いきなり三人に振られた問題、魔法についても殆ど分からない二人(一人は分かる)にやらせるにはあまりにも酷な内容(実はコレの正答を知っているのは私と永次郎、そして今、この地球にはいないもう一人しかいない。)だが、アリサちゃん、すずかちゃんはうんうん頭を捻って考え始める。
①青色に輝く菱形の宝石
②紫色の金属で出来たメダル
③淡い緑色に近い色で発光する「T」の字をした白い金属。
④透明感のある青い涙滴型の結晶。
危険か否かを判断するのはこの四つだが、言わずもがな1はジュエルシードである。
ヴェルダンによって送られてきたデータや、私の魔法使いとしての見識から見れば、コレが一般的には超のつく危険物であることはすぐに分かる。
しかし、そんな情報知る由もない二人にとって、これはただの青い宝石でしかない。
これは他の物品にも言えることだが、完全初見では既に発光している③を除けば、危険か否かの推測を建てることは困難を極める。
故に、彼女達の行動は早かった。
「アウドムラさん、質問いいかしら?」
「勿論、答えに直結しない程度なら幾らでも答えてあげるわよ?」
「それじゃあ一つだけ、今回の問題におけるアウドムラさんにとっての危険物って、どんな基準かしら?」
「そうね、永次郎も同じ基準なんだけども、基本的には使い方をミスったりすると即アウト、あるいは現物の現状的には触れると悪影響は確実な物が今回該当するわね、ってか1つだけだけど、触るどころか近くにあるだけで大変なことになるものも…………」
「…………そんなもの私たちに見せてるの!?」
「まぁ、その容器は万に1つもアリサちゃん達の力では開けたり、壊されたりしないようになってるしね、私なら開いたら開いたで対処できるけど。」
「ええぇ…………」
さらりと超危険物を見せてる私に思わず驚く二人、対処できると言う事実を言ったら軽くアリサちゃんに引かれてしまった、っていうかなのはちゃんいつまで固まっているの?
「え…ええっとぉ……………これ、どうしよう…………?」
「じ、じゃあ具体的にどんな危険を伴うものなのかって教えて貰えるの?」
「一番危険な代物を一つだけぼんやりと教えて上げると、近くにあるだけで街中がゾンビパニックも真っ青の大惨事を引き起こすわね、いま使われている容器は、そんなレベルの超危険物を処理する前の一時保管の為に用いる代物だから、とりあえず現状は問題ないわ」
「……………え?」
超危険物だとは聞いたけど、そんなにヤバいもの見せてたの!?と言わんばかりの驚愕の色に染まる三人、対処に難儀してあたふたしてたなのはちゃんもこれにはビックリしたらしく、気がつけば二人よりも遥かに真剣に四つの封されたものを見つめるようになっていた。
「うーん…うーん………これは…」
「…ダメね、判断基準が少なすぎるわ」
「これ、色とかは判断基準になるのかなぁ?」
「は~いそろそろ時間切れ~、山勘でも何でも良いから取り敢えず答えを出してもらいましょ~」
三者三様に答えに難儀する中、三人の様子を見ていて永次郎が何かを察したらしいのだが、それがなんなのかまではあえて問わず、時間切れを宣告し、答えを聞くことにする。
何かをひたすら迷っているなのはちゃん、ヒントが少な過ぎて答えを導き出せてないアリサちゃん、何かしらの判断基準で答えを導き出そうとしているすずかちゃん、そして三人は順番に答えを出して行く。
「私は、②番と③番かなぁ?と思います、3番は既に光ってるらその光が危険なんじゃないかなというのと、2番は紫色をしてるのでなんとなく……」
「私は①、③かしら?三番が露骨に光ってるのが気になるし、1番は4番と似て見ただけだと危険そうには見えないけど、問題の趣向を推測するに多分どっちかが危険物っぽく感じられたから、後は勘でってとこ?」
うーん、惜しい、アリサちゃんもすずかちゃんも事実上当てずっぽうになるのに一つずつ正解を当てている、露骨なトラップ扱いで3を伏せてみたら見事に引っかかっちゃったって所ね~
「………1番と2番です」
「………へ?」
「答えは1番と2番、多分、話に出ていた特に危険なのは2番かな?って思います」
「根拠は?」
「……なんとなく…なんですけれど…」
「ほほーう?成る程ね~、それじゃ正解発表~、丁度いいから選ばれなかった4番から順に正解発表するから解説は永次郎宜しくねd(>∇<)」
「え?俺!?」
答えを出したので正解発表~答えはそれぞれの物が危険物なのかどうかを解説交えて一つずつ説明する方式にした、誰も選んでない4→なのはちゃん以外の2人が選んだ3→なのはちゃんが選んだ2つと流れを組みやすいので4から1の順に解説をいれることにする。
いきなり解説を振られた永次郎が驚いているが解説能力は私よりあるので問題なしとして解説を始める。
「取り敢えず誰も選んでない4だけど、根本的に大したモノじゃ無いので選ばないのが正解、よって三人とも正解ね、」
「これは飛行石と呼ばれている特殊な鉱石の結晶でな、本来は空気に触れた瞬間に鉱石が持つエネルギーが反応して小さく光るだけの代物なんだけれども、こんな感じに結晶として加工すれば軽い衝撃を与える事でいつでも使えるライトになる代物なんだ、まぁ、文献とかを漁ると、使い方次第で人を浮遊させることすらできるらしいんだけど、そんなことができたと言う話は聞いてないから今のところはその透き通った色合いと稀少さから専らアクセサリーとして用いられてるねぇ」
そう言うと、永次郎は飛行石の入った筒を強く振り、中の石を筒に強くぶつけた。
直後、強い青の光が部屋を照らし始めたのである。
「凄い……部屋中が青くなってる……」
「……私、こんなに綺麗に光る結晶なんて見たことないんだけれど……?」
「結晶化加工の難易度が非常に高いのと、鉱石の方すら取り扱い業者でも殆んどお目にかかれないレベルで流通量が少ないのと、結晶化前の鉱石でさえとっくの昔に掘られなくなってたものが近年再発見されたばかりなマイナー鉱石なせいによる認知度の低さが相まって殆んど入手出来ないからねぇ、ぶっちゃけ今のとこ産出する鉱山一箇所しかないし……」
「本当だったら三人に似合いのアクセサリーとして良さげだからあげても良かったんだけど、私の知り合いに依頼されて保管してる物だから渡せないのが残念、って所かしらね」
本当はその鉱山が別世界の鉱山であり、つまり異世界の鉱石であるためこの世界での所謂お金持ち(永次郎談)なアリサちゃん達でさえお目にかかった事がないのは当然の話なのだが、そのことを言わずに誤魔化して見せたのは永次郎らしい空気の読み方と言うべきだろうか。(ちなみに異世界産だと言ってないだけで後の事は大体事実である)
「次、3番なんだけど結論から言うとこいつもそこまでの危険物じゃないわ、残念だけれども危険物と判断したすずかちゃん、アリサちゃん共に不正解ね」
「し、しまったぁ……見た目で危険物っぽく見せるトラップの方かぁ……」
「アリサちゃんの言うとおり、露骨に光ってるから危険物じゃないかな的なムーブメントを誘導したトラップとして用意されたのがこのサイコフレームと呼ばれる合金だねぇ」
「これは人の精神感応波をに反応して強度が恐ろしく跳ね上がる合金なんだけれども、使い方次第なら相手にテレパシーじみて意思を伝える中継機構になりうることや、下手をすれば宇宙空間で一定方向に動いている小惑星規模の隕石を進行方向の逆側に引っ張ったりだとかのオカルト染みた事が出来る事判明している代物だ」
「実は今のように光ってる状態だとそれができるのだけれども、そんな意味不明なレベルの本領を発揮するには非常に精神感応波の強い人物が何人も必要になるもんな上、それだけ感応波が強い人物なんて殆ど見かけれない為、本領を発揮できない代物となっている、ま、そんなわけで現状だと危険ではないのでこれもセーフ扱いって訳だね、個人的には危険物扱いで良くね?とか思ったりはしてるが…昔からアウドは一貫してセーフ扱いしてるしなぁ、てかなんでコレ光ってるの?」
「んで、残った1番2番が問題の危険物、よってなのはちゃん正解!おめでとー(*^▽^)/★*☆♪」
「何でこんなクソヤベエ奴が保管されてるんだオイ……ゴホン、先に2番から解説するんだけれども、こいつの名はゾンダーメタルって言ってね、元々は別の遠い星で製造されたストレス対策用のシステム媒体の一つだったんだけども、肝心のシステムが大暴走を起こしてそんじょそこらじゅうの物を有機物無機物関係なく機械と生命体の合の子みたいな奴にして支配下に置いてしまうとか言うヤバいってレベルじゃない代物となってしまったのがこの金属なんだ。」
「……と、いうか本来はそんなレベルで済まされない位にヤバい代物なんだが、アウドがいるからなぁ………」
「まぁ、これくらいはねぇ……あらら、やっぱりと言うかなんというかもう三人とも完全にフリーズしちゃってるわね………(´Д`;)まあいいかっと…」
最早子供の脳ではどうあがいても追い付けそうにないヤバい代物の説明をされた為に、返す言葉を失っている三人を心配しながらも、私はゾンダーメタルの入った筒を握り、【筒を破壊してゾンダーメタルを握り潰した】、
「え?」
「えっ!?」
「へ?」
「おまっ……ヽ(´Д`;)ノ」
そして握り潰した手を開くわけだが、そこに超危険物と言われた代物は既になく、あるのは私の手のひらだけ、
よーするにこいつの【処理】を今済ませてしまった訳だが、三人とも握り潰した手をまじまじと見つめ続け呆然とし、思わず永次郎も呆れてしまっていた。
「……あの……さっきのものって一応触るのも危険な物なんですよね?」
「そうよ?」
「…私、目がおかしくなったのかしら?今、そんな代物を素手で握り潰したように見えたのだけれども」
「ああ、さすがに素手はゾンダーへの抵抗が面倒だから手のひらにうすーく魔力纏わせて潰したわよ?まぁ素手でもできなくはないけど」
「……おじさん、今のって普通に魔力纏わせれば出来るの?」
「無理、だーからこいつは例外だの何だのと言ってるワケよ、今の様子だと到底危険物に見えないけど処理してるアウドがゾンダーと比較して遥かに異常過ぎるだけで、ゾンダーもゾンダーで相当だからな?」
ああ…成る程、散々危険性を指摘した話の割に余りにもあっさり処理されたから目の前の光景を疑わざるを得なかったわけか、まぁいいや、せっかくだしこの混乱の隙をついてなのはちゃんの核心に直撃してみましょうか?
「さて………正直今のは色々とこれから言う話を不思議に思わなくするための前置きみたいなものだったわけだけれども、実はちょっと予定が変わったのよね。(ニヤァ)」
「「「はい?」」」
「………あっ、お前まさか!?(゜ロ゜)」
「最後の一つ、これはジュエルシードと呼ばれている危険物なんだけれども、実はこの場に私と永次郎よりもコレが如何なる物なのかを多分知ってる子がいるのよ(¬_¬)、そうでしょ?なのはちゃん?」
「ふえっ!?(;゜0゜)」
子供の脳ではどうしても困惑することくらいしか出来ないくらいの情報を一挙に詰め込まれて色々と混乱してるタイミングで、一言告げてなのはちゃんの方をじっと見つめる。
「そっちのフェレット君共々幾つか持ってるでしょう?ジュエルシード」
「そ、そんな事無いですよ( ̄▽ ̄;)そんな願いを叶えれる宝石をユーノ君と一緒に集めてる訳なんて……あっ…………(゜O゜;」
「(゜ロ゜)」
「(゜ロ゜)」
「(゜-゜)」
( ; ゚Д゚) (゜ロ゜)(゜ロ゜)(゜-゜) (* ̄∇ ̄*)
(左から順になのは、アリサ、すずか、永次郎、私)
詰みである、色々と詰め込んで混乱させてから自爆を狙った誘導がクリーンヒット、なのはちゃんは隠し事を抱えすぎて慌て過ぎるとボロが出ると前に永次郎が話してたけど、そのまんまだったわね。
「語るに落ちたね、なのはちゃん(* ̄∇ ̄)♪」
「な、な……………な……………なの………(バタンキュ~)」
あ、倒れた。
「………アウド、いつから気づいていた?」
「魔力反応を感知したときには薄々気づいていたわよ?まぁ確信したのは三人が店にやって来た時だけれども」
「(ーдー)ハァ………もういいや、ぶっちゃけ聞こう、それぞれの魔法適性形式とアウド私見の才覚はどんな感じだ?」
衝撃の事実による自爆シーンを見てしまい口をパクパクさせることしかできない二人と、(恐らくは)家族や親友皆に隠すつもりだったであろう秘密を自爆してしまってもうダメだー!と言わんばかりに気絶したなのはちゃんを他所に、もう色々と諦めて話を巻きにしようとストレートに聞き始めた永次郎に既に得ている情報を次々と解き放つ。
「この子達、本当に面白いわよ?なのはちゃんは純正ミッドチルダ式、ざっと見た他のご親族に反応がなかった辺りからして突然変異型のコア持ちね、才覚はまだ測ってないからわからないけど、これまでの反応からして多分もう事件に首ズッブズブだったりするんじゃないかしら?」
「…………だろうな、なのはちゃんはコレでいて驚くほど我慢強くて頑固な子だ、こんな代物の存在を知っていて、そして、自分でそれをどうにか出来るのなら暫く迷ったとしても首を突っ込むだろう、下手すれば無茶と解っていても迷わず突貫するまである、【集めてる】なんて言葉をポロリと溢すんだ、完全に事件の渦中にいると考えるべきだな……よりにもよってなのはちゃんが巻き込まれるとかウェルダンの野郎後で覚悟してやがれよ……(^ω^#)」
「次のすずかちゃんだけれども、前置きとして開幕から氷への魔力変換能力一丁」
「氷結魔力変換資質!?……アカン、下手こいたら仁義なき争奪戦待ったなしや/(^o^)\」
「んで、更なる爆弾として適性形式なんだけども、よりにもよって
「えぇ………」
「挙げ句の果てにこの子吸血鬼の特性持ってるじゃない………この子、魔法の習得ルート次第だと
「おまっ、おまっ!?!!!?」
すずかちゃんの適性話に加えて、大体把握したての情報を参考程度に永次郎に投げたら、彼は突然大声を上げた後、絶句してしまった………え?なんか不味いこと言った?吸血鬼特性位、対象の魔法適性を見るくらいしっかりとその子を見てれば勝手に判明する物なんだけれども……まあいいか。
「最後にアリサちゃんなんだけれども……まぁ、比較的普通なモノとして炎熱変換資質、次点で適性形式が【起源魔法】、いっちゃんヤバいのはこの子が殆ど確認事例のない【焔の魂】を持ってる事かしら?」
「起源魔法てマジか、マジかぁ………しかも【魂】系列の稀少スキル持ちとかアリサちゃんもアリサちゃんで仁義なき争奪戦始まりかねないやんけ……(x_x)」
「能力を加味すれば……まぁ、件の三勢力による取り合いになりかねないのは確かねぇ、まぁ、三人の可能性に関しては【どこもかしこもが欲しがる】と言う認識で間違いないわ」
「…………そうか、そうかぁ……………そうだよなぁ……(ガタリ)」
「永次郎?」
一通り適性関連を話終えた途端、永次郎が立ち上がった。
「正直、この件でなのはちゃんを責める事は出来ん、なのはちゃんが隠していた内容は余りにも重過ぎるし、アウドの話が本当ならば、もう色々と此方も隠していたのをブッパしなくちゃならん」
「え?色々って、こっちならその必要性はないからゆっくり出来るんじゃなかったの?」
「残念ながら、そうではなくなってしまった、と言うわけだ、なのはちゃん、一ついいかい?」
「……………何ですか?」
「あれ?いつの間に復活?」
気がつけばなのはちゃんが永次郎と話せるくらいに持ち直していた、ただ、その顔には諦観のそれが浮かんでるようにも見えた。
「時空管理局、このワードに聞き覚えは?」
「……リンディさん、アースラ………おじさん色々と物知りだから、魔法が解るのならコレで多分……わかると思う……」
「…(。-ω-)、そうか、もうそこまで事が大きくなっていたか……今更ながらウェルダンに輸送船の件が何日前の事だったのか聞いとけば良かったなぁ」
リンディが時空管理局のリンディ・ハラオウン、アースラが彼女の乗っているL型巡航艦【アースラ】なのだろうとは思ったが、【あの艦隊】が展開してるのに管理局の艦が地球に近寄れるのだろうか?
「アウド、覚悟しておけ、ほぼ間違いなく、アースラはウェルダンの言っていた件を補足した管理局の艦だ、次元震案件なら【あっち】は専門に任せるからなぁ、普通に駐留艦隊と交信して次元震案件なのを伝えて下がって貰ったんだろう、と言うかそんな展開じゃないと管理局とは言え追い出される筈だからな」
「あーーー、成る程ね?そう繋がるのか……ウェルダンぇ……」
ウェルダンから話を聞いたのはつい昨日だが、今日現地に来てみればもう既に事は管理局の介入すら引き起こしている……となると輸送船の件は少なくとも1~2週間は前の事だったんだろう、すっかりと忘れていたが、そもそもウェルダンの艦で地球に逆探を避けつつ通信を送るにはかなり地球に近づかないといけなくて、ウェルダンは管理局とかに補足されないように移動するために更に時間がかかるから……話を聞いてた時にはもう既に…って寸法な訳だ……それで一番通い慣れたセーフハウスがオジャンになるとか泣けるってレベルじゃないのだけれども。
「事がでかくなりすぎてる、管理局が出るのは予測していたが、よりにもよってなのはちゃんが渦中……【彼処】の連中が知ったらウェルダンの奴チマツリにされるんじゃねえかなぁ?てかそうじゃなくてもウチの連中だとボコボコにしかねんと言うのがなんとも……!!!?」
ん?どうしたのかし………
「(ムンズッ)…………アウドさん、コレ、どういうことなのか説明してもらえるのよね?」
「(゜_゜)へ?」
ぶっちゃけに度が過ぎたのか、永次郎が色々と悟った顔をして呟いた直後、なのはちゃんに注目していて見落としていたすずかちゃんとアリサちゃんの2人の方を見て驚愕で目を見開いた彼を見てそちらに振り向こうとする直前に肩を思いっきり掴まれた。
直後、アリサちゃんからの一言と共にただならぬ気配を感じて慌てて振り向けば、そこには逃がさないと言わんばかりに片手で私の頭を全力で押さえようとしつつ、もう片方の手で自分の心臓近くの胸で赤く燃える炎を、手に溶け込ませるかのように覆っているアリサちゃんと、何かを決心したのか、真っ直ぐに私を見つめているすずかちゃんの姿であった。
そして直後、永次郎の持っていた携帯から驚くほどの大音量にてとある警報が流れたのだ。
(ちょっ!この警報、【起動音】のじゃない!二人の様子からして両方とも本格起動したって事!?)
「(ムンズッ)教えて貰えますよね?」
真剣な表情を崩さずにもう片方の肩を掴んでくるすずかちゃん、ってか痛い痛い痛い痛い!この子吸血鬼とは言えこんなに力強いの!?永次郎曰くなのはちゃんと年齢変わらないのにコレだけのパワーとか流石に驚く。
「アイタタタタタタ!!二人ともそんな事しなくても教えるわよ!!最初からそのつもりでこの話をしたんだから二人とも落ち着いてアイタタタタタタ!!」
取り敢えず超痛いので離して貰ったのだが、二人はもう既に少し前の口をぱくぱくさせていた少女とは思えないほど真剣な表情で目を瞑って自分の感覚を研ぎ澄ましているようだった。
その直後、胸で燃えていた炎が消え、何かを感じ取った様子のアリサちゃんと、目をつむったまま何かをやり始めたすずかちゃん……二人に何が起きているのかに…それに私は気づいた。
(…………うっそぉ、アリサちゃんのスキルとすずかちゃんの魔法適性が完全覚醒してる……)
説明が長くなるので分かりやすく二人が今どれくらいヤバイのかを表現すれば、現状のなのはちゃんを基準とした場合、二人に多少モノを教えればそれにあっさり追い付いてしまうくらいである。
「感覚的にはコレでよし…かしら?すずか、さっきまでのアウドさんの話、どのくらい理解できた?」
「多分今の私じゃ殆ど理解できてないと思う、超自然機関って何の事なのとか、どこもかしこもって言うけど具体的にどういったとこなんですかとか、疑問に思うことはいっぱいあるよ?」
「・・・だけどね?アリサちゃん、おじさんやなのはちゃん、アウドムラさんが話してくれた事からは幾つかわかったことがある」
「そうね、そうよねすずか………」
「1つ!この世界の他にも幾つもの世界があると言うこと」
「2つ、この世界には魔法があって、なのはちゃん、私、アリサちゃん、アウドムラさんはそれを取り扱える才能があると言うこと。」
「3つ!、最近近辺で起こっていた謎の出来事の数々はこの魔法に絡んで起きた出来事である事」
「4つ、今この時まで、私たちはなのはちゃんの行動の変化が、それらを何とかしようと必死になって戦っていて、それを知られたくなかった事が原因と言うことに気がつけずにいたこと」
「そして5つ!、なのはは、これまでの日常を壊したくなかった為に必死になって秘密にしていた全てが、おじさんとアウドさんの手で一番知られたくなかった人に知られてしまった事………」
「「最後に6つ!知ってしまった当の本人たちは、そんな友達の事を見て見ぬ振りなんてできないって事!」」
あっ……(察し)
「アリサちゃん?すずかちゃん?うおおおおっ!?」
二人が大声で叫んだ直後、またしても永次郎のケータイからけたたましい警報音が鳴り響き、アリサちゃんが赤い炎に、すずかちゃんが1つの巨大な氷塊に包まれ、何が起こったのかをある程度察した私はその場で周辺一体に面倒が広がらないように魔法で処置を施す。
直後、辺りは水蒸気と光に包まれ………
「え?…え?すずかちゃん?アリサちゃん?」
「………ナンテコッタイ/(^o^)\」
「おお……いきなり形成触媒無しでバリアジャケットを形成するとは…これは楽しみな子達ね……」
「なのは!」
「なのはちゃん!」
「バリアジャケット!?すすかちゃん?アリサちゃん?…………ナノーッ!?( ̄□ ̄:)」
「……アウド、すまんが少しの間二人を頼む」
「…永次郎?」
「……もう決めた、アイツの事を信じて、話せるだけを話すことにする、夜が長くなるぞ、備えとけ。」
「え?ちょっと!永次郎!?」
バリアジャケットを纏った二人は、そのまま私たちを半ば無視してなのはちゃんに抱きつく。
いきなり二人にもみくちゃにされることになったなのはちゃんと、途中から最後まで呆然としっぱなしのフェレット、そんな光景を見て、それまで悟ったのと同時にヤケクソ気味になっていた表情から一転し、ある意味いつもの、職人を思わせるような真剣な眼差しになった後、端的に告げて覇天達の応対をしている士郎さんの元へと向かっていった永次郎。
「……やっばぁ、永次郎があそこまで真剣になるなんて……もしかして相当やらかした?」
永次郎があそこまで真剣になるのは基本的に余程の事が原因になっている、【自分の滞在している世界に巨大隕石が落ちようとしてる】だの、【やべえ奴らにやべえ物が渡って次元世界の危機】だの、取り敢えずそんなレベルでないと、彼処まで真剣になることはまずないのが永次郎だ。
永次郎をそこまで追い込むなんて失敗したなぁ…と思いながらも、最早巻き戻ししてもどうにもならない領域。
仕方無いかと気がつけば涙目で話し合っているなのはちゃん達を見守りつつ、永次郎の戻りを待つことにする……………
【side out…………】
【side 永次郎】
なのはちゃんが魔法に正面から関わっていた。
ハッキリ言えば、関わっていてほしくはなかった………が、事の発端が私の友人の失態である以上、最早それを止める術は無い。
ましてや時空管理局と関わりあってしまっているのだ、友人達のやらかしに色々関連してた都合で、重要参考人として友人共々、或いは友人達以上に重要な指名手配人になってしまっている、と言う私の実体が伝わるのも時間の問題になる。
そんな事も含めて、士郎に隠していた事は多いが、アウドが色々とやらかしたお陰で、それらをある程度纏めてブッパする丁度いい機会が不本意ながら出来てしまったのだ。
ロストロギアの襲来と、それに伴う管理局の出現、更に、現地人にアウド曰く【優秀】な魔導師が出現した事………挙げ句の果てになのちゃんの友人に【魂】持ちと【超兵器反応】………時空管理局だけでは無い、近隣次元に一個艦隊を半ば休暇配置扱いで配備してる【クロガネ連盟】や次元世界の各地に情報提供要員を伏せている【エリトリア連邦共和盟主帯】にも動きが出るだろう、今の地球圏にそれらが干渉した場合、地球圏にそれをはね除ける力は無いはずだし、それら【三大勢力】が不干渉方針を維持すれば【時空犯罪者には関係ないの法則】が発動してにっちもさっちも行かなくなってしまう。
只でさえ【あの頃】から地球圏はアウド達とは別の……それこそ一般的な異世界の犯罪者達の巣窟になりかける危機にあったのだ、【まだこの星が誰にも注目されなかった】・・・いわば次元世界の【田舎】扱いだったあの頃から、ずっと……
「はぁ…………………………(ーдー)=3」
深~いため息をつく
実のところ、近年の次元世界の犯罪事情がどうなっているのかを多少なりとも把握している私からすれば、地球圏には今、まさに大きな危機が訪れようとしている(下手すれば既に危険域に入っている)と言え、そしてその危機は時空管理局などの大勢力では対処が困難であることが容易に想像つくものであった。
下手なロストロギア案件よりも遥かに危険と言えるソレを避けるためにも、地球圏…故郷には本当の意味で【ただの田舎】であって欲しかったのだが、今回の事件が…とりわけなのはちゃん達が地球圏出身の優秀な魔法使いであることが広く知れ渡れば、非常に不味いことになる……………。
「おう天城、取り敢えず話は終わったのか?」
「……まぁ、大体はな」
「さっきの気配の質と、お前のそのいつもの面と併せて考えるとなると、やはり余程の事らしいな?」
「……士郎達にも説明しなければならん程だ」
「それなら既に多少は済ませておいた、お前に確認が取りたいとオーナー夫妻は話してたぞ?」
「…オイマテ、どのくらいまで話した?」
「んー?取り敢えず俺、優樹菜、アウド、それと前この店に行った優樹菜の夫とウェルダンの奴とかが異世界で犯罪者になってるってこと、お前は俺らやらかしに対する尻拭いの手伝いを引き受けてもらっていて、そのせいで重要参考人扱いで管理局から指名手配食らってること、管理局と同じくらいの勢力としてクロガネとエリトリアがあること、あとオーナー夫妻の娘さん…なのはちゃんだっけ?あの子デバイス持ってるじゃねえかもしかして魔法使い?って具合かなぁ、色々とアレな内容だからお前とは別の奥の部屋に連れられて優樹菜に防音の魔法張ってもらって話通した」
「………」
相変わらず手早い奴だ………大体話そうとしていたことを士郎に既に話していたらしい。
俺に確認が取りたいと士郎と桃子さんが言ってると言うことは、それが本当なら士郎達も半信半疑なレベルには覇天の話を受け止めれていると言うことだ。
少なくとも俺が事実関係を再確認すれば、少なくとも必要そうな情報に関しては信用してもらえるだろう………。
「それと………後からやって来たオーナーの息子さんのツレにお前が話してくれた俺の目的の人物がいたからついでに用事を済ませたんだが………」
…………はい?【用事を済ませた!?】…………ちょwwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwww
「んで、見た目笑顔、その実全く笑ってないアレな表情で【お礼】として実家にご招待賜ったワケなのだが……何でかお前にも礼がしたいとお前も連れてくるように言われたぞ?」
「も…も…………も………」
「ん・・・?永次郎?」
アウド然り、覇天然り、他の奴も然り、どうしてお前らはこういう時そこで今踏まなくていい地雷に突っ込んで爆破処理しようとするのか、コレガワカラナイ。
ただ、もう一言だけは言えることがある。
「もうどうにでもな~れ
*゚゚・*+。
| ゚*。
。∩∧∧ *
+ (・ω・`) *+゚
*。ヽ つ*゚*
゙・+。*・゚⊃ +゚
☆ ∪ 。*゚
゙・+。*・゚」
「あっ……天城ィィィィィィィィィィィ!???ヤバいヤバいヤバい!取り敢えずいつものーーー!」
ボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコ
コボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコ
ボコボコボコボコ∧_∧ ∧_∧∧_∧ボコボコボコボコ
ボコボコ∧_∧´・ω・)(´・ω・`)・ω・`∧_∧ボコボコ
ホコボコ(´・ω・)∧_,∧lll ∪)∧_∧・ω・`)ボコボコ
ボコボコ∧_∧ ´・ω∧∪∧(・ω・∧_∧⊂)ボコボコ
コボコ(´・ω・)≡つ);;)ω(;;(⊂≡(・ω・`)___\ボコボコ
ボコボ(っ つ=つ ( >>永次郎 )⊂=⊂≡ ⊂) \ )ボコボコ
ボコボコ/∧_∧∧_∧ ∧ ∧_∧∧_∧\ボコボコ
ボコボ( ( ´・ω)( ´・)( )` )(ω・` ) )ボコボコ
コボコ(っ つ/ )( ) \ ⊂)ボコボコ
ボコボ/ )`u-u'. バ∪ ̄∪バ`u-u' \ボコボコ
ボコ( / ̄∪ボコボコボコボコボコボコボコ∪ ̄\ )ボコボコ
ボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコ
コボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコボコ
(※比喩表現です)
「あーばばばばばばばbbbbbbbbb!?」
脳が思考放棄してパッパラッパーになる兆候を見せた瞬間、覇天からの情け容赦の無い百連撃を受ける私。
いや確かにヤバい感じになったら何やらかすか分からんから無理くりでもいいから止めてくれとは言ったよ?
でもさ、やられる度にいつも思うんだけどこれは流石に容赦無さすぎじゃない?
そんなことを思いながら私は目の前が暗くなり、暫しの眠りに就く羽目になった。
その後、気がつけば私は気絶したまま月村邸に輸送されており、そこには高町家、月村家、バニングス家の3家が揃い踏みし、緊迫の状況下にて、私にとっての更なる修羅場が待っていたことを追記しておく。
【side out…………】