少しずつチマチマ書いていたのですが、あまりに久しぶりなため、所々で変な所があるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
「運命の切札をつかみ取れ!」
【臨海学校:後編】
青い空、白い雲、照りつける太陽、目の前にはどこまでも広がる海。しかもこのビーチにはIS学園関係者以外は入れないことになってる。だから今ここにいるのは一年生、約百二十人のみ。
そしてその百二十人中男子は俺だけ、弾が聞いたら親指を逆さに立てて「地獄に堕ちろ!」って言ってくるだろうな。
「ゆっくん…………現実逃避はそれくらいにして、早く日焼け止めクリーム塗ってよ」
カナからの声で視線を戻す。その先にはシートに寝そべっている水着のカナ。ちなみに水着はビキニで、色はカナの白い肌に合わせたのか白だ。
(……こんなの見せられたら現実逃避したくなるっての……)
寝そべっているカナの首の後ろで結んでいるブラの紐は解かれていて完全に無防備な背中を見せている。更に胸は体に潰されてむにゅりと形を歪め、脇の下から見えていることもあってかなりセクシーだ。
「クリーム、塗らないとダメ……?」
カナに日焼け止めクリームを頼まれたのはカナが着替え終わって更衣室から出てからすぐだった。
「ゆっくんが肌を焼いたほうが好みだったら――サンオイルを塗ってね」
カナは寝そべったままサンオイルを差し出してきた。どっちにしても塗らないといけないのか。
「ちなみにサンオイルだったら水着の中と前も塗ってね」
「…………日焼け止めを濡らせてもらいます」
「(すごい間があった。ゆっくんも男ってことだね)――ちなみにクリームでも前を塗って――」
「背中だけにさせていただきます」
「ゆっくんのいけず」
俺はカナの言葉を無視して蓋を開けてクリームを取って塗り始めた。
「ん〜、もうちょっと力入れて〜」
「クリームを塗るのであって、マッサージじゃないんだけど……」
「そんなこと言わないでよ。ゆっく〜ん」
「はいはい、解ったよ」
カナの要望に答えて少し力を入れる。
「ん…そう。そのくらいが良い」
カナは気持ち良さそうな声を出す。
「あーー!! 更識さんずるい!!」
クリームを塗っていたら一人の女子が気づいて、そこから次々と女子が寄ってきた。
「更識さんまた神碕くんを独り占めしてずるいよ!!」
「ねぇ、神碕くん。私にも日焼け止めクリームを塗ってよ!!」
「私はサンオイル塗ってほしい!!」
「私は塗ったクリーム落としてくる!!」
「なんでそうなるんだーー!!」
俺はカナのクリームを塗るのをやめて首だけを向けて言うが、時すでに遅く。もう海にザブザブを入っていった。
あぁ、なんでわざわざ塗ったのを落とすんだ。
「駄目だよ。塗ってもらうのは彼女である私の特権だよ」
カナが起き上がって抱きついて言った。
「更識さんばかりずるいよ!!」
「そうだよ!! いくら二人が幼なじみだからって神碕くんが転校してきて、僅か数日で彼氏彼女になっちゃうし!!」
「私たちにも夢くらい見させてよ!!」
女子たちが次々と不満を口にする。思い返せば、カナとはIS学園に来て半月も経たずに恋人になったんだよな。
「夢を見るのは自由だよ。――でも現実もちゃんと見てね♪」
カナの無慈悲(というか、当たり前か?)の言葉に多くの女子たちが膝と手を砂浜につけて落ち込む。
そこまで落ち込むことか? あと熱くないのだろうか、そんなことをして。
「…………ところで更識さん」
「何かな神碕くん?」
「そこにあるものはなんでしょうか?」
俺の視線の先に一枚の水着があった。
「私の水着だね」
「つまり……」
いやダメだ!! ここで考えるのを止めよう!! 止めなければならない!!
「ちなみに今上半身裸で抱きついてるよ。ゆっくん♪」
人が考えないようにしていたことをさも当然と言わないでほしいな…………。
その後が大変だった。カナは上半身裸、つまり下手に離れるわけにはいかない。かと言って俺も水着だからカナの胸が裸体にダイレクトに当たってるから理性がもつ自信がない。
だから俺が目を瞑ってその間にカナに水着を着てもらうことにした。
正直カナはかなり渋ってたけど、どうにか水着を着てくれた。
その後はビーチバレーを交代で何回もやった。ちなみに交代の時に俺とチームを組みたいと女子が言って何試合もぶっ続けでやって正直ヘトヘトになった。
時間はあっという間に過ぎて夜。夕食ははっきり言って豪華だった。とても普通の高校生が食べるものではない。さすが国立のIS学園と言える。
そして今は女子の入浴時間、千冬さんから誤解を無いようにするため部屋にいるように言われた。
「…………」
「〜〜♪」
そのことについて問題は無い。問題があるとすれば、部屋の前についていた名前で『神碕』の部分が『更識』に変えられていたことと、俺が座布団に座ってカナがお姫様だっこのように横向き俺の膝の上に座りながら抱きついていることだ。
「カナ、何故この体勢?」
「千冬さんからゆっくんの監視を任されたから」
「いや、監視は解ったけど……この体勢の説明になってない」
「そんなの私がしたいからしたに決まってるでしょ♪」
カナはそう言いながら抱きつく力が強くなって、俺の頬に頬擦りしてくる。
「そう言えば、監視したら入浴出来ないんじゃ……」
俺はふと疑問に思ったことを口にする。
「大丈夫だよ。私はゆっくんと一緒に入るから」
「はぁああ!?」
思わず大声を出してしまった。何故一緒に入ることになるんだ!?
「耳元で大きな声を出さないでくれるかな」
「いや、当たり前だろ!? なんで一緒?!」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと湯浴み着を着るから」
そう言う問題じゃない。どうして混浴になるんだ。
「第一そんなこと千冬さんが――」
「勿論、千冬さんからの承諾は貰ってるよ」
だよね〜。そうじゃなかったら、湯浴み着なんてあるわけないよな。
コンコンとノックがされた。
「どうぞ〜」
えっ? カナこの状況で入れちゃうの?
「神碕、そろそろ男子の入浴時間だ」
千冬さんが入ってきて、俺がカナをお姫様だっこをして座っているのを見られた。
「…………」
「あー、えーーっと」
「男女交際をどうこう言うつもりはない―――だが度を越えたことはするなよ」
湯浴み着をするとはいえ、混浴させるのは度を越えたことではないのか?
「それは例えばどんなことですか?」
なんとなく気にはなってたけど、あえて訊かないべきだと思うよ、カナ。
「新しい同居人を作るようなことだ」
千冬さんが凄いことを言ってきた。まぁ確かにそれは高校生なら度を越えたことだと思う。
「ふぅー」
男子の入浴時間になって温泉に浸かる。湯に浸かるのは個人トーナメント以来だ。
「星が綺麗だね」
カナが隣で同じく浸かりながら空をみる。湯浴み着を着てるとはいえ、濡れて肌にピッタリとついてスタイルがくっきりと出てる。
「――脱いじゃおっか?」
「脱がなくていい」
カナは着崩して言ってきた。
明日は忙しくなるだろうから出来れば問題は起こしたくない。
楯無は一体どんな話術で混浴の権利を千冬から得たのでしょうか。