これからも頑張っていきますが、どちらかと言うと『転生性転物語』をメインに書いちゃうので結構遅いです。
そして最後に、皆様が楽しく読んでいただければ幸いです。
「運命の切札をつかみ取れ!」
【買い物と言う名の初のデート】
学年別個人トーナメントが終わって数週間が経った日曜日の朝。俺とカナはIS学園から出ている専用モノレールに乗っている。
「ようやく日曜日に出かけられるようになった」
「トーナメントが終わってから毎週日曜に色んな国と企業がゆっくんのスカウトに来てたからね」
そう、トーナメントが終わってから先週の日曜日まで俺のスカウトの話で全て時間を費やされた。
「諦めてくれたなら幸いなんだけどなぁ」
「それはないよ。ゆっくんは世界で唯一の男のIS操縦者で、ISと同等のライダーシステムを使うんだから。諦めるのが無理な話だよ」
俺の切々な願いもカナによって呆気なく両断された。
「…………それに、問題はそれだけじゃないんだよ」
「えっ?」
カナが何やら暗い声で言ってきたから俺はカナを顔を見た。カナの顔は若干の困り顔だった。
「それだけじゃないって……いったいどういうこと?」
「『ISは女性にしか使えない』。だけど、『ゆっくんは男でありながらISが使える』。端的に重要部分を言うとこうなるのは、ゆっくんも理解してるよね」
俺はカナが言ったことに頭を縦に振る。
「問題はこの後なんだよ。――例えば、ゆっくんが誰かと結婚をして、その結婚した女性が男の子を産んだ場合、その男の子もISを動かせるかもしれないってことだよ」
「それってつまり……」
そう言われて俺は漸くことの重大さが解った。
「そう、『ゆっくんと結婚した家系が世界唯一で、男のIS操縦者を出産する』ことになるかもしれないってこと」
「だから色んな国が俺を欲しがるのか……」
「そういうことだよ」
全く予想してなかった。俺ってそんな存在だったんだ。
「それに、下手をしたら日本政府が特例でゆっくんを一夫多妻にしちゃうかもしれないくらいだし……」
「いや、流石に……」
「……」
「いくら……なんでも……」
「…………」
「…………マジで……?」
カナはゆっくりかつしっかりと頷いた。
(マジなんだ……)
なんか頭が痛くなってきそうだ。
「まぁゆっくんがそんな存在だから私は嬉しいんだけどね」
「えっ……なんで?」
「さっきも言ったけど、『ゆっくんと結婚した家系が世界唯一で、男のIS操縦者を出産する』って、だから更識家の誰も私とゆっくんが結婚することに文句を言わないんだよ」
成る程、俺とカナの結婚を認めないってことは唯一男でIS操縦者を出す家系を捨てることになる。
「そんな訳だから私とゆっくんは何の問題も無く結婚出来るんだよ」
とりあえず俺の立ち位置ってツチノコやネッシーとかのUMAみたいなものか。
「……まぁそんなどうでもいいことは忘れて」
いや、忘れるのは無理なほどインパクトが強い話だったんだけど……。
「後少しで駅に着くから」
カナが言ったようにすぐに駅に着いた。
駅に着いて改札口を出たら、やたらと視線を感じる。
俺とカナがIS学園の制服(夏服)を着てるからってだけじゃなさそうだな。
「かなり視線を感じるなぁ……」
「それはそうだよ。学年別個人トーナメントの映像が放送されたら注目するよ。あと、都市伝説の『青いパワードスーツ』の正体もゆっくんだしね」
そう言えばブレイドのこともあったけ、忘れてた。
「まぁとりあえず……約束の指輪を買いに行くか」
「そうだね。行こっか♪」
カナは俺の腕に抱きついてきた。
「ちょっ!? カナ!?」
「気にしない気にしない♪ 場所は私が知ってるから、さぁ行こう♪」
カナが腕に抱きついてそのままカナの道案内で歩いていく。
◇
「ここがそうだよ」
歩いて約十五分、裕と楯無は目当ての店に到着した。入店してすぐ祐は前に楯無に見せてもらった雑誌の指輪を探すために見渡す。
「あ! これいいかも」
しかし、楯無はかなり目移りをしていた。
「……カナ、目当ての物探さなくて良いの?」
「良いじゃない。色々見ようよ。ひょっとしたら探してるより良いのが見つかるかもしれないし」
満面の笑顔で楯無は言う。しかし、裕は、雑誌のより高いのを見つけないでほしい……と願った。
「あぁ! これいいかも!」
裕は内心少しドキドキしながら楯無が指差した物を見る。そこにあったのは特に装飾がされていない銀色の指輪、値段も約五万安かった。
「……これが良いの?」
「うん、これがいい」
裕は念のため楯無に確認するが、楯無は即答した。
「……じゃ、これをください」
「かしこまりました」
裕は店員に頼み。その後二人のサイズの合った指輪を探してもらって購入した。
「ねぇ、ゆっくん」
「ん? どうしたのカナ」
裕は店員から指輪の入ったケースを受け取ったら、楯無に呼ばれ、振り向くと楯無は笑顔で左手を差し出してきた。
「……え〜〜っと」
楯無の行動に困惑する裕、それに対して楯無は笑みを崩さず左手を差し出す。
「……嵌めてほしいって事で良い、の……かな……?」
「うん♪ 薬指ね♪」
「解ってるよ」
裕は楯無のサイズに合った指輪を嵌めた。
「それじゃ、今度は私の番だね」
楯無が指輪を取って裕の指に嵌めた。
裕は指輪の嵌まった指を見て、似合ってないな〜……と思い。
楯無は顔がにやけそうなのを堪えはしたが、うっとりしたような顔で指輪を見る。
因みに店内でそんなことをしたから、周りのお客や店員から見られていたのは言うまでもなかった。
次の日の朝。
ピピッ! ピピッ! ピピッ!
裕と楯無の部屋で祐の携帯電話が目覚ましのアラームを鳴らす。
(ん〜……朝か……)
裕は枕元で鳴っているアラームを止めるために右手を伸ばす。
むにゅ。
(……ん……?)
裕の右手が何か柔らかいものに当たった。
(なんだ、これ?)
まだ半分以上寝ぼけていて思考力が全くなかった裕は、その柔らかいものに触る。
もにゅ。もにゅ。
その柔らかいものはマシュマロや餅のような弾力で、裕は触っていて心地よく感じている。
「ふぁ……ぁぅん……」
(……ん……?)
何かに触っていたら、声が聞こえた。
聞こえてきた声はあきらかに女性の声で寝ぼけた頭でも誰の声なのか裕は解った。
(……まさか……)
今の声で一気に意識が覚醒した裕は、自分が今どんな状態なのか確認するために瞼を開ける。
瞼を開け、見えてきたのは楯無の寝顔と楯無の胸を鷲掴みしている自分の右手だった。
「!!?!」
裕は出そうになった声をギリギリ堪えた。
(落ち着け! 落ち着くんだ!)
裕は楯無の胸を鷲掴みしていた右手をゆっくり離す。
(……よし、カナは起きてな―――)
「私の胸、どうだった?」
裕は聞こえてきた声の方、楯無を見る。その楯無本人はニヤニヤしながら裕を見ていた。
「あー……えっと……」
楯無の問いかけに裕は返答に困った。
起きない様、慎重にしていたが楯無は起きていた。しかも、触った感想を問いかけられたのだから。
「感想は?」
「…………凄く柔らかくて気持ち良かったです」
「ホントにゆっくんは素直だよね」
楯無は微笑みながら言う。
とりあえず許してもらえると思った裕だったが。
「それじゃあ、責任取ってもらおうかな」
現実はそんなに甘くはなかった。
「責任って……」
「私の胸を触っただけじゃなくて揉んだんだよ。責任取ってよ」
「…………」
それを聞いてからしばらく考えた裕はベッドから起き上がった。
「仕方ない。それじゃ責任を取って……千冬さんに部屋替えの申請に――」
ガシッ!
責任を取って部屋替えの申請を言ったら、楯無に腕を掴まれた。
「ゆっくんは私に死ねって言うの?」
「いや、なんでそうなるの?」
「だって私、ゆっくんと一緒じゃないと寂しくて死んじゃうんだもん!!」
裕と部屋が一緒じゃないだけで楯無の死が決まった。
「じゃあどうすればいいの?」
裕としては今後同じことをしないように提案したが、どうすれば良いのか解らず訊く裕、それに対して楯無の答えは。
「毎朝おはようのキスを――」
「さぁて、部屋替えの申請にでも行ってくるか」
「嘘ですごめんなさい!! だからそれだけは!!」
楯無は裕の腰にしがみついて止める。
今の楯無に最強の称号を持つ生徒会長の姿は影も形もなかった。
『更識 裕』計画、順調に進行中。