インフィニット・ブレイド   作:ケヴィス

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ようやく更新出来ました。遅くなってしまって誠に申し訳ありませんでした。

皆様がお楽しみいただければ、幸いです。


「運命の切り札をつかみ取れ!!」


第12話

   【霧を纏う淑女】

 

 

 

「変身」

 

 

《Turn Up》

 

 

 放課後の第二アリーナ、俺はブレイドに変身する。戦う相手はアンデッドじゃない。

 

「よろしくね。ゆっくん」

 

 戦う相手はISを纏ったカナ。

 

 そしてカナのISは『モスクワの濃い霧(グストーイ・トゥマン・モスクヴェ)』じゃない。先日ようやく完成されたカナの専用機は名を変えた。その名は『霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)』。

 

 今日はそのテストを兼ねた模擬戦だ。

 

 しかし、IS相手にライダーシステムを、ましてやカナには使いたくなかった。しかしカナがどうしてもとお願いされ、俺が折れて使うことになった。

 

『………それにしても……』

 

 俺は観客席を見渡す。そこには数多くの女子がいる。その数は多く、空いている席の方が圧倒的に少ない。

 

『なんでこんなに集まったんだ?』

 

「それは滅多にアリーナにこないゆっくんが来たからだよ」

 

 そんなものなのだろうか。

 

 俺はラウズアブソーバーのカードホルダーから二枚のカードを抜く。

 

《『アブソーブ (クイーン)』、『フュージョン (ジャック)』》

 

 俺はラウズアブソーバーを起動させ、ジャックフォームになる。

 

「そうだ。提案があるんだけどいい?」

 

 カナの提案、か。また変なことじゃないといいんだけど。

 

『なに?』

 

「私が勝ったらお願い聞いてくれる?」

 

『…………それは俺が本気を出せないこと知ってて言ってる?』

 

 俺の本気、つまりカードのコンボを使うことだ。

 

 そして重要なのは、本気を『出さない』のでなく『出せない』ことだ。

 

 IS相手にコンボは威力が高過ぎる。使えたとしてもよくて単体でしか使えない。

 

 だから本気が出せない。

 

「卑怯かもしれないけど、知ってる。もちろん断っても良いよ」

 

 笑顔でカナは言ってるけど『断らないで』という雰囲気であることは確かだ。

 

『………解ったよ。ただし一つだけ、これが絶対条件!』

 

「もちろんだよ。――さあ、始めよう。ゆっくん♪」

 

 カナはガトリングランスを呼び出し(コール)して、俺は左腰のラウズホルスターに収納されている強化型醒剣ブレイラウザーを抜く。

 

「…………」

 

『…………』

 

 カナはガトリングランスの先を俺に向け、俺はブレイラウザーを両手で構える。

 

『………っ!!』

 

 先に俺が動いた。ブレイラウザーを上段から降り下ろすが、カナはガトリングランスで受け止めるのではなく、受け流した。

 

 俺はすぐに反転した。視線の先のカナはガトリングランスを構えて撃ってきた。俺は慌てて横に回避する。

 

『……本当に勝ちに来てる』

 

「それはそうだよ。お願いを聞いてもらうためだからね」

 

 カナは笑顔で言うけど、その喋ってる間も撃つのを辞めない。

 

(笑顔でガトリングを撃たないでくれるかなぁ……)

 

 俺は回避しながら間合いを詰めようとするがカナは上手く立ち回って詰められない。

 

 カナは確実に一定距離を保っている。

 

「その青いパワードスーツは近接タイプみたいだからこのまま距離を取らせてもらうよ」

 

 カナが言ってることは合ってる。

 

 ブレイドは近接戦を得意とする。だけど他に攻撃手段が無いわけではない。

 

 俺はブレイラウザーを逆手にしてオープントレイを展開してカードを一枚抜き、スラッシュ・リーダーにラウズする。

 

 

《『サンダー』、ライトニングショット》

 

 

 スペード6『サンダーディアー』の効果でブレイラウザーに帯電する。

 

 そしてブレイラウザーをカナに向けて突き出すことで帯電された電気が、カナに向けて放電する。

 

「そうくるなら、私はこうするよ!」

 

 そう言うとカナの前方に水の壁が出現して、電撃を全て防がれた。

 

『……成る程、水を操るのか』

 

「そう、アクア・ナノマシンを混入した水を自在に制御できる。これがこの子、『ミステリアス・レイディ』の第三世代型兵器」

 

 カナはそう言いながら左手に一本の短剣を呼び出し(コール)する。

 

「この武器は新しくインストールした武器、蛇腹剣『ラスティー・ネイル』」

 

『蛇腹剣、名前の割には短剣の様にしか見えないけど?』

 

「もちろんこのままだと只の短剣だけど」

 

 カナはおもむろに短剣の切っ先を電撃を吸収した水の壁に当てる。

 

 すると短剣に吸収され、水がブレードの様に展開する。しかもバチバチとさっきの電撃も纏った長剣になる。

 

「こうすれば立派な剣だよ」

 

 右手にガトリングランス、左手には電撃を纏った水の蛇腹剣。

 

『………まずいなぁ』

 

 状況はこっちが圧倒的に不利だ。

 

 もちろんコンボや『タイムスカラベ』を使えば切り抜けることはできる。

 

 しかし、コンボはIS相手に使うには強力過ぎる。かといって『タイムスカラベ』は卑怯過ぎてあまり使いたくない。

 

「いくよ!」

 

 カナが一瞬で間合いを詰めてきた。これは以前使ってきた瞬間加速(イグニッション・ブースト)だ。

 

 スピードを活かしてランスで突きをしてきた。

 

『そう何度も!』

 

 俺は側面に回り込む様にランスの突きを避ける。左手に持っている剣で追撃されない突き出した右手の方に回り込んで、ブレイラウザーを降り下ろす。

 

 しかし、ブレイラウザーはカナに届かなかった。水がカナを包み込む様に展開され、その水がブレイラウザーを防いだのだ。

 

「当たるとは思ってないよ。だけど攻撃を受けるつもりもないよ」

 

 カナが蛇腹剣を降ってくる。俺は後退して避ける。

 

「やっぱり当たらないね」

 

『こっちだって当たるわけにはいかないならな』

 

「それなら―――」

 

 カナが蛇腹剣を大きく振りかぶる。

 

 俺とカナの間の距離は約3メートル、普通の剣なら届かない。それはカナも解っているはずだ。

 

 しかし、俺は忘れていた。

 

 カナの剣、『蛇腹剣』の最大の特徴がなんだったのかを………。

 

「これならどう!」

 

 カナが剣を振るうと刀身が伸び、伸びた刀身が鞭の様にしなって迫ってくる。

 

「ちっ!」

 

 剣と違って鞭とかのしなる武器はみきり難い。辛うじて避けた。

 

 しかし、カナはすぐに切り返して、追撃をしてくる。今回は回避が間に合わない。俺はブレイラウザーで受け止める。

 

「もらった!!」

 

 カナが動きの止まった俺に、右手のガトリングランスで更に追撃をしてきた。

 

『―――っ!!』

 

 ガトリングランスが体に当たる前に先端を空いている左手で掴む。

 

 しかしカナはそこから更に四連装のガトリングで攻撃をされた。

 

 至近距離でのガトリングで俺は受けてしまった。しかし、すぐに蛇腹剣を弾き、カナと距離を取る。

 

 カナは伸びていた刀身をすぐに剣の長さに戻した。

 

「どうする。まだ続ける? 私としては良い稼働データが取れたし、武器も使えたから辞めてもいいよ?」

 

 カナの言葉に俺は悩んだ。このまま戦ってもじり貧で俺が負けるのは時間の問題だ。

 

それにこれはカナのISのテストが主な目的だ。仮に俺がここで負けを認めてはならないほど重大なものではない。

 

 負けたらカナのお願いを一つ聞くことになるが、別に嫌ではないし、カナも変なことは言ってこないだろう。

 

『…………解った。俺の負けだ』

 

 俺はブレイラウザーをホルスターに戻しながら言う。

 

「それじゃあ、お願いちゃんと聞いてね。ゆっくん♪」

 

 カナの笑顔はイタズラや悪魔の様な笑顔ではなく、純粋に嬉しそうな笑顔で言った。

 

『解ってるよ』

 

 こうしてカナとのテストを兼ねた模擬戦は終了した。

 

 

 

 

 

 

 時間は過ぎて夜、俺はシャワーを浴び終えて、洗面所から出る。

 

 やっぱり今日みたいな戦いの後はのんびり湯船に使って疲れを癒したいな。

 

「〜♪ 〜〜♪」

 

 洗面所から出たら、カナはかなり機嫌が良い様で、鼻歌を歌いながらベッドで腹這いになって雑誌を読んでいる。

 

 格好は相変わらずのYシャツ一枚、ベッドの上で足を泳がせてるから淡い青の下着が見えてる。

 

「それで、カナのお願いって何?」

 

 ベッドに腰かけてカナに直球で訊く。

 

「んーとね」

 

 カナは笑顔でベッドで横になりながら体を俺の方に向けた。

 

「ほらほら! ここら辺につける……。キラッとしたアレ! アレがほし~な~♪」

 

 カナは右手の人差し指で『左手薬指の付け根付近』を指差した。

 

「………それっていわゆる三ヶ月分の……」

 

「そ♪」

 

 カナは満面の笑みで言う。

 

「……デザインは決まってるの?」

 

「もちろん! これ!」

 

 カナはさっきまで見ていた雑誌を見えるように見せてくれる。

 

 そこに載っていたのはペアの指輪、色はゴールドで装飾は特になく、シンプルな指輪だ。

 

 しかし値段は左に3がついていて、その後には0が5つ付いているブランド物だ。

 

「また凄いものをねだってきたね」

 

結婚指輪(エンゲージリング)だったらもう少し高いよ」

 

(カナの中ではそこまで進んでいるのか……)

 

 まぁ俺も付き合ってる以上そこまで考えてないって言ったら嘘になるけど。

 

「解った。貯金の3分の1を使うことになるけど、学年別トーナメントが終わったら買いに行こう」

 

「ゆっくんって結構お金あるんだね」

 

 




ブレイド専用ビークル

ブルースペイダー

全長:2070mm

全幅:810mm

全高:1410mm

最高時速:340km/h

最高出力:320馬力

ベース車種:ホンダ・XR250

ブレイド専用マシンとして開発したスーパーバイク。基本カラーは青。神碕は普段からこのマシンを使用している。

動力系に超小型原子力エンジン・AB-27Eアトミックブラストを採用しており、通常のバイクとは比較にならない程のスペックを誇る。また内部にはマイクロスーパーコンピュータ・

SPC-NEXASSが搭載されており、ブレイドの意志を受けての無人走行が可能となっている。
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