聞こえる京子の声に、一誠は二人が犬猿の仲である事を思い出し、内心で頭を抱えた。
「気を使うなんて......そんなつもりは無いわ。私の 可愛い。特別親しい 後輩ですもの。当たり前の事をしてるだけよ? イッセーには部員に成って貰う予定ですもの」
リアスの"特別親しい"の部分に、京子のこめかみがピックと動き、一誠は『リアス先輩て、ファンはめちゃ多いけど、最近までボッチだったけか』と、嘗て"支取蒼那さんと、友達になりたいのだけど......どうすれば良いのかしら?"と相談してきた事を思い出して、助けに来てくれたリアスを優しい目で見詰めた。
そんな優しい視線を受けたリアスは、なにを思ったのか一誠にウインクをする。
「瞬きなんてして、眠たいのかしら? この通り、一誠は元気だし。早く自分のベッドに横になったら? 夜更かしは肌に悪いわよ」
早くさっさと帰れ。そう言っている京子に、リアスは勝ち誇った様に笑う。その意地の悪い笑みが一誠に丸見えなのを忘れて。
「そうね。確かにもう遅い時間よね。変質者とか怖いし、イッセーに送って貰おうかしら」
京子の雰囲気が凍える程に冷たいモノに変わる。
「あらあら、なにを寝ぼけてるのかしら? ナイトなら、婚約者 のライザー先生に頼めば良いじゃない」
その言葉に、リアスの意地の悪い笑みが消え、一瞬だけ能面の様な一切感情の無い表情になるが、穏やかな笑みを浮かべた。
「ああ。ライザー・フェニックスの事? 私、あの医道バカを婚約者なんて思った事、一度も無いの」
穏やかな笑みなのに、凍死しそうな雰囲気を放つリアスに、一誠は『ライザー先生......また、世界寄生虫展示会とか世界感染症展示会とかに連れてったのかなぁ』と自分の主治医を思い浮かべながら――
他県まで名医と評判を響かせながら、「好きなタイプ? 治ろうと頑張る患者さんだなぁ」 「恋人? この病院の患者さん全員」 「結婚? 子供? はは、そんな暇が有るなら一人でも多くの患者さんに向き合うよ」と言い切るライザーの姿を思いだし、『そんなんだから、残念ハンサムて言われるんですよ。リアス先輩の好感度も底辺なんですよ。ライザー先生ぇ』と遠くに視線を投げる。
アプローチされた回数は数知れず。あ、この人ダメな人だと引いて行った数も同数と評判のライザーに、一誠は心の中で涙を流す。
「あら、そうなの? お似合い だと想うのだけど......それなら、タクシーを呼びましょうか?」
「お似合いだなんて心外ね。それと、タクシーなんて必要無いわ。私の 特別な 後輩のイッセーに送って貰えるもの」
一誠は必ず自分を選ぶ。そんな根拠の無い自信に満ちたリアスを京子は鼻で嗤う。
「もう寝ぼけてるのかしら? こんな遅くに、一誠と二人っきり? タクシー呼んであげるから、一人寂しく外で待ってなさい。考えなくても分かるでしょう? 一誠は私を一人にしないって」
一誠が赤ん坊の頃から、ずっと一緒に居るからこそ、自信を持って断言した京子を、今度はリアスが鼻で嗤う。
「あら、イッセーはこんな時間にか弱い女性を一人で帰す様な男じゃ無いわ。実の姉 なのにそんな事も分からないのかしら?」
リアスと知り合ってからの何時もの展開に成ってきた事を遅蒔きながらに気が付いた一誠は、愛読書している漫画"ジョジョ"のスタンドの如く、デフォルメされてグローブを着けた可愛いジャガーが京子の背に現れ。同様にデフォルメされてグローブを着けたライオンを背負うリアスが、視線で火花を散らしている光景を幻視して『なぁ。松田に元浜。お前ら、本当にこれが羨ましいのかよ?』と二人の心友に心の中で問い掛けた。
「ねぇ。リアス。ボッチの貴女からしたら、一誠は数少ない。友達 なのかも知れないけど......一誠からしたら沢山居る。友達 の一人なのよ。あまり、私の 可愛い弟を困らせないで欲しいの」
可愛いジャガーがフリッカージャブの構えをとり、"はじめの一歩"の真柴の様にリズムをとり始め、ライオンを牽制し始める。
「ボッチ? 誰の事を言ってるのかしら? 私には、ジャネットとソーナと云う大切な友達が居るのだけど」
以前なら怯んでいた言葉をノーダメージで受けきった事が嬉しいのか、リアスは背を少し反らし強調している胸を更に強調させて、にこやかな笑みを浮かべた。
「それに、イッセーを困らせてるのは貴女でしょう? そんな、痴女 の様な格好をして......ああ。そう言えば、確か、イッセーは、慎みの無い女性は苦手 なんて言ってなかったかしら?」
体を左右に振り、無限の軌道を描き始めた可愛いライオンを背負うリアスの言葉に、一誠が『あれ? いつもの口喧嘩じゃない? あ、でも、上手く話を持って行けば姉貴の服装とかの問題解決できるかも』等と気軽に考えていると、京子が勢い良く一誠の方を向き、信じられないモノを見る目で一誠を見た。
「うそ......よね。一誠? だって、全部。一誠の秘蔵書に載っていたもの。こう云うの好きなのよね?」
驚愕に彩られた京子の言葉に、"ドスケベバニー" "ヒモエロ下着" "エッチィセーラー服" "エッチィ巫女さん" "春麗のコス" "キューティーハニーのコス" "超ミニスカエロ婦警さん" "初音ミクのコス" "博霊霊夢のコス" "超ミニセクシーメイド"等々の京子のコスプレ内容が、確かに自分の秘蔵書に載ってる事を思い出した一誠の思考が一瞬停止してしまう。
一誠が口を開き、部屋を掃除してくれるのはありがたいけど、隠してる本を読むなよ! と苦情を言おうとしたその時、それよりも早く、更なる追撃を掛ける為にリアスが口を開いた。
「はっ、いつまでも実姉モノが多いと思わない事ね。最近のイッセーは、純愛学園+優しい巨乳先輩モノなのよ!!」
最近よくお世話になっている。†魔†龍†聖†先生の"先輩といっしょ"シリーズの純愛・コメディ・学園+巨乳先輩モノと多数の実姉モノを愛読している事を何故か知っているリアスの言葉に、口を開きかけた一誠は衝撃のあまり崩れ落ちそうになる。
「それに......京子は知らなかったみたいだけど、イッセーの初恋の相手。人生初の二次元嫁は、サムスピの"ナコルル"よ!」
秘蔵書の傾向とナコルルが初恋の相手である事を知っているのは二人の心友のみ。その事実から、「松田と元浜ですか? その情報源?」そう言いながら、もしそうだったら――絶対ぶん殴ると決めた一誠に、リアスが「ごめんなさい。ほら、校舎裏で男子だけで良く雑談しているのを見かけてたから......つい、盗み聞きをしてしまったの」と謝る。
「あ~ 流石に女子が居るところで、そーゆー話はできないんで......その、今度から、盗み聞きとかしないならそれでいいですよ」
聞かれない様に人目を避けてたのになぁ。と考えながらそう言った一誠は、「許してくれてありがとう」と微笑むリアスに、少しだけドッキとしてしまう。
「一誠? 初恋の相手がナコルルて、嘘よね? だって、一誠が、初めて、大好き。て言ったのはお姉ちゃんだもの。つまり、一誠の初恋の相手はお姉ちゃんなんだよね?」
一誠の初恋の相手が自分ではなく、ゲームのキャラクターであるナコルルと知った衝撃から漸く復帰した、どこか陰の有る京子の言葉に、キョトンとした一誠は、なにを言ってるんだ? とばかりに首を傾げた。
「いや、血の繋がった実の姉が初恋の相手とか、漫画とかゲームじゃないんだからさ。普通に考えて無いだろ?」
一誠としては当たり前の、京子としては有り得ない言葉に、体の力が抜けた京子がその場に座り込む。
「姉貴!? どうした!」
トスンと座り込み暗い目をしている京子に、一誠が慌てて駆け寄る。
「大丈夫よ。イッセー。京子は少し疲れてるだけよ」
慌てている一誠に、リアスはそう言いながら――呆けている京子を見て、久しぶりの勝利を確信し心の中でガッツポーズをとる。
「でも、これ。疲れてるて感じじゃないような......」
ヤバい感じを姉からヒシヒシと感じている一誠は、なぜ京子がこうなったか分からないままに、とにかく、このままにしてはおけないと、座り込み微動だにしない京子を無理矢理に抱きかかえる。お姫様抱っこで。
勝利を確信し、一誠が京子に部屋に戻る様に言うだけだと思っていたリアスは、京子をお姫様抱っこした一誠に、どうやって
「イッセー? なにを……してるの?」
何時か自分がして貰おうと思っていたお姫様抱っこ。
映像越しに触ろうとしてしまった、あの鍛えられた大胸筋に
そう認識した途端、激情に囚われそうになったリアスはグッと怒りに耐える。
ここで、バカな事をしてしまえば――今まで偶然を装って築いてきた良好な関係が壊れてしまう事を理解しているリアスは、脳裏に"一誠の生着替え"映像集でスライドショーを開催しながら穏やかな笑みを維持する。
その穏やかな笑みを見た一誠が、ビクッとしたのを見ない振りして。
「えっと、リアス先輩? なんか怒ってます? 俺、なにかしましたっけ?」
恐る恐るそう聞いてきた一誠に、リアスは更に笑みを深め、「イッセー。ナニをしているのかしら?」とできる限り優しい口調でそう言った。
「えっと、取り敢えず、姉貴を部屋に送ってから、リアス先輩をチャリで送ろうかな。と、思ってるんですけど」
なんとなく、副音声で「ナニやってんじゃ!? われぇぇ!? どーゆーつもりや? ああ!?」と聞こえた気がした一誠が、疲れてんのかなぁと暢気に考えながらそう告げると、リアスはチラリと一誠の腕の中の京子を見るとフッと笑い。小さな声で「策士、策に溺れる。てヤツかしらね?」と呟いた。
「策士?」
その呟きに反応した一誠に、リアスが「気にしなくて良いわ。それより、早く京子をベッドに運んであげて」と勝ち誇る様などこか憐れむ様な笑みを浮かべる。
「少しだけ待ってて下さい。ちゃんと送りますから」
そう言って階段を上がっていく一誠のガッチリとした背を見送りながら、リアスはグレモリーの次期当主として鍛え上げた頭脳をフル回転させて、この後の自分が取るべき行動を――どうすれば、映像で見たあの年齢不相応に鍛えられた分厚い大胸筋・太い上腕二頭筋・ガッチリした背筋・六つに割れた腹筋・太い太股・太い首を、一誠に不審がられずに心の往くまで堪能しながら、一誠の好感度を最大限に稼げるか、二人の友達のアドバイスを思い出しながら計算を開始する。
博識で冷静沈着で頼りになると思っているソーナ・シトリーは、リアスやジャネットと出会う前まで、姉のセラフォルーの様にしてたまるかと考えたシトリー家によって、確実にシトリー家を継がせる為に、殆ど家から出さず、会う人物も厳選して育てられた結果。
男友達どころか女友達すら居ない。初恋もまだの元ボッチの超箱入り娘。
勇敢で決断力に優れ社交性もあり頼りになると思っているジャネットは、前世は恋愛経験絶無。今世はプリキュアに所属してからの女友達は沢山居ても、異性の基準が、料理上手で、ちゃんと叱ってくれて、物知りで、ピンチには颯爽と現れて助けてくる――要するにチート持ちでトンでも経歴の兄が基準なので、告白されても「ごめんなさい。良いお友達でいましょうね」と全て断っている。
そのうえ、その無駄に高い基準が理由で、胸ときめく出会いなんて一度も経験した事がない。恋愛絶無娘。
リアスはリアスで、絶望的な状況にある悪魔の大きな助けと成りうる才女と有名なセラフォルーが「私は魔法少女だから☆」と宣って、現魔王サーゼクス直々の魔王就任要請を蹴っ飛ばし。シトリー家の継承権を遥か彼方に放り投げた――"セラフォルー・ショック"の影響で、ソーナ同様に超箱入り娘として育てられた為、ソーナとジャネットに会うまで、親しいと云えるのは兵藤姉弟だけで、知り合いと云えるのはライザーとライザーの眷属達のみ。兄サーゼクスの眷属達は、それぞれの仕事が忙しい為に顔見知り止まり。
初恋の相手は一誠で、友達の作り方がよく分からない超箱入り娘。
つまり、リアスが頼りにしているアドバイスの出所は、少女漫画やドラマや恋愛小説や映画が殆どであり。
極僅かに小耳に挟んだ、女友達やクラスメート達の恋ばな。
要するに、殆ど役に立たないアドバイスだったりするが、そんな事に気付いていないリアスは、真剣に真面目に熱心に、幾つものプランを練り上げ構築していく。
それが実行できる機会が訪れるかどうか別として、訪れたとしても実行できるかどうかは、完全に棚上げして、恋する乙女リアスは必死に頭脳を働かせ続ける。
「リアス先輩。送りますから外に出ましょう」
思考に没頭していた為に、一誠の接近に気付かなかったリアスはビクッとしてしまう。
「先輩? なんか考え事ですか? 頼りないだろうけど相談ぐらい乗りますよ?」
突然押し掛けても、嫌な顔せずに心配そうにしている一誠に、"やっぱり優しい"とか"背が高い"とか"イッセーは私より頭ひとつ高いから、目を瞑って爪先立ちに成らないとダメよね"とか"あの厚い胸板と太い首筋に顔を埋めたい"とか考えながら、そんな事は一切表に出さずに「大丈夫よ。イッセー。心配してくれてありがとう」そう言いながら、自然な動作で一誠の手を取ろうとするがリアスの手はピクリとも動かなかった。
「それじゃ、チャリ持って来ますから外で待ってて下さい」
そう言いながら外に出て行く一誠の背に続いて外に出たリアスは、"さりげなく自然な動作で手を繋ぎ、あのゴツゴツした手を堪能しながら自分を意識させるプラン"が失敗した事に歯噛みしながら、心の中で『ソーナ。ジャネット。私に勇気を!』と叫びながら、次の"自転車の後ろに乗る時に、さりげなく自然にガッチリした肩と太い首筋に触るプラン"を完遂せんと意気込む。
その後も、自転車に跨がり「後ろに乗ってください」と言う一誠の肩や首筋を触ろうとするが、無意識に後輪側に取り付けられているキャリアに手が伸びて、そのまま座ってしまう。
ならばと、次のプランを実行せんと気合いを入れたリアスは、一誠の「飛ばすんで、ちゃんと捕まってください」との言葉に、待ってましたとばかりに"さりげなく自然に、間違えた振りをしてあの胸にタッチして、腰に両手を回して、自慢の胸を押し付けて自分を意識させるプラン"を決行しようとするが、何度か躊躇した後に恐る恐る一誠の腰を掴むだけに終わってしまう。
惨敗が続いたリアスは、せめて"わざと遠回りの道を教えて、二人乗りを堪能するプラン"を決行しようとするが、一度だけ一緒に帰った時に道順を完全に覚えていた一誠の前に敗北する。
それなら、グレモリーの次期当主として叩き込まれた話術で一誠の関心を惹こうとするが、クラスどころか学年が違う上に共通の話題がライザー関係。漫画やドラマはそもそも見るジャンルが違う。その上、いざ二人きっりになると、なにを話して良いのか分からなくなり。あまり会話が弾まない。
なんとか起死回生の妙手をと考えているリアスは、一誠の「リアス先輩。着きましたよ」の言葉に時間切れを知り。渋々、自転車を降りて「送ってくれてありがとう」と一誠にお礼を言うと、その言葉を受け取り去って行く一誠の背中を見送り、力無く項垂れながら自宅に入った。
自室に戻ったリアスはパソコンの電源を入れると、"一誠"と書かれたフォルダを開き、複数のアイコンの中に有る"見て聞く"と書いてあるアイコンをダブルクリックして、録画設定をすると音量を最大限に上げる。
一連の作業を終えたリアスは、Tシャツとジーンズを脱ぎ捨て下着姿になるとスプリングの効いたベッドに飛び込む。
「はぁ~ 全然、計画通りに行かない......どうすれば良いのかしら......」
自分が予想以上にヘタレだった事にショックを受けながら、リアスは一誠攻略計画の大幅な見直しを覚悟した。
一誠にお姫様抱っこをされてベッドに運ばれた京子は、一誠とリアスが一緒に家を出たのを扉の開閉音で確認すると、おもむろに起き上がり、敵に塩を贈ってしまった事に苦虫を噛み潰した様な顔をする。
「焦り過ぎたわね......梔子箒が一誠の二次元嫁だから逝けると思ったのだけど」
深々と溜め息を付きながら、押し入れからコスプレ用の布を取り出すと、ナコルルの衣装設定をスマホで検索し始める。
「それにしても、これ、確実に私以外の転生者が沢山居るわよね......原作にスマホとか無かった筈だし。ドラゴンボールとかダイの大冒険とかジョジョとか有るし......亀仙流とか存在するし」
検索を終えた京子は『まぁ、一誠アンチとかじゃなければ好きにしたら? てところなんだけど』と考えて、自分の転生チート"原作一誠への憑依・転生の全面禁止。兵藤家に転生。家事一般スキル超一流。一生生活に困らない財力"を思い浮かべ小さく嗤う。
それとなく、紫藤イリナとのフラグは念入りに砕いて粉々にした。
姫島朱乃と塔城 白音は、駒王学園に在籍を確認し、リアスの眷属ではなく眷属候補で、バラキエルが日本神話所属で姫島朱璃が生存し、白音が黒歌どころか両親や両親の雇い主ともかなり良好な関係だったりと驚いたが、一誠とのフラグは念入りに潰し続けている。
他のハーレムメンバーのフラグも潰す計画を立てている京子は、嗤いながら呟く。「一誠は誰にも渡さない」と。
「ねぇ、イッセー? 俺を私にしたんだから……ちゃんと責任とってね?」
単純に、一誠の身内と云う立場で物語を傍観したかっただけの転生者は、tsした上に一誠のせいで虐められて。
現実の一誠の良い所・悪い所を知り、その上で一誠を可愛い弟として認識してその悪癖を正す為に奮闘して。
自分で言い出したとは云え、全裸をガン見された上に隅々まで触られて、自分が男でなく女である事を一誠に理解させられ。
アレは気の迷いだったと思える様に成った頃に、逞しく男らしく成長した一誠に無理矢理に組み敷かれ、必死に抵抗しても乱暴に道具の様に扱われて、自分はやっぱり女なんだと、再認識させられて。
色々と目覚めて、覚悟完了したts転生者。京子は薄く嗤い続ける。
「ああ、早く一誠の赤ちゃんを産みたいなぁ」
頑張れ。一誠。負けるな。一誠。
上手く立ち回れば、両手に花どころかーーハーレムだぞ。