最後の方は結構際どい感じになったと思います。
皆さんが楽しんでいただければ幸いです。
「運命の切り札をつかみ取れ!!」
【学年別個人トーナメント:後編】
『くっ!』
楯無と裕が戦って十五分が経過した。裕は楯無のガトリングを避けながら二枚ラウズする。
《『バレット』、『ラピット』、『バレットショット』》
裕は楯無に強化型『醒銃ギャレンラウザー』を撃ち、楯無も裕に四連装ガトリング・ガン内蔵ランス『蒼流旋』を撃つ。
互いに撃った弾は交差し、狙った相手へと向かっていく。
『くっ!』
裕は肩や腕に弾を受けるが身体は全身装甲のオリハルコンアーマーでダメージは無いが、弾を受けた反動でくぐもった声がもれる。
楯無はシールドバリアーによって弾は防がれたが、それによりシールドエネルギーが減った。
「ねぇ、ゆっくん。提案があるんだけど」
『……なに?』
「次の攻撃は互いに最大の攻撃を放つ……っていうのはどう?」
『…………』
楯無の提案に裕は思考する。楯無がそう提案したのには理由がある。その理由は『IS』同士の戦いではないということである。
『……一応、理由を訊いてもいいかな』
ライダーシステムとの戦いでは特別ルールがある。それは『変身が解除されたら負け』となっている。
しかし、どれ程のダメージを与えたら、どれくらいダメージを蓄積したら変身が解除されるのかを楯無は知らない。だからこその考えである。
「多分、このままだと……私が負けるかもしれないから」
『それで最大の攻撃か。考えが飛躍しすぎのような気もするけど……解った。受けるよ』
裕はオープントレイを展開して二枚のカードを引き抜き、スラッシュ・リーダーにラウズする。
《『ファイア』、『ドロップ』、『バーニングスマッシュ』》
『ドロップ』と『ファイア』を連続スラッシュし、足に炎を纏う。
「いくよ。ゆっくん」
両手で持っていたランスを左手で持ち、右手を真上に突き出す。
「『ミステリアス・レイディ』最大の攻撃……」
楯無の掌の上で、水が集まっていく。
「通常時は防御用に装甲表面を覆っているアクア・ナノマシンを一点に集中、攻性成形することで強力な攻撃力とする一撃必殺の大技」
楯無が言うように『ミステリアス・レイディ』の全身から水を奪い、掌の上で徐々に形を作っていく。
「名付けて――《ミストルテインの槍》」
掌の上で巨大な水の槍が作られた。
それを構成するすべてのアクア・ナノマシンが超振動破砕を行う破壊兵器の塊である。
裕は上空へ上がり、更に後方へと飛んで、楯無と距離を大きく空ける。
『いくよ。カナ』
「もちろん」
裕は楯無に向け全速力で突っ込む。途中で体を縦に回転させて、両足を揃えてドロップキックの体制となって突っ込む。
楯無は真上に突き出した右手を後ろへと引いて、迎え撃つ様に突き出す。
そして互いの最大の攻撃、『炎の蹴り』と『水の槍』がフィールドの中央で衝突する。
互いの攻撃は均衡しているかと思ったが、楯無の《ミストルテインの槍》の方が勝っていて、裕は少しずつ押されていく。
『!! まだだ!!』
裕は体をドリルの様に回転させる。それによりまた互いの攻撃は互角となった。
「私も負けないよ!」
楯無も負けじと最後の一手を使った。
アクア・ナノマシンはエネルギーを転換、大爆発を起こした。
楯無はシールド・エネルギーに守られたが、ほぼゼロ距離の爆発。一歩間違えれば自爆に等しい賭けだった。
爆発で楯無と裕、互いに吹き飛ばされる。
「はぁ……はぁ……はぁ」
『ミステリアス・レイディ』のシールド・エネルギーは残ったが二桁しか残っていない。かなりギリギリだった。
裕は地面に叩き付けられた。そして、ベルトが叩き付けられた反動で外れてしまって変身が解除された。
『試合終了。―――勝者、更識 楯無』
裕の変身が解除されたことにより、楯無の名前が響き渡る。
「いってー」
地面に叩き付けられた裕がゆっくりと上半身を起こす。
「ゆっくん、大丈夫?」
楯無が裕の近くに降りてISを解除する。
「一応大丈夫だけど、あんなゼロ距離で大爆発なんて危険すぎる」
裕は立ち上がって、付いた土を払う。
「まぁとりあえず……優勝おめでとう。カナ」
「ありがとう。ゆっくん」
その後、裕のことを知りたいがために、各国の政府関係者に裕は追いかけ回された。
◇
時間は流れて夜、俺とカナは食堂で夕食を食べていた。
「はぁ〜疲れた」
「トーナメントの後に一時間も追っかけ回されたらきついよね」
あれはきつかった。結局先生たちによってIS学園から強制的に追い出した。
「はぁ〜、こういう時にこそ風呂に入りたい」
全身疲労状態にシャワーは物足りない。風呂でさっぱりしたい。
「それなら朗報がありますよ」
いつの間にか山田先生が立っていた。全く気づかなかった。
「今日は神埼くんが大浴場を使って良いんですよ!」
「本当ですか!」
俺は嬉しさのあまり立ちそうになったが、何とか堪えた。
「今日は大浴場のボイラー点検があったので、元々生徒たちが使えない日なんです。でも点検自体はもう終わったので、それなら神埼くんに使ってもらおうって計らいなんです」
なんとも狙ったかのようなタイミングだ。
「それでは夕食後に大浴場に来てください。今日の疲れも肩まで浸かれば疲労もスッキリ! ですよ」
「はい! ありがとうございます!」
俺は嬉しくて勢いよく返事をして、食堂の女子の視線が集まったがそんなのは些細なことだ。
夕食後に部屋に戻って着替えを持って大浴場へと向かった。
「あ、来ましたね。それじゃあどうぞ! ごゆっくり〜」
テンション高めの山田先生に見送られて、脱衣場のドアを閉める。
俺は服を脱いで大浴場のドアを開ける。
「おー」
広い、とにかく広い。
湯船大が一つ、ジェットとバブルのついた湯船中が二つ、檜風呂が一つ。さらにサウナ、全方位シャワー、なんと打たせ滝までついている。
国立のIS学園ならそれなりの設備だろうとは思ってはいたけど、ここまで充実した設備だとは思わなかった。
というより、打たせ滝を使う女子っているのだろうか? 千冬さんは使いそうなイメージはあるけど。
「……とりあえず体洗うか」
全方位シャワーに入ってドアを閉めて、シャンプーで頭を洗う。
カラカラカラ……。
「ん……?」
今なにか聞こえたか……気のせいか?
俺はシャンプーを流すためにシャワーのノズルに手を伸ばす。
ガチャッ。
今度は聞き間違いじゃない。真後ろのドアが開く音が聞こえた。俺が振りかえるより先に抱きつかれた。
「ゆ〜〜〜っくん♪」
柔らかな膨らみが背中に押しつけられた。
「カ、カナ!? い、いったい何しに!?」
というか俺裸!
「あ、ちなみも裸だから」
振りかえろうとしか首を素早く前に戻す。
「な、何で裸なんだ!!」
「お風呂なんだから当たり前でしょ?」
「いや、俺が入ってるんだからさぁ!? というか山田先生いたはずなのにどうやって入ってきたの!?」
「ゆっくんのお嫁さんパワー」
「……どんな裏技なんだ……。とりあえず離れてくれない」
「やだ」
即答された。でもこの体勢は本当にヤバイ。主に下半身が……。
「どうすれば離れてくれるの?」
「背中を流させてくれたら離れるよ。流させてくれるまで離れないから」
……もう諦めるしかないのか……。
「……解った。背中流して良いから、シャンプー流すから離れてくれない」
「……いいよ」
カナは渋々と言った感じで離れた。だけど、俺が逃げられないように後につまりドアの前に立っている。逃げるのは不可能ということだ。……諦めよう。
「それじゃあ、背中流してあげるね」
「よろしくお願いします」
「……! ねぇゆっくん」
「……なに?」
なんか嫌な予感がする。
「背中洗うの、手とスポンジと胸、どれが良い?」
「スポンジ」
「……ゆっくんのケチ」
「ケチで結構」
「ちえっ」
ちえって言ったよ。だけどこれは譲れない。手なんてましてや胸でされたら俺がどうなるか解らない。
「それじゃあ、早速背中流すね」
カナが良い具合の力加減で背中をこする。
「やっぱりゆっくんって体がしっかりしてるよね。鍛えてるだけじゃなくて、ちゃんと動かす用の筋肉になってるしね」
「まあ、実戦を大分経験してるからね」
実戦を繰り返して鍛えたから自然と今の感じになった。
「それじゃあ、背中の次は……前だよね♪」
カナが背中に抱きついて手を前に回してきた。
「わ、ちょ!! 前はいいって!!」
「そんなことは言わずにさ〜」
今はいろんな意味でまずいんだ!!
「よいではないか〜、よいではないか〜」
「よくなーい!!」
「良いお湯だね。ゆっくん」
「そうだね」
そのあと色々あって今カナと背中合わせで湯船大に浸かっている。
「ねぇゆっくん、訊いても良い?」
「なに?」
「ずっと訊きそびれてたんだけど、ゆっくんの家族を奪ったアンデッドってどんなの?」
俺の家族を奪ったアンデッドか……。脳裏に焼き付いた記憶が甦る。
薄れゆく意識で見たあのシルエットは忘れもしない。
「あ、その訊いといてあれだけど言いたくないなら別に……」
「いや、大丈夫。そのアンデッドは……アンデッドの頂点に立つアンデッド…………その名は―――」
『ジョーカー・アンデッド』
『インフィニット・ブレイド』の『R-18』を書こうかと思っているケヴィスです。