少しずつチマチマ書いて出来ました。リアルが多忙だったり、ネタが浮かばなかったり様々でした。
「運命の切札をつかみ取れ!」
【船上パーティー】
「――護衛任務?」
「そう、ゆっくんにお願いしたいの」
終業式が終わり、今日から夏休みになった。俺、カナ、虚さんの三人で生徒会室で雑務をしている時、カナがまた突拍子もなく言った。
「なんでまた急に?」
「実は以前から日本政府主催で各国の代表・代表候補生を招いたパーティーをすることを企画してて、それが開催されるのが決まったの。因みに私はロシア代表で呼ばれてる」
「いや、そうじゃなくて……なんでパーティー?」
微妙に俺が求めていた答えと違っていたからまたカナに問いかけた。
「強いていえば、お披露目と顔合わせ、かな」
「……誰の?」
「来年入学する。代表候補生の」
成る程、何となく解った。代表候補生は狭き門を突破したエリート、それを自慢すると同時に牽制も兼ねてする訳か。
「顔合わせは解った。けど、お披露目って?」
「勿論ISの。来年入学の専用機持ちの代表候補生は第三世代型だからね」
そうISの稼働データを撮るには、IS実習をカリキュラムに入れているIS学園がうってつけだ。
だから専用機持ちはほぼ入学が決まっている。まぁウィルキンさんの様に開発が間に合わなくて専用機を持たない人も稀にいるらしい。
「――あと、ゆっくんもだよ」
「……何が?」
返ってくる答えの大体の検討はついてるが、とりあえず訊いておこう。
「もちろん、『世界初の男のIS操縦者で別のパワードスーツを使ってる』ゆっくんのお披露目」
まぁだろうな。そうだと思ったよ。
「因みに断っ――」
「ダメ」
「はやっ、まだ言い終わってないだろ」
「ゆっくんがくるのが前提で話が進められてるんだから」
本人である俺の了解も無しに話進めるなよ。
「仮に行くとしてなんでカナの護衛としてになるの?」
「最初は普通にゆっくんに招待状を送る予定だったの」
それが普通だ。なのになぜ、護衛任務になってしまったんだ?
「……で、私は日本政府に進言したの」
なぜ、そこでカナが出てくる。
「『神碕くんは多分断るのでやり方を私に任せてくれたら必ず参加させてみせます』って」
最初の部分は否定出来ないけど、だからって何故そうなっちゃうかな。
「それでカナの方法が護衛任務ってこと……か」
「その通り♪」
なんか頭痛くなってきた。
「……それで、そのパーティーはいつ?」
これは聞いておかなければならない。心の準備とかが必要だからな。
「今夜」
「今夜!?」
心の準備が全く出来ない!! いくらなんでも通達ギリギリ過ぎる!!
「なんでそんなギリギリに!?」
「ホントは一週間前に連絡が着てたんだけどね」
「……何故黙ってた?」
「だって余裕を持たせるとゆっくん逃げそうだったから」
「いや、逃げないって、大体スーツとかどうすんのさ?」
「大丈夫大丈夫♪ ゆっくんの制服のサイズと同じで発注してもう届いてるから♪」
流石カナだ。本当に抜け目無いな。
時間はあっという間に流れて港に向かうためにカナが呼んだ黒光りのリムジンに乗っていた。
「ゆっくん。そのスーツ、とっても似合ってるよ」
「ありがとう」
スーツなんて初めて着たからイマイチ落ち着かないな。
「? 何、どうしたの?」
俺はなんとなくカナを見た。カナの着ているドレスは紫色で胸元が大きく開いているかなり大胆なドレスだ。
「似合ってるけど、かなり大胆なドレスだなぁって思ってさ」
「そう? パーティーだったらこれくらいでしょ?」
「今まで行ったこと無いから基準が解らない」
「そっか、そう言えばそうだったね」
結構大事なことなんだから忘れないでくれよ。
「……お嬢様、祐くん」
今まで沈黙をしていた虚さんが喋りだした。
「このパーティーには各国の代表・代表候補生はもちろん、首脳人も参加します。お嬢様は羽目を外しすぎないように、祐くんはあまり緊張をしすぎないようにしてください。お嬢様を止められるのは祐くんだけですから」
「ちょっと虚ちゃん、それ酷くなぁい」
まぁ確かにカナをどうにか出来るのは俺だけなんだろうな。
「解った。心がけるよ」
「ゆっくんまで!?」
そんな会話をしてあっという間に会場である船に着いた。
「……でっけー」
さすが各国の代表・代表候補生や首脳を呼ぶだけあって船はかなりでかい。まさに豪華客船だ。
「さぁ、ゆっくん。行くよ」
「ん、あぁ」
「祐くん」
カナに呼ばれて歩きだそうとしたら虚さんに呼ばれた。
「はい。なんですか?」
「ここでお待ちしていますので、お嬢様とごゆっくりお楽しみください」
「……そういえばどうして虚さんは来ないんですか?」
虚さんが待っている言って、今更ながら気になったことを訊く。
「……? 招待状に記載されていましたよ。『付き人はお一人様』――と。ご存知ありませんでしたか?」
知らなかった。なんせ俺には招待状は無く、ボディーガードとして来たからな。
「そのご様子ではご存知ありませんね。――成る程、そういう事でしたか」
虚さんが何かに納得したようだ。
「お嬢様」
「も〜〜、虚ちゃんお嬢様はやめてって――」
「わざと祐くんに教えませんでしたね」
「…………」
「どういうことです?」
虚さんが言ったことに黙って顔を反らすカナ。思いっきり怪しい。だけど多分カナは何も言わないだろうから俺は虚さんに訊く。
「お嬢様が言ってましたよね。最初は祐くんにも招待状を送ることにお嬢様が断ったことを」
「もちろん」
だから俺がカナのボディーガードに――。
「あぁ、だからか」
俺に招待状が来たら虚さんも一緒にくることになる。
「ん? 虚さんが別に一緒でも良かったんじゃ?」
「何を言っているのですか。お嬢様は祐くんと二人っきりでパーティーに来たかったのですよ」
「あー、成る程」
俺が納得してカナを見ると俯いているが、耳が真っ赤になっていた。
「お嬢様、最初から祐くんと二人っきりでパーティーに来たかった言えば私だって一緒に来ることは――」
「さぁ、遅れちゃう!! 早く行かないと!!」
カナは速足で船に向かう。
(恥ずかしかった……? でもカナは普段からもっと恥ずかしいことをやってるような気がするんだけど……)
カナの行動がイマイチ解らない。首を傾げていたら、虚さんから肩をチョンチョンとつつかれた。
「お嬢様は心の準備が出来てない時、予想外な事に弱いんです」
そうだったのか、そういえば弓道部の人に箒を当てて「大事な彼女を守るため」って言ってた時、赤くなってたっけ。
(まぁ言った俺自身恥ずかしかったけど……)
「ゆっくん早く〜〜!」
カナが少し遠くから声を張る。
「それではお嬢様をお願いしますね」
「解りました」
虚さんに言われ、答えてカナに駆け寄った。
久々の投稿、皆様がお楽しみいただけたのなら幸いです。
計算高い楯無ですが、心の準備無し(嬉し恥ずかしい限定)には滅茶苦茶弱い。